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消防用設備等の点検|福祉施設は年1回報告、点検者は面積で変わる

「消防設備の点検は業者に頼まなければいけないのか、職員が自分でやってもよいのか」「報告は年に何回、どこへ出すのか」。施設長や事務長の方から、こうした質問をいただくことがあります。法人本部で複数の事業所をまとめて見ている場合は、事業所ごとに答えが違うことも気になるところです。

結論から言うと、消防用設備等の点検と報告は消防法第17条の3の3が義務づけています。報告の頻度は消防法施行規則第31条の6で、別表第一(六)項は「一年に一回」です。誰が点検するかは、消防法施行令第36条第2項で分かれ、延べ面積が千平方メートル以上の(六)項の防火対象物は、消防設備士等に点検させます。一方、点検の具体的な月数は、施行規則の本則には書かれていません。

この記事では、消防法第17条の3の3・第44条、消防法施行令第36条、消防法施行規則第31条の6を、令和8年10月31日にe-Gov法令検索から取得した原文で読みます。条文から決まることと、決まらないことは分けて書きます。

先に結論

  • 防火対象物の関係者は、消防用設備等を定期に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告します(消防法第17条の3の3)。
  • 点検を誰がするかは、政令で分かれます。別表第一(六)項を含む防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のものは、消防設備士等に点検させます(施行令第36条第2項第1号)。
  • 延べ面積が千平方メートル未満でも、避難階以外の階に(六)項の用途部分があり、直通階段が足りない場合は、消防設備士等の点検が必要です(同項第3号)。
  • 報告は、(六)項の防火対象物で「一年に一回」です(施行規則第31条の6第3項第1号)。
  • 点検の期間は「一年以内で消防庁長官が定める期間ごと」とされ、月数は本則に書かれていません。点検業者や消防署に確認します。
  • 報告をしない、または虚偽の報告をすると、消防法第44条の罰則の対象です。

点検の義務は消防法第17条の3の3に書かれている

法律の条文は、点検の義務を次のように定めています。

定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

主語は、条文の冒頭にある防火対象物の「関係者」です。この条文は、点検の義務、点検する人の区分、報告先の3つをまとめて書いています。

論点条文の書き方決めている条文
点検する人政令で定めるものは消防設備士等、他は自ら施行令第36条第2項
点検の期間一年以内で消防庁長官が定める期間ごと施行規則第31条の6第1項
報告の頻度区分ごとに一年に一回、三年に一回施行規則第31条の6第3項

なお、施行令第36条第1項は、点検を要しない防火対象物を別表第一(二十)項に掲げるものと定めています。福祉施設が当たる(六)項は、これに含まれません。

誰が点検するか:施行令第36条第2項で分かれる

消防設備士等に点検させなければならない防火対象物は、施行令第36条第2項に列挙されています。福祉施設に関係するのは、第1号と第3号です。

第1号:(六)項を含み、延べ面積が千平方メートル以上

第1号の条文は、次のとおりです。

別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの

ここに「(六)項」が入っています。(六)項は、イの病院などのほか、ロとハの福祉施設などを含む項です。条文はロやハを分けていないので、特別養護老人ホームなどのロも、デイサービスなどのハも、延べ面積が千平方メートル以上なら対象に入ります。ロとハの見分け方は、防火対象物6項の記事で整理しています。

「消防設備士等」は、第2項の柱書で、消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者とされています。

第3号:避難階以外の階に用途部分があり、直通階段が足りない

第3号は、面積に関係なく当てはまる条件です。

前二号に掲げるもののほか、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの

(六)項の用途に使う部分が2階以上や地階にあり、そこから避難階又は地上に直通する階段が2つ(屋外階段などの場合は1つ)に満たない建物は、延べ面積が千平方メートル未満でも、消防設備士等の点検が必要になる書き方です。階段の数え方や、避難上有効な構造の中身は、この記事では確かめていません。建物ごとに、設計図書と所轄の消防署で確認してください。

第2号と第4号について

第2号は、別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項などを挙げる号で、(六)項は入っていません。そのため、福祉施設には原則として関係しません。第4号は、総務省令で定める防火対象物を指す号ですが、その総務省令の中身は、この記事では確かめていません。

整理すると、次のようになります。

区分点検する人根拠
(六)項で延べ面積千平方メートル以上消防設備士等施行令第36条第2項第1号
(六)項で避難階以外に用途部分、直通階段が不足消防設備士等同項第3号
上のどちらでもない(第4号は未確認)関係者が自ら点検できる消防法第17条の3の3

3行目は、法第17条の3の3の「その他のものにあつては自ら点検し」に当たる扱いです。ただし、自ら点検する場合も、点検の方法や報告書の様式は消防庁長官が定める基準に沿う必要があります。

報告は(六)項で一年に一回、記録は維持台帳に

報告の頻度は、施行規則第31条の6第3項に書かれています。第3項の第1号は、次のとおりです。

令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物一年に一回

別表第一(六)項の福祉施設は、この号に入るので、報告は一年に一回です。第2号は、(五)項ロ、(七)項、(八)項などで、三年に一回とされています。

第3項はまた、点検を行った結果を、維持台帳に記録することも求めています。維持台帳は、届出書類の写し、検査済証、報告書の写し、工事や整備の経過一覧表など、消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものと、条文の中で説明されています。

なお、第4項は、新型インフルエンザ等のように消防庁長官が定める事由で、期間どおりの点検や報告が困難なときに、消防庁長官が定める期間に従うとしています。具体的な運用は、その都度の消防庁の通知で確かめます。

点検の期間と方法は、本則には書かれていない

点検の頻度について、「何か月ごとか」を知りたい方は多いと思います。条文を確かめると、第1項は次のように書いています。

種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。

つまり、点検の期間は「一年以内」の範囲で、消防庁長官が定めます。具体的な月数や、点検の種類の名前は、この記事で確かめた条文には書かれていません。点検の方法と報告書の様式も、同じく消防庁長官が定めます。

法第十七条の三の三の規定による点検の方法及び点検の結果についての報告書の様式は、消防庁長官が定める。

この記事で確かめた条文だけでは、月数は決まりません。点検業者に確認するか、所轄の消防署で、現在の告示に基づく運用を確かめてください。

消防設備士等の資格は、概要だけ確認する

施行規則第31条の6第7項は、消防設備士のほかに、点検に関する講習を修了した人も「消防設備点検資格者」として点検できる人に当たると定めています。対象には、電気工事士、管工事施工管理技士、一級・二級建築士などのほか、実務の経験を有する者が挙げられています。

また、第6項は、免状を持つ人や資格者が点検できる消防用設備等の種類は、消防庁長官が定めるとしています。点検を依頼する業者が、自分の事業所の設備の種類を点検できるかは、契約の前に確認しておくと安心です。

報告をしないと、罰則の対象になる

消防法第44条は、罰金又は拘留に処する場合を列挙しています。第1項の柱書は次のとおりです。

次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。

その第11号に、点検の報告が入っています。

第八条の二の二第一項(第三十六条第一項において準用する場合を含む。)又は第十七条の三の三の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第17条の3の3の報告をしなかった場合、または虚偽の報告をした場合が対象です。点検そのものを行わなかった場合の扱いは、この記事で確かめた条文からは決まりません。実際に誰がどの責任を負うかは、関係者の範囲によって変わるため、断定せず、所轄の消防署に確認してください。

条文で決まっていないこと

実務で質問が多い点のうち、この記事で確かめた条文に書かれていないものを整理します。

論点条文での扱い決め方
点検の具体的な月数本則に無い(長官が定める)点検業者・消防署に確認
点検の種類の名前本則に書かれていない点検業者・消防署に確認
報告書の様式消防庁長官が定める所轄の消防署で入手
報告の提出期限(月日)一年に一回とだけ書かれている所轄の消防署に確認
関係者のうち誰が出すかこの記事の抜粋に定義が無い所轄の消防署に確認
第4号の防火対象物総務省令の内容を確認していない所轄の消防署に確認

関係者が所有者、管理者、占有者のうち誰を指すかは、この記事で確かめた条文には定義が書かれていません。法人が建物を借りている場合や、複数の法人が入るビルの場合は、とくに所轄の消防署と相談して決めます。

法人本部・施設で確認しておきたいこと

条文の読み方を踏まえて、確認したい点を整理します。これは条文から導いた弊社の整理で、実際の判断は所轄の消防署に確認してください。

  1. 事業所ごとに、別表第一の何項に当たるかを確かめる。福祉施設は(六)項のロかハが多い。
  2. 事業所ごとに、延べ面積が千平方メートル以上かを確かめる。以上なら消防設備士等に点検させる。
  3. 千平方メートル未満の事業所は、避難階以外に用途部分があり、直通階段が足りない建物かを確かめる。
  4. 報告の時期(一年に一回)を、事業所ごとに年間の予定へ入れ、誰が提出するかを決める。
  5. 維持台帳の保管場所を決め、点検結果の記録と報告書の写しが入っているかを確かめる。
  6. 点検業者との契約で、点検の種類、回数、報告書の作成が含まれているかを確かめる。
  7. 防火管理者が交代しても、点検の予定と維持台帳が引き継がれるようにする。

防火管理者の選任や訓練については、消防訓練の回数の記事で整理しています。

この記事で書いていないこと

条文の抜粋に書かれていない論点は、断定しません。

論点書かなかった理由
機器点検・総合点検の月数告示で定められ、抜粋に無い
点検対象になる設備の一覧抜粋の対象外
特殊消防用設備等の点検福祉施設では通常関係せず、確認していない
点検結果の不備への命令・措置抜粋の範囲に含まれない
自治体の火災予防条例抜粋の対象外
点検費用の相場条文に書かれていない

制度の細部は、条文の原文や所轄の消防署の案内で確かめてください。

まとめ

  • 消防用設備等の点検と報告の根拠は、消防法第17条の3の3です。関係者が定期に点検し、結果を消防長又は消防署長に報告します。
  • 別表第一(六)項で延べ面積が千平方メートル以上の防火対象物は、消防設備士等に点検させます。避難階以外に用途部分があり、直通階段が足りない建物も同じです。
  • 報告は(六)項で一年に一回です。結果は維持台帳に記録します。
  • 点検の月数は本則に書かれていません。点検業者と所轄の消防署に確認します。
  • 報告をしない、または虚偽の報告をすると、消防法第44条の罰則の対象です。

参考にした一次情報


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阪本翔太

阪本翔太

奈良県の中小企業診断士 & ITストラテジスト。 公的機関や大学などで講師もしています。 地方でがんばる人をITで後押ししたい。

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