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キャリアパス要件|就業規則のどこを見れば要件ⅠとⅢを点検できるか

処遇改善加算の計画書を前に、こんな場面はないでしょうか。「キャリアパス要件は満たしている」と届出の様式にチェックを付けたものの、では就業規則や賃金規程のどの部分がその根拠なのかと聞かれると、すぐに指させない。

厚生労働省の通知は、キャリアパス要件ⅠとⅢについて、「就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること」を求めています。要件を暗記しているかどうかより、「自法人の規程のどこにその根拠があるか」を言えるかどうかが、実務では問われます。

この記事は、令和8年度分の通知(介護保険最新情報 Vol.1479)に沿って、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅴの全体像を整理したうえで、要件ⅠとⅢを中心に「規程のどこを見ればよいか」という視点で書いています。通知に書かれていることと、通知からは決まらないことは分けて書きます。

先に結論

  • 要件ⅠとⅢは、どちらも就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していることを求めています。確認の中心は、規程の条文と周知の記録です。
  • 要件Ⅱ(研修の実施等)は規程ではなく、計画と研修の実施・周知で見ます。要件ⅣとⅤは規程の外にあり、賃金額と加算の届出状況で見ます。
  • 加算の区分によって、必要なキャリアパス要件は変わります。加算Ⅳは要件ⅠとⅡだけ、加算Ⅰ(Ⅰイ・Ⅰロ)はⅠからⅤまで全てです。
  • 令和8年度は、一定の条件を満たす事業所等に限り、令和9年3月末までに整備することを誓約して申請する取扱いがあります。誓約した場合は、実績報告書で報告します。
  • この記事は介護保険の介護職員等処遇改善加算を扱います。障がい福祉の福祉・介護職員等処遇改善加算は別の通知で定められており、本記事では扱いません。

この記事が扱う範囲と、扱わない範囲

弊社のお客様には、介護保険の事業所と障がい福祉の事業所の両方を運営する法人が多くあります。そのため、最初に範囲をはっきりさせます。

この記事が扱うのは、介護保険サービスの「介護職員等処遇改善加算」です。根拠にしているのは、令和8年3月13日付の厚生労働省老健局老人保健課の通知(介護保険最新情報 Vol.1479)です。

障がい福祉サービス等の「福祉・介護職員等処遇改善加算」は、別の通知で定められています。名前がよく似ていますが、要件の書き方や区分は同じとは限りません。この記事の内容を、そのまま障がい福祉の事業所に当てはめないでください。

なお、通知のQ&Aには、介護保険の共生型サービスを提供する事業所や、介護サービスと障害福祉サービスの両方を行っている事業所の年額440万円の要件の扱い(要件Ⅳ)も出てきます。この点は後の章で触れます。

キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅴの全体像と、加算区分との関係

「加算の区分」と「キャリアパス要件」は別の番号です

名前が似ているので、最初に整理します。処遇改善加算には、加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳという区分があります。令和8年6月以降は、加算Ⅰにイとロ、加算Ⅱにイとロがあります。一方、キャリアパス要件にも、Ⅰ〜Ⅴという要件の番号があります。この2つは別のものです。

通知は、要件を次の番号で並べています(通知3(1))。

・①月額賃金改善要件
・②キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)
・③キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
・④キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)
・⑤キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)
・⑥キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)
・⑦職場環境等要件
・⑧令和8年度特例要件

区分ごとに、どの要件が必要か

通知は、まず加算Ⅰ(令和8年6月以降はⅠイ)には①から⑦までを全て満たすことを求めたうえで、他の区分を次のように定めています。

ただし、処遇改善加算Ⅱ(令和8年4月及び5月の算定に限る。以下同じ。)及び処遇改善加算Ⅱイ(令和8年6月以降の算定に限る。以下同じ。)については⑥の要件、処遇改善加算Ⅲについては⑤及び⑥の要件、処遇改善加算Ⅳについては④から⑥までの要件を満たさなくても算定することができる。

この文を、キャリアパス要件の番号に置き換えると、次の表になります。通知の番号(⑥=キャリアパス要件Ⅴ、⑤=Ⅳ、④=Ⅲ)に当てはめた、弊社による整理です。

加算の区分要件Ⅰ要件Ⅱ要件Ⅲ要件Ⅳ要件Ⅴ
加算Ⅰ(Ⅰイ・Ⅰロ)必要必要必要必要必要
加算Ⅱ(Ⅱイ・Ⅱロ)必要必要必要必要不要
加算Ⅲ必要必要必要不要不要
加算Ⅳ必要必要不要不要不要

ここで「不要」と書いたのは、通知が「満たさなくても算定することができる」としている要件です。ほかに、月額賃金改善要件(①)や職場環境等要件(⑦)など、キャリアパス要件以外の要件もあります。Ⅰロ・Ⅱロには、Ⅰイ・Ⅱイの要件に加えて⑧の令和8年度特例要件も必要です。この表はキャリアパス要件だけを切り出したものです。

また、この表と通知3(1)は、別紙1表1-1から表1-4までに掲げる介護サービス事業所等についての定めです。別紙1表1-5に掲げる事業所等には別の定めがあります(後の章で触れます)。

どの区分の要件が必要かが分かれば、次に見るのは「自法人のどの書類で確かめるか」です。ここからが本題です。

要件ⅠとⅢの決め手は「書面の根拠規程」

要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)

要件Ⅰの本文は、次のとおりです。

次の一から三までを全て満たすこと。
一 介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
二 一に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
三 一及び二の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

出典は通知3(1)②です。3つに分けて読むと、規程のどこを見ればよいかが見えてきます。

・一は、介護職員の「職位」「職責」「職務内容等」に応じた、任用等の要件を定めているかどうかです。「賃金に関するものを含む」とあるので、賃金の条件も含めて定める必要があります。
・二は、その職位等に応じた賃金体系を定めているかどうかです。一時金等の臨時的に支払われるものは除かれるので、毎月の給与の体系で見ることになります。
・三は、一と二の内容が書面になっていて、就業規則等の根拠規程として整備されており、全ての介護職員に周知されているかどうかです。

つまり、頭の中で運用しているだけ、口頭で伝えているだけでは足りず、書面の根拠規程が必要だということです。

要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等)

要件Ⅲは、昇給の仕組みを求めています。

一 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次のaからcまでのいずれかに該当する仕組みであること。
a 経験に応じて昇給する仕組み
「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること。
b 資格等に応じて昇給する仕組み
介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組みであること。ただし、別法人等で介護福祉士等の資格を取得した上で当該事業者や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

出典は通知3(1)④の一です。そして、書面での根拠規程の整備と周知を求める「二」は、要件Ⅰの三とほぼ同じ文言です。

二 一の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

要件Ⅲでは、a(経験)、b(資格等)、c(定期の昇給判定)のいずれかに当たる仕組みがあればよいと読めます。ただし、どれを選んでも、その仕組みを書面の規程に落とし込み、周知することが求められます。

要件ⅠとⅢの違いは「昇給」を含むかどうか

Q&Aは、ⅠとⅢの違いを次のように説明しています。

キャリアパス要件Ⅰについては、職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備することを要件としているが、昇給に関する内容を含めることまでは求めていないものである。一方、キャリアパス要件Ⅲにおいては、経験、資格又は評価に基づく昇給の仕組みを設けることを要件としている。

出典はQ&A問4-6です。規程の側から言い換えると、要件Ⅰは「職位や職務内容ごとの任用の条件と賃金体系」、要件Ⅲは「それに加えて、昇給の仕組み」を見る、という整理になります。要件Ⅲの対象となる区分(加算Ⅰ〜Ⅲ)では、両方の根拠が規程にそろっている必要があります。

昇給の「判定基準」は明文化が必要です

昇給を定期に判定する仕組み(c)では、基準の明文化が条件になっています。Q&Aは次のように答えています。

昇給の判定基準については、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。また、判定の時期については、事業所の規模や経営状況に応じて設定して差し支えないが、明文化されていることが必要である。

出典はQ&A問4-9です。判定の時期は事業所の規模や経営状況に応じて決めてよい一方、時期も含めて明文化されていることが必要、という点が読み取れます。

昇給の方式については、Q&A問4-7が「基本給による賃金改善が望ましいが、基本給、手当、賞与等を問わない」としています。したがって、基本給の昇給に限らず、手当や賞与で昇給の仕組みを設けている場合も、要件Ⅲの対象から外れるわけではありません。

小規模な事業所では、就業規則の代わりに内規等でもよい場合があります

要件Ⅰの本文には、ただし書きがあります。

ただし、常時雇用する者の数が10人未満の事業所等など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所等においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記三の要件を満たすこととしても差し支えない。

出典は通知3(1)②です。要件Ⅲの二にも、同じ趣旨のただし書きがあります。Q&A問4-1は、「等」に何を想定しているかを、法人全体の取扱要領や、労働基準法上の就業規則作成義務のない事業場(常時雇用する者が10人未満)における内規等と説明しています。あわせて、令和8年度の処遇改善計画書等の様式の中の別紙様式2の参考2に、キャリアパスや賃金規程のモデル例が掲載されているので、就業規則作成義務のない事業場は特に参考にされたい、とも書かれています。

就業規則そのものの整備や変更の手続きについては、社会福祉法人の就業規則の記事も参考にしてください。

自法人の規程のどこを見るか(弊社の整理)

ここからは、通知の文言を、自法人の規程に当てはめて確認するための見方です。通知は「この規程の第何条に書くべき」とは定めていません。 下の表は、通知の文言をもとにした弊社の整理で、通知が示す形式ではありません。

通知の文言規程で確かめること(例)
職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(要件Ⅰの一)介護職員の職位(役職や等級など)ごとに、任用の条件が文書で読み取れるか。賃金に関する条件が含まれているか
職位等に応じた賃金体系(要件Ⅰの二)職位や職務内容に応じて、毎月の賃金がどう決まるかが読み取れるか。一時金等の臨時的なものだけで説明していないか
経験・資格等・定期の判定に応じた昇給の仕組み(要件Ⅲの一)勤続年数、資格の取得、人事評価などのどれで昇給するかが、規程の言葉で書かれているか。判定の基準と時期が明文化されているか
別法人等で資格を取得した者の昇給(要件Ⅲのb)当法人で資格を取得した者だけでなく、別法人等で資格を取得して就業する者も昇給の対象になる書き方か
全ての介護職員への適用正規職員向けの賃金規程だけでなく、非常勤職員向けの規程にも、昇給の仕組みが読み取れるか
書面での整備と全ての介護職員への周知規程が書面で存在し、職員が見られる状態か。周知した事実を、あとで示せるか

非常勤職員の点は、Q&A問4-8が根拠になります。そこには、要件Ⅲの昇給の仕組みは、非常勤職員を含め、当該事業所や法人に雇用される全ての介護職員が対象となり得るものである必要がある、と書かれています。正規職員の賃金規程にだけ昇給の仕組みが書かれていて、非常勤職員の規程には何もない、という法人は少なくありません。この点は、規程を横並びで見比べると気づきやすい部分です。

また、複数の規程にまたがっている場合は、「どの規程のどの条項が、通知のどの文言に対応するか」を一覧にしておくと、指定権者への説明や、実績報告のときに役立ちます。

要件Ⅱは、規程ではなく計画と実施の記録で見ます

要件Ⅱ(研修の実施等)の一は、次のとおりです。

一 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会の確保をしていること。

出典は通知3(1)③です。aは、資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等(OJT、OFF-JT等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行うことです。bは、資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)を実施することです。aまたはbのどちらかに当たる計画が求められています。そして二として、この計画を全ての介護職員に周知していることも要件になっています。

要件Ⅰ・Ⅲと違い、要件Ⅱは就業規則等の根拠規程を求める文言ではありません。見るのは、目標と計画があるか、研修が実際に行われたか(または機会が確保されたか)、職員に周知されたかの3点です。

Q&Aからは、次のことが読み取れます。

・「資質向上のための計画」には、特に様式や基準等を設けておらず、計画期間も賃金改善実施期間と合致していなくてもよい(問4-4)。
・「職員と意見を交換しながら」の手法については、次のように書かれています(問4-2)。

様々な方法により、可能な限り多くの職員の意見を聴く機会(例えば、対面に加え、労働組合がある場合には労働組合との意見交換のほか、メール等による意見募集を行う等)を設けるように配慮することが望ましい。

・「職員の能力評価」は、個別面談等を通して、職員の自己評価に対し先輩職員・管理者等が評価を行う手法が考えられるとされ、こうした機会を適切に設けているのであれば、必ずしも全ての職員に対して評価を行う必要はない(問4-5)。

通知は、意見を聴いた記録や計画の保管方法までは指定していません。意見を聴いた方法・日付、計画書、研修の実施記録、周知の記録をひとまとまりで保管しておくと、確認しやすくなります。これは弊社の見立てで、通知が求める書類ではありません。

要件ⅣとⅤは、規程の外にあります

要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件)

要件Ⅳは、賃金額の要件です。

経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額(処遇改善加算を算定し実施される賃金改善の見込額を含む。)が年額440万円以上であること(処遇改善加算による賃金改善以前の賃金が年額440万円以上である者を除く。)。

出典は通知3(1)⑤です。小規模事業所等で職種間の賃金バランスに配慮が必要な場合や、地域の賃金水準が低い場合などに、例外的に合理的な説明がある場合はこの限りではない、というただし書きもあります。

法人単位で申請する場合の人数については、Q&A問5-2が次のように答えています。

法人単位で申請を行う場合、年額440万円の要件を満たす者の設定・確保を行うに当たっては、法人全体で、一括して申請する事業所の数以上、要件を満たす職員が設定されていればよい。

したがって、事業所ごとに必ず1人ずつ設定するのではなく、法人全体で人数を満たす考え方です。賃金規程の条文というより、賃金台帳や処遇改善計画書の数字で確認します。

介護保険の共生型サービスを提供する事業所については、Q&A問5-7が、介護保険の共生型サービスとして、年額440万円の改善の対象となる者を1人以上設定する必要がある、としています。介護サービスと障害福祉サービスを両方行っている事業所も同様に扱われたい、とされています。

要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)

要件Ⅴは、加算の届出状況で見ます。

サービス類型ごとに一定以上の介護福祉士等を配置していること。具体的には、処遇改善加算を算定する介護サービス事業所等又は当該介護サービス事業所等が併設している本体施設等においてサービス類型ごとに別紙1表3に掲げるサービス提供体制強化加算、特定事業所加算、入居継続支援加算又は日常生活継続支援加算の各区分の届出を行っていること。

出典は通知3(1)⑥です。先ほどの表のとおり、要件Ⅴが必要なのは加算Ⅰ(Ⅰイ・Ⅰロ)だけです。サービス類型ごとにどの加算区分の届出が必要かは、別紙1表3で確認することになります。この記事の根拠にした抜粋には、別紙1表3の中身は含まれていません。

令和8年度は、整備を「誓約」して申請できる場合があります

令和8年度は、要件の整備が間に合っていなくても、条件を満たす事業所等に限って、整備を誓約して申請できる取扱いがあります。要件Ⅰについては、次のとおりです。

令和8年度においては、処遇改善加算の申請時点において、⑧の令和8年度特例要件を満たす介護サービス事業所等に限り、処遇改善計画書において令和9年3月末までに上記一及び二の定めの整備を行うことを誓約した場合は、処遇改善加算の申請時点からキャリアパス要件Ⅰを満たしているものとして取り扱うこととする。当該誓約をした場合は、令和9年3月末までに当該定めの整備を行い、実績報告書においてその旨を報告することとする。

出典は通知3(1)②です。同じ趣旨の誓約の取扱いが、要件Ⅱ(計画の策定と研修の実施等)、要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備)、要件Ⅳ(年額440万円以上の賃金改善)、職場環境等要件にも書かれています。今回確認した抜粋には、要件Ⅴについての誓約の記載はありません。

押さえておきたい点は、次の3つです。

・誓約できるのは、⑧の令和8年度特例要件を満たす事業所等に限られること。⑧は、ケアプランデータ連携システムの利用、生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡの算定、社会福祉連携推進法人への所属のいずれかです。どれが使えるかは、サービスの区分(別紙1の表)によって異なります。
・誓約したら、令和9年3月末までに整備し、実績報告書で報告すること。
・要件Ⅰで誓約するのは、一(任用要件)と二(賃金体系)の整備です。通知の文言は、これらについて「整備を行う」と書いています。

令和7年度に、要件の整備を誓約したうえで加算を取得していた事業所等の取扱いも、Q&Aに書かれています(問4-10)。原則として、令和7年度の実績報告書で要件の整備について報告しなければ返還対象になります。ただし、令和8年度の申請時点で令和8年度特例要件を満たしている場合(誓約を含む)に限り、令和8年度の処遇改善計画書で再度誓約したうえで令和8年4月以降も加算を取得するときは、令和7年度の算定額について返還を求めない取扱いです。

実績報告の手続きや区分ごとの集計については、処遇改善加算の実績報告の記事で整理しています。

通知からは決まらないこと

通知とQ&Aを読んでも、次の点は決まりません。個別の取扱いは、指定権者に確認してください。

・「周知」の方法と程度:通知は「全ての介護職員に周知していること」と書いていますが、掲示、配布、研修での説明など、どの方法で足りるかは書かれていません。
・根拠規程の書き方の水準:「明確な根拠規程」と書かれていますが、規程の名称、条項の書き方、記載の細かさは通知からは決まりません。
・法人共通の規程でよいかの個別判断:Q&A問4-1は、法人全体の取扱要領を「等」として想定しています。ただし、複数の事業所を持つ法人が、事業所ごとの取扱いをどう整理すべきかは、今回確認した範囲では決まりません。
・自事業所が別紙1表1-1〜1-4と表1-5のどちらに当たるか:表1-5に掲げる事業所等は、令和8年度特例要件、または加算Ⅳの取得に準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、職場環境等要件)のいずれかを満たすことが求められており、定めが別になっています。どのサービスがどの表に当たるかは、別紙の表で確認する必要があります。
・障がい福祉の加算の要件:別の通知で定められており、本記事の範囲外です。

自法人で点検するときの進め方

最後に、実務の順番を整理します。

  1. 自事業所が算定している加算の区分を確認する。 先ほどの表のとおり、区分によって必要なキャリアパス要件が違います。
  2. 要件Ⅰ・Ⅲを、規程の条文と突き合わせる。 通知の文言ごとに「規程のどこに書いてあるか」を一覧にします。非常勤職員向けの規程も見ます。
  3. 周知の記録を確認する。 規程があるだけでなく、全ての介護職員に周知したことを後から示せるかを確認します。
  4. 要件Ⅱは、計画・意見を聴いた記録・研修の実施記録を、ひとまとまりで見る。
  5. 要件Ⅳ・Ⅴは、賃金台帳と加算の届出状況で確認する。
  6. 整備が間に合っていない要件は、令和8年度の誓約の取扱いを使えるかを指定権者に確認する。 誓約した場合は、令和9年3月末の期限と実績報告書での報告を、予定表に入れておきます。

まとめ

  • 通知から言えること:要件ⅠとⅢは、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していることを求めています。
  • 通知から言えること:加算の区分によって必要なキャリアパス要件は異なり、加算Ⅳは要件ⅠとⅡ、加算Ⅰ(Ⅰイ・Ⅰロ)は要件ⅠからⅤまで全てです。
  • 通知から言えること:要件Ⅲの昇給の仕組みは、経験、資格等、定期の判定のいずれかで、判定基準の明文化が求められ、非常勤職員を含む全ての介護職員が対象となり得る必要があります。
  • 通知から言えること:令和8年度は、特例要件を満たす事業所等に限り、整備を令和9年3月末までに行うことを誓約して申請でき、実績報告書で報告します。
  • 通知からは決まらないこと:周知の具体的な方法、根拠規程の書き方の水準、複数事業所を持つ法人の規程の整理の仕方、自事業所が別紙1のどの表に当たるか。これらは指定権者に確認してください。

参考にした一次情報

  • 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1479(令和8年3月13日・老健局老人保健課)「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001674610.pdf(2026年10月26日に取得)
  • 参照した箇所:通知本体の3(1)②〜⑧(PDF 5〜13枚目)、Q&A 問3〜問6-1(PDF 52〜60枚目)

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阪本翔太

阪本翔太

奈良県の中小企業診断士 & ITストラテジスト。 公的機関や大学などで講師もしています。 地方でがんばる人をITで後押ししたい。

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