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介護と障がい福祉の衛生管理|委員会・指針・研修・訓練の根拠条文

「感染症対策委員会は、年に何回開かなければいけませんか」

介護保険サービスと障がい福祉サービスを併せて運営している法人様から、この質問をよくいただきます。検索すると「委員会・指針・研修・訓練の4つが義務です」と説明する記事は数多く見つかりますが、その根拠となる省令はサービスごとに別々に定められており、開催頻度の書きぶりも実は統一されていません。この記事では、介護保険側と障がい福祉側、それぞれの「衛生管理等」の条文を原文で確認しながら、両者の違いを整理します。

「衛生管理等」の条にある4つの義務

介護保険・障がい福祉のいずれも、感染症対策の義務は「衛生管理等」という見出しの条に定められています。最も要件が詳しいのは、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第27条です。同条第2項はこう定めています。

指定介護老人福祉施設は、当該指定介護老人福祉施設において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

この柱書のあとに、4つの号が続きます。

一号(委員会)

当該指定介護老人福祉施設における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)をおおむね三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。

二号(指針)

当該指定介護老人福祉施設における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。

三号(研修及び訓練)

当該指定介護老人福祉施設において、介護職員その他の従業者に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修並びに感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施すること。

四号(手順に沿った対応)

前三号に掲げるもののほか、別に厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順に沿った対応を行うこと。

三号をよく読むと、「研修」は感染症及び食中毒の両方を対象としていますが、「訓練」は感染症の予防及びまん延の防止のための訓練に限られています。食中毒への対応訓練までは、この条文では求められていません。

委員会・指針・研修及び訓練・手順に沿った対応——この4つが「衛生管理等」の義務の骨格です。ただし、この骨格を定める条文はサービスごとに分かれています。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)では、訪問介護は第31条、通所介護は第104条、通所リハビリテーションは第118条、福祉用具貸与は第203条というように、サービスごとに同じ見出し「衛生管理等」の条が個別に置かれています。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)も同様で、居宅介護は第34条、療養介護は第71条、生活介護は第90条にそれぞれ置かれています。1つの条文を読んで全サービス共通だと思い込むと、次に見る開催頻度の違いを見落とすことになります。

開催頻度が省令の条文に書かれているのは、介護保険側だけ

先ほどの一号を見ると、特別養護老人ホームの感染症対策委員会は「おおむね三月に一回以上」開催すると条文に明記されています。ところが同じ「衛生管理等」の条でも、訪問介護・通所介護になると頻度が変わります。指定訪問介護(第31条)の一号はこうです。

当該指定訪問介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底を図ること。

指定通所介護(第104条)の一号も同様です。

当該指定通所介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、通所介護従業者に周知徹底を図ること。

同じ「感染症対策委員会」という名前でも、サービス類型によって条文上の開催頻度が違います。整理すると次のとおりです。

サービス根拠条文委員会の開催頻度
指定介護老人福祉施設(特養)省令第39号第27条おおむね三月に一回以上
指定訪問介護省令第37号第31条おおむね六月に一回以上
指定通所介護省令第37号第104条おおむね六月に一回以上
指定通所リハビリテーション省令第37号第118条おおむね六月に一回以上
指定福祉用具貸与省令第37号第203条おおむね六月に一回以上

入所・入居系は三月に一回以上、訪問・通所系は六月に一回以上というのが、介護保険側の条文からそのまま読み取れる基本形です。

対象範囲も条文レベルで違う:「感染症又は食中毒」か「感染症」だけか

開催頻度だけでなく、対象そのものも条文で書き分けられています。特養の柱書は先ほど引用したとおり「感染症又は食中毒」の両方が対象です。一方、訪問介護の柱書は「感染症」だけが対象で、食中毒は含まれません。

指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

通所介護・通所リハビリテーション・福祉用具貸与も同様に、柱書は「感染症」のみです。利用者が施設に入所・入居する形態か、通所・訪問で自宅に戻る形態かによって、条文が想定するリスクの範囲が異なっている、と読むことができます。

障がい福祉の省令は「定期的に開催する」としか書いていない

介護保険側は開催頻度が条文そのものに数値で書かれていましたが、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)は書きぶりが違います。指定居宅介護(第34条)の一号はこうです。

当該指定居宅介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること。

「おおむね三月に一回以上」「おおむね六月に一回以上」のような数値はなく、「定期的に開催する」としか書かれていません。つまり、障害福祉サービスの委員会の具体的な開催頻度は、この省令の条文からは確認できないということです。実務上は、この条文を根拠に、厚生労働省の解釈通知や、指定権者(都道府県・市町村)が集団指導等で示している資料を確認する必要があります。介護保険側の数値だけを見て「障害福祉サービスも同じ頻度のはずだ」と思い込むのは、条文の構造を取り違えることになります。開催頻度の数値を確認したい場合は、まず指定権者に問い合わせるところから始めてください。

障がい福祉の中にも施設系・訪問系の書き分けがある

障害福祉サービスの省令にも、介護保険と同じ構造の書き分けがあります。指定生活介護(第90条)の柱書は「感染症又は食中毒」の両方を対象としています。

指定生活介護事業者は、当該指定生活介護事業所において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

一方、訪問系の指定居宅介護(第34条)は、先ほど確認したとおり「感染症」だけが対象で、食中毒は含まれません。指定療養介護(第71条)は生活介護と同じく「感染症又は食中毒」が対象です。通所・入所を伴うサービスは食中毒も含み、訪問系のサービスは感染症のみ、という切り分けは、介護保険と障害福祉のどちらの省令にも共通しています。

BCP(業務継続計画)とは別の義務

感染症対策委員会・指針・研修・訓練を、BCP(業務継続計画)の一部だと誤解しているケースを時々お見かけします。BCPは、感染症や非常災害が発生した際にもサービス提供を止めないための計画の策定・研修・訓練を義務づけるもので、根拠となる条文も「衛生管理等」とは別の条です。衛生管理等の条が求めているのは、感染症・食中毒そのものの発生予防とまん延防止のための体制(委員会・指針・研修訓練・手順対応)であり、BCPが求める「業務を止めない体制づくり」とは目的が異なります。BCPの義務内容や減算の要件については、記事「介護と障がい福祉のBCP」で整理していますので、あわせてご確認ください。

併設・多機能の法人では、1つの委員会で足りるのか

特養と訪問介護、生活介護と居宅介護を同じ法人で運営している場合、「感染症対策委員会は事業所ごとに毎回別に開かなければいけないのか」という疑問が出てきます。ここまで見てきたとおり、条文は事業所(指定を受けたサービスの単位)ごとに義務を課しており、開催頻度も事業所の種類によって異なります。

したがって、実務上の考え方としては、複数の事業所を併設している場合は開催頻度が最も短いサービス(多くの場合は入所・入居系の三月に一回以上)に合わせて委員会を開催し、議事録に対象となる事業所をすべて明記しておくという運用が現実的です。1つの委員会体で複数事業所分を兼ねる場合でも、どの事業所の措置として開催したかを議事録上で示せるようにしておくと、実地指導・運営指導の場で説明がしやすくなります。この点は条文が明示的に定めている要件ではなく、あくまで実務上の工夫としてご検討ください。

なお、地域密着型サービスでは運営推進会議という別の会議体も義務づけられており、記事「運営推進会議」で扱っています。感染症対策委員会・虐待防止委員会(記事「虐待防止委員会の運営」)・運営推進会議など、法人内に複数の会議体が並立している場合は、開催時期をまとめて負担を減らす工夫も有効です。

実務の打ち手:事業所ごとの期限を1枚の台帳にする

事業所ごとに開催頻度が違い、対象(感染症のみか食中毒を含むか)も違うとなると、管理表なしで期限を把握し続けるのは現実的ではありません。私たちがご支援する法人様には、事業所ごとに根拠条文・開催頻度・直近の開催日・次回期限・研修実施日・訓練実施日を1枚の台帳にまとめ、期限が近いものだけを一覧で確認できる状態にすることをおすすめしています。

感染症・食中毒への対処手順(四号)は、誤薬対応のような他の緊急時対応の手順と合わせて整備している法人様も多く、記事「介護の誤薬対策」もあわせてご確認ください。台帳をkintoneなどのデータベースで管理すれば、期限が近づいた事業所だけを自動的に抽出する仕組みも作れます。

まとめ

  • 「衛生管理等」の条が求める義務は、委員会・指針・研修及び訓練・手順に沿った対応の4つ
  • 委員会の開催頻度が省令の条文そのものに数値で書かれているのは介護保険側だけで、特養は三月に一回以上、訪問・通所系は六月に一回以上
  • 障害福祉サービスの省令は「定期的に開催する」としか定めておらず、具体的な頻度は指定権者の資料等で確認する必要がある
  • 対象範囲も条文レベルで違い、施設・入所系は「感染症又は食中毒」、訪問・通所系は「感染症」のみ
  • BCP(業務継続計画)は衛生管理等の条とは別の義務であり、混同しない
  • 併設・多機能の法人では、開催頻度が最も短いサービスに合わせて運用し、議事録に対象事業所を明記するのが実務上の工夫

参考(一次情報)


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パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。事業所ごとに異なる委員会の開催頻度・研修実施日・訓練実施日を台帳で一元管理し、期限が近いものだけを確認できる状態にしておく。そうした仕組みづくりも、私たちがご支援する内容の一つです。

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