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自立生活援助|対象者・期間・運営基準を条文の構造から整理する

グループホームや施設入所支援を運営している法人が、「入居者の次の暮らしの選択肢として、自立生活援助も始めたい」と考えることがあります。そこで調べ始めると、自治体のページには「一人暮らしを定期的な訪問で支えるサービス」といった紹介が並びます。求人メディアや事業所の案内を見ても、サービスの紹介までは分かります。けれども、新規指定や運営の担当者が本当に知りたい「対象者は誰までか」「期間は何で決まるのか」「運営基準はどこに書いてあるのか」は、紹介記事からは読み取りにくいのが実情です。

この記事は、条文がどこに何を書いているかで組み立てます。根拠にするのは、次の3つの法令の原文だけです。

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条第17項
  • 障害者総合支援法施行規則 第6条の10の5・第6条の10の6・第6条の10の7
  • 指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第十五章(第206条の13〜第206条の20)

この記事が確かめようとする問いは1つです。自立生活援助は、法律に中身が書かれているのではなく、法律が省令に委ねた3つの事項を施行規則が埋め、運営は指定基準の短い1章と他章からの借用で成り立っている。 この見立てを、原文で確かめていきます。

なお、報酬の単位数や加算、1年を超えて使えるかどうかの手続といった、この記事の根拠にした条文の範囲を超える内容は書きません。個別の判断は、指定権者である自治体への確認が前提です。

目次

まず結論:自立生活援助の中身は、法律ではなく省令に書いてある

先に答えを示します。

  • 法律(第5条第17項)は、自立生活援助を定義しつつ、「その他の主務省令で定める障害者」「主務省令で定める期間」「その他の主務省令で定める援助」の3点を主務省令に委ねている
  • 期間を定める施行規則第6条の10の6は、「一年間とする」の一文だけ
  • 対象者は「施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者」だけではない。施行規則第6条の10の5は、家族と同居していても家族等による支援が見込めない状況にある人まで含めて書いている
  • 指定基準の自立生活援助の章は第206条の13〜第206条の20のわずか8条。第206条の17は「削除」で、この章に固有の運営基準は第206条の18(定期的な訪問等による支援)と第206条の19(随時の通報による支援等)の2条だけ
  • 残りは第206条の20などの準用で、他の章の条文を借りている。借りた先では、計画の見直しの「六月」が自立生活援助では「三月」に読み替えられる
  • 第206条の19第3項の常時の連絡体制の確保は、訪問の定め(第206条の18)とは別の義務として置かれている

どの法令が何を決めているかを、一覧にします。

決めていること書いてある条文
自立生活援助とは何か(定義)障害者総合支援法 第5条第17項
対象となる障害者施行規則 第6条の10の5
期間施行規則 第6条の10の6
援助の内容施行規則 第6条の10の7
事業の基本方針・従業者の員数指定基準 第206条の13・第206条の14
訪問等による支援・通報への対応指定基準 第206条の18・第206条の19
その他の運営ルール指定基準 第206条の20などの準用

ここからは、上から順に原文で確かめます。

法律は3つを省令に委ねている(第5条第17項)

定義の条文は1文で、3か所が省令に委ねられている

障害者総合支援法第5条第17項は、自立生活援助を次のように定義しています。

この法律において「自立生活援助」とは、施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者その他の主務省令で定める障害者が居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題につき、主務省令で定める期間にわたり、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、当該障害者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の主務省令で定める援助を行うことをいう。

この1文のなかで、主務省令に委ねられているのは次の3か所です。

法律の語委任先の施行規則書いてあること
その他の主務省令で定める障害者第6条の10の5対象となる障害者
主務省令で定める期間第6条の10の6一年間
その他の主務省令で定める援助第6条の10の7援助の方法と内容

つまり、法律だけを読んでも、「その他」の対象者がどんな人か、期間がどれだけか、援助の具体的な内容は分かりません。事業の運営を考える担当者は、法律の次に施行規則を開く必要があります。

一方で、法律自身が書いていることもあります。対象に「施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者」が含まれること、そして援助の方法が「定期的な巡回訪問」と「随時通報を受け」ることの2つであることです。

対象者は、同居の有無ではなく「支援が見込めない状況」で書かれている(第6条の10の5)

原文

施行規則第6条の10の5の本文は、次のとおりです。

法第五条第十七項に規定する主務省令で定める障害者は、居宅における自立した日常生活を営むために自立生活援助において提供される援助を要する障害者であって、居宅において単身であるため又はその家族と同居している場合であっても当該家族等の障害、疾病等若しくは当該障害者の生活環境の大きな変化その他の事情により、当該障害者に対し、当該障害者の家族等による居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題に対する支援が見込めない状況にあるものとする。

読み取れること

この条文から、次の点が読み取れます。

  • 援助を要する障害者であること
  • 居宅で単身であること、または家族と同居している場合であっても、家族等による支援が見込めない状況にあること
  • 見込めない理由の例として、家族等の障害、疾病等や、障害者本人の生活環境の大きな変化が挙げられている(「その他の事情」も含まれる)

「自立生活援助は、グループホームや施設を出て一人暮らしをする人のためのサービス」という印象を持たれがちですが、家族と同居している人が、条文上は最初から外れているわけではありません。同居の有無ではなく、家族等による支援が見込めるかどうかで書かれています。

条文からはここまで

この条文だけでは、判断できない点もあります。

  • 「家族等による支援が見込めない状況」に当たるかどうかを、誰が、どの資料で確認するのか
  • 法律本文が挙げる「施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者」が、この条文の状況に当たることも別途必要なのか

前者は個別の事案の判断、後者は条文の読み方の問題で、抜粋した条文だけでは決められません。新規指定を検討する段階では、指定権者である自治体に、対象者の考え方を確認しておくのが確実です。

共同生活援助から地域での一人暮らしへ移る流れについては、世話人や配置基準の側から障害者グループホームの世話人と配置基準の記事で整理しています。自立生活援助は、その次の暮らしを支える選択肢の1つとして位置づけられます。

期間は「一年間とする」の一文だけ(第6条の10の6)

期間を定める施行規則第6条の10の6は、見出しを除くと次の一文だけです。

法第五条第十七項に規定する主務省令で定める期間は、一年間とする。

法律が「主務省令で定める期間にわたり」と書いた、その期間の答えがこの一文です。期間の定めは、条文のうえでは「一年間」の一つだけです。

ここでも、条文からはここまでしか言えません。この一文には、

  • 一年間の数え始めがいつか
  • 一年間を過ぎたあとに、さらに使えるのかどうか、使える場合の手続はどうなるのか

は書かれていません。これらは、この記事の根拠にした条文の範囲を超えるので扱いません。利用者や家族に説明する場面では、「期間は施行規則で一年間と定められている」ところまでを条文で確認し、そこから先は自治体への確認事項として整理するのが安全です。

援助の内容は、法・規則・基準で書き方が少しずつ違う(第6条の10の7)

原文

援助の内容を定める第6条の10の7は、次のとおりです。

法第五条第十七項に規定する主務省令で定める援助は、定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問等の方法による障害者等に係る状況の把握、必要な情報の提供及び助言並びに相談、指定障害福祉サービス事業者等(法第二十九条第二項に規定する指定障害福祉サービス事業者等をいう。以下同じ。)、指定特定相談支援事業者(法第五十一条の十七第一項第一号に規定する指定特定相談支援事業者をいう。以下同じ。)、医療機関等との連絡調整その他の障害者が居宅における自立した日常生活を営むために必要な援助とする。

3つの条文の「訪問」の書き方を並べる

法律、施行規則、指定基準は、同じ援助を少しずつ違う書き方で表しています。

条文訪問に関する書き方
法 第5条第17項「定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け」
施行規則 第6条の10の7「定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問等の方法による」状況の把握
指定基準 第206条の18「定期的に利用者の居宅を訪問することにより、又はテレビ電話装置等を活用して」

注目したいのは、訪問の方法として「テレビ電話装置等を活用して」と書いているのが、指定基準第206条の18である点です。法律と施行規則の上の2条文には、この語はありません。事業所が現場の運用を考えるときは、法律や施行規則ではなく、指定基準の第206条の18が直接の根拠になります。

また、いずれの条文にも、訪問の頻度や回数を示す数字は書かれていません。「定期的に」と書かれているだけで、月に何回という定めは、この章の条文からは読み取れません。

指定基準の自立生活援助の章は、わずか8条

8条の内訳

指定基準の自立生活援助の章(第十五章)は、第206条の13から第206条の20までの8条です。

条内容固有か、借りているか
第206条の13基本方針固有
第206条の14従業者の員数固有
第206条の15第51条を準用借りている
第206条の16第206条の5を準用借りている
第206条の17削除なし
第206条の18定期的な訪問等による支援固有
第206条の19随時の通報による支援等固有
第206条の20第9条〜第66条、第206条の6・第206条の10・第206条の11などを準用借りている

運営に関わる条文だけを見ると、この章に固有の運営基準は第206条の18と第206条の19の2条です。ほかは、基本方針と従業者の員数を除いて、準用で他の章から借りています。第206条の15と第206条の16が準用する第51条と第206条の5の本文は、この記事の根拠にした抜粋には含まれていないため、中身には触れません。

固有の運営基準その1:定期的な訪問等による支援(第206条の18)

第206条の18は、次のとおりです。

指定自立生活援助事業者は、定期的に利用者の居宅を訪問することにより、又はテレビ電話装置等を活用して、当該利用者の心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の把握を行い、必要な情報の提供及び助言並びに相談、指定障害福祉サービス事業者等、医療機関等との連絡調整その他の障害者が地域における自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な援助を行わなければならない。

読み取れる要素は次のとおりです。

  • 方法は、居宅への訪問か、テレビ電話装置等の活用のどちらか(「又は」で結ばれている)
  • 把握する内容は、心身の状況、置かれている環境、日常生活全般の状況等
  • 行うことは、情報の提供・助言・相談、関係機関との連絡調整その他の援助

固有の運営基準その2:随時の通報による支援と常時の連絡体制(第206条の19)

第206条の19は3項まであります。第1項は、通報があった場合の状況把握です。

指定自立生活援助事業者は、利用者からの通報があった場合には、速やかに当該利用者の居宅への訪問等による状況把握を行わなければならない。

第2項は、その状況把握を踏まえて、利用者の家族や、利用者が利用する指定障害福祉サービス事業者等、医療機関その他の関係機関等との連絡調整などの必要な措置を講じる、という定めです。

そして第3項が、訪問とは別の義務を置いています。

指定自立生活援助事業者は、利用者の心身の状況及び障害の特性に応じ、適切な方法により、当該利用者との常時の連絡体制を確保しなければならない。

第206条の18が求めているのは「定期的な」訪問等で、第206条の19第3項が求めているのは「常時の」連絡体制です。定期的に訪問していることは、常時の連絡体制を確保していることの代わりにはなりません。両方を満たす必要がある、という構造です。連絡の方法は「利用者の心身の状況及び障害の特性に応じ、適切な方法」とされ、特定の手段は指定されていません。

人員配置は第206条の14に書いてある

「自立生活援助 人員配置」は、検索でも調べられている語です。条文は第206条の14に置かれており、従業者として地域生活支援員とサービス管理責任者を挙げています。

従業者員数(第1項)
地域生活支援員指定自立生活援助事業所ごとに、一以上
サービス管理責任者利用者の数の区分に応じた数(常勤か否かで区分が分かれる)

サービス管理責任者の員数は、常勤である場合は利用者の数が六十以下で一以上、六十一以上で「一に、利用者の数が六十を超えて六十又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上」。常勤でない場合は、区切りが六十ではなく三十になります。

地域生活支援員の員数には、第2項が標準を置いています。

前項第一号に規定する地域生活支援員の員数の標準は、利用者の数が二十五又はその端数を増すごとに一とする。

利用者の数の数え方は、第5項で次のように決まっています。

第一項の利用者の数は、前年度の平均値とする。

ただし書きとして、新規に指定を受ける場合は推定数による、とあります。新規指定を考える法人にとって、「前年度の平均値」が使えない最初の年は推定数になる、という点は押さえておきたいところです。

専従の定めは第6項にあります。従業者は専ら当該事業所の職務に従事する者でなければならず、ただし、利用者の支援に支障がない場合はこの限りではない、という書き方です。

地域定着支援との関係は、この条文で出てくる

副キーワードにもある「自立生活援助 地域定着支援 違い」については、条文のうえで両者が出会う場所が1つあります。第206条の14の第3項と第4項です。

  • 第3項:指定地域移行支援事業者の指定を併せて受け、同一の事業所で一体的に運営している場合、配置された相談支援専門員を、置くべきサービス管理責任者とみなすことができる
  • 第4項:指定地域定着支援事業者の指定を併せて受け、同一の事業所で一体的に運営している場合も、同様に相談支援専門員をサービス管理責任者とみなすことができる

ここで言えるのは、一体的に運営するときの人員の扱いまでです。地域定着支援そのものの定義や、自立生活援助との対象者・支援内容の違いは、この記事の根拠にした条文には含まれていません。したがって、両者の違いを条文で比較することは、この記事ではしません。

「借りている」構造を表にする(第206条の20ほか)

準用の原文

運営の大部分は、第206条の20の準用で決まります。前半は次のとおりです。

第九条から第二十三条まで、第二十九条、第三十三条から第三十五条まで、第三十六条から第四十一条まで、第五十七条、第五十八条、第六十条、第六十六条、第二百六条の六、第二百六条の十及び第二百六条の十一の規定は、指定自立生活援助の事業について準用する。

借りている条文の一覧

この準用の対象のうち、見出しを確認できたものを、運営上の場面ごとに整理します。

運営上の場面借りている条(見出し)
利用開始の説明と同意第9条(内容及び手続の説明及び同意)
提供の記録第19条(サービスの提供の記録)
金銭の支払第20条(金銭の支払の範囲等)
費用の通知第23条(介護給付費の額に係る通知等)
不正受給の通知第29条(支給決定障害者等に関する市町村への通知)
勤務体制・研修第33条(勤務体制の確保等)
衛生管理第34条(衛生管理等)
掲示第35条(掲示)
秘密保持第36条(秘密保持等)
情報の提供・広告第37条(情報の提供等)
利益供与の禁止第38条(利益供与等の禁止)
苦情解決第39条(苦情解決)
事故発生時の対応第40条(事故発生時の対応)
会計の区分第41条(会計の区分)
取扱方針第57条(指定療養介護の取扱方針)
個別支援計画の作成第58条(療養介護計画の作成等)
相談及び援助第60条(相談及び援助)
管理者の責務第66条(管理者の責務)
サービス管理責任者の責務第206条の6
運営規程第206条の10
記録の整備第206条の11

第9条から第23条までのうち、上の表にない条は、この記事の根拠にした抜粋には含まれていません。

借りた条文は、他のサービス向けの言葉で書かれている

一覧を見て気づくのは、見出しに「指定療養介護」や、本文に「指定居宅介護事業者」「指定就労定着支援事業者」といった他のサービスの語が並んでいることです。借りているのですから当然ですが、条文を読むと自立生活援助の事業所のことが書かれているように見えないため、担当者が見落としやすい構造です。

どこまで読み替えるかについては、第206条の20の後半が、一部を明示しています。次の部分です。

この場合において、第九条第一項中「第三十一条」とあるのは「第二百六条の二十において準用する第二百六条の十」と、第二十条第二項中「次条第一項」とあるのは「第二百六条の二十において準用する次条第一項」と、第五十七条第一項中「次条第一項」とあるのは「第二百六条の二十において準用する次条第一項」と、「療養介護計画」とあるのは「自立生活援助計画」と、第五十八条中「療養介護計画」とあるのは「自立生活援助計画」と、同条第九項中「六月」とあるのは「三月」と読み替えるものとする。

たとえば、利用開始の説明を定める第9条第1項は、「第三十一条に規定する運営規程の概要」を説明する、という書き方です。この「第三十一条」が、自立生活援助では第206条の10(運営規程)に読み替えられる、と上の条文は定めています。

この読替規定にない部分について、自立生活援助にどう当てはめるかは、この記事では断定しません。たとえば第206条の11は「指定就労定着支援事業者」の記録の整備を定める条文ですが、自立生活援助の事業所の記録の保存の扱いは、準用の規定を含めて、原文と自治体の解釈で確かめる必要があります。

計画の見直しの周期は「三月」に読み替えられる

第58条第9項の原文

自立生活援助計画の見直しは、第58条を借りています。第58条第9項(原文は療養介護の条文として書かれています)は次のとおりです。

サービス管理責任者は、療養介護計画の作成後、療養介護計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という。)を行うとともに、少なくとも六月に一回以上、療養介護計画の見直しを行い、必要に応じて療養介護計画の変更を行うものとする。

読替えの結果

第206条の20の読替規定は、「療養介護計画」を「自立生活援助計画」に、同条第九項中「六月」を「三月」に読み替えます。上の条文を読み替えると、サービス管理責任者は、自立生活援助計画の作成後、モニタリングを行うとともに、少なくとも三月に一回以上、自立生活援助計画の見直しを行う、という内容になります。

借りた先の第58条の原文は「六月に一回以上」ですが、自立生活援助は条文のうえでは三月に一回以上です。半年ごとの感覚で見直しの時期を管理していると、期限を過ぎてしまうおそれがあります。ここは見落とされやすい点なので、強調しておきます。

計画の作成と交付

第58条は、計画の作成から交付までの流れも定めています。サービス管理責任者が、アセスメント、原案の作成、会議、利用者・家族への説明と文書による同意を経て、計画を作成します。作成したときは、利用者と指定特定相談支援事業者等に交付することになっています(第8項)。サービス等利用計画と個別支援計画の関係は、サービス等利用計画と個別支援計画の記事で整理しています。

第9項はまた、モニタリングにあたって特段の事情のない限り、定期的に利用者に面接することと、定期的にモニタリングの結果を記録することを求めています(第10項)。

法人としての備え方:「いつ・何を・どの条文で」を1つの台帳にする

ここまでが条文から言えることです。ここから先は、条文が求めていることではなく、実務上の提案です。

自立生活援助は、固有の条文が少なく、他の章からの借用が多いため、記録や管理の項目が、バラバラに管理されやすくなります。次のような項目を、利用者ごとに1つの台帳にまとめておくことを提案します。

項目何のために使うか
支援の開始日と、期間の確認欄期間は一年間(第6条の10の6)。数え始めと、その先の取扱いは自治体に確認した結果を残す
定期的な訪問・テレビ電話の別と実施日第206条の18の「訪問」か「テレビ電話装置等の活用」かを区別して記録する
通報の受付日時、状況把握の内容、連絡調整の記録第206条の19第1項・第2項の対応を、あとから確認できるようにする
常時の連絡体制の確認第206条の19第3項。利用者の特性に応じた方法を記録する
計画の作成日と見直し予定日見直しは少なくとも三月に一回以上(第58条第9項の読替え)
モニタリングの面接とその記録第58条第10項
判断に迷った点と、自治体に確認した結果条文だけで言い切れない点を、記録に残す

運用のポイントは3つです。

  1. 見直しの予定日を、三月ごとで管理する。ほかのサービスの半年ごとの感覚と混ざらないように、サービス別に周期を分けておく
  2. 訪問の記録と、通報への対応の記録と、連絡体制の確認を、別々の項目にする。第206条の18と第206条の19第3項は、別の義務として書かれている
  3. 準用の条文を引くときは、読替規定を必ず確認する。見出しが他のサービスの語であっても、第206条の20が読み替えている語がある

この記事で書いていないこと

この記事は、抜粋した条文の原文として確認できた範囲だけを書いています。次の点は、根拠にした条文に含まれていないため、扱っていません。

  • 報酬の単位数、加算、請求の方法
  • 期間の数え始めと、一年間を超えて使える場合の手続
  • 「家族等による支援が見込めない状況」の確認方法や、必要な書類
  • 地域定着支援の定義と、自立生活援助との支援内容の違い
  • 第51条・第206条の5の中身(準用されていることだけを確認した)
  • 準用された条文のうち、本文の抜粋にないもの(第10条〜第18条、第21条・第22条など)
  • 新規指定の申請手続、指定の基準を満たしているかの判断
  • 運営規程や記録の保存期間の、自立生活援助への具体的な当てはめ

判断に迷うときは、指定権者である自治体に確認してください。

まとめ

  • 自立生活援助の中身は、法律ではなく省令にある。法律(第5条第17項)は、対象者・期間・援助の3点を省令に委ねている
  • 期間は、施行規則第6条の10の6の「一年間とする」の一文だけ。数え始めや、その先の取扱いは条文からは分からない
  • 対象者は、単身の人だけでなく、家族と同居していても家族等による支援が見込めない状況にある人まで含めて書かれている(第6条の10の5)
  • 指定基準の章は第206条の13〜第206条の20の8条。固有の運営基準は第206条の18と第206条の19の2条で、残りは第206条の20などの準用で他の章から借りている
  • 第206条の18は、居宅への訪問かテレビ電話装置等の活用。第206条の19第3項の常時の連絡体制は、訪問とは別の義務
  • 計画の見直しは、第58条第9項の「六月」が「三月」に読み替えられるため、少なくとも三月に一回以上になる
  • 実務では、訪問の記録・通報への対応・連絡体制・計画の見直し時期を、1つの台帳で見渡せるようにするところから始められる

自立生活援助は、条文の数こそ少ないものの、読むべき場所が複数の章にまたがるサービスです。「どの条文が、どこから借りた条文か」を押さえておくことが、運営の抜け漏れを防ぐ近道になります。

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自立生活援助では、定期的な訪問の記録、随時の通報への対応記録、計画の見直し時期の管理が、担当者ごとの別々の表計算ソフトや紙の様式に分かれてしまい、状況を法人全体で見渡しにくくなる、というご相談をいただくことがあります。パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。記録と期限の管理を一か所にまとめ、確認や引き継ぎをシステム側で軽くするお手伝いをしています。ITに詳しい職員がいらっしゃらなくても大丈夫です。

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※本記事は法令の条文を整理したものです。個別の事案が条文のどこに当たるか、新規指定や運営の判断は、指定権者である自治体のご確認をお願いします。


参考にした一次情報

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条(定義)第17項|e-Gov法令検索
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の10の5(法第五条第十七項に規定する主務省令で定める障害者)・第6条の10の6(法第五条第十七項に規定する主務省令で定める期間)・第6条の10の7(法第五条第十七項に規定する主務省令で定める援助)|e-Gov法令検索
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第206条の13(基本方針)・第206条の14(従業者の員数)・第206条の15(準用)・第206条の16(準用)・第206条の17(削除)・第206条の18(定期的な訪問等による支援)・第206条の19(随時の通報による支援等)・第206条の20(準用)、および準用される第9条・第19条・第20条・第23条・第29条・第33条〜第41条・第57条・第58条・第60条・第66条・第206条の6・第206条の10・第206条の11|e-Gov法令検索

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