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職場環境等要件|加算の区分で変わる取組の数と公表を通知から読み解く

介護職員等処遇改善加算の申請の時期になると、法人本部には次のような問い合わせが届きます。「職場環境等要件は28項目あると聞いたが、全部やらないといけないのか」「特養では何個、デイでは何個必要なのか」「去年やった取組は、今年も数えてよいのか」「公表が要ると聞いたが、どこに何を書けばよいのか」。

社会福祉法人では、特養、通所介護、グループホームなど、複数の事業所が別々に加算を算定します。そのため、「うちの法人は職場環境等要件を満たしています」と一言で言えず、事業所ごと・加算の区分ごとに確かめる必要があります。

この記事では、厚生労働省が令和8年3月13日に示した通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(介護保険最新情報 Vol.1479)の文言と、別紙1の表4、Q&Aを読み、職場環境等要件がどう書かれているかを順に整理します。通知に書かれていることと、書かれていないことは分けて書きます。

なお、この記事で扱うのは介護保険の介護職員等処遇改善加算です。障害福祉サービス等の福祉・介護職員等処遇改善加算は別の通知なので、この記事では扱いません。

先に結論

  • 職場環境等要件は、別紙1の表4に掲げる処遇改善の取組を実施することです。通知は、加算の区分によって、区分ごとに必要な取組の数を変えています。
  • 加算Ⅰ又はⅡ(及びⅠイ、Ⅰロ、Ⅱイ、Ⅱロ)は、5つの区分それぞれで2以上の取組が要ります。加算Ⅲ又はⅣは、同じ5つの区分それぞれで1以上です。
  • 「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」は別に数えます。加算Ⅰ又はⅡ系は3以上(うち⑰又は⑱は必須)、加算Ⅲ又はⅣは2以上です。
  • 生産性向上推進体制加算を算定している場合は、生産性向上の要件を満たすものとされます。1法人で1つの施設又は事業所だけを運営する小規模事業者は、㉔を実施していれば満たすものとされます。
  • 加算Ⅰ又はⅡ系を算定する場合は、取組をホームページへの掲載等で公表します。介護サービスの情報公表制度の「事業所の特色」欄に、取組項目と具体的な取組内容を書くと通知に書かれています。
  • 令和8年度は、令和8年度特例要件を満たす事業所に限り、令和9年3月末までに取り組むことを誓約すれば、申請時点から要件を満たすものとして扱われます。その場合は実績報告書で報告します。
  • Q&Aでは、前年度から継続して算定する場合は新しい取組をする必要まではないこと、項目内に並んでいる取組は1つ以上満たせばよいことが示されています。

通知のどこに書かれているか

職場環境等要件の本体は、通知の本文「3 ⑴ ⑦」にあります。最初の一文は短いものです。

処遇改善加算を算定する場合は、別紙1表4に掲げる処遇改善の取組を実施すること。

出典は通知本体の3⑴⑦です。職場環境等要件は、別紙1の表4に載っている取組を実施するという構造になっています。表4の中身は、①から㉘までの番号が付いた28の項目です。Q&Aの問7-1も「職場環境等要件の28 項目」と書いています。

その続きの段落で、「いくつ実施するか」「公表するか」「令和8年度に特例があるか」が書かれています。以降の節で、この順に読んでいきます。

取組の数は、加算の区分で変わる

通知は、加算の区分ごとに、実施する取組の数を分けて書いています。まず、Ⅰ又はⅡ系の文を引用します。

その際、処遇改善加算Ⅰ又はⅡ及び処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ又はⅡロを算定する場合は、別紙1表4の「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施し、処遇改善加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は、上記の区分ごとに1以上の取組を実施すること。

出典は通知本体の3⑴⑦です。ここに出てくる区分は、次の5つです。

  • 入職促進に向けた取組
  • 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
  • 両立支援・多様な働き方の推進
  • 腰痛を含む心身の健康管理
  • やりがい・働きがいの醸成

5つの区分のそれぞれで、Ⅰ又はⅡ系なら2以上、Ⅲ又はⅣなら1以上の取組が必要です。5つの区分の「合計で2つ」ではなく、区分ごとに数えます。ここは読み違えやすいところです。

そのうえで、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」という区分が、別立てで数えられます。

また、処遇改善加算Ⅰ又はⅡ及び処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ又はⅡロを算定する場合は、同表中「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち3以上の取組(うち⑰又は⑱は必須)を実施し、処遇改善加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち2以上の取組を実施すること。

出典は同じく通知本体の3⑴⑦です。ここまでを表にまとめます。

加算の区分5区分ごとの数生産性向上の取組
Ⅰ又はⅡ、Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ、Ⅱロ区分ごとに2以上3以上(⑰又は⑱は必須)
Ⅲ又はⅣ区分ごとに1以上2以上

表の「5区分」は、先ほど挙げた生産性向上以外の5つの区分のことです。生産性向上は、これとは別の区分として数えます。つまり、表4は大きく6つの区分に分かれていて、加算Ⅰ又はⅡ系なら、最低でも「2×5+3」=13の取組が必要になる計算です。Ⅲ又はⅣなら「1×5+2」=7の取組です。

この足し算は、通知の数字を掛け合わせた私たちの計算です。通知が「合計で何以上」と書いているわけではありません。1つの取組が複数の区分を同時に満たすかどうかは、この通知の文言からは確かめられません。

生産性向上の取組:⑰か⑱が必須、そして2つの例外

生産性向上の区分について、通知本文は⑰、⑱、㉔の3つの番号を名指ししています。表4から、その3つの文言を引用します。

⑰は、業務改善活動の体制構築です。

⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行っている

⑱は、現場の課題の見える化です。

⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している

㉔は、協働化を通じた取組です。

㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施

出典はいずれも別紙1の表4です。加算Ⅰ又はⅡ系では、生産性向上の3以上の取組のうち、⑰か⑱のどちらかを必ず含めます。

通知は、この生産性向上の要件に2つの例外を書いています。

ただし、生産性向上推進体制加算を算定している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとし、1法人あたり1の施設又は事業所のみを運営するような法人等の小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする。

出典は通知本体の3⑴⑦です。表にします。

事情生産性向上の要件の扱い
生産性向上推進体制加算を算定している要件を満たすものとする
1法人1施設又は事業所の小規模事業者㉔を実施していれば満たすものとする

2つ目の例外が適用されるのは、「1法人あたり1の施設又は事業所のみを運営するような法人等の小規模事業者」です。複数の事業所を持つ社会福祉法人は、この文言の主語には当たらないように読めます。ただし、通知はこの小規模事業者の範囲をこれ以上定義していません。自法人が当たるかどうか迷う場合は、自治体など所管の窓口に確認してください。

また、1つ目の例外の「生産性向上推進体制加算」の中身(要件や区分)は、この記事で確かめた通知の範囲には含まれていません。ここでは書きません。

公表:Ⅰ又はⅡ系は「外から見える形」で

3つ目の論点が公表です。通知は、加算Ⅰ又はⅡ系を算定する場合について、次のように書いています。

さらに、処遇改善加算Ⅰ又はⅡ及び処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ又はⅡロを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表すること。具体的には、介護サービスの情報公表制度を活用し、処遇改善加算の算定状況を報告するとともに、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目及びその具体的な取組内容を「事業所の特色」欄に記載すること。当該制度における報告の対象となっていない場合等には、各事業者のホームページを活用する等、外部から見える形で公表すること。

出典は通知本体の3⑴⑦です。文言から読み取れる点は、次のとおりです。

  • 公表の対象は、職場環境等の改善に係る取組です。
  • 公表の方法は、介護サービスの情報公表制度の活用が基本です。算定状況を報告し、実施した取組項目と具体的な取組内容を「事業所の特色」欄に書きます。
  • 情報公表制度における報告の対象になっていない場合等は、事業者のホームページを活用するなどして、外部から見える形で公表します。

書くのは「取組項目」だけでなく、「その具体的な取組内容」です。①〜㉘の番号だけを並べても、通知が求める内容にはなりません。何を、どのように実施したのかを書く必要があると読めます。

この段落で公表が書かれているのは、加算Ⅰ又はⅡ系を算定する場合です。加算Ⅲ又はⅣを算定する場合の公表については、この段落には書かれていません。Ⅲ又はⅣの事業所で公表が求められるかどうかは、この記事で確かめた範囲では判断できません。

令和8年度の誓約:特例要件を満たす事業所に限る

令和8年度には、職場環境等要件に特例が置かれています。まず条件の文言を読みます。

ただし、令和8年度においては、処遇改善加算の申請時点において、⑧の令和8年度特例要件を満たす介護サービス事業所等に限り、処遇改善計画書において令和9年3月末までに職場環境等要件に係る取組を行うことを誓約した場合は、処遇改善加算の申請時点から職場環境等要件を満たしているものとして取り扱うこととする。当該誓約をした場合は、令和9年3月末までに当該取組を行い、実績報告書においてその旨を報告すること。

出典は通知本体の3⑴⑦です。読み取れる点は、次の4つです。

  • 対象は、申請時点で「⑧の令和8年度特例要件」を満たす介護サービス事業所等に限られます。
  • 処遇改善計画書で、令和9年3月末までに職場環境等要件に係る取組を行うことを誓約します。
  • 誓約すると、申請時点から職場環境等要件を満たしているものとして取り扱われます。
  • 誓約した場合は、令和9年3月末までに取組を行い、実績報告書でその旨を報告します。

誓約が使えるのは、誰でもではありません。まず「令和8年度特例要件」を満たしているかどうかが入口です。その特例要件(通知本体の3⑴⑧)は、次のように始まります。

生産性向上や協働化に係る取組として以下のいずれかの取組を行っていること。

出典は通知本体の3⑴⑧です。「以下のいずれか」として、3つの取組が挙がっています。

  • (ア) ケアプランデータ連携システムを利用していること(別紙1表1-2及び表1-3に掲げる介護サービス事業所等に限る)
  • (イ) 生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡを算定していること(別紙1表1-3及び表1-4に掲げる介護サービス事業所等に限る)
  • (ウ) 介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉連携推進法人に所属していること

(ウ)の文言は、次のとおりです。

介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第128 条第1号イに規定する社会福祉連携推進法人(以下単に「社会福祉連携推進法人」という。)に所属していること。

出典は通知本体の3⑴⑧です。(ア)と(イ)にも、申請時点で未達でも誓約すれば申請時点から満たすものとして取り扱う旨の「ただし」が書かれており、誓約した場合は実績報告書で利用実績や算定を報告するとされています。(ウ)には、この種の「ただし」は書かれていません。

どの事業所がどの表(表1-2、1-3、1-4)に当たるのかは、この記事で確かめた通知の範囲には含まれていません。通知の別紙1で、自法人の事業所がどこに載っているかを確認してください。

誓約をした場合は、令和9年3月末までに取組を行い、実績報告書で報告します。実績報告書の書き方そのものは、処遇改善加算の実績報告の記事で整理しています。

表1-5の事業所は、別の書き方になっている

通知本体には、別の箇所にも職場環境等要件が書かれています。3⑵②(ⅲ)で、別紙1の表1-5の事業所について、次のように定めています。

別紙1表4に掲げる「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに1以上の取組を実施し、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち2以上の取組を実施すること。

出典は通知本体の3⑵②(ⅲ)です。5つの区分ごとに1以上、生産性向上は2以上という数字になっています。この箇所にも、1法人1施設等の小規模事業者は㉔で足りること、令和8年度は令和9年3月末までの誓約が使えることが、同じ趣旨で書かれています。

表1-5にどのサービスの事業所が載っているのかは、この記事で確かめた範囲には含まれていません。自法人の事業所が表1-5に当たるかどうかは、通知の別紙1で確かめてください。

Q&A:継続算定と「項目内の列挙」

職場環境等要件については、Q&Aの問7-1から7-6で、よくある疑問が整理されています。社会福祉法人の現場で出やすい2つを、原文で読みます。

問7-1:毎年、新規の取組が必要か

問7-1は、「職場環境等要件の28 項目について、毎年、新規に取組を行う必要はあるのか」という問いです。答えは次のとおりです。

処遇改善加算を前年度から継続して算定する場合、職場環境等要件を満たすための取組については従前の取組を継続していればよく、当該年度において新規の取組を行う必要まではない。

出典はQ&Aの問7-1です。前年度から継続して算定する場合、従前の取組を継続していれば足りるということです。ただし、これは前年度から継続算定の場合の答えです。新たに算定を始める事業所の取扱いは、この答えには書かれていません。

問7-2:項目内の取組を全部満たす必要があるか

問7-2は、各項目について、項目内に列挙されている取組の全てを満たさなければならないのか、という問いです。答えの要点は次のとおりです。

それぞれの項目を満たすためには、項目内に列挙されている取組のうち、1つ以上満たせばよい。例えば、「入職促進に向けた取組」区分の「事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築」という項目の場合、「事業者の共同による採用」のみを実施することで、本取組を満たしたことになる。

出典はQ&Aの問7-2です。表4の項目には、「〜や〜、〜等」と複数の取組が列挙されたものが多くあります。たとえば⑤は、実務者研修の受講支援、ユニットリーダー研修の受講支援など、いくつもの取組を並べています。問7-2によれば、並んでいる取組のうち1つ以上を満たせば、その項目を満たしたことになります。

問7-3から7-6:参考になる資料

残りのQ&Aは、次のようなものです。

  • 問7-3:「キャリア段位制度」とは何か。介護プロフェッショナルキャリア段位制度の説明と、そのウェブサイトの案内があります。
  • 問7-4:「有給休暇が取得しやすい環境の整備」の具体的な取組事例。取得目標を定めて状況を定期的に確認し声かけをすること、情報共有や複数担当制で業務の属人化や配分の偏りを解消することが、想定として挙げられています。
  • 問7-5:生産性向上の取組の参考として、厚生労働省の「介護分野における生産性向上ポータルサイト」が案内されています。
  • 問7-6:各取組の参考として、「介護職員等処遇改善加算職場環境等要件取組の事例集」などが案内されています。

何を取組として数えられるか迷ったときは、まず問7-4の例示と、問7-5、問7-6の資料を見るのが近道です。

社会福祉法人の実務に引き寄せると

ここからは通知の文言ではなく、社会福祉法人の実務に当てはめた私たちの考え方(提案)です。通知は、記録の方法や様式を定めていません。

事業所ごと・区分ごとに「どの取組を実施したか」を残す

通知は、事業所が算定する加算の区分に応じて、実施する取組の数を求めています。特養、通所介護、グループホームを運営する法人では、事業所ごとに加算の区分が違うことがあります。区分が違えば、必要な数も違います。

さらに、加算Ⅰ又はⅡ系の事業所は、実施した取組項目と具体的な取組内容を公表します。公表の内容を後から説明できるように、実施した取組を事業所ごとに記録しておくのが安全です。提案としての記録項目の例を、表にします。

記録する項目書く内容の例
事業所名・算定している加算の区分特養のⅠ、通所介護のⅢ など
表4の区分と番号「生産性向上…」の⑰ など
具体的な取組内容何を、いつから、誰に対して実施したか
根拠となる資料研修の案内、委員会の議事録、規程 など
公表した場所と日付情報公表制度の「事業所の特色」欄、HPのURL
継続・新規の別前年度から継続か、今年度から新規か

これは、通知が求める様式ではありません。ただ、「5区分それぞれで2以上」「生産性向上で3以上(⑰か⑱を含む)」といった数の確認は、この表の行を数えるだけでできます。事業所の数が増えるほど、表計算ソフトの一覧にしておく効果は大きくなります。

複数の事業所を持つ法人が、㉔と②をどう読むか

複数の事業所を持つ法人にとって、気になる項目が2つあります。1つは、生産性向上の区分にある㉔です。㉔は、各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等の、協働化を通じた取組です。

もう1つは、入職促進に向けた取組の区分にある②「事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築」です。Q&Aの問7-2が例に挙げており、「事業者の共同による採用」のみを実施すれば、この項目を満たしたことになります。

ここで注意したいのは、通知が「協働化」や「共同」の相手を、どう想定しているかです。文言から読み取れるのは、㉔の例が「各種委員会の共同設置」「物品の共同購入」など、複数の事業者での取組を想起させる書き方になっていることまでです。同じ法人の中の複数の事業所が共同で行う取組が、㉔や②を満たすと通知に書かれているかどうかは、この記事で確かめた範囲では確認できません。

一方で、㉔には、小規模事業者向けの例外が付いています。1法人1施設又は事業所のみの法人は、㉔を実施していれば生産性向上の要件を満たすものとされます。複数の事業所を持つ法人は、この例外の主語に当たらないように読めるため、生産性向上は3以上の取組(加算Ⅰ又はⅡ系なら⑰か⑱を含む)で満たす前提で確認しておくのが無難です。㉔や②を使う場合は、自治体など所管の窓口に、同一法人内の取組が数えられるかを確認してください。

継続算定でも、取組が続いている証拠は残す

問7-1により、前年度から継続して算定する場合は、従前の取組を継続していればよく、新規の取組まで求められていません。裏を返せば、「従前の取組を継続している」ことを説明できる状態が大事になります。担当者が替わったときにも説明できるよう、前年度の記録から、今年度も続けているかを確認できる形にしておくと安心です。

通知に書かれていないこと

この記事では、次の点は通知の文言だけでは決まらないため、書いていません。

論点書いていない理由
加算率・単位数この記事の対象は職場環境等要件の取組であり、確かめていない
障害福祉サービス等の処遇改善加算別の通知であり、この記事では確かめていない
①〜㉘がどの区分に属するか表4の抽出では区分名が表の末尾にまとまり、番号との対応を確かめられない
取組の「程度」や実施の基準この通知の範囲では、取組の程度を定めた文言を確かめていない
同一法人内の共同の取組が㉔や②に当たるか通知の文言から確かめられない
加算Ⅲ又はⅣの公表の要否公表の段落が書かれているのはⅠ又はⅡ系の場合である
自治体ごとの様式や運用通知本体の範囲では確かめていない
表1-2〜1-5に載る事業所の範囲別紙1の該当部分を、この記事では確かめていない

「①〜㉘がどの区分に属するか」を書いていない点は補足します。本文の10ページ目は、生産性向上の区分の中で⑰、⑱、㉔を名指ししています。またQ&Aは、「両立支援・多様な働き方の推進」の区分に有給休暇の項目があること、「入職促進に向けた取組」の区分に②の項目があることなどを示しています。ただ、28項目の全部について、番号と区分の対応を一覧で確かめることは、この記事ではしていません。実務で一覧にするときは、通知の別紙1表4の原本で、区分と番号の対応を確認してください。

まとめ

  • 職場環境等要件は、別紙1の表4に掲げる処遇改善の取組の実施です。加算Ⅰ又はⅡ系は5つの区分ごとに2以上、Ⅲ又はⅣは区分ごとに1以上の取組が要ります。
  • 生産性向上の取組は別に数えます。Ⅰ又はⅡ系は3以上で⑰か⑱は必須、Ⅲ又はⅣは2以上です。生産性向上推進体制加算の算定、1法人1施設等の小規模事業者の㉔の実施は、例外として書かれています。
  • Ⅰ又はⅡ系を算定する場合は、取組項目と具体的な取組内容を、情報公表制度の「事業所の特色」欄などで公表します。報告の対象外のときは、ホームページ等で外から見える形にします。
  • 令和8年度は、令和8年度特例要件を満たす事業所に限り、令和9年3月末までの誓約で申請時点から要件を満たすものとされます。実績報告書で報告します。
  • Q&Aは、前年度から継続して算定する場合は新規の取組まで要らないこと、項目内の列挙は1つ以上満たせばよいことを示しています。事業所ごとの実施記録は、通知に様式の定めがないため、法人で作って残すのが安全です。

参考にした一次情報


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阪本翔太

阪本翔太

奈良県の中小企業診断士 & ITストラテジスト。 公的機関や大学などで講師もしています。 地方でがんばる人をITで後押ししたい。

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