「障害者グループホーム 世話人」で検索すると、仕事内容や給料、1日の流れを紹介する求人向けの記事ばかりが並びます。それはそれで必要な情報ですが、運営する側が本当に知りたいのは別のところにあります。世話人と生活支援員はどう配置基準が違うのか、そして「基準を満たしています」と、日々の勤務実績でどう示すのか、という点です。
この記事は、指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)の原文をもとに、運営者・法人本部の立場から配置基準を整理します。仕事内容の紹介ではなく、配置基準を満たしていることをどう管理するかに焦点を当てます。
世話人と生活支援員は「計算式」が違う
障害者グループホーム(共同生活援助)の従業者の員数は、指定障害福祉サービス基準第208条に定められています。世話人については、次のとおりです。
一世話人指定共同生活援助事業所ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を六で除した数以上
世話人は、利用者の数に比例して必要数が決まります。 利用者が誰であっても、頭数が増えれば6で割った数だけ世話人を置く、というシンプルな式です。
一方、生活支援員は式そのものの構造が違います。障害支援区分ごとに数を分け、その合計で必要数を出します。
| 障害支援区分 | 生活支援員の算定式 |
|---|---|
| 区分3 | 該当する利用者の数 ÷ 9 |
| 区分4 | 該当する利用者の数 ÷ 6 |
| 区分5 | 該当する利用者の数 ÷ 4 |
| 区分6 | 該当する利用者の数 ÷ 2.5 |
これらの合計数以上を、常勤換算方法で置くことになります。区分1・区分2、そして非該当の利用者は、この式に一切登場しません。 世話人が「利用者全員の日常生活を支える人数」として頭数で数えられるのに対して、生活支援員は「支援の必要度が一定以上の利用者に対して手厚くする人数」として、区分でしか数えられない構造になっています。世話人と生活支援員の役割の違いは、この計算式の違いにそのまま表れているといえます。
利用者の数の数え方についても、あわせて定めがあります。
2前項の利用者の数は、前年度の平均値とする。ただし、新規に指定を受ける場合は、推定数による。
3類型で配置は変わる。外部サービス利用型は生活支援員の規定がない
障害者グループホームには、介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型という3つの類型があります。世話人・生活支援員・サービス管理責任者の配置は、類型によって次のように変わります。
| 介護サービス包括型 | 日中サービス支援型 | 外部サービス利用型 | |
|---|---|---|---|
| 世話人 | 利用者数 ÷ 6 以上 | 利用者数 ÷ 5 以上(日中・夜間以外) | 利用者数 ÷ 6 以上 |
| 生活支援員 | 区分ごとの合計数以上 | 区分ごとの合計数以上 | 配置規定なし |
| 夜間支援従事者 | 規定なし | 共同生活住居ごとに1以上 | 規定なし |
| サービス管理責任者 | 利用者数に応じた数 | (介護サービス包括型と同様の考え方) | 利用者数に応じた数 |
3類型の中で最も大きな違いは、外部サービス利用型には生活支援員の配置規定そのものがないことです。介護の提供を外部の居宅介護サービス事業者に委ねる類型であるため、生活支援員を事業所側の員数として数える必要がありません。世話人については、外部サービス利用型でも介護サービス包括型と同じ「利用者の数を六で除した数以上」です。
一世話人外部サービス利用型指定共同生活援助事業所ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を六で除した数以上
自法人のグループホームがどの類型で指定を受けているかによって、そもそも生活支援員の配置義務があるかどうかが変わる、という点は、配置状況を確認するうえでの出発点になります。
日中サービス支援型は、夜間支援従事者と常勤要件がさらに加わる
日中サービス支援型は、常時の支援が必要な利用者を想定した類型で、日中の世話人に加えて夜間の配置が定められています。
2前項に規定する日中サービス支援型指定共同生活援助の従業者のほか、共同生活住居ごとに、夜間及び深夜の時間帯を通じて一以上の夜間支援従事者(夜間及び深夜の時間帯に勤務(宿直勤務を除く。)を行う世話人又は生活支援員をいう。)を置くものとする。
共同生活住居ごとに、夜間及び深夜を通じて1人以上の夜間支援従事者を置くことが求められます。宿直勤務ではなく、夜間及び深夜の時間帯に勤務する世話人または生活支援員として置く必要がある点がポイントです。
さらに、常勤についての要件もあります。
5第一項及び第二項に規定する日中サービス支援型指定共同生活援助事業所の従業者のうち、一人以上は、常勤でなければならない。
日中サービス支援型は、①日中の世話人(利用者数÷5以上)、②生活支援員(区分ごとの合計数以上)、③共同生活住居ごとの夜間支援従事者1以上、④従業者のうち1人以上の常勤、という複数の要件を重ねて満たす必要がある類型です。
利用者の数は前年度の平均値。区分が変われば必要数が変わる
前述のとおり、配置基準の計算に使う利用者の数は、原則として前年度の平均値です(新規指定は推定数)。ここで運営上見落としやすいのが、障害支援区分は利用者ごとに更新される、という点です。
区分の更新によって、ある利用者が区分3から区分4に変われば、生活支援員の算定式で使う分母が9から6に変わります。区分が上がれば必要な生活支援員の数は増え、区分が下がれば減ります。利用者の顔ぶれが変わらなくても、区分の更新だけで必要な生活支援員の常勤換算数が変動するということです。
新しい利用者の受け入れ、退居、そして既存の利用者の区分更新。この3つのタイミングを法人本部が把握できていないと、「配置基準を満たしているつもりが、いつの間にか下回っていた」という事態が起こり得ます。
満たせなかったときはどうなるか。人員欠如減算の取扱い
配置基準を下回った場合の扱いは、実施上の留意事項について(障発第1031001号)に定められています。
指定基準の規定により配置すべき生活支援員、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、地域移行支援員、就労選択支援員、職業指導員、就労支援員、就労定着支援員及び世話人については、人員基準上必要とされる員数から1割を超えて減少した場合には、その翌月から人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者の全員
引用はここで切りました。原文はこのあと、複数のサービス提供単位が設置されている場合には人員欠如に該当するサービス提供単位の利用者の全員を指す、という趣旨の括弧書きを挟んだうえで、減算される、と続きます。減算の対象は、欠員が出た職種が担当している利用者だけではなく利用者の全員だという点が要点です。
1割の範囲内にとどまった場合は、始まる月が1か月ずれます。
また、人員基準上必要とされる員数から1割の範囲内で減少した場合には、その翌々月から人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者の全員について減算される(ただし、翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く)。
整理すると次のとおりです。
| 状況 | 減算が始まる月 |
|---|---|
| 必要な員数から1割を超えて減少 | 翌月から |
| 必要な員数から1割の範囲内で減少 | 翌々月から |
日中サービス支援型の夜間支援従事者については、さらに別の基準があります。
日中サービス支援型指定共同生活援助事業所の、夜間及び深夜の時間帯に勤務を行う世話人又は生活支援員については、ある月(暦月)において次のいずれかの事態が発生した場合に、その翌月から人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者の全員について減算されるとされています。その「次のいずれか」が、次の2つです。
ア指定障害福祉サービス基準第213条の4第2項に定める員数に満たない事態が2日以上連続して発生した場合
イ指定障害福祉サービス基準第213条の4第2項に定める員数に満たない事態が4日以上発生した場合
夜間支援従事者が2日以上連続、または月4日以上不足すると、その翌月から減算されるということです。人数の割合ではなく、日数で判定される点が他の職種と異なります。
員数以外の要件についても、扱いが分かれています。
常勤又は専従など、従業者の員数以外の要件を満たしていない場合には、その翌々月から人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者の全員について減算される(ただし、翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く)。
員数そのものの不足か、常勤・専従といった員数以外の要件の不足かで、減算が始まるタイミングの数え方が違います。どちらに当たる不足なのかを正確に切り分けて把握しておく必要があります。
配置基準は「月末時点の人数」ではなく勤務実績で見る
ここまでの基準は、いずれも「常勤換算方法」で数えます。常勤換算は、月末にその瞬間だけ人数を数えて満たしていればよい、というものではありません。その月の勤務実績を積み上げて初めて成り立つ数字です。
つまり、配置基準を満たしているかどうかは、日々の勤務表を積み上げて初めて確認できるものであり、月末になってから慌てて確認するものではありません。常勤換算の計算方法そのものについては、勤務形態一覧表の書き方と常勤換算の記事で詳しく扱っています。
区分の更新・人の異動・シフトがバラバラに管理されていると何が起きるか
ここまで見てきたとおり、障害者グループホームの配置基準は、①利用者の区分、②職員の異動・退職、③日々のシフト、という3つの情報がそろって初めて「満たしているか」を判断できます。
ある社会福祉法人様では、利用者の障害支援区分の更新結果は相談支援担当者が個別に把握し、職員の勤務予定はシフト担当者がExcelで管理し、区分の変更が生活支援員の必要数にどう影響するかは、月末の集計のタイミングで初めて突き合わせる、という運用になっていました。区分の更新から集計までに時間差があるため、すでに必要数が変わっているのに、しばらく気づけない状態が続いていたのです。
区分の更新・職員の異動・シフトの3つを、それぞれ別の担当者が別の場所で管理していると、変化が起きた瞬間に「必要数がどう変わったか」を誰も把握できません。逆に、この3つを1か所でつないで持てば、区分の更新があった時点で、その利用者が生活支援員の必要数にどう影響するかがすぐに分かる状態になります。加算の体制に影響が及ぶ場合は、体制届の届出も必要になります。体制届の提出期限と算定開始月の考え方は、障害福祉サービスの体制届の記事で扱っています。
特別なシステムを一から作る必要はありません。まずは、利用者の区分・職員の配置・日々の勤務実績を、同じ場所で見比べられるようにするところから着手できます。
まとめ
- 世話人は利用者の数÷6以上、生活支援員は区分3÷9・区分4÷6・区分5÷4・区分6÷2.5の合計以上。区分1・2と非該当の利用者は生活支援員の算定式に出てこない
- 3類型(介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型)で配置は変わる。外部サービス利用型には生活支援員の配置規定がないのが最大の違い
- 日中サービス支援型は、日中の世話人(利用者数÷5以上)に加え、共同生活住居ごとに夜間支援従事者1以上、従業者のうち1人以上は常勤という要件が重なる
- 利用者の数は前年度の平均値(新規指定は推定数)。障害支援区分が変わると、生活支援員の必要数も変わる
- 必要な員数から1割を超えて減少すれば翌月から、1割の範囲内なら翌々月から減算される。日中サービス支援型の夜間は2日以上連続または4日以上で翌月から。常勤・専従など員数以外の要件の不備は翌々月から
- 配置基準は月末時点の頭数ではなく、常勤換算方法による勤務実績で満たされているかが決まる
- 利用者の区分・職員の配置・日々のシフトを1か所でつないで持てば、区分の更新があった瞬間に必要数への影響が分かる
区分・人・シフトをつないで、配置基準を日々の実績で示したい法人様へ
パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。利用者の障害支援区分、職員の配置、日々の勤務実績を1か所に集め、区分が変わった時点で必要な人数への影響がその場で分かる状態に整えるところからご一緒します。ITに詳しい職員がいらっしゃらなくても大丈夫です。
参考にした一次情報
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)|e-Gov法令検索
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日 障発第1031001号。令和7年3月31日最終改正)|厚生労働省
※本記事では単位数・報酬額・加算の算定に関する数値には触れていません。実際の運営にあたっては、必ず一次情報の原文および所轄の都道府県・指定都市・中核市の案内をご確認ください。