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サービス提供記録|保存期間と起算点が介護と障がいで異なる点を整理

「サービス提供記録」と検索すると、様式やテンプレートを配布するページが数多く並びます。けれども、管理者や事務担当者が実際に迷うのは、様式のほうではないのではないでしょうか。

  • いつまで取っておくのか
  • いつから数えるのか
  • 押印は要るのか

この3つは、様式より先に省令の条文で決まっています。しかも、介護と障がい福祉では、条文の書き方が違います。 保存期間の年数だけでなく、数え始める日の置き方まで違っています。

先にお断りします。この記事は条文がどう書かれているかを整理するだけで、様式やテンプレートは載せません。読むのは次の2つの省令の条文で、介護側は訪問介護、障がい側は居宅介護と療養介護の条です。他のサービスの条文は今回確認していないので、扱いません。

  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「省令37号」)
  • 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「省令171号」)

「サービス提供記録」という言い方は、条文に出てこない

まず言葉の整理です。現場で「サービス提供記録」と呼ばれているものについて、今回読んだ条の見出しは次のとおりです。

場面条文の見出し今回読んだ条
記録を作るサービスの提供の記録省令37号 第19条、省令171号 第19条・第53条の2
記録を取っておく記録の整備省令37号 第39条、省令171号 第42条・第75条

つまり、記録を「作る」条と、「取っておく」条は別に置かれています。保存期間は後者、「記録の整備」の条に書かれています。前者の「サービスの提供の記録」の条には、保存期間の年数は書かれていません。

様式の話でよく出る「何を書くか」は前者、本記事の中心である「いつまで取っておくか」は後者です。この順に読んでいきます。

何を書くか:訪問介護の第19条は、2つの項に分かれている

省令37号の第19条は、訪問介護の場合、次の2つの項で構成されています。第1項は、記載する事項と記載先を定めています。

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日及び内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。

記載する事項は、提供日、内容、利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額、その他必要な事項です。記載先は「利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面」と書かれています。

第2項は、別の記録について定めています。

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。

ここで注目したいのは、後半です。利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、情報を利用者に提供することまで、記録の条に書かれています。記録は事業所の内部資料にとどまらず、申出があれば利用者に示す前提で書かれているわけです。申出を受けたときの考え方は、介護記録の開示について整理した記事で扱っています。

なお、第1項の「居宅サービス計画を記載した書面」への記載は、後で見る第39条の保存の号には出てきません。号に挙がっているのは、第2項の「提供した具体的なサービスの内容等の記録」です。第1項の書面そのものを、どの条で何年保存するのかは、今回の条文からは読み取れません。運用の細目は、所管の自治体の案内で確認してください。

障がい福祉の第19条は「確認を受けなければならない」まで書いている

省令171号の第19条(居宅介護の場合)は、介護の第19条とは書きぶりが違います。

指定居宅介護事業者は、指定居宅介護を提供した際は、当該指定居宅介護の提供日、内容その他必要な事項を、指定居宅介護の提供の都度記録しなければならない。

指定居宅介護事業者は、前項の規定による記録に際しては、支給決定障害者等から指定居宅介護を提供したことについて確認を受けなければならない。

比べると、次の違いが見えます。

比べる点省令37号 第19条(訪問介護)省令171号 第19条(居宅介護)
記録の時点「提供した際には」「提供した際は」「提供の都度」
記載先居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面条文に記載先の指定はない
利用者との関係申出があった場合に情報を提供する確認を受けなければならない

障がい側は、記録に際して支給決定障害者等から提供したことについて確認を受けることを、事業者の義務として書いています。一方、今回読んだ介護側の第19条には、「確認を受け」にあたる文言はありません。

療養介護の第53条の2も、第1項で提供日・内容その他必要な事項を記録し、第2項で支給決定障害者等から確認を受けることを定めています。条番号はサービスごとに分かれているので、自分の事業所のサービスの条を引く必要があります。

ただし、どのように「確認を受ける」のかという方法は、条文には書かれていません。この点は、後の「押印は要るのか」の節で改めて触れます。

保存期間:「完結の日から二年間」と「提供した日から五年間」

ここからが、この記事の核心です。記録の整備の条を、介護と障がいで並べます。まず介護、省令37号の第39条第2項です。

指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。

次に障がい、省令171号の第42条第2項(居宅介護)です。

指定居宅介護事業者は、利用者に対する指定居宅介護の提供に関する諸記録を整備し、当該指定居宅介護を提供した日から五年間保存しなければならない。

療養介護の第75条第2項も、同じ「提供した日から五年間」の形です。

指定療養介護事業者は、利用者に対する指定療養介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、当該指定療養介護を提供した日から五年間保存しなければならない。

整理すると、次のとおりです。

比べる点省令37号 第39条第2項(訪問介護)省令171号 第42条第2項・第75条第2項(居宅介護・療養介護)
年数二年間五年間
起算点その完結の日当該指定居宅介護(療養介護)を提供した日
対象の書き方「次の各号に掲げる記録」居宅介護は「諸記録」、療養介護は「次の各号に掲げる記録」

年数だけでなく、起算点の置き方が違います。 介護は「完結の日」、障がいは「提供した日」です。

「完結の日」とは何か

介護の起算点である「その完結の日」について、今回読んだ省令37号の条文には、その意味を定める記述がありません。どの日を指すのかは、条文の文言からは決まらないのです。

契約が終わった日なのか、計画が終わった日なのか、それとも個々の記録ごとに考えるのか。この記事では断定しません。 数え方の運用は、所管の自治体の案内で確認してください。台帳を作るときも、法人として「完結の日」をどう記録するかを決めて、その根拠を残しておくことが大切です。

「提供した日」とは何か

障がい側の起算点は、文言のうえでは「当該指定居宅介護を提供した日」です。提供した日を起点にする書き方になっています。ただし、提供が長く続くなかで、どの提供日を起点に数えるのかという運用は、条文には書かれていません。この点も、所管の自治体の案内で確認してください。

省令の年数だけで判断しない

もう1点あります。ここまで読んだのは、国の省令に書かれた期間です。所在地の条例や要綱で、これとは別の定めがないかは、今回の条文からは分かりません。省令の年数だけで保存期限を決めず、所在地の条例・要綱も確認してください。 また、第1項の「従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない」という記録には、今回の条文に保存期間の年数が書かれていません。

何を保存するのか:各号の並びを比べる

省令37号の第39条第2項と、省令171号の第75条第2項(療養介護)は、保存する記録を各号に並べています。原文の語のまま並べます。

号省令37号 第39条第2項(訪問介護)省令171号 第75条第2項(療養介護)
一訪問介護計画第五十八条第一項に規定する療養介護計画
二第十九条第二項の規定による提供した具体的なサービスの内容等の記録第五十三条の二第一項に規定するサービスの提供の記録
三第二十三条第四号の規定による身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録第六十五条に規定する市町村への通知に係る記録
四第二十六条の規定による市町村への通知に係る記録次条において準用する第三十五条の二第二項に規定する身体拘束等の記録
五第三十六条第二項の規定による苦情の内容等の記録次条において準用する第三十九条第二項に規定する苦情の内容等の記録
六第三十七条第二項の規定による事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録次条において準用する第四十条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

どちらも計画、提供の記録、身体拘束等、市町村への通知、苦情、事故の6本が並んでいます。ここから分かることは3つあります。

  • 提供の記録は、保存の号の中に入っている。 第19条で作る記録が、そのまま第39条・第75条の保存対象として指されています
  • 号の並びは同じではない。 介護は身体的拘束等が第三号・市町村への通知が第四号、障がい(療養介護)は市町村への通知が第三号・身体拘束等が第四号です。語も「身体的拘束等の態様及び時間…」と「身体拘束等の記録」で書き分けられています
  • 障がい側は、条の引用の形式が違う。 苦情と事故、身体拘束等の号は「次条において準用する」と書かれ、準用の先の条を引いて指しています

なお、この6本立ては療養介護の第75条の話です。居宅介護の第42条第2項は、号を立てずに「利用者に対する指定居宅介護の提供に関する諸記録」と書いています。サービスごとに条の形が違うので、事業所のサービスの条を読んでください。 身体拘束等の記録や苦情・事故の記録の中身は、重度障害者支援加算の算定要件と記録の記事で、記録の観点から扱っています。

押印は要るのか:省令に「押印」の語は出てこない

次に、押印です。

省令37号と省令171号の本則を語で検索した範囲では(2026年10月9日にe-Gov法令検索で確認)、「押印」「署名」という語は、どちらにも出てきません。 今回読んだ条文のうち、利用者との関係で書かれているのは、次の2点です。

  • 介護の第19条第2項:申出があった場合に、文書の交付その他適切な方法で情報を提供する
  • 障がいの第19条第2項:支給決定障害者等から確認を受けなければならない

省令が求めているのは「記録する」「情報を提供する」「確認を受ける」ことで、その手段を押印に限る書き方にはなっていません。ここまでが、条文から言えることです。

そこから先、つまり押印を求めるのか、確認の方法は何でよいのか、様式はどうするのかは、条文には書かれていません。 自治体の手引きや運営指導の着眼点で扱われる事柄ですので、所在地の自治体の案内で確認してください。この記事は「押印は不要」と言い切るものではありません。

紙でなければならないのか:障がい福祉の第224条

次は、保存の形です。省令171号の第224条は「電磁的記録等」の条で、書面で行うものについて、電磁的記録で行える旨を定めています。第1項に、次の文言があります。

書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。

この文は、「作成、保存その他これらに類するもののうち、この命令の規定において書面で行うことが規定されている又は想定されるもの」について書かれています。一方、第1項には、対象から除くものを列挙した括弧書きがあります。除く対象は、第十条第一項、第十四条、第五十三条第一項、第百十九条第一項、第二百十条の三第一項及び次項などです。 今回読んだ第19条・第42条・第75条は、その除外の列挙には挙がっていません。

とはいえ、「記録」がこの条の「書面で行うことが規定されている又は想定されるもの」に当たるかどうか、また、どの方法なら認められるのかは、第224条のこの部分だけでは決まりません。自治体の案内で確認してください。

第2項は、交付、説明、同意、締結その他これらに類するもの(「交付等」)について、相手方の承諾を得て、書面に代えて電磁的方法によることができるとしています。重要事項の説明と同意を書面で行う場面は、障害福祉サービスの重要事項説明書の記事で扱っています。

なお、介護側(省令37号)に相当する条文は、今回確認していないので、この記事では断定しません。

実務の打ち手:台帳で「いつから数えるか」を2通り持つ

条文を並べると、実務の課題が見えてきます。介護と障がいの両方を運営する法人では、台帳の「いつから数えるか」が2通りになることです。

  • 介護:その完結の日から二年間(完結の日の定義は省令に無い)
  • 障がい:提供した日から五年間

別々の表計算ファイルで持つと、「この記録はいつ廃棄してよいのか」を毎回調べ直すことになります。そこで、1つの台帳に、次の項目を持たせることをおすすめします。

台帳の項目持つ内容根拠となる条文
サービスの種別介護か障がいか、サービスの名称省令37号・省令171号の各サービスの条
記録の種類計画、提供の記録、身体拘束等、市町村への通知、苦情、事故第39条第2項、第75条第2項の各号
提供した日・記録を作った日提供日と、記録を書いた日第19条(提供の都度記録)
計画の版計画の作成日と改訂日、版第39条第2項第一号、第75条第2項第一号
起算点の根拠「完結の日」または「提供した日」のどちらで数えるか。法人として完結の日をどう記録するか、決めた内容と確認先第39条第2項、第42条第2項、第75条第2項
保存期限起算点と年数から計算した日。所在地の条例・要綱で別の定めがあるか確認した日と内容同上、所在地の条例・要綱
確認・情報提供の記録障がい:確認を受けた日と方法。介護:申出を受けた日と、情報提供の方法省令171号 第19条第2項、省令37号 第19条第2項
保存の形紙か電磁的記録か。保存場所省令171号 第224条(自治体の案内も確認)

この台帳があれば、保存期限の来たものを機械的に洗い出せます。大事なのは、条文に書かれていないこと(完結の日の数え方・押印の要否・様式)を、「確認した日」と「確認先」とセットで持っておくことです。担当者が変わっても、同じ判断を繰り返せます。

まとめ

  • 条文の見出しは、記録を作る条が「サービスの提供の記録」、取っておく条が「記録の整備」。2つは別の条に置かれている
  • 保存期間は、今回読んだ条文では介護(訪問介護)が「完結の日から二年間」、障がい(居宅介護・療養介護)が「提供した日から五年間」。年数と起算点の両方が違う
  • 「完結の日」は、省令に意味を定める記述が無いので、数え方は所管の自治体の案内で確認する
  • 所在地の条例や要綱に別の定めがないかは、省令の条文からは分からないので、年数は省令だけで判断しない
  • 保存の号には、計画、提供の記録、身体拘束等、市町村への通知、苦情、事故の6本が並ぶ(療養介護の第75条。居宅介護の第42条は「諸記録」)
  • 省令37号・省令171号の本則に、「押印」「署名」の語は出てこない。押印の要否や様式は条文に無いので、自治体の案内で確認する
  • 障がい福祉の第224条は、書面に代えて電磁的記録で行える旨を定めている。介護側は今回確認していない
  • 実務では、提供した日・計画の版・起算点の根拠・保存期限を1つの台帳で持つ

参考(一次情報)

※本記事は省令の条文の構造を整理したもので、個別の事業所の運用を示すものではありません。保存期間の数え方、押印の要否、様式、電磁的記録の取扱い、所在地の条例・要綱に定められた事項は、所管の自治体の最新の案内をご確認ください。


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