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障害福祉サービスの重要事項説明書|記載事項・掲示・変更時の届出

「重要事項説明書の雛形をください、と言われるのですが、うちのはもう何年も直していなくて」

ある事業所でうかがった言葉です。運営規程は指定申請のときに作り、その後の変更届も出している。けれど重要事項説明書のほうは、契約のたびに同じファイルを印刷して使い続けている。運営規程だけが更新され、重要事項説明書と掲示物が置き去りになっている——という状態です。

重要事項説明書の解説記事は、たいてい「雛形の項目一覧」で終わります。しかし実務でつまずくのは、そこではありません。この書類は運営規程から派生してつくられるもので、運営規程が変われば連動して直さなければならないという点、そして変更したときに「届け出るもの」と「届け出なくてよいもの」が分かれるという点です。

この記事では、障害福祉サービスの重要事項説明書について、根拠となる条文から記載事項・掲示義務・変更時の手続きまでを整理します。

重要事項説明書は「運営規程の概要を記した文書」である

まず位置づけです。根拠は、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)の第9条(内容及び手続の説明及び同意)にあります。

指定居宅介護事業者は、支給決定障害者等が指定居宅介護の利用の申込みを行ったときは、当該利用申込者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、当該利用申込者に対し、第三十一条に規定する運営規程の概要、従業者の勤務体制、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該指定居宅介護の提供の開始について当該利用申込者の同意を得なければならない。

この条文は居宅介護の章に置かれていますが、他のサービスにも準用されます。たとえば生活介護であれば第93条が第9条を準用し、あわせて「第九条第一項中『第三十一条』とあるのは『第八十九条』と」読み替えると定めています。第89条は生活介護の運営規程です。

ここから3つのことが分かります。

  1. 重要事項説明書という名称は、条文上は使われていない。 条文が求めているのは「重要事項を記した文書」であり、実務上それを重要事項説明書と呼んでいる
  2. 中身の骨格は運営規程である。 「運営規程の概要」を記すことが第一に求められている
  3. 交付するタイミングは「利用の申込みを行ったとき」。 契約が成立してからではなく、利用者が事業所を選ぶ判断材料として渡す書類である

3つ目は見落とされやすいところです。契約書と一緒に一式で渡している事業所は多いと思いますが、条文の建て付けとしては契約の前に渡して説明し、同意を得る書類です。

記載事項は法令に列挙されていない。運営規程の記載事項が最低ライン

「重要事項説明書に何を書けばよいか」を条文で探しても、項目の列挙は出てきません。条文が示しているのは次の3つの塊だけです。

  • 運営規程の概要
  • 従業者の勤務体制
  • その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項

したがって実務上の最低ラインは「運営規程の記載事項を漏らさないこと」になります。生活介護の運営規程(第89条)の記載事項は次のとおりです。

一 事業の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 営業日及び営業時間
四 利用定員
五 指定生活介護の内容並びに支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額
六 通常の事業の実施地域
七 サービスの利用に当たっての留意事項
八 緊急時等における対応方法
九 非常災害対策
十 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類
十一 虐待の防止のための措置に関する事項
十二 その他運営に関する重要事項

サービスの種類によって項目数は変わります。居宅介護の運営規程(第31条)は9項目で、利用定員・非常災害対策・サービスの利用に当たっての留意事項が入りません。訪問系と通所系で運営規程の項目が違うため、同じ雛形を全事業所で使い回すと、通所系で項目が足りない/訪問系で余計な項目が入るということが起きます。

ここが、市販の雛形やインターネット上の様式をそのまま使うときの落とし穴です。まず自法人の運営規程を並べ、そこから重要事項説明書を起こすという順序にすれば、この不一致は起きません。

なお第89条第11号の「虐待の防止のための措置に関する事項」は、古い雛形には入っていないことがある項目です。委員会の設置や研修の実施をどう書くかは、虐待防止委員会の運営(開催回数・議事録・研修)で整理しています。

掲示義務:事業所の見やすい場所に掲げるか、備え付けて閲覧させるか

重要事項説明書と対になるのが掲示です。生活介護であれば第92条に定めがあります。

指定生活介護事業者は、指定生活介護事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、前条の協力医療機関その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない。

掲示すべき内容は、第9条の交付文書とほぼ同じです(生活介護では協力医療機関が加わります)。つまり重要事項説明書をそのまま掲示すれば要件を満たせる構造になっています。

そして第2項に、掲示に代える方法が置かれています。

指定生活介護事業者は、前項に規定する事項を記載した書面を当該指定生活介護事業所に備え付け、かつ、これをいつでも関係者に自由に閲覧させることにより、同項の規定による掲示に代えることができる。

壁に貼らなくてもよい。 書面を事業所に備え付けて、いつでも自由に閲覧できる状態にしておけば代替できます。運営指導でこの部分を確認されたときに、「ファイルに綴じてカウンターに置いてある」で足りるかどうかは、「いつでも」「自由に」閲覧できるかで判断されます。鍵のかかった事務室の棚に入れている場合は、代替の要件を満たしているとは言いにくいところです。

運営指導で実際に何を見られるかは、障害福祉サービスの運営指導(準備と指摘されやすい書類)にまとめています。

変更したとき:届け出るのは運営規程、重要事項説明書は届出対象ではない

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

変更届の根拠は障害者総合支援法第46条第1項です。

指定障害福祉サービス事業者は、当該指定に係るサービス事業所の名称及び所在地その他主務省令で定める事項に変更があったとき、又は休止した当該指定障害福祉サービスの事業を再開したときは、主務省令で定めるところにより、十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

期限は10日以内です。起算点は「変更があったとき」であって、「変更しようと決めたとき」ではありません。

では「主務省令で定める事項」とは何か。障害者総合支援法施行規則第34条の23第1項が、サービスの種類ごとに届出対象を列挙しています。生活介護の場合は同項第3号で、施行規則第34条の9第1項の第1号・第2号・第4号・第5号・第7号・第8号・第11号が対象と定められています。このうち第8号が「運営規程」です。

整理すると次のようになります。

書類変更したときの届出根拠
運営規程必要(10日以内)法第46条第1項、施行規則第34条の23第1項
事業所の名称・所在地必要(10日以内)同上(施行規則第34条の9第1項第1号)
管理者・サービス管理責任者の氏名等必要(10日以内)同上(同項第7号)
事業所の平面図・設備の概要必要(10日以内)同上(同項第5号)
重要事項説明書届出対象ではない施行規則第34条の23第1項に掲げられていない

つまり、重要事項説明書そのものを都道府県に出す義務はありません。 それでも直さなければならないのは、重要事項説明書が運営規程の概要だからです。運営規程を変えて届け出たのに重要事項説明書が古いままだと、利用者に渡している内容と届け出た内容が食い違います。

実務上、この食い違いがいちばん起きやすいのは「利用料の変更」と「職員体制の変更」です。

  • 報酬改定や食費・光熱水費の見直しで受領する費用の額が変わる → 運営規程(第5号)も重要事項説明書も掲示物も、3つとも直す必要がある
  • サービス管理責任者が交代する → 変更届は必要。重要事項説明書に氏名を書いていれば、そこも直す

サービス管理責任者の交代は、要件を満たす人がいるかどうかも同時に問題になります。実務経験と研修の要件はサービス管理責任者の資格要件と研修にまとめています。

自治体によっては、変更届に重要事項説明書の写しの添付を求めているところがあります。 提出書類の一覧は所轄自治体の様式でご確認ください。法令上の義務と、自治体が求める運用は別のものです。

障害児通所支援も構造は同じ(条番号が違う)

放課後等デイサービス・児童発達支援などの障害児通所支援は、根拠となる省令が変わります。指定通所支援基準(平成24年厚生労働省令第15号)です。

内容障害福祉サービス(省令171号)障害児通所支援(省令15号)
内容及び手続の説明及び同意第9条(生活介護は第93条で準用)第12条
運営規程第31条(居宅介護)/第89条(生活介護)第37条(児童発達支援)
掲示第35条(居宅介護)/第92条(生活介護)第43条(児童発達支援)
変更の届出障害者総合支援法第46条第1項(10日以内)児童福祉法第21条の5の20第3項(10日以内)

児童発達支援の運営規程(第37条)の記載事項は、生活介護と同じ12項目です。条番号だけが違い、要求されている内容は同じと考えて差し支えありません。

児童福祉法第21条の5の20の該当部分は次のとおりです。

指定障害児通所支援事業者は、当該指定に係る障害児通所支援事業所の名称及び所在地その他内閣府令で定める事項に変更があつたとき、又は休止した当該指定通所支援の事業を再開したときは、内閣府令で定めるところにより、十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

多機能型で障害福祉サービスと障害児通所支援を併せて行っている事業所では、根拠法が2本走ります。運営規程を1本にまとめている場合でも、変更届は両方の窓口に出す必要があるかを確認してください。

運営規程・重要事項説明書・契約書の役割の違い

3つの書類がよく混同されるので、条文上の位置づけで整理します。

書類誰に向けたものかいつのものか根拠
運営規程事業所が自ら定める内部のルール(指定申請で提出し、変更時は届出)指定を受けるとき/変更したとき省令171号 第31条・第89条など
重要事項説明書利用申込者。サービスを選ぶ判断材料として渡す利用の申込みを行ったとき(契約前)省令171号 第9条
契約書(利用契約の成立時の書面)利用者。契約が成立したことを示す契約が成立したとき(契約後、遅滞なく)社会福祉法第77条第1項

社会福祉法第77条第1項は、契約成立時の書面に次の事項を記載するよう求めています。

一 当該社会福祉事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地
二 当該社会福祉事業の経営者が提供する福祉サービスの内容
三 当該福祉サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
四 その他厚生労働省令で定める事項

時系列は「重要事項説明書 → 同意 → 契約 → 契約書の交付」です。実務では3点セットにして同じ日に処理していることがほとんどですが、根拠条文が別で、求められるタイミングも別だという点は押さえておくと、運営指導で説明しやすくなります。

なお省令171号第9条第2項は、社会福祉法第77条の書面を交付する場合について「利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をしなければならない」と定めています。ルビを振る、平易な言葉に置き換える、読み上げるといった配慮は、努力目標ではなく条文上の義務です。

「1か所で持つ」と、更新漏れが起きなくなる

ここまで整理すると、更新漏れが起きる理由がはっきりします。同じ情報が、運営規程・重要事項説明書・掲示物・契約書の4か所に別々のファイルとして存在しているからです。

利用料を1つ変えるだけで、4つのWordファイルを開いて同じ数字を打ち直すことになります。事業所が5つあれば20ファイルです。どれか1つが漏れると、運営指導で「書類間の不整合」として指摘されます。

ある社会福祉法人様では、次のように整理しました。

  1. 項目ごとに「正」を1か所だけ決める。利用料、職員体制、営業日、実施地域といった単位で、値をデータとして1か所に持つ
  2. 運営規程・重要事項説明書・掲示物は、その値を差し込んで出力する。ファイルを直接編集しない
  3. 変更したら、変更届の期限(10日以内)が自動でタスクになるようにする

ここまでできなくても、まず「どの項目が、どの書類の何ページに出てくるか」の対応表を1枚作るだけで、漏れはかなり減ります。紙で作っても構いません。変更のたびに開くチェックリストがあるかどうかが分かれ目です。

まとめ

  • 重要事項説明書の根拠は省令171号第9条。条文上の呼び名は「重要事項を記した文書」で、運営規程の概要・従業者の勤務体制・その他選択に資する重要事項を記して利用の申込み時に交付し、同意を得る
  • 記載事項は法令に列挙されていない。 運営規程の記載事項(生活介護は第89条の12項目、居宅介護は第31条の9項目)が最低ライン。サービス種別で項目数が違うので雛形の使い回しに注意
  • 掲示義務(生活介護は第92条)は、書面を事業所に備え付けていつでも自由に閲覧できる状態にすれば代替できる
  • 変更届は障害者総合支援法第46条第1項で10日以内。届出対象は施行規則第34条の23で列挙されており、運営規程は対象、重要事項説明書は対象外。ただし運営規程を変えたら重要事項説明書と掲示物も連動して直す
  • 障害児通所支援は省令15号第12条・第37条・第43条、変更届は児童福祉法第21条の5の20第3項で10日以内。条番号が違うだけで内容は同じ
  • 重要事項説明書(契約前・省令171号第9条)と契約書(契約成立時・社会福祉法第77条)は別の書類
  • 更新漏れは「同じ情報が4か所にある」ことが原因。項目ごとに正を1か所に決めるか、少なくとも対応表を1枚作る

参考にした一次情報

※本記事では、条番号は居宅介護(訪問系)と生活介護(通所系)、児童発達支援を例に示しています。サービスの種類によって条番号と準用の読み替えが異なりますので、実際の手続きに当たっては該当するサービスの条文と、所轄自治体が定める提出書類・様式をご確認ください。


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