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重度障害者支援加算の算定要件と支援計画シート|記録の頻度と役割

「重度加算の記録用紙が、1週間で1枚なんです。7割くらいの利用者様が該当するので、毎週その枚数が出ます」

ある生活介護の事業所でうかがった言葉です。支援手順書とアセスメントシート、そして日々の支援記録。加算のために必要な書類は分かっているけれど、それぞれが別のファイルに入っていて、印刷して束ねる作業が毎週発生する

重度障害者支援加算の解説は、たいてい「単位数が何点で、対象者は誰か」で終わります。しかし実務でつまずくのは、そこではありません。この加算は、記録の「頻度」と「誰が書くか」が要件の中に組み込まれているという点です。週に1回、3か月に1回、そして毎日。役割の違う3種類の記録が同時に走ります。

この記事では、生活介護の重度障害者支援加算について、算定要件を整理したうえで、記録が3層構造になっていることを厚生労働省の留意事項通知に沿って読み解きます。

加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は同時に算定できない

まず全体像です。生活介護の重度障害者支援加算は3つに分かれており、性格がまったく違います。

区分性格対象
重度障害者支援加算(Ⅰ)体制に対する加算その単位の生活介護に係る全ての利用者
重度障害者支援加算(Ⅱ)個別の利用者に対する加算区分6かつ行動関連項目合計点数10点以上
重度障害者支援加算(Ⅲ)個別の利用者に対する加算区分4以上かつ行動関連項目合計点数10点以上

(Ⅰ)は、人員配置体制加算(Ⅰ)または(Ⅱ)と、常勤看護職員等配置加算(看護職員を常勤換算方法で3人以上配置しているものに限る)を算定している事業所が、その要件となる人員配置をさらに超えて生活支援員または看護職員を配置した場合の加算です。利用者を個別に選ばず、単位ごとに全員に付きます。

ここで見落とされやすいのが排他関係です。

なお、 重度障害者支援加算(Ⅰ)を算定している指定生活介護事業所等において、 重度障害者支援加算(Ⅱ)及び重度障害者支援加算(Ⅲ)は算定できないものであること。

(Ⅰ)を取っている事業所は、個別の(Ⅱ)(Ⅲ)を上に重ねられません。また(Ⅱ)と(Ⅲ)の関係についても、(Ⅱ)の対象者については(Ⅲ)を算定できないとされています。どの組み合わせが自事業所にとって有利かは、体制と対象者の構成によって変わります。

行動関連項目合計点数は、障害支援区分の認定調査の結果から算出されます。区分の認定そのものの流れは障害支援区分の認定調査(80項目・特記事項)の記事で整理していますので、あわせてご覧ください。

加算(Ⅱ)の3要件 ― 加配・実践研修修了者・基礎研修修了者20%

加算(Ⅱ)は、次のア〜ウのいずれの要件も満たす事業所において、区分6かつ行動関連項目合計点数10点以上の利用者に生活介護を行った場合に算定します。

ア 人員の加配

指定障害福祉サービス基準に規定する人員と人員配置体制加算により配置される人員に加えて、当該利用者の支援のために必要と認められる数の人員を加配していること。この場合、常勤換算方法で、 基準を超える人員が配置されていれば足りるものである。

加配については常勤換算で基準を超えていれば足ります。ここは常勤換算です。次の要件と数え方が違うので注意してください。

イ 実践研修修了者を1人以上

指定生活介護事業所に配置されているサービス管理責任者又は生活支援員のうち1人以上が、 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者(以下この⑪において「実践研修修了者」という。)であること。 また、 当該事業所において実践研修修了者を配置し、かつ、利用者の中に行動障害を有する者がいる場合は、当該利用者に係る支援計画シート等を作成すること。

支援計画シート等の作成義務は、この「イ」の後半に書かれています。 実践研修修了者を配置していて、かつ利用者の中に行動障害を有する者がいる場合は、その利用者に係る支援計画シート等を作成する、という条件付きの書き方です。

ウ 生活支援員の20%以上が基礎研修修了者

指定生活介護事業所に配置されている生活支援員のうち20%以上が、強度行動障害支援者養成研修 (基礎研修)修了者(以下この⑪において「基礎研修修了者」という。) であること。

数え方は「実人数」で、非常勤も含める

イとウの人数の数え方が、アとは違います。

上記イ及びウにおけるサービス管理責任者及び生活支援員の数は、常勤換算方法ではなく、当該事業所においてサービス管理責任者又は生活支援員として従事する従業者の実人数で算出し、非常勤職員についても員数に含めること。

常勤換算ではなく実人数、しかも非常勤も分母に入るという点が実務上の落としどころです。短時間勤務のパート職員を多く抱える事業所では、分母が想定より大きくなり、20%を満たすために必要な基礎研修修了者の人数が増えます。人員配置の書類を常勤換算で作っている事業所は、この加算だけ別の数え方をする必要があります。

常勤換算そのものの数え方は勤務形態一覧表の書き方と常勤換算の記事で整理しています。

加算(Ⅲ)は区分4以上に広がる

加算(Ⅲ)は、区分4以上かつ行動関連項目合計点数10点以上の利用者を対象とします。要件のア〜ウは(Ⅱ)とほぼ同じ構成で、イは実践研修修了者が1人以上、ウは生活支援員の20%以上が基礎研修修了者です。そして人数の数え方などについては、(Ⅱ)のエからキまでの規定を準用するとされています。

つまり(Ⅲ)を算定する場合も、実人数で数える・非常勤を含める・支援計画シート等を作成する、という運用は変わりません。対象者の範囲が広い分、記録の対象者が増えると考えたほうが実態に近いです。

中核的人材を配置して18点以上を支援すると150単位

令和6年度の報酬改定で入った仕組みです。中核的人材養成研修の課程を修了し、その旨の証明書の交付を受けた者を配置し、その者または助言・指導を受けた実践研修修了者が支援計画シート等を作成する旨の届出をしている場合に、行動関連項目合計点数が18点以上である利用者に生活介護を行ったとき、1日につき所定単位数にさらに150単位を加算します。

ここでも記録の頻度が定められています。

この場合、中核的人材養成研修修了者は、原則として週に1回以上、行動関連項目合計点数が 18 点以上である利用者の様子を観察し、支援計画シート等の見直しに関する助言及び指導を行うものとする。

なお中核的人材については、常勤専従として配置されることが望ましいが、必ずしも常勤又は専従を求めるものではないとされています。届出が前提になっている点は忘れやすいので、加算の算定開始前に自治体への届出内容を確認してください。

初期の180日は上乗せがあり、同一事業所では1度まで

加算の算定を開始した日から起算して180日以内の期間について、強度行動障害を有する者に生活介護等の提供を行った場合、1日につき所定単位数にさらに所定単位が加算されます。趣旨は次のとおりです。

これは重度の行動障害を有する者が、サービス利用の初期段階において、 環境の変化等に適応するため特に手厚い支援を要することを評価したものである。

そして、当該利用者につき、同一事業所においては1度までの算定とされています。いったん180日を使い切った利用者について、後から算定し直すことはできません。加算の開始日を記録として残しておく必要があります。

【本題】記録は3層になっている

ここまでが要件の整理です。実務でいちばん負担になるのは、要件の中に記録の頻度と役割分担が書き込まれていることです。留意事項通知を読み直すと、次の3層が同時に走ります。

誰が何を頻度
観察と見直し実践研修修了者利用者の様子を観察/支援計画シート等の見直し観察は原則週に1回以上、見直しは3月に1回程度
日々の支援と記録基礎研修修了者支援計画シート等に基づく個別の支援/支援記録等の作成・提出日々
助言と指導中核的人材養成研修修了者(18点以上の加算を取る場合)利用者の様子を観察/支援計画シート等の見直しに関する助言・指導原則週に1回以上

根拠となる記述を並べます。まず実践研修修了者の役割です。

イにおける実践研修修了者は、原則として週に1回以上、強度行動障害を有する利用者の様子を観察し、 3月に1回程度の頻度で支援計画シート等を見直すものとする。

次に基礎研修修了者の役割です。

ウにおける基礎研修修了者は、 その他の職員と連携・協力し、支援計画シート等に基づき、 強度行動障害を有する利用者に対して個別の支援を行うとともに、支援記録等の作成・提出等を通じて、 支援の経過を実践研修修了者にフィードバックするものとする。

「フィードバックするものとする」と書かれている点が重要です。 基礎研修修了者が書いた支援記録は、書いて終わりではなく、実践研修修了者に届いて、3か月に1回の見直しの材料になることが前提になっています。つまりこの加算の記録は、日々の記録 → 週1回の観察 → 3か月ごとの見直し、という一本の流れとして設計されているわけです。

記録が別ファイルに分かれていると、この流れが切れる

冒頭の「1週間で1枚」という記録用紙は、それ自体が悪いわけではありません。問題は、支援計画シート・支援手順書・アセスメントシート・日々の支援記録が別々のファイルに入っていて、突き合わせるには印刷して並べるしかない状態です。

この状態で起きることは3つあります。

1. 週1回の観察が「記録に残らない」

実践研修修了者が利用者の様子を見て気づいたことを、どこに書くかが決まっていない事業所が少なくありません。日々の支援記録に混ぜて書くと、後から「週1回以上観察した」ことを示す記録として取り出せません。観察の記録は、日々の支援記録とは別の欄に、日付と観察者が分かる形で残す必要があります。

2. 3か月の見直しが日々の記録とつながらない

見直しは、その3か月に何が起きたかを踏まえて行うものです。ところが日々の記録が紙で束になっていると、実際には「直近の印象」で見直すことになりがちです。見直しの根拠として、どの期間の記録を見たのかが書かれていない支援計画シートは、運営指導で説明しにくくなります。

3. 該当者が増えると印刷と束ねる作業が線形に増える

7割の利用者が該当する事業所で、1人あたり週1枚の記録用紙が出るとすれば、月あたりの枚数は相当なものになります。この作業は支援の質を上げませんが、確実に時間を奪います。

記録の置き場所を先に決める

対策は「頑張って書く」ではありません。記録の置き場所と、そこから見える形を先に決めることです。

  • 入力は1回にする。日々の支援記録を入力すれば、それが利用者ごとに自動で集まる形にする
  • 観察の記録・日々の支援記録・見直しの記録を、同じ利用者の下に時系列で並べる。 種類は項目で区別し、ファイルで分けない
  • 週1回・3か月に1回という頻度の要件は、期限を管理する側で持つ。 「最後の観察日」「最後の見直し日」が一覧で見えれば、抜けはその場で分かる
  • 印刷が必要な様式は、記録から様式へ流し込む形にする。様式に直接手書きしない

順序が大事です。様式を電子化するのが目的ではなく、「日々の記録が、週1回の観察と3か月の見直しの材料としてそのまま使える」状態を作るのが目的です。ここが整うと、加算のための書類仕事が支援の振り返りと同じ作業になります。

記録の保存期間は5年間

最後に保存の話です。指定生活介護の記録の整備については、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第93条により第75条が準用されます。同条第2項は、利用者へのサービス提供に関する記録を整備し、提供した日から五年間保存しなければならないとしています。生活介護計画、サービスの提供の記録、身体拘束等の記録、苦情の内容等の記録、事故の状況等の記録が対象です。

支援計画シートや支援記録も、加算の算定根拠となる記録として保管対象になります。紙で束ねたまま5年分を保管すると、量が問題になります。 運営指導で過去の記録を求められたときに取り出せるかどうかも、置き場所を決める段階で考えておきたいところです。

運営指導そのものの流れと準備については障害福祉サービスの運営指導の記事で整理しています。

まとめ

  • 生活介護の重度障害者支援加算は(Ⅰ)が体制加算、(Ⅱ)(Ⅲ)が個別加算(Ⅰ)を算定している事業所は(Ⅱ)(Ⅲ)を算定できない。(Ⅱ)の対象者は(Ⅲ)を算定できない
  • (Ⅱ)は区分6かつ行動関連項目合計点数10点以上、(Ⅲ)は区分4以上かつ10点以上
  • 要件はア(人員の加配)・イ(実践研修修了者を1人以上)・ウ(生活支援員の20%以上が基礎研修修了者)支援計画シート等の作成義務はイの後半に書かれている
  • イとウの人数は常勤換算ではなく実人数で算出し、非常勤職員も員数に含める。アの加配は常勤換算でよい。数え方が2種類ある
  • 中核的人材養成研修修了者を配置し届出をしている場合、行動関連項目18点以上の利用者について1日150単位を加算。中核的人材は常勤又は専従を必ずしも求めない
  • 算定開始から180日以内の上乗せは、同一事業所では1利用者につき1度まで
  • 記録は3層。実践研修修了者=原則週に1回以上の観察と3月に1回程度の見直し/基礎研修修了者=日々の支援と支援記録等のフィードバック/中核的人材=原則週に1回以上の観察と助言・指導
  • 基礎研修修了者の記録は「支援の経過を実践研修修了者にフィードバックするもの」と位置づけられている。日々の記録・週1回の観察・3か月の見直しは一本の流れとして設計されている
  • 記録の保存は提供した日から5年間(指定障害福祉サービス基準第93条により第75条を準用)

参考にした一次情報

※本記事は生活介護(指定生活介護事業所)の重度障害者支援加算について整理したものです。障害者支援施設・短期入所・共同生活援助の重度障害者支援加算は要件と区分の立て方が異なります。単位数は報酬告示によりサービス種別・区分ごとに定められており、本記事では中核的人材に係る150単位を除き個別の単位数を記載していません。実際の算定に当たっては報酬告示および所轄自治体の取扱いをご確認ください。研修の受講手続きは都道府県により異なります。


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