市町村から「地域ケア会議に出てください」「ケアプランを出してください」と声がかかる。けれども、この会議は法律の上で何と呼ばれ、誰が置き、何を検討する場なのか。居宅介護支援事業所の管理者や、介護サービスを運営する社会福祉法人の事業所長をしていると、そんな疑問に突き当たることがあるのではないでしょうか。
検索すると、自治体の案内ページや厚生労働省の資料が数多く見つかります。そこでは「五つの機能」や「地域ケア個別会議」「地域ケア推進会議」といった整理がよく使われています。ところが、これらの語は、介護保険法の本則には出てきません。 条文の見出しも条文の中身も、単に「会議」です。
この記事は、e-Gov 法令検索から取得した、次の条文の原文だけを根拠に整理します。
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の48(会議)
- 同法第115条の45第2項(地域支援事業)
- 同法第205条第2項(罰則)
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の72の2の2(会議)・第140条の72の3(支援対象被保険者の範囲)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条
- 障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第89条の3(比較のため)
この記事が答えようとする問いは次の5つです。
- 「地域ケア会議」という名前は、法律のどこに書かれているのか
- 会議を置くのは誰で、構成員は誰か
- 会議では何を検討するのか。居宅介護支援事業所にとって、いちばん実務に近い検討事項は何か
- 協力を求められたとき、事業所側に義務はあるのか。秘密を漏らすと何が起きるのか
- 障がい福祉の「協議会」(障害者総合支援法第89条の3)と、条文のどこが同じで、どこが違うのか
なお、開催の回数、参加者の人数、1回あたりの時間、様式、個別の自治体の運用、解説でよく見る「五つの機能」の中身は、この記事の根拠にした条文には書かれていないため扱いません。具体的な運用は、設置している市町村の案内で確認してください。
まず結論:法律の語は「会議」。届け出たケアプランが、省令上の検討事項になっている
先に答えを示します。
- 介護保険法の本則に、「地域ケア会議」「地域ケア個別会議」「地域ケア推進会議」「五つの機能」という語は1回も出てこない。第115条の48の見出しも「(会議)」で、条文中の語も単に「会議」である
- 会議を置くのは市町村で、置くことは努力義務である(第115条の48第1項)
- 構成員は、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体。条文はこれらをまとめて「関係者等」と呼ぶ
- 会議で何を検討するかは、法律ではなく施行規則が6つの事項として挙げている(第140条の72の2の2)。解説で見る「五つの機能」ではなく、省令の「六つの事項」が条文上の中身である
- そのうちの第二号が、居宅サービス計画に関する事項。訪問介護を位置付けたケアプランを市町村に届け出る義務(居宅介護支援の基準第13条第18号の2)と結びついている。居宅介護支援事業所にとって、会議は「自分が届け出たケアプランが検討事項になる場」だと、省令に書いてある
- 居宅介護支援事業者については、会議から協力を求められたら協力するよう努めなければならないと、基準第13条第27号に直接書かれている
- 守秘義務は第115条の48第5項にあり、違反には一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(第205条第2項)
- 組織や運営の細目は、法律ではなく会議が定める(第6項)。地域ごとに名前も形も違うのは、このためである
順に、条文で確かめます。
「地域ケア会議」は通称。法律の語は「会議」
介護保険法第115条の48は、見出しが「(会議)」です。第1項で「会議」を定義し、以後の項はすべて「会議」と書いています。
ここで確かめた範囲を、正直に書いておきます。
- 介護保険法の本則での出現回数は、「地域ケア会議」が0回、「地域ケア個別会議」が0回、「地域ケア推進会議」が0回、「五つの機能」が0回
- 施行規則第140条の72の2の2の見出しも「(会議)」で、本文も「会議」と書かれている
- 居宅介護支援の基準第13条第27号も、「同条第一項に規定する会議」と書いている
解説記事でよく見る「五つの機能」や、「個別会議」「推進会議」という整理は、法律の語ではありません。実務の整理として広く使われているもので、この記事の根拠にした条文には書かれていません。
第1項:置くのは市町村、設置は努力義務。構成員は「関係者等」
第115条の48第1項は、設置の主体と、構成員の範囲を書いています。
市町村は、第百十五条の四十五第二項第三号に掲げる事業の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体(以下この条において「関係者等」という。)により構成される会議(以下この条において「会議」という。)を置くように努めなければならない。
読み取れることは、次の4点です。
- 置くのは「市町村」。都道府県や事業者ではない
- 語尾は「努めなければならない」で、設置は努力義務
- 構成員は、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体。まとめて「関係者等」と定義されている
- 会議は、第115条の45第2項第三号に掲げる事業の効果的な実施のために置かれる
4つ目の「第115条の45第2項第三号」は、地域支援事業の1つで、次のように書かれています。
保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者による被保険者の居宅サービス計画、施設サービス計画及び介護予防サービス計画の検証、その心身の状況、介護給付等対象サービスの利用状況その他の状況に関する定期的な協議その他の取組を通じ、当該被保険者が地域において自立した日常生活を営むことができるよう、包括的かつ継続的な支援を行う事業
会議の目的として最初に名指しされているのは、居宅サービス計画、施設サービス計画、介護予防サービス計画の検証を通じた支援を行う事業です。後で見る「届け出たケアプランが検討される」という話は、ここにつながっています。
地域支援事業の全体の構造は、第115条の45の各項に分かれています。第1項が介護予防・日常生活支援総合事業、第2項が今回の第三号を含む事業、第3項が行うことができる事業、という並びです。第1項の介護予防・日常生活支援総合事業については、介護予防・日常生活支援総合事業の記事で整理しています。
構成員の列挙に、被保険者ご本人やそのご家族は、書かれていません。「民生委員その他の関係者」などに含まれるかどうかは、条文からは決まりません。この点は、後ほど障がい福祉の協議会と並べて見ます。
どの市町村が、どの単位で、いつ置いているかは、条文には書かれていません。お住まいの地域の運用は、市町村の案内で確認する必要があります。
第2項:法律が決めているのは「2種類の検討」。支援対象と事項は省令
次に、会議が何をするのかです。第115条の48第2項は、こう書いています。
会議は、厚生労働省令で定めるところにより、要介護被保険者その他の厚生労働省令で定める被保険者(以下この項において「支援対象被保険者」という。)への適切な支援を図るために必要な検討を行うとともに、支援対象被保険者が地域において自立した日常生活を営むために必要な支援体制に関する検討を行うものとする。
法律が決めているのは、次の2種類の検討です。
- 支援対象被保険者への適切な支援を図るために必要な検討
- 支援対象被保険者が地域で自立した日常生活を営むために必要な支援体制に関する検討
そして、「支援対象被保険者」の範囲と、検討の具体的な事項は、厚生労働省令に委ねられています。条文の語尾は「行うものとする」です。
検討する事項は省令が6つ挙げている
その省令が、介護保険法施行規則第140条の72の2の2です。柱書は次のとおりです。
法第百十五条の四十八第一項に規定する会議は、次に掲げる事項について検討を行うものとする。
挙げられているのは、第一号から第六号までの6つの事項です。
| 号 | 条文の書き方 |
|---|---|
| 第一号 | 次条に定める被保険者(第四号において「支援対象被保険者」という。)の健康上及び生活上の課題の解決に資する支援の内容に関する事項(次号に掲げるものを除く。) |
| 第二号 | 指定居宅介護支援等基準第十三条第十八号の二の規定により届け出られた居宅サービス計画に関する事項 |
| 第三号 | 地域における介護の提供に携わる者その他の関係者の連携の強化に関する事項 |
| 第四号 | 支援対象被保険者に共通する課題の把握に関する事項 |
| 第五号 | 地域における介護の提供に必要な社会資源の改善及び開発に関する事項 |
| 第六号 | 地域における自立した日常生活の支援のために必要な施策及び事業に関する事項 |
ここで押さえておきたい点は2つです。
- 条文が挙げているのは六つの事項で、解説でよく見る「五つの機能」とは、数も並びも一致しません。「五つの機能」は法律の語ではなく、省令の6事項とも別の整理です
- 第一号には「(次号に掲げるものを除く。)」とあります。届け出られた居宅サービス計画に関する事項は、個別の支援内容の検討とは別に、独立した事項として切り出されています
居宅介護支援事業所にとっての中心:届け出たケアプランが検討事項になる
第二号の「指定居宅介護支援等基準第十三条第十八号の二」は、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第18号の2です。次のように書かれています。
介護支援専門員は、居宅サービス計画に厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護(厚生労働大臣が定めるものに限る。以下この号において同じ。)を位置付ける場合にあっては、その利用の妥当性を検討し、当該居宅サービス計画に訪問介護が必要な理由を記載するとともに、当該居宅サービス計画を市町村に届け出なければならない。
ここから、居宅介護支援事業所の実務に関わる流れが、条文だけで整理できます。
- 居宅サービス計画に、厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護(大臣が定めるものに限る)を位置付ける
- その利用の妥当性を検討し、計画に訪問介護が必要な理由を記載する
- 計画を市町村に届け出る(「届け出なければならない」であり、義務)
- 届け出られた居宅サービス計画に関する事項は、地域ケア会議が検討する事項の1つになる(施行規則第140条の72の2の2第二号)
つまり、会議は「市町村が地域の課題を話し合う場」であるだけではありません。自事業所が届け出たケアプランが、省令の上で検討事項に位置付けられている場でもあります。届出書類の「必要な理由」の書き方が、そのまま検討の入口になる、という見方ができます。
なお、同じ第13条には第18号の3もあります。事業所で作成された居宅サービス計画の、区分支給限度基準額に占めるサービス費の割合や、訪問介護に係るサービス費がサービス費の総額に占める割合が「厚生労働大臣が定める基準に該当する場合であって、かつ、市町村からの求めがあった場合には」、計画の利用の妥当性を検討し、必要な理由等を記載して、計画を市町村に届け出なければならない、という定めです。ただし、会議の検討事項として施行規則が引いているのは第十八号の二だけです。第十八号の三の届出が検討事項に当たると読める条文は、この記事の根拠には含まれていません。
また、「厚生労働大臣が定める回数」や、第十八号の三の「厚生労働大臣が定める基準」の中身は、大臣が定めるものであり、この記事の根拠にした条文には書かれていません。具体的な数値は、最新の告示と、市町村の案内で確認してください。
支援対象になるのは誰か:要介護・要支援に限られない
第115条の48第2項の「支援対象被保険者」は、施行規則第140条の72の3が定めています。
| 号 | 条文の書き方 |
|---|---|
| 第一号 | 要介護被保険者 |
| 第二号 | 居宅要支援被保険者等 |
| 第三号 | その他市町村が支援が必要と認める被保険者 |
第二号の「居宅要支援被保険者等」は、介護保険法第115条の45第1項第一号で定義された語です。そして第三号が「その他市町村が支援が必要と認める被保険者」ですから、要介護・要支援の認定を受けている方に限られません。支援が必要かどうかの認定は市町村が行う、という書き方です。どんな方が第三号に当たるかは、条文には書かれていません。
協力を求められたら:求める権限と、求められる側の努力義務
事業所や、法人本部の窓口担当にとっていちばん実務に近いのが、第3項と第4項です。まず第3項です。
会議は、前項の検討を行うため必要があると認めるときは、関係者等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
次に、求められた側です。第4項は、こう書いています。
関係者等は、前項の規定に基づき、会議から資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力の求めがあった場合には、これに協力するよう努めなければならない。
語尾は「努めなければならない」で、協力するよう努める義務です。「協力しなければならない」とまでは書かれていません。同時に、「協力しなくてよい」とも書かれていません。
事業者側が気にするのは、「自事業所は、関係者等に当たるのか」でしょう。関係者等の定義は、第1項の「介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体」です。事業所の種類ごとに、これに当たるかどうかは、条文からは一義に決まりません。
ただし、居宅介護支援事業者だけは例外です。基準第13条第27号に、次のように書かれています。
指定居宅介護支援事業者は、法第百十五条の四十八第四項の規定に基づき、同条第一項に規定する会議から、同条第二項の検討を行うための資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力の求めがあった場合には、これに協力するよう努めなければならない。
指定居宅介護支援事業者については、事業者を名指しして、会議からの協力の求めに協力するよう努めることが、運営基準に書かれています。居宅介護支援事業所の管理者は、「うちは関係者等に当たるのか」と迷う前に、この条を確認できます。
整理すると、次のとおりです。
| 点 | 条文の書き方 |
|---|---|
| 求める側 | 会議。検討を行うため必要があると認めるときに、求めることができる(第3項) |
| 求める内容 | 資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力 |
| 求められる側 | 関係者等(第4項)。指定居宅介護支援事業者は基準第13条第27号にも書かれている |
| 義務の強さ | 協力するよう努めなければならない(第4項、基準第13条第27号) |
| 協力しなかったときの定め | この記事の根拠にした条文には書かれていない |
居宅介護支援事業者以外の事業所が、関係者等に当たるか、どの範囲まで求められるかは、条文からは断定できません。依頼が来たときは、依頼の根拠と範囲を、市町村に確認するのが確実です。
守秘義務には罰則がある:第115条の48第5項と第205条第2項
会議では、利用者の個別の事情が話題になることがあります。そこで知った情報について、第115条の48第5項は次のように書いています。
会議の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
対象は「会議の事務に従事する者又は従事していた者」で、従事を終えた後も守秘義務は続きます。禁止されているのは、「正当な理由がなく」、「会議の事務に関して知り得た秘密」を漏らすことです。
違反したときの定めは、第205条第2項にあります。条文は、複数の条項を並べた長い文なので、後半部分を引用します。
又は第百十五条の四十八第五項の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
罰則を定めた第2項の列挙のいちばん最後に、第115条の48第5項が入っています。整理すると、次のとおりです。
- 守秘義務の根拠は、第115条の48第5項
- 違反した者への罰則は、第205条第2項で、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金
- 「拘禁刑」は、条文の語である
ここで、書けることと書けないことを分けます。
- 書けること:会議の事務に従事する者・従事していた者が、正当な理由がなく秘密を漏らしたときの罰則は、条文に書かれている
- 書けないこと:会議に出席する事業所の職員が「会議の事務に従事する者」に当たるかどうか。この点を定めた条文は、この記事の根拠には含まれていない
そのため、出席する職員が守秘義務の対象かどうかは、条文だけでは断定できません。実務では、対象に当たるかどうかにかかわらず、会議で知った個人の情報を、事業所に持ち帰って共有してよい範囲を、事前に確認しておくのが無難です。どんな場合が「正当な理由」に当たるかも、条文には書かれていません。
組織と運営は「会議が定める」:名前も形も地域で違う理由
第115条の48の最後、第6項は次のとおりです。
前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、会議が定める。
ここが、地域によって名前も形も違う理由です。法律は、設置の主体、構成員の範囲、検討の枠組み、協力の求め、守秘義務までを書いたうえで、組織と運営の細目は会議自身に委ねています。
したがって、次の事項は、法律の条文では決まっていません。
- 会議の名前(「地域ケア会議」という名前も、条文の語ではない)
- 会議を何種類に分けるか、どう呼ぶか
- 開催の回数・頻度、1回あたりの時間
- 参加者の人数、事務局をどこが担うか
- 検討の様式
解説に「五つの機能」や、会議の種類の整理が出てくるのは、会議が自ら定める部分と、運用の整理が混ざっているためだと読めます。「うちの地域では、こう決まっている」という説明は、法律ではなくその会議が定めたルールとして読む必要があります。
障がい福祉の「協議会」と並べて読む:同じ6項構成、違いは構成員・主語・語尾
実は、第115条の48は、障害者総合支援法第89条の3(協議会)と、6項構成で、条文の組み立てがよく似ています。第1項で設置と構成員、第2項で役割、第3項で協力の求め、第4項で協力の努力、第5項で守秘義務、第6項で「組織及び運営に関し必要な事項は、会議(協議会)が定める」という流れです。
並べると、次の点が違います。
| 比べる点 | 地域ケア会議(介護保険法第115条の48) | 協議会(障害者総合支援法第89条の3) |
|---|---|---|
| 置く主体 | 市町村は | 地方公共団体は、単独で又は共同して |
| 構成員の書き方 | 介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体 | 関係機関、関係団体並びに障害者等及びその家族並びに障害者等の福祉、医療、教育又は雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者 |
| 第3項の語 | 意見の開陳 | 意見の表明 |
| 第4項の語尾 | 協力するよう努めなければならない | 協力するよう努めるものとする |
| 第5項の語 | 正当な理由がなく | 正当な理由なしに |
違いが出る点を、1つずつ読みます。
- 置く主体。地域ケア会議は市町村。協議会は地方公共団体で、「単独で又は共同して」と書かれ、複数の団体が共同で置くことも条文上できます
- 構成員。協議会には「障害者等及びその家族」が、条文に明記されています。一方、地域ケア会議の構成員の列挙には、被保険者ご本人やご家族は書かれていません。この2条を並べないと、見えにくい違いです
- 第3項の語。「開陳」と「表明」で、条文の語が違います
- 第4項の語尾。「努めなければならない」と「努めるものとする」です。語尾は違いますが、どちらも協力するよう努めることを定めたもので、効力の差までは、この2条の文言だけでは断定できません
また、同じ6項構成でも、第2項の中身は大きく違います。協議会の第2項は、情報の共有、連携の緊密化、体制整備の協議を役割として自ら書いています。これに対し、地域ケア会議の第2項は、「厚生労働省令で定めるところにより」と、支援対象と検討の中身を省令に委ねています。この記事の「省令が6つの事項を挙げている」という話は、この違いから来ています。第1項の目的も、地域ケア会議は第115条の45第2項第三号に掲げる事業の実施のため、協議会は障害者等への支援の体制の整備を図るため、と違います。
協議会の条文を、より詳しく読みたい方は、自立支援協議会の記事をご覧ください。介護と障がい福祉の両方のサービスを運営する法人では、2つの会議から協力を求められる場面があります。条文の組み立てが似ているぶん、構成員と語尾だけが違うと覚えておくと、混乱しません。
似た名前の会議との違い:「市町村が置く会議」か、「自事業所が開く会議」か
「会議」という言葉が並ぶので、実務では別の会議体と混ざりがちです。条文の上では、次のように主体が違います。
- 地域ケア会議:置くのは市町村(第115条の48第1項)
- サービス担当者会議:居宅サービス計画を作る介護支援専門員が開く。居宅介護支援の基準第13条第9号が、次のように定義している
介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議
地域ケア会議は市町村が置く会議、サービス担当者会議はケアマネジャーが利用者ごとに招集する会議です。事業所が自ら開く会議体としては、運営推進会議も別にあります。こちらは運営推進会議の記事で整理しています。
実務の打ち手:届出と「協力の求め」を、台帳で見える化する
ここまでが条文から言えることです。ここから先は、条文が求めていることではなく、実務上の提案です。
居宅介護支援事業所では、訪問介護を位置付けたケアプランの届出が、会議の検討事項につながると分かりました。また、会議から協力を求められる場面は、事業所ごと、担当者ごとに別々に起きがちです。次の項目を、1つの台帳(kintone などのクラウドツールでも、共有のシートでも)にまとめておくと整理しやすくなります。
| 項目 | 何のために使うか |
|---|---|
| 利用者名・居宅サービス計画の作成日 | 届け出た計画の特定 |
| 訪問介護の位置付けの有無と、告示の基準に該当するかの判定 | 第18号の2の届出が要るかの確認(基準の中身は最新の告示で確認) |
| 利用の妥当性の検討内容・訪問介護が必要な理由の記載 | 届出書類の「必要な理由」の根拠 |
| 市町村への届出日 | 届出漏れの防止 |
| 市町村からの求めの有無(第18号の3の場合) | 求めがあった場合の届出の管理 |
| 会議から求められた協力の内容(資料・情報の提供、意見の開陳など) | 第3項の「必要な協力」の範囲の記録 |
| 提供した資料や情報の控え | 何を外に出したかの確認 |
| 会議で知った情報の持ち帰り範囲 | 事業所内で共有してよい範囲の線引き |
| 市町村に確認した内容と日付 | 「正当な理由」や出席者の位置づけなど、条文では決まらない点の根拠 |
運用のポイントは3つです。
- 届出の要否を、ケアプランの作成時に判定して台帳に残す。第18号の2は「届け出なければならない」と書いているため、届出の漏れを防ぐ仕組みが要る
- 会議から求められた協力は、事業所任せにせず、法人として何を出したかが分かるようにする。事業所単位でも、一覧で把握できる状態にする
- 条文で決まらない点は、市町村に確認して記録に残す。確認先と日付があれば、担当者が代わっても説明がつく
この記事で書いていないこと
この記事は、条文の原文として確認できた範囲だけを書いています。次の点は、根拠にした条文に含まれていないため、扱っていません。
- 開催の回数・頻度、参加者の人数、1回あたりの時間、様式
- 個別の市町村の運用や、設置状況
- 解説でよく見る「五つの機能」「地域ケア個別会議」「地域ケア推進会議」の中身
- 「厚生労働大臣が定める回数」の具体的な数値と、第13条第18号の3の「厚生労働大臣が定める基準」の数値
- 居宅介護支援事業者以外の事業所が、関係者等に当たるか
- 会議に出席する個々の職員が「会議の事務に従事する者」に当たるか
- 「正当な理由」に当たる具体的な場合
- 協力の求めに応じなかった場合の扱い
- 地域包括支援センターとの関係(委託の可否など)
判断に迷うときは、会議を設置している市町村の窓口に確認してください。
まとめ
- 介護保険法の本則に「地域ケア会議」の語はなく、条文の語は単に「会議」(第115条の48)。「五つの機能」「地域ケア個別会議」「地域ケア推進会議」も条文の語ではない
- 会議を置くのは市町村で、置くことは努力義務。構成員は関係者等(介護支援専門員、専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体)
- 法律は2種類の検討を定め、支援対象と検討の中身は省令に委ねている。施行規則第140条の72の2の2は、六つの事項を挙げている
- 第二号は、訪問介護を位置付けたケアプランの届出(基準第13条第18号の2)と結びついている。居宅介護支援事業所にとって、会議は届け出たケアプランが検討事項になる場である
- 支援対象には、要介護被保険者・居宅要支援被保険者等のほか、「その他市町村が支援が必要と認める被保険者」も含まれる
- 協力を求められたら協力するよう努めなければならない(第4項)。指定居宅介護支援事業者については、基準第13条第27号にも直接書かれている
- 会議の事務に従事する者・従事していた者には守秘義務があり(第5項)、違反には一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(第205条第2項)
- 組織と運営の細目は会議が定める(第6項)。名前も形も地域で違うのは、このため
- 障がい福祉の協議会(障害者総合支援法第89条の3)とは同じ6項構成。構成員に本人・家族が明記されているのは協議会側で、第3項・第4項の語も違う
「地域ケア会議」という名前で呼ばれていても、条文が書いているのは、市町村が置く会議、省令が挙げる六つの検討事項、そして関係者等の協力の努力と秘密の保持です。自事業所が、どのケアプランを届け出て、会議から何を求められ、何を出しているのかを把握しておくことが、届出の面でも、情報の取扱いの面でも、安心して参加できる土台になります。
参考(一次情報)
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の48・第115条の45第2項・第205条第2項|e-Gov法令検索
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の72の2の2・第140条の72の3|e-Gov法令検索
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条|e-Gov法令検索
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第89条の3|e-Gov法令検索
届出と地域との連携の窓口を、法人全体で見渡せるようにしたい法人様へ
ケアプランの届出や、地域の会議への参加・資料提供の窓口は、事業所ごと、担当者ごとに任されていることが少なくありません。パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。届出の管理台帳や、関係機関とのやり取りの記録を、法人全体で見渡せる形にして、確認や引継ぎの負担をシステム側で軽くするお手伝いをしています。ITに詳しい職員がいらっしゃらなくても大丈夫です。
本記事は法律の条文を整理したものです。個別の会議の運営は、設置している市町村の案内でご確認ください。