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区分支給限度基準額|サービスの区分は条文になく厚生労働大臣が定める

「この利用者さんは、限度額に対してあとどれくらい使えるか」。ケアマネジャーの方や請求担当の方が、毎月のように確認していることだと思います。ところが、「区分支給限度基準額の対象になるサービスはどれか」を条文で確かめようとすると、一覧がどこにも出てきません。

先に結論を書きます。対象となるサービスの区分は、介護保険法の条文には書かれていません。 第43条第1項は、区分の中身を「厚生労働大臣が定める」としています。法律の条文が決めているのは、合計額の枠の考え方、市町村が条例で動かせる範囲、そして超えたときの算定を政令に委ねていること、という骨組みです。

この記事は、介護保険法(平成9年法律第123号)の第41条・第42条の2・第43条・第44条・第45条・第55条を2026年10月10日にe-Gov法令検索から取得し、その範囲で条文の構造を整理したものです。限度額の具体的な金額、対象サービスの一覧、期間の定めは、この条文の中には出てきません。 該当する箇所で、どこに委ねられているかを明記します。

「区分」の定義が、そもそも大臣に委ねられている

区分支給限度基準額の「区分」にあたるのは、第43条第1項の「居宅サービス等区分」です。この語は、条文の括弧書きで次のように定義されています。

居宅サービス等区分(居宅サービス(これに相当するサービスを含む。以下この条において同じ。)及び地域密着型サービス(これに相当するサービスを含み、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を除く。以下この条において同じ。)について、その種類ごとの相互の代替性の有無等を勘案して厚生労働大臣が定める二以上の種類からなる区分をいう。以下同じ。)

ここから、条文の文言として次のことが言えます。

  • 区分は「二以上の種類からなる」。 1つのサービス種類だけで1つの区分になる書き方ではない
  • どの種類を同じ区分にまとめるかは、「相互の代替性の有無等を勘案して厚生労働大臣が定める」。 法律の条文には、種類の組み合わせの一覧がない
  • 括弧書きのなかで、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」が、この条でいう地域密着型サービスから明文で除かれている。

3つ目は、条文に除外が書かれている数少ない点です。なお、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護そのものは、第42条の2第2項第三号に地域密着型サービスの種類の1つとして挙がっています。除かれているのは、あくまで第43条の合計額の枠のほうです。

一方で、「あのサービスは対象外ですか」という質問に、この条文だけで答えられる場面は多くありません。上の除外のように条文に明文があるものを除き、個別のサービスが区分に入るかどうかは、厚生労働大臣が定めた内容(厚生労働省の公表資料)で確認する必要があります。

第43条第1項が合計額の対象にしているのは4つの給付費

次に、何の合計を見ているのかを条文で確かめます。第43条第1項の後半は、次のように書かれています(前半は区分の定義を含む長い文なので、後半部分を引用します)。

一の居宅サービス等区分に係る居宅サービスにつき支給する居宅介護サービス費の額の総額及び特例居宅介護サービス費の額の総額並びに地域密着型サービスにつき支給する地域密着型介護サービス費の額の総額及び特例地域密着型介護サービス費の額の総額の合計額は、居宅介護サービス費等区分支給限度基準額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額の百分の九十に相当する額を超えることができない。

合計の対象として挙がっているのは、次の4つです。

条文の語意味合い
居宅介護サービス費居宅サービスについて支給する給付費
特例居宅介護サービス費居宅サービスについて支給する特例の給付費
地域密着型介護サービス費地域密着型サービスについて支給する給付費
特例地域密着型介護サービス費地域密着型サービスについて支給する特例の給付費

ここで、2点を押さえておきたいところです。

1つ目は、この4つの中に「居宅介護支援費」という語が出てこないことです。第43条第1項が合計の対象に挙げているのは上の4つで、居宅介護支援に係る給付費は挙がっていません(この記事では、居宅介護支援の給付を定める条は取り上げていません)。

2つ目は、「百分の九十」のかかり方です。条文は「区分支給限度基準額の百分の九十」とは書いていません。「区分支給限度基準額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額の百分の九十に相当する額」と書いており、基準額から省令の算定を経た額に、百分の九十がかかる構造です。省令の算定の中身は、この記事の条文には含まれていません。

また、「月を単位として厚生労働省令で定める期間」という言い方で、どの期間で合計を見るのかも省令に委ねられています。期間の長さは、条文には書かれていません。

区分支給限度基準額は大臣が定め、市町村は条例で上回る額にできる

基準額そのものは、第2項で定められています。第2項は、区分ごとの標準的な利用の態様や、第41条第4項各号・第42条の2第2項各号の基準などを勘案して「厚生労働大臣が定める額とする」としています。数字は条文に書かれていません。

そして、よく「上乗せ」と呼ばれる仕組みが第3項です。

市町村は、前項の規定にかかわらず、条例で定めるところにより、第一項の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額に代えて、その額を超える額を、当該市町村における居宅介護サービス費等区分支給限度基準額とすることができる。

読みどころは次のとおりです。

  • 主語は市町村。 事業所や利用者ではなく、市町村が条例で定める
  • 「その額を超える額」とあり、下回る額にする書き方ではない
  • 「上乗せ」という語は条文に出てこない。 条文の語は「その額を超える額を、当該市町村における…基準額とすることができる」。「できる」規定なので、すべての市町村が行うとは条文からは言えない

つまり、同じ要介護状態区分でも、市町村によって適用される基準額が異なる可能性があるということです。ある自治体の数字を、そのまま別の自治体に当てはめることはできません。実際の額は、利用者の所在地の市町村の条例と案内で確認してください。

種類支給限度基準額は別物:額は市町村が条例で定め、区分の範囲内

名前が似ているため混同されやすいのが、「種類支給限度基準額」です。第43条第4項は、次のように市町村が設けられる枠を定めています(後半部分を引用します)。

合計額について、居宅介護サービス費等種類支給限度基準額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額の百分の九十に相当する額を超えることができないこととすることができる。

そして第5項が、その基準額の決め方を定めています(後半部分を引用します)。

当該居宅サービス及び地域密着型サービスを含む居宅サービス等区分に係る第一項の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額(第三項の規定に基づき条例を定めている市町村にあっては、当該条例による措置が講じられた額とする。)の範囲内において、市町村が条例で定める額とする。

区分支給限度基準額と並べると、違いが見えます。

比べる点区分支給限度基準額(第1項〜第3項)種類支給限度基準額(第4項・第5項)
枠の単位厚生労働大臣が定める「二以上の種類からなる区分」区分に含まれる種類のうち、厚生労働大臣が定めるもの(第4項の括弧書き)の1種類ごと
額を定めるのは厚生労働大臣(第2項)。市町村は条例で超える額に代えられる(第3項)市町村が条例で定める(第5項)
設けるかどうか第1項は「超えることができない」と書く第4項は「超えることができないこととすることができる」と書く。設けるのは市町村の判断という書き方
額の制約なし(市町村が上回る額に代える場合は第3項)区分支給限度基準額の範囲内(条例で上乗せしている市町村は、上乗せ後の額が基準)

条文の文言として言えることは、種類支給限度基準額は、区分支給限度基準額の内側にしか定められないということです。「区分の限度額の範囲内で、さらに特定の種類にも上限を設ける」という入れ子の関係で、その設定は市町村の条例に委ねられています。どの種類に設けられているのか(第4項の括弧書きでは厚生労働大臣が定める)、いくらなのかは、条文に書かれていません。

福祉用具購入費と住宅改修費は、別の条にそれぞれ限度額がある

「限度額」と聞いて、福祉用具の購入や住宅改修を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。これらは、区分支給限度基準額とは別の条で、それぞれ独立に限度額が定められています。

まず、居宅介護サービス費の側を見ると、第41条第1項の括弧書きで、居宅介護サービス費の対象となる費用から「特定福祉用具の購入に要した費用を除き」と書かれています。購入費用は、居宅介護サービス費とは別に、第44条の「居宅介護福祉用具購入費」として支給される形です。

第44条第4項は、次のように総額の上限を定めています。

居宅要介護被保険者が月を単位として厚生労働省令で定める期間において購入した特定福祉用具につき支給する居宅介護福祉用具購入費の額の総額は、居宅介護福祉用具購入費支給限度基準額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額の百分の九十に相当する額を超えることができない。

第45条第4項も、住宅改修について同じ形で定めています。

居宅要介護被保険者が行った一の種類の住宅改修につき支給する居宅介護住宅改修費の額の総額は、居宅介護住宅改修費支給限度基準額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより算定した額の百分の九十に相当する額を超えることができない。

両条を区分支給限度基準額(第43条)と比べると、次の点が読み取れます。

  • それぞれの条に、独立した「支給限度基準額」の語がある。 第43条の合計額の文言には、居宅介護福祉用具購入費も居宅介護住宅改修費も出てこない
  • 額は厚生労働大臣が定める。 第44条第5項は「特定福祉用具の購入に通常要する費用を勘案して厚生労働大臣が定める額」、第45条第5項は「住宅改修の種類ごとに、通常要する費用を勘案して厚生労働大臣が定める額」。数字は条文に書かれていない
  • 住宅改修は「一の種類の住宅改修」ごとに総額を見る書き方。 期間を区切る福祉用具購入(第44条第4項)とは、枠の作り方が違う
  • 市町村が条例で上回る額に代えられる規定が、両条にある。 第44条第6項、第45条第6項は、どちらも第43条第3項と同じ形(「条例で定めるところにより…その額を超える額を…とすることができる」)で書かれている

ですから、「区分支給限度基準額の上乗せ条例がある」ことと、「福祉用具購入や住宅改修の限度額が上乗せされている」ことは、それぞれ別の条例で別々に決まりうると整理できます。

超えたらどうなるか:条文は政令に委ねている

では、合計額が上限を超える場合は、どう扱われるのでしょうか。第43条第6項は、超える場合の給付費の額について、次のように書いています(後半部分を引用します)。

第四十一条第四項各号若しくは第四十二条第三項又は第四十二条の二第二項各号若しくは第四項若しくは前条第二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより算定した額とする。

ここで言えるのは、超える場合の給付費の額は、通常の算定方法(第41条第4項各号など)の規定にかかわらず、政令で定めるところにより算定されるということです。算定の中身は政令に委ねられており、この記事で取得した条文には書かれていません。

読者の方が気になるのは、「超えた分は利用者の全額負担になるのか」という点だと思います。ただ、この抜粋では、「超えた部分をどう負担するか」を直接述べた文言を確認できません。条文が書いているのは、超える場合の「給付費の額」の算定を政令に委ねるところまでです。具体的な扱いは、政令と、厚生労働省・市町村の案内でご確認ください。

なお、障がい福祉サービスにも、利用者ごとの負担上限月額を事業所をまたいで見る仕組みがあります。そちらの条文の構造は、別の記事で扱っています。

介護予防は第55条に同じ構造がある

要支援の方の限度額は、第55条の「介護予防サービス費等区分支給限度基準額」です。第43条と並べると、項の並びと役割が対応しています。

項第43条(要介護)第55条(要支援)
第1項居宅サービス等区分ごとの合計額の上限介護予防サービス等区分ごとの合計額の上限
第2項区分支給限度基準額は厚生労働大臣が定める額介護予防サービス費等区分支給限度基準額は厚生労働大臣が定める額
第3項市町村が条例で超える額に代えられる同じ形で、市町村が条例で超える額に代えられる
第4項市町村が種類ごとの上限を設けることができる同じ形で、市町村が種類ごとの上限を設けることができる
第5項種類支給限度基準額は市町村が条例で定め、区分の範囲内同じ形で、市町村が条例で定め、区分の範囲内
第6項超える場合の給付費の額は政令で定める同じ形で、超える場合の給付費の額は政令で定める

第3項は、条文を並べるとほぼ同じ形です。

市町村は、前項の規定にかかわらず、条例で定めるところにより、第一項の介護予防サービス費等区分支給限度基準額に代えて、その額を超える額を、当該市町村における介護予防サービス費等区分支給限度基準額とすることができる。

違いは、主に3点です。

  • 対象者が「居宅要支援被保険者」で、区分の語が「介護予防サービス等区分」になる。額を決める勘案要素も「要支援状態区分」になる(第2項)
  • 勘案する基準の引用先が、第41条第4項各号・第42条の2第2項各号ではなく、第53条第2項各号・第54条の2第2項各号になる
  • 第43条第1項の括弧書きにある「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を除く」という除外が、第55条第1項の地域密着型介護予防サービスの括弧書きには書かれていない

要介護と要支援で、条の構造を一から覚え直す必要はない、ということです。ただし、額・対象となる区分・期間は、それぞれ別に定められるので、同じ数字を当てはめることはできません。

条文に書かれていないこと

ここまでの内容を、「条文に書かれていないこと」の側から整理します。

知りたいこと条文での扱い
どのサービス種類が同じ区分に入るか書かれていない。第43条第1項の括弧書きが「厚生労働大臣が定める」とする
区分ごと・要介護状態区分ごとの限度額書かれていない。第43条第2項が「厚生労働大臣が定める額」とする
合計を見る期間書かれていない。「月を単位として厚生労働省令で定める期間」とする
種類支給限度基準額の対象となる種類書かれていない。第43条第4項の括弧書きが「厚生労働大臣が定めるもの」とする
市町村ごとの上乗せ条例の有無と額書かれていない。市町村の条例で定まる(第43条第3項・第5項)
上限を超える場合の給付費の算定書かれていない。政令で定める(第43条第6項)
福祉用具購入・住宅改修の限度額の数字書かれていない。第44条第5項・第45条第5項が「厚生労働大臣が定める額」とする

具体値は、厚生労働大臣が定めた内容(厚生労働省の公表資料)と、利用者の所在地の市町村の案内で確認してください。

実務で確認する順番

条文の構造から、確認する順番を整理すると次のようになります。

  1. 利用者の要介護状態区分(要支援の場合は第55条の側)を確認する
  2. 厚生労働大臣が定めた区分と額を、厚生労働省の公表資料で確認する
  3. 所在地の市町村に、区分支給限度基準額の上乗せ条例があるかを確認する
  4. 市町村に、種類支給限度基準額の条例があるかを確認する(あるときだけ、区分の内側にもう1つ枠がある)
  5. 福祉用具購入・住宅改修は、区分とは別の枠で見る(第44条・第45条)
  6. 限度を超える見込みのときは、政令の算定方法と市町村の案内を確認する

3と4は、自治体ごとに答えが違う項目です。担当する利用者が複数の市町村にまたがる事業所は、市町村ごとの確認結果を一覧で持っておくと、毎月の確認が速くなります。

まとめ

  • 区分支給限度基準額の「区分」は、法律の条文に一覧がなく、厚生労働大臣が定める(第43条第1項の括弧書き)。条文の除外として明記されているのは、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 第43条第1項が合計額の対象に挙げるのは、居宅介護サービス費・特例居宅介護サービス費・地域密着型介護サービス費・特例地域密着型介護サービス費の4つ。「居宅介護支援費」の語は出てこない
  • 基準額の数字は厚生労働大臣が定める額(第2項)。市町村は条例で、その額を超える額に代えられる(第3項)。これが「上乗せ」にあたる
  • 種類支給限度基準額は、額を市町村が条例で定め、区分支給限度基準額の範囲内でしか定められない(第4項・第5項)
  • 福祉用具購入費(第44条)と住宅改修費(第45条)は、区分とは別の条に限度額がある。どちらにも、市町村が条例で超える額に代えられる規定がある
  • 超える場合の給付費の額は、政令で算定される(第43条第6項)。超えた部分の負担の扱いは、この抜粋からは言えない
  • 要支援は第55条に、第43条と対応する構造がある。ただし、地域密着型側の除外の書き方など、同じでない点もある

参考(一次情報)

※本記事は条文の構造を整理したもので、個別の請求判断を示すものではありません。限度額の具体値、対象サービスの区分、期間、政令・省令の算定方法、市町村の条例による上乗せ・種類支給限度基準額は、厚生労働省の公表資料および所在地の市町村の案内をご確認ください。


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