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情報公表制度|介護と障がい福祉は報告義務、従わないと指定取消し

事業所ごとに、情報公表の報告は出している。けれども法人本部としては、どの事業所がいつ何を報告したのかを一覧で言えない。もし報告しなかったら何が起きるのか、介護と障がい福祉で同じなのか、と聞かれて、すぐには答えられない。そんな不安を抱えている事務担当の方は、少なくないのではないでしょうか。

検索すると、自治体の案内ページや、行政書士・コンサルタントのブログが見つかります。多くは「自分の自治体で、どう報告するか」の手順の説明です。一方で、法律そのものが何を求め、報告しなかったときに何が書かれているかを、介護と障がい福祉、さらに障がい児支援まで並べて示したものは、あまり多くありません。

この記事は、e-Gov 法令検索の本則から抜き出した、次の条文の原文だけを根拠に整理します。

  • 介護保険法 第115条の35・第115条の44・第115条の44の2
  • 障害者総合支援法 第76条の3
  • 児童福祉法 第33条の18

この記事が答えようとする問いは次の4つです。

  • 「情報公表」という名前の制度は、どの法律に置かれているのか
  • 報告するのは誰で、公表するのは誰か
  • 報告しなかったときに、条文はどこまで書いているのか
  • 介護にだけある「経営情報」の報告は、障がい福祉と何が違うのか

なお、報告の時期・頻度・様式・操作の手順、自治体ごとの運用は、この記事の根拠にした条文には書かれていないため扱いません。法律は「厚生労働省令で定めるところにより」などと、これらを省令に委ねています。具体的な手続は、指定をした都道府県・市町村の案内で確認してください。

目次

まず結論:同じ名前の制度が3つの法律に置かれ、骨格は同じ

先に答えを示します。

  • 情報公表の制度は、介護保険法(第115条の35)、障害者総合支援法(第76条の3)、児童福祉法(第33条の18)の3つに置かれている
  • 3つとも骨格は同じで、事業者が、事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事に報告し、都道府県知事が公表する。報告するのは事業者、公表するのは都道府県知事である
  • 報告をせず、虚偽の報告をし、調査を受けず、又は調査を妨げたときは、期間を定めて命令を受ける。命令に従わないときは、指定の取消し又は効力の停止がある
  • 市町村長が指定した事業者(地域密着型サービス、居宅介護支援、特定相談支援、障害児相談支援など)については、都道府県知事が市町村長に通知する形になっている
  • 条文の語尾は3段階。報告は義務、経営情報の調査・分析と公表は努力義務、任意に提供された情報の公表は配慮
  • 介護保険法だけが、サービスの情報とは別の条文(第115条の44の2)で「介護サービス事業者経営情報」の報告義務を置いている

3つの法律を並べると、次のとおりです。

項目介護保険法障害者総合支援法児童福祉法
根拠条文第115条の35第76条の3第33条の18
報告する人介護サービス事業者指定障害福祉サービス事業者・指定一般相談支援事業者・指定特定相談支援事業者・指定障害者支援施設等の設置者指定障害児通所支援事業者・指定障害児相談支援事業者・指定障害児入所施設等の設置者
報告先事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事同左同左
公表する人都道府県知事都道府県知事都道府県知事
報告の中身を委ねる先厚生労働省令主務省令内閣府令
経営情報の独立した条文あり(第115条の44の2)なしなし

ここからは、この結論を条文で確かめます。

3つの法律に、同じ骨格の制度が置かれている

報告するのは事業者、公表するのは都道府県知事

介護保険法第115条の35第1項は、介護サービス事業者に、介護サービス情報の報告を義務づけています。報告先は、次のとおりです。

当該介護サービスを提供する事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない。

公表するのは、報告を受けた側です。第2項はこう書いています。

都道府県知事は、前項の規定による報告を受けた後、厚生労働省令で定めるところにより、当該報告の内容を公表しなければならない。

ここで取り違えやすいのが、主語です。報告するのは事業者で、公表するのは都道府県知事です。公表は、事業者が自分のホームページに載せることではなく、都道府県知事が行うことが条文の形です。

障害者総合支援法第76条の3の第1項・第2項、児童福祉法第33条の18の第1項・第2項も、同じ形で書かれています。違うのは、報告の中身や時期を委ねる先の名前だけです。

  • 介護保険法:厚生労働省令
  • 障害者総合支援法:主務省令
  • 児童福祉法:内閣府令

報告先は、市町村が指定した事業所でも都道府県知事

もう1つ押さえたいのが報告先です。第115条の35第1項の報告先は、「事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事」と1通りで、報告先を区分で枝分かれさせる書き方にはなっていません。第1項が対象にしている介護サービス事業者には、地域密着型サービスや居宅介護支援の事業者も含まれています。市町村が指定する事業所であっても、報告先は都道府県知事です。市町村長が出てくるのは、あとで見る命令と指定の取消しの場面です。

同じく介護と障がい福祉で届出先が分かれる制度に、業務管理体制の届出があります。こちらは法人の事業所の所在地などで届出先が6区分・4区分に分かれます。区分の詳細は介護と障がい福祉の業務管理体制の届出の記事で整理しています。情報公表の報告先は、条文の書き方が違い、事業所ごとに所在地を管轄する都道府県知事です。

報告の中身と時期は省令に委ねられている

第1項は、報告のタイミングを、介護サービスの「提供を開始しようとするときその他厚生労働省令で定めるとき」と書いています。障害者総合支援法も「主務省令で定めるとき」、児童福祉法も「内閣府令で定めるとき」と同じ形です。報告する情報の範囲も、省令で定めるものとされています。いつ、何を報告するのかは、法律の条文ではなく省令で決まるということです。

調査の書き方には小さな差がある

第3項の調査の根拠は、法律ごとに言葉が少し違います。

  • 介護保険法:報告に関して必要があると認めるとき、介護サービス情報のうち厚生労働省令で定めるものについて、調査を行うことができる
  • 障害者総合支援法・児童福祉法:公表を行うため必要があると認めるとき、報告が真正であることを確認するのに必要な限度において、報告の内容について調査を行うことができる

障がい福祉側は、調査の目的が「報告が真正であることの確認」と、条文の中で限定されています。

報告しなかったときは、命令と、従わないときの指定の取消し

命令の要件は「報告をせず、虚偽の報告をし、調査を受けず、妨げたとき」

報告をしなかったとき、条文は最初から取消しを書いているわけではありません。まず、都道府県知事が命令を出せる、という段階が置かれています。介護保険法第115条の35第4項です。

都道府県知事は、介護サービス事業者が第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は前項の規定による調査を受けず、若しくは調査の実施を妨げたときは、期間を定めて、当該介護サービス事業者に対し、その報告を行い、若しくはその報告の内容を是正し、又はその調査を受けることを命ずることができる。

命令の要件は、次の4つです。

  1. 報告をしない
  2. 虚偽の報告をする
  3. 調査を受けない
  4. 調査の実施を妨げる

命令の内容は「その報告を行い」「その報告の内容を是正し」「その調査を受ける」ことで、いずれも期間を定めて命じられます。障害者総合支援法第76条の3第4項、児童福祉法第33条の18第4項も、同じ構造です。

命令に従わないときに、指定の取消し又は効力の停止

命令に従わないときの定めは、第6項です。障害者総合支援法第76条の3第6項は、次のとおりです。

都道府県知事は、指定障害福祉サービス事業者若しくは指定一般相談支援事業者又は指定障害者支援施設の設置者が第四項の規定による命令に従わないときは、当該指定障害福祉サービス事業者、指定一般相談支援事業者又は指定障害者支援施設の指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。

「指定を取り消し」と「期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止する」の2つが並んでいます。いずれも「することができる」という書き方で、命令に従わなければ必ず取り消される、という形ではありません。ただし、報告を求める命令に従わないことが、指定そのものに及ぶ段階として条文に置かれていることは、押さえておく必要があります。

3つの法律の流れを並べる

流れを、項の番号で並べると次のようになります。

段階介護保険法 第115条の35障害者総合支援法 第76条の3児童福祉法 第33条の18
事業者の報告第1項第1項第1項
都道府県知事の公表第2項第2項第2項
調査第3項第3項第3項
報告せず・虚偽・調査拒否への命令第4項第4項第4項
命令をしたときの市町村長への通知第5項第5項第5項
命令に従わないときの取消し・停止第6項第6項第6項
市町村長が指定した事業者の取消し等が適当と認めるときの通知第7項第7項第7項
提供を受けた情報の公表(配慮)第115条の44第8項第8項

第1項から第7項までの並びは、3つの法律でそろっています。介護保険法だけ、配慮の規定が別の条(第115条の44)に置かれています。

なお、児童福祉法の抜粋には項番号が付いていません。上の表の児童福祉法の項番号は、条文の中の「第四項の規定による命令」「第八項において同じ」といった参照から数えたものです。

条文から言えるのは、命令と指定の取消しまで

ここで、書いていないことを正直に書いておきます。報告をしなかったときに、報酬が減算されるのか、されるならいくらかは、この記事では扱いません。減算は報酬告示など別の定めの話で、この記事の根拠にした条文には含まれないためです。条文に書かれていないことは、減算がないという意味ではありません。判断は、報酬の定めを確認したうえで行ってください。

この記事の根拠から言えるのは、命令と、命令に従わないときの指定の取消し又は効力の停止までです。

通知先が、都道府県知事と市町村長に分かれる

市町村長が指定した事業者は、知事が通知する

命令や取消しの場面では、誰が指定をしたかで流れが分かれます。障害者総合支援法第76条の3第5項は、次のように書いています。

都道府県知事は、指定特定相談支援事業者に対して前項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨をその指定をした市町村長に通知しなければならない。

指定特定相談支援事業者は、市町村長が指定をします。そのため、命令(前項の処分)をしたときは、都道府県知事が、その旨を指定した市町村長に通知することが義務づけられています。

さらに取消しの場面でも、同じ事業者については、都道府県知事が自分で取り消すのではなく、市町村長への通知という形になっています。介護保険法第115条の35第7項の後半を見ます。

理由を付して、その旨をその指定をした市町村長に通知しなければならない。

この文は、地域密着型サービス事業者などが命令に従わない場合に、取消しや効力の停止が適当であると認めるときの定めです。都道府県知事は、理由を付して、指定をした市町村長に通知します。市町村長がこの通知を受けてどう動くかを定めた条文は、この記事の根拠には含まれません。

誰に何が起きるかを、事業の種類で整理する

条文に挙げられた事業者を、通知先で分けると次のとおりです。

法律都道府県知事が取消し・停止できる都道府県知事が市町村長に通知する
介護保険法指定居宅サービス事業者、指定介護予防サービス事業者、指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院(開設者)。あとの2つは「許可」の取消し・停止指定地域密着型サービス事業者、指定居宅介護支援事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者、指定介護予防支援事業者
障害者総合支援法指定障害福祉サービス事業者、指定一般相談支援事業者、指定障害者支援施設指定特定相談支援事業者
児童福祉法指定障害児通所支援事業者、指定障害児入所施設指定障害児相談支援事業者

介護保険法の第5項は、命令をしたときに市町村長へ通知する定め、第7項は、取消しや停止が適当と認めるときに理由を付けて通知する定めです。通知は2段階あることになります。

法人が複数の種類のサービスを運営していると、同じ報告の漏れでも、事業所の種類によって、窓口になる自治体が変わることがあります。指定を受けた時点でどの自治体が指定権者かを、台帳で把握しておく意味はここにあります。

義務・努力義務・配慮の3段階を取り違えない

情報公表に関係する条文は、語尾で強さが3段階に分かれています。

段階条文の語尾例
義務「しなければならない」事業者の報告(第115条の35第1項)、都道府県知事の公表(同条第2項)、経営情報の報告(第115条の44の2第2項)
努力義務「努めるものとする」都道府県知事の経営情報の調査・分析と公表(第115条の44の2第1項)
配慮「配慮するものとする」事業者が提供を希望した情報の公表(第115条の44、障害者総合支援法第76条の3第8項、児童福祉法第33条の18第8項)

配慮の条文は、事業者が提供を希望した情報の話

介護保険法第115条の44は、見出しが「都道府県知事による情報の公表の推進」で、介護サービスの質や従業者に関する情報のうち、介護サービス情報に該当しないものを扱っています。語尾は次のとおりです。

の提供を希望する介護サービス事業者から提供を受けた当該情報について、公表を行うよう配慮するものとする。

ここでは、事業者が提供を希望した場合に、都道府県知事が公表を行うよう配慮する、という書き方です。第115条の35のように、事業者に報告を義務づける条文ではありません。障害者総合支援法第76条の3第8項と、児童福祉法第33条の18第8項も、同じ語尾で終わっています。

「情報公表」という名前の中に、義務の部分と、配慮にとどまる部分が混ざっていることになります。「公表されている情報は、全部義務で報告したもの」とは言えません。

介護保険法だけにある「介護サービス事業者経営情報」

サービスの情報とは別の条文で、報告義務が置かれている

ここからが、この記事でいちばん大事な違いです。介護保険法には、第115条の35のサービス情報の報告とは別に、第115条の44の2が置かれています。この条には見出しが付いておらず、第1項の括弧書きで「介護サービス事業者経営情報」という語が定義されています。対象は、都道府県の区域内に介護サービスを提供する事業所又は施設を有する介護サービス事業者の、事業所又は施設ごとの収益及び費用その他の厚生労働省令で定める事項です。厚生労働省令で定める者は対象から除かれています。

事業者の義務は第2項です。

介護サービス事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、介護サービス事業者経営情報を、当該事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない。

報告先は、サービス情報と同じ、事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事です。ただし、条は別、報告の対象も別です。サービス情報の報告と、経営情報の報告は、2本立てになっています。

事業者は義務、都道府県知事は努力義務

この条は、主語によって語尾が変わる作りです。第1項は都道府県知事について、次のように書いています。

調査及び分析を行い、その内容を公表するよう努めるものとする。

都道府県知事の側は、調査・分析・公表が努力義務です。第115条の35第2項の、サービス情報の公表が「公表しなければならない」と義務になっているのとは対照的です。一方、事業者の側は、第2項のとおり報告しなければならないと義務です。

事業者に義務、都道府県知事に努力義務。見落とされやすい非対称です。事業者の側からすると、「公表されるかどうかは都道府県知事の努力義務だから、報告は急がなくてもよい」とは読めません。報告そのものが義務だからです。

そのほか、厚生労働大臣は経営情報を収集・整理し、分析の結果を国民に提供できるよう必要な施策を実施するものとされています(第3項)。必要があるときは、厚生労働大臣が都道府県知事に情報の提供を求めることができます(第4項)。

経営情報の報告にも、命令と取消しの段階がある

経営情報の報告をしなかったときも、条文は命令から書いています。第6項です。

都道府県知事は、介護サービス事業者が第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、期間を定めて、当該介護サービス事業者に対し、その報告を行い、又はその報告の内容を是正することを命ずることができる。

その後の流れは、サービス情報と同じです。第7項は、命令をしたとき、指定地域密着型サービス事業者などについて、指定をした市町村長に通知する定めです。第8項は、命令に従わないときに、指定居宅サービス事業者などの指定を取り消し、又は効力を停止できる定めです。第9項は、指定地域密着型サービス事業者などについて、取消しや停止が適当と認めるときに、理由を付して市町村長に通知する定めです。

サービス情報の第4項と違う点が1つあります。経営情報の命令の要件は「報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき」の2つだけです。第115条の35のように、調査を受けない、調査を妨げる、という要件はありません。この条には、調査を定める規定が置かれていないためです。

障がい福祉と障がい児支援には、経営情報の独立した条文がない

では、障がい福祉と障がい児支援はどうなっているのでしょうか。

この記事を書くにあたって、障害者総合支援法と児童福祉法の本則を検索しました(2026年10月6日確認)。その結果、「経営情報」という語は、どちらの本則にも0回でした。対照として「情報公表」という語を調べると、どちらの本則にも13回出てきます。

つまり、障害者総合支援法と児童福祉法には、介護保険法第115条の44の2に当たる独立した条文が、条文の語の上では存在しません。法律が置いているのは、第76条の3・第33条の18の情報公表の報告で、その対象は「運営状況に関する情報」を含む情報です。障害者総合支援法第76条の3第1項は、報告する情報を次のように定義しています。

その提供する情報公表対象サービス等の内容及び情報公表対象サービス等を提供する事業者又は施設の運営状況に関する情報であって、情報公表対象サービス等を利用し、又は利用しようとする障害者等が適切かつ円滑に当該情報公表対象サービス等を利用する機会を確保するために公表されることが適当なものとして主務省令で定めるもの

児童福祉法第33条の18第1項も、同じ形で、中身を内閣府令に委ねています。どこまでを報告する情報とするかは、法律ではなく省令が決める書き方です。

ここで、書けることと書けないことを分けます。

  • 書けること:障害者総合支援法・児童福祉法の本則に「経営情報」の語はなく、介護保険法の第115条の44の2のような独立した報告義務の条は置かれていない。報告する情報の中身は、それぞれ主務省令・内閣府令に委ねられている
  • 書けないこと:事業所ごとの収益や費用が、その省令の定める情報に含まれるか。省令の中身は、この記事の根拠にした条文には含まれない

障がい福祉や障がい児支援の事業所で、収益や費用の報告が必要かどうかは、省令や指定権者の案内で確認してください。

介護と障がい福祉の違いを1枚に

比べる点介護保険法障害者総合支援法・児童福祉法
サービス情報の報告第115条の35(義務)第76条の3・第33条の18(義務)
経営情報の独立した条文あり(第115条の44の2)本則に「経営情報」の語なし
経営情報の報告義務事業者は義務、都道府県知事は努力義務独立した条文はない。中身は省令に委任
報告しなかったときの命令の要件サービス情報は4つ、経営情報は2つ4つ(報告せず・虚偽・調査を受けず・妨げた)

法人本部の備え方:事業所ごとの報告を1つの台帳にまとめる

ここまでが条文から言えることです。ここから先は、条文が求めていることではなく、実務上の提案です。

情報公表の報告は、事業所ごとに別々の担当者が行っていることが多い業務です。報告の主体は事業者ですが、法人本部としては、どの事業所が、何を、いつ報告したかを把握していないと、報告の漏れに気づけません。条文の流れを踏まえると、次の項目を1つの台帳にまとめておくと整理しやすくなります。

項目何のために使うか
事業所名・所在地・管轄する都道府県報告先(事業所の所在地を管轄する都道府県知事)の確認
サービス種別と根拠法(介護/障がい福祉/障がい児支援)どの法律の情報公表に当たるかの整理
指定をした自治体(都道府県/市町村)命令や取消しの場面で、通知が市町村長に及ぶ事業所かの把握
報告した日と担当者報告漏れの確認と、担当者の異動時の引継ぎ
報告した内容の控え内容が事実と異なっていないかの確認(虚偽の報告に当たらないようにする)
介護事業所の経営情報の報告の有無第115条の44の2は第115条の35とは別の報告であることの確認
自治体からの調査や命令の有無と対応期間を定めた命令に、期間内に対応できているかの確認

運用のポイントは3つです。

  1. 介護事業所は、サービス情報と経営情報を別々の行で管理する。条も報告の対象も別なので、片方だけ出して安心しないようにする
  2. 報告の控えを、報告した事業所任せにせず、法人本部でも保管する。命令は「期間を定めて」出るので、受けたときに、何を直すのかをすぐ確認できる状態にしておく
  3. 事業所の名称や所在地など、指定の内容が変わったときは、報告の内容も見直す。指定の内容が変わったときの届出は、指定内容の変更届の記事で整理しています。報告の内容と指定の届出の内容がずれないよう、同じ台帳で管理しておくと安心です

この記事で書いていないこと

この記事は、抜粋した条文の原文として確認できた範囲だけを書いています。次の点は、根拠にした条文に含まれていないため、扱っていません。

  • 報酬の減算(情報公表未報告減算など)の有無、単位数、率、適用時期(報酬告示の話で、条文からは言えない)
  • 報告の時期、頻度、様式、操作の手順、自治体ごとの運用
  • 省令の中身(報告する情報の範囲、経営情報の項目、経営情報の対象から除かれる者)
  • 障害者総合支援法・児童福祉法の省令に、収益や費用の報告が含まれるかどうか
  • 市町村長が、都道府県知事の通知を受けたあとに行う手続
  • 罰則
  • 介護保険法第115条の44の2第3項以降の、厚生労働大臣と都道府県知事のあいだの情報提供の詳細

判断に迷うときは、指定をした都道府県・市町村の窓口に確認してください。

まとめ

  • 情報公表の制度は、介護保険法(第115条の35)、障害者総合支援法(第76条の3)、児童福祉法(第33条の18)の3つに置かれている
  • 骨格は同じで、報告するのは事業者、公表するのは都道府県知事。報告先は、事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事
  • 報告をせず、虚偽の報告をし、調査を受けず、妨げたときは、期間を定めて命令。命令に従わないときは、指定の取消し又は効力の停止ができる。条文から言えるのはここまでで、報酬の減算の話ではない
  • 市町村長が指定した事業者は、都道府県知事が市町村長に通知する形になる。事業の種類によって窓口が分かれる
  • 条文の語尾は、義務、努力義務、配慮の3段階。配慮の条文は、事業者が提供を希望した情報の話
  • 介護保険法だけに、経営情報の報告義務を置く別の条文(第115条の44の2)がある。事業者は義務、都道府県知事は努力義務という非対称な作りで、命令の要件は2つ
  • 障害者総合支援法・児童福祉法の本則に「経営情報」の語はなく、独立した条文はない。報告する情報の中身は省令に委ねられている
  • 実務では、事業所ごと、サービス情報と経営情報ごとに、報告の状況を1つの台帳で見渡すところから始められる

情報公表は、事業所ごとの手続でありながら、報告しなかったときの責任は、指定を受けた事業者に及ぶ制度です。介護と障がい福祉の両方を運営している法人ほど、3つの法律の同じ骨格と、介護にだけある経営情報の別の条文を並べて、自法人で何を、どの事業所が報告しているのかを確かめておくことが、報告の漏れを防ぐ近道です。

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本記事は法律の条文を整理したものです。個別の事業所の報告義務や手続は、指定をした都道府県・市町村の案内でご確認ください。


参考にした一次情報

  • 介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の35(介護サービス情報の報告及び公表)・第115条の44(都道府県知事による情報の公表の推進)・第115条の44の2(見出しなし。介護サービス事業者経営情報)|e-Gov法令検索
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第76条の3(見出しなし。情報公表対象サービス等情報の報告及び公表)|e-Gov法令検索
  • 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条の18(見出しなし。情報公表対象支援情報の報告及び公表)|e-Gov法令検索

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