「モニタリングは半年に1回ですよね」
生活介護のサービス管理責任者の方からはよくこう伺います。正しいのですが、同じ法人の中に就労移行支援や自立訓練があると、その事業所だけ3か月に1回です。ここを取り違えたまま運用していて、運営指導で指摘される——という場面を何度か見てきました。
さらに、令和6年度の報酬改定で個別支援計画未作成減算が大幅に強化されました。従来は所定単位数の95%でしたが、現在は70%、状態が続けば50%です。半減します。ところが、いま検索して出てくる解説記事の多くは、まだ95%のまま書かれています。
この記事では、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条と、令和6年度改定後の留意事項通知を根拠に、モニタリングの頻度・やり方・記録、そして減算の実際を整理します。
なお、児童発達支援・放課後等デイサービスの個別支援計画は、こども家庭庁の別の枠組み(5領域との関連づけ)が加わります。そちらは個別支援計画の5領域とは|記載の必須ルールと支援プログラムの関係で扱っています。
モニタリングとは何か(条文の定義)
まず、条文がモニタリングをどう定義しているかを押さえます。基準第58条第9項です。
サービス管理責任者は、療養介護計画の作成後、療養介護計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という。)を行うとともに、少なくとも六月に一回以上、療養介護計画の見直しを行い、必要に応じて療養介護計画の変更を行うものとする。
ポイントは2つです。
- モニタリング=「実施状況の把握」+「継続的なアセスメント」。計画どおりできているかの確認だけでなく、利用者の状態を改めて見立て直すところまでがモニタリングである
- 「少なくとも6月に1回以上」は見直しの頻度。モニタリングそのものは継続的に行うものとして書かれている
「半年に1回、モニタリング表を書けばよい」という理解は、条文の順序とは逆です。日常的に把握し続けたものを、半年に1回の見直しで計画に反映する、という構造になっています。
【重要】見直しの頻度はサービスによって6か月と3か月に分かれる
基準第58条は療養介護について書かれた条文で、他のサービスは準用規定で読み替えて適用されます。このとき、一部のサービスは「六月」が「三月」に読み替えられます。
| サービス | 見直しの頻度 | 根拠(準用・読替えの条) |
|---|---|---|
| 療養介護 | 6か月 | 第58条(本則) |
| 生活介護 | 6か月 | 第93条で準用 |
| 就労継続支援A型 | 6か月 | 第197条で準用 |
| 就労継続支援B型 | 6か月 | 第202条で準用 |
| 就労定着支援 | 6か月 | 第206条の11で準用 |
| 共同生活援助(グループホーム) | 6か月 | 第213条で準用 |
| 自立訓練(機能訓練) | 3か月 | 第162条で準用(「六月」→「三月」) |
| 自立訓練(生活訓練) | 3か月 | 第171条で準用(「六月」→「三月」) |
| 就労移行支援 | 3か月 | 第184条で準用(「六月」→「三月」) |
| 自立生活援助 | 3か月 | 準用時に「六月」→「三月」 |
3か月になるのは、標準利用期間が定められている「通過型」のサービスだと整理すると覚えやすくなります。自立訓練も就労移行支援も、期限を区切って次のステージへ送り出すサービスなので、見直しの間隔も短く設定されている、という理屈です。
多機能型事業所で生活介護と就労移行支援を併設している場合、同じサービス管理責任者が、事業ごとに違う周期で計画を回すことになります。ここが実務でいちばん事故が起きるところです。
作成からモニタリングまでの流れ(第58条の全体像)
条文は、計画の作成手順を1項ずつ順番に定めています。モニタリング後の変更も「第2項から第8項までの規定を準用する」とされているため、変更のたびに同じ手順を踏む必要があります。
| 項 | やること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 1 | 管理者がサービス管理責任者に作成業務を担当させる | 作成の担当者はサビ管である |
| 2 | アセスメント(能力・環境・日常生活全般の状況等の評価を通じた希望や課題の把握)と支援内容の検討 | 自己決定の尊重と意思決定支援への配慮が明記されている |
| 3 | 意思決定が困難な利用者には、意思及び選好並びに判断能力等を丁寧に把握 | 令和3年度改正で入った規定 |
| 4 | アセスメントは利用者に面接して行う | 面接の趣旨を説明し、理解を得ることまで求められている |
| 5 | 原案の作成 | 記載事項は下記のとおり条文で決まっている |
| 6 | 担当者会議を開催し、意向を確認して原案に意見を求める | テレビ電話装置等を活用してよいと明記されている |
| 7 | 利用者または家族に説明し、文書により利用者の同意を得る | 口頭同意では足りない |
| 8 | 利用者および指定特定相談支援事業者等に交付 | 相談支援事業所への交付を忘れやすい |
| 9 | モニタリングと、6か月(一部3か月)に1回以上の見直し | 上記の表を参照 |
| 10 | モニタリングの方法(下記) | 面接と記録が条文上の義務 |
原案に書くべき事項は条文で決まっている
第5項が列挙しているのは次のとおりです。
- 利用者およびその家族の生活に対する意向
- 総合的な支援の方針
- 生活全般の質を向上させるための課題
- サービスの目標およびその達成時期
- サービスを提供する上での留意事項 等
あわせて、事業所が提供するサービス以外の保健医療サービスやその他の福祉サービス等との連携も、原案に位置付けるよう努めるとされています。
モニタリングのやり方は条文に2つ書かれている
第10項が、モニタリングの具体的な方法を定めています。
サービス管理責任者は、モニタリングに当たっては、利用者及びその家族等との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
一 定期的に利用者に面接すること。
二 定期的にモニタリングの結果を記録すること。
つまり、モニタリングで条文上必須なのは次の3つです。
- 利用者および家族等との継続的な連絡
- 定期的な面接
- 定期的な結果の記録
「記録がなければ、やっていないのと同じ」というのは運営指導でよく言われる言い回しですが、この条文がその根拠です。面接をしていても記録がなければ、第10項第2号を満たしていないことになります。
なお、「特段の事情のない限り」という留保が付いているため、入院中などで面接ができない期間があること自体は否定されていません。ただしその場合も、なぜ面接できなかったのかを記録に残しておくのが安全です。
個別支援計画未作成減算は70%・50%に強化された
ここが今回いちばんお伝えしたい点です。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定で、個別支援計画未作成減算の減算率が引き上げられ、期間に応じた段階制になりました。留意事項通知の記載は次のとおりです。
算定される単位数
- 減算が適用される月から3月未満の月については、所定単位数の100分の70
- 減算が適用される月から連続して3月以上の月については、所定単位数の100分の50
いずれも「当該所定単位数は、各種加算がなされる前の単位数とし、各種加算を含めた単位数の合計数について減算するものではない」とされています。基本報酬部分にかかる減算です。
改定前は一律で100分の95でした。5%の減算が、30%、さらに50%になったわけです。放置すれば基本報酬が半分になります。
対象サービスも広がった
令和6年度改定で、対象に就労定着支援・自立生活援助が追加されました。改定後の対象は次のとおりです。
療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型(基準該当就労継続支援B型を含む)、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助。
どういうときに減算されるのか
通知は、次のいずれかに該当する月から、その状態が解消されるに至った月の前月まで、該当する利用者につき減算するとしています。
- サービス管理責任者による指揮の下、個別支援計画が作成されていないこと
- 指定障害福祉サービス基準等に規定する個別支援計画の作成に係る一連の業務が適切に行われていないこと
2つ目が重要です。計画書という紙が存在していても、第58条の手順のどこかが欠けていれば「一連の業務が適切に行われていない」に該当し得ます。 具体的には、面接によるアセスメントをしていない、担当者会議を開いていない、文書による同意を得ていない、相談支援事業所に交付していない、6か月(3か月)を超えて見直していない、モニタリングの記録がない——といったケースです。
さらに通知は、都道府県知事が遵守を指導し、指導に従わない場合には特別な事情がある場合を除き指定の取消しを検討するとしています。
実務で事故が起きる3つのパターン
私たちが社会福祉法人様のご支援に入って実際に見てきたのは、次の3つです。
1. 多機能型で周期を取り違える
生活介護(6か月)と就労移行支援(3か月)を併設していて、事業所全体を6か月サイクルで回していた。就労移行支援の利用者だけ、見直しが期限を超えていた。
2. 期限が「人ごと」にずれていることを把握できていない
計画の期限は利用開始日を起点に人ごとにずれます。20人いれば20通りです。担当者の手元のExcelだけで管理していると、担当者が休んだ月にそのまま流れます。
3. 同意日・交付日が記録されていない
計画書に同意欄はあるが日付が空欄、相談支援事業所への交付はメールで送ったが記録が残っていない。運営指導で「いつ同意を得たか」を示せない。
記録側をどう整えるか
制度の話をしてきましたが、実務のボトルネックは制度理解ではなく、期限と根拠が1か所にまとまっていないことです。手を入れる価値が高い順に3つ挙げます。
1. 「誰の計画が、いつ切れるか」を一覧で持つ
利用者ごとに、サービス種別・前回の見直し日・次回期限(6か月後か3か月後か)を並べた一覧があるだけで、事故の大半は防げます。サービス種別から周期を自動で計算させておくと、多機能型の取り違えもなくなります。
2. 手順のチェックを計画書と同じ場所に置く
アセスメント面接日/担当者会議日/説明日/同意日/利用者への交付日/相談支援事業所への交付日。この6つの日付欄を計画書の様式そのものに持たせておくと、「一連の業務」の証跡が自動的に揃います。あとから探す作業がなくなります。
3. モニタリング記録を目標と同じ画面に置く
前回の支援目標が別のファイルにあると、モニタリング記録は目標と無関係な近況報告になりがちです。目標と記録が並んでいれば、「達成状況の評価」という条文が求めている書き方に自然と寄っていきます。
これらは大がかりなシステムを入れる話ではありません。いまお使いの様式に列を足し、置き場所を1か所に決めるだけで、かなりの部分が解決します。
サービス管理責任者そのものの資格・研修要件については、サービス管理責任者の資格要件|実務経験の数え方と研修の期限管理にまとめています。
まとめ
- モニタリングは条文上「実施状況の把握+継続的なアセスメント」。半年に1回書類を作ることではない
- 見直しの頻度は6か月が原則だが、自立訓練(機能訓練・生活訓練)・就労移行支援・自立生活援助は3か月。多機能型は事業ごとに周期が違う
- モニタリングで必須なのは、家族等との継続的な連絡・定期的な面接・定期的な結果の記録の3つ
- 計画作成では、面接によるアセスメント、担当者会議(テレビ電話可)、文書による同意、利用者と相談支援事業者等への交付が条文上の要件。変更時も同じ手順を踏む
- 個別支援計画未作成減算は令和6年度改定で70%(3月未満)・50%(連続3月以上)に強化された。 改定前の「95%」と書いている解説は古い
- 対象サービスに就労定着支援・自立生活援助が追加された
- 減算は「計画書がない」場合だけでなく、一連の業務が適切に行われていない場合にも及ぶ
- 事故を防ぐ鍵は制度理解ではなく、期限と手順の証跡を1か所に集めること
参考(一次情報)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)|厚生労働省
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について|こども家庭庁(留意事項通知・新旧対照表)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について|厚生労働省
※厚生労働省の法令等データベースにある「溶け込み版」の留意事項通知は、令和6年度報酬改定が反映されていない箇所があります(未作成減算の95%表記など)。減算率は必ず改定後の通知でご確認ください。また、様式や記載要領は指定権者ごとに定められています。
計画の期限管理と記録の手間を減らしたい法人様へ
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