利用予定の利用者から、朝になって「熱があるので休みます」と電話が入る。送迎の変更や食事の数の調整に追われるなかで、「この電話は欠席時対応加算になるのか」「どこまで記録すれば算定してよいのか」と迷った経験はないでしょうか。
欠席時対応加算は、利用者の急な欠席に事業所が対応したことを評価する加算です。ただし、連絡の日付、やりとりの中身、記録の3つがそろわないと算定の根拠を示せません。この記事では、厚生労働省の留意事項の新旧対照表(改正後の列)に書かれている範囲だけを使って、算定の条件と記録の整理をします。
この記事の前提
見た資料は2つです。1つは、厚生労働省の「実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号)の、令和8年度改定時の新旧対照表です。改定前の列ではなく、改正後の列を使っています。もう1つは、厚生労働省・こども家庭庁の「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」の令和8年度見直し反映版で、単位数と回数の上限はここから読みました。
報酬算定構造は表をPDFから機械的に読み取ったものなので、サービスの名前を直前の見出しから確かめられる行だけを載せています。1ページに2つのサービスがまたがって見出しを取り違えるおそれのある行や、1行に複数の単位数が並んでいて区分との対応が読み取れない値は、書きません。実際の請求では、最新の告示とQ&A、自治体の案内で必ず確認してください。
記録の例は、すべて弊社の例(架空の内容)です。通知が定めているものではありません。
先に結論
- 算定できるのは、急病等で利用を中止した日の前々日、前日または当日に、中止の連絡があった場合です。
- 事業所が行うのは、電話等で利用者の状況を確認し、引き続き利用を促すなどの相談援助をすることと、その内容を記録することです。直接の面会や自宅への訪問は要りません。
- 報酬算定構造では、この加算は月4回を限度として、1回につき94単位の行が多くのサービスに並んでいます。児童発達支援系には月8回の例外の注記があります。
- 何日前までなら「前々日」かの数え方、「急病等」の「等」の範囲、届出の要否は、今回確かめた通知の文言だけでは決まりません。自治体に確認してください。
対象サービスと単位数・回数の上限
報酬算定構造から、サービス名を見出しで確かめられる行を表にします。いずれも回数の上限は「月4回を限度」です。
| サービス | 回数の上限 | 単位数 |
|---|---|---|
| 生活介護 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 機能訓練 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 生活訓練 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 就労移行支援 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 就労移行支援(養成) | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 就労継続支援A型 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 就労継続支援B型 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
| 就労選択支援 | 月4回まで | 1回につき94単位 |
放課後等デイサービスは、行に「欠席時対応加算(Ⅰ)」と書かれています。
| サービス | 回数の上限 | 単位数 |
|---|---|---|
| 放課後等デイサービス(Ⅰ) | 月4回。重症心身障害児を支援し定員充足率が80%未満の場合は月8回 | 1回につき94単位 |
児童発達支援系の残りの行は、読み取りが少し複雑です。
| サービス | 回数の上限 | 読み取れる単位数 |
|---|---|---|
| 児童発達支援 | 月4回。重症心身障害児を支援し定員充足率が80%未満の場合は月8回 | 94単位と150単位の2つが並ぶ |
| (旧)主として難聴児の経過的児童発達支援 | 同上 | 94単位と150単位の2つが並ぶ |
| (旧)主として重症心身障害児の経過的児童発達支援 | 同上 | 94単位と150単位の2つが並ぶ |
| (旧)医療型の経過的児童発達支援 | 月4回 | 94単位、150単位、1000単位の3つが並ぶ |
この行は、並んだ単位数のどれがどの区分のものかが、機械的な読み取りからは決まりません。そのため、どの値がどの区分に当たるかは書いていません。ご自身の事業所の区分は、最新の報酬算定構造の表で確認してください。
生活介護の加算全体の中での位置づけは、生活介護の加算一覧の記事に、この加算の記録の要点を短くまとめています。この記事は、生活介護に限らず全サービス向けに、要件と記録を掘り下げます。
算定要件:連絡の日付
留意事項は、算定できる場合を、連絡のあった日で区切っています。留意事項には次のとおりあります。
加算の算定に当たっては、急病等によりその利用を中止した日の前々日、前日又は当日に中止の連絡があった場合について算定可能とする。
「何日前」の読み方
「前々日、前日又は当日」とあるので、利用を中止した日(利用予定だった日)を基準に、2日前・1日前・当日の3日間が対象です。弊社の読み方で、仮の日付で整理します。
| 利用予定日(仮) | 連絡の日 | 算定の対象 |
|---|---|---|
| 11月20日 | 11月18日 | 前々日に当たる |
| 11月20日 | 11月19日 | 前日に当たる |
| 11月20日 | 11月20日 | 当日に当たる |
| 11月20日 | 11月17日 | 前々日より前(通知の列挙に入らない) |
最後の行は、通知が「前々日、前日又は当日」を算定可能な場合として挙げているので、それより前の連絡は、この文言からは算定できる場合として読めない、という弊社の読み方です。
通知の文言から決まらないこと
次の点は、今回読んだ範囲に定めがありません。
- 利用予定日の前々日が土日や祝日、事業所の休業日にあたるときの数え方
- 「急病等」の「等」に、急病以外の何が入るのか(家族の都合、天候など)
- 連絡の主体(本人、家族、相談支援専門員など誰からの連絡か)
迷うときは、事業所を所管する自治体の障がい福祉担当に、具体的な場面を挙げて確認してください。
算定要件:相談援助と記録
もう1つの条件は、事業所が何をするかです。留意事項には次のとおりあります。
「利用者又はその家族等との連絡調整その他の相談支援を行う」とは、電話等により当該利用者の状況を確認し、引き続き当該指定生活介護等の利用を促すなどの相談援助を行うとともに、当該相談援助の内容を記録することであり、直接の面会や自宅への訪問等を要しない。
この文から、読み取れることは4つです。
- 手段は電話等でよい。直接の面会や自宅への訪問は要らない
- 内容は、利用者の状況の確認と、引き続き利用を促すなどの相談援助
- それに加えて、相談援助の内容を記録することが明記されている
- 条文の例示は「利用を促す」ことで、「など」とあるので、それだけに限らない書き方
この引用の「当該指定生活介護等」は、この項目の本文の言い方です。他のサービスの項目は、次の準用の形になっています。
他のサービスは準用
生活介護の項目で定められた取扱いを、他のサービスの項目が準用しています。たとえば次のような書き方です。
報酬告示第12の10の欠席時対応加算については、2の⑹の⑩の規定を準用する。
今回確認した範囲では、報酬告示の第10の4、第11の4、第11の2の7、第12の10、第13の9、第14の9が、それぞれ同じ「2の⑹の⑩」を準用しています。どの告示の号がどのサービスかは、今回の抜粋の範囲では示されていないので、ご自身のサービスの告示の号を、告示本文で確かめてください。
大切なのは、サービスが違っても、連絡の日付と相談援助の記録という2つの条件は同じ文言を使うことです。この記事の内容は、準用先のサービスにも共通して使えます。
回数の上限
報酬算定構造のほとんどの行に、「月4回を限度」と書かれています。1回あたり94単位の行が多いので、仮の数字で月の上限を計算するとこうなります。
| 算定回数(仮) | 計算 | 合計(仮) |
|---|---|---|
| 3回 | 94単位 × 3回 | 282単位 |
| 4回 | 94単位 × 4回 | 376単位 |
月に5回以上の欠席対応があっても、算定できるのは4回までです。5回目以降も、連絡と相談援助の記録は残しておいたほうが、利用者の様子を振り返るときの材料になります(弊社の整理)。
児童発達支援系と放課後等デイサービスの行には、「重症心身障害児を支援する場合に限り定員充足率が80%未満の場合は月8回を限度」という注記が付いています。(旧)医療型の経過的児童発達支援の行には、この注記がありません。条件は2つ(重症心身障害児を支援する場合、定員充足率が80%未満)なので、両方に当てはまるかを確かめます。上限が回数なのか、利用者ごとなのか、事業所全体なのかは、この表の読み取りだけでは決まりません。この点も、請求前に自治体の案内で確認してください。
届出と算定開始
今回確認した留意事項の抜粋と報酬算定構造の読み取りには、この加算に体制の届出が必要かどうかは出てきません。体制の届出が要る加算かどうかは、告示と自治体の案内で確かめてください。
記録として残すもの
留意事項が求めている記録は、「相談援助の内容」です。通知の文言から言えるのは、次の3点です。
- 電話等で利用者の状況を確認したこと
- 引き続き利用を促すなどの相談援助を行ったこと
- その内容を記録したこと
「記録する」ことそのものが、算定の条件に入っています。記録がないと、相談援助を行ったことを示せないというのが、弊社の読み方です。
通知が求める項目の名前(連絡者、時刻、様式など)は、今回読んだ範囲に定めがありません。以下は、指導で説明しやすいように弊社が整理した項目です。
| 残す項目(弊社の整理) | 理由 |
|---|---|
| 連絡を受けた日時と受けた職員 | 前々日・前日・当日のどれかを示す |
| 利用予定だった日 | 日付の数え方の基準になる |
| 連絡者(本人か家族か等) | 誰とやりとりしたかを残す |
| 欠席の理由(急病等の内容) | 急病等によるものかを示す |
| 状況確認で聞いた内容 | 通知の「状況を確認」に当たる |
| 利用を促すなどの相談援助の内容 | 通知の「相談援助の内容」に当たる |
| 当月の算定回数(何回目か) | 月4回の上限を超えないため |
記録の書き方の例(弊社の例)
次は、弊社が考えた架空の例です。通知が定めた書式ではありません。利用者の名前は「利用者A」とし、日付も仮のものです。
| 項目 | 記録の例(弊社の例) |
|---|---|
| 受付 | 11月19日8時40分 担当 サービス管理責任者 |
| 利用予定日 | 11月20日 |
| 連絡日の区分 | 前日 |
| 連絡者 | 利用者Aの家族(母)、電話 |
| 欠席の理由 | 前夜から38度台の発熱。かかりつけ医を受診予定 |
| 状況の確認 | 食事と水分は取れているか、受診の予定、普段と違う様子はないかを確認 |
| 相談援助 | 休養を勧め、次の利用予定日(11月22日)から再開できると案内。受診結果の連絡を依頼 |
| 算定 | 当月2回目 |
この例のポイントは3つあります。
- 連絡の日と利用予定日の両方を書くことで、「前日」かどうかが後から読み返して分かります
- 状況の確認と相談援助を分けて書くことで、通知の2つの動作に対応していることを示せます
- 「状況を確認した」「利用を促した」と結果だけを書くのではなく、何を聞き、何を伝えたかを短く残します
避けたい書き方(弊社の整理)
次のような書き方では、相談援助の内容が見えません。
- 「欠席の連絡あり」だけで終わる
- 「状況確認済み」「相談援助実施」のように、中身がない
- 連絡日だけで、利用予定日が書かれていない
算定できない場合・よくある誤り
今回確かめた通知から、算定できない場合の根拠として言えることは次のとおりです。
- 連絡が前々日・前日・当日の3日間に入っていない場合は、通知が算定可能な場合として挙げている日に当たらない。
- 相談援助の内容の記録がない場合は、通知が記録を明記しているので、要件を満たしたと示せない。
次の誤りは、通知の文言からは「算定の根拠にならない」と断定できませんが、指導で問われやすいと弊社は考えています(弊社の整理)。
- 欠席の連絡を受けただけで、事業所から状況の確認や利用を促す働きかけをしていない
- 月の算定回数を数えておらず、5回目以降も請求している
- 欠席の理由が急病等に当たるのか、判断の根拠が残っていない
日々の記録・台帳でどう満たすか(弊社の整理)
欠席の連絡は、電話を受けた職員のメモ、連絡帳、送迎表の変更、請求用の台帳と、あちこちに分かれて残りがちです。算定の要件を満たしているかを後から確認するには、次の3つの工夫が役に立ちます(弊社の整理)。
- 欠席対応の記録を、日々のサービス提供の記録と同じ場所に残す。 利用者ごとに、日付順で並ぶようにしておく
- 記録の項目を、前節の表のようにそろえる。 担当者が変わっても、同じ項目が書かれているようにする
- 月の算定回数が、一覧で分かるようにする。 請求前に4回を超えていないかを確かめる
送迎のある事業所では、前日までの連絡が送迎表の変更に直結します。送迎の調整と欠席対応の記録を、同じ連絡を起点に残せると二度手間が減ります。送迎の運用は、生活介護の送迎の記事で整理しています。
また、欠席が重なる利用者の様子は、個別支援計画の見直しの材料にもなります。計画の評価と見直しの考え方は、個別支援計画のモニタリングの記事で確認できます。
この記事で確かめていないこと
次の点は、今回確かめた通知と報酬算定構造の読み取りからは決まりません。
| 論点 | 確認の方法 |
|---|---|
| 前々日が休業日のときの数え方 | 自治体に確認する |
| 「急病等」の「等」の範囲 | 自治体に確認する |
| 体制の届出の要否 | 告示と自治体の案内で確認する |
| 回数の上限の単位(利用者ごとか、事業所全体か) | 最新のQ&Aと自治体で確認する |
| 児童発達支援系の区分ごとの単位数 | 最新の報酬算定構造の表で確認する |
まとめ
- 算定できるのは、急病等で利用を中止した日の前々日、前日または当日に中止の連絡があった場合
- 事業所は、電話等で状況を確認し、引き続き利用を促すなどの相談援助を行い、その内容を記録する。直接の面会や自宅への訪問は要らない
- 報酬算定構造では、多くのサービスで月4回を限度、1回につき94単位の行が並ぶ。児童発達支援系には月8回の例外の注記がある
- 他のサービスの項目は、生活介護の項目の取扱いを準用している。連絡の日付と相談援助の記録という条件は共通
- 記録には、連絡の日時、利用予定日、連絡者、欠席の理由、状況確認の内容、相談援助の内容、当月の算定回数を残しておくと、指導で説明しやすい(弊社の整理)
- 前々日の数え方、「急病等」の範囲、届出の要否、回数の上限の単位は、この記事で確かめた通知からは決まらない。自治体と最新のQ&Aで確認する
参考にした一次情報
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日障発第1031001号)令和8年度改定時の新旧対照表|厚生労働省:改正後の列の欠席時対応加算の取扱い
- 障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度見直し反映版)|厚生労働省・こども家庭庁:欠席時対応加算の回数の上限と単位数
留意事項は令和8年度改定時の新旧対照表の改正後の列、報酬算定構造は令和8年度見直し反映版を、2026年11月7日時点で確認しました。報酬算定構造の単位数は表をPDFから機械的に読み取ったもので、サービスと値の対応が読み取れない行は載せていません。本記事は通知の構造を整理したもので、個別の事業所の算定が適切かどうかを判断するものではありません。具体的な判断は、自治体と最新のQ&Aにご確認ください。
欠席の連絡と相談援助の記録を、あちこちに分けて残していませんか
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