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衛生委員会の設置|社会福祉法人の事業場ごとの人数と条文の構造

福祉の現場には「委員会」がたくさんあります。感染症対策の委員会、身体拘束の適正化の委員会、虐待防止の委員会。そのなかに「衛生委員会」という名前も混ざっていて、「うちの法人はどの委員会をどの法律で開いているのか」が、担当者の頭の中でも曖昧になりがちです。

先に結論です。衛生委員会は労働安全衛生法の制度で、設置の単位は「法人」ではなく「事業場」です。 常時五十人以上の労働者を使用する事業場ごとに設け、毎月一回以上開き、議事の概要を労働者に周知し、記録を三年間保存する。この全体が、労働安全衛生法、同法施行令、労働安全衛生規則(以下「安衛則」)の条文に分かれて書かれています。

この記事では、条文を上から順に読んで、設置の単位、委員の構成、開催の回数、周知と記録の保存を確定させます。そのうえで、社会福祉法人に特有の「事業場をどこで区切るか」という論点を、条文から言えること・言えないことに分けて整理します。

なお、ストレスチェック制度、産業医の選任要件と職務の詳細、罰則、議題の作り方や運営のコツは、条文を取得していないので扱いません。 後ろの「この記事で書いていないこと」にまとめています。

衛生委員会は「事業場ごとに」設ける(法第18条第1項と施行令第9条)

まず、設置の義務を定めた労働安全衛生法(以下「法」)第18条第1項です。柱書は次のとおりです。

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

読み取れることを分けます。

  • 義務を負うのは事業者で、設ける単位は事業場ごとであること
  • 設置が必要になる規模は政令で決まること
  • 委員会の役割は、事項を調査審議させ、事業者に対して意見を述べさせることであること

3点目は大切です。条文の言葉は「調査審議」と「意見を述べる」で、決議や承認といった語は出てきません。 衛生委員会は、事業者に意見を述べるための機関として書かれています。

調査審議させる事項は、第一号から第四号まで並んでいます。

号調査審議させる事項(条文の趣旨)
第一号労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策
第二号労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策
第三号労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るもの
第四号前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

「政令で定める規模」は、労働安全衛生法施行令(以下「施行令」)第9条にあります。

法第十八条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

つまり、常時五十人以上の労働者を使用する事業場が対象です。同じ「五十人以上」の線は、衛生管理者と産業医にも引かれています。

条文選任・設置の対象規模の線
施行令第4条衛生管理者を選任すべき事業場常時五十人以上の労働者を使用する事業場
施行令第5条産業医を選任すべき事業場常時五十人以上の労働者を使用する事業場
施行令第9条衛生委員会を設けるべき事業場常時五十人以上の労働者を使用する事業場

三つがそろって五十人で動くので、「五十人に達したら、衛生管理者と産業医と衛生委員会がセットで必要になる」と覚えておくと整理しやすくなります。ただし、衛生管理者や産業医の選任の細かい要件は、この記事では扱いません。

法人ではなく「事業場」で数える。福祉の法人でどう効くか

条文は「事業場ごとに」「常時五十人以上の労働者を使用する事業場」と書いています。「法人全体で五十人」とは書いていません。 この一点が、複数の施設を持つ社会福祉法人では大きく効きます。

次の表は、条文の形を確かめるための仮の例です(実際の法人の人数ではありません)。

区切りの仮定仮の人数五十人以上か
特別養護老人ホーム(事業場として数えた場合)80人50人以上
通所介護(同)20人50人未満
グループホーム(同)30人50人未満
法人本部(同)10人50人未満
法人全体の合計140人(条文は法人全体で数えるとは書いていない)

この仮の例で、各施設がそれぞれ別の事業場だと扱われるなら、衛生委員会が必要になるのは80人の事業場だけ、という形になりえます。

ただし、ここで正直に書いておくことがあります。どの範囲を一つの事業場とするか(同じ敷地内に複数の事業所がある場合など)は、この記事で取得した条文からは読み取れません。 施行令第9条は「事業場」の語をそのまま使っており、その区切り方の定義は抜粋の範囲にありません。あわせて、非常勤やパートの職員を「常時使用する労働者」としてどう数えるかも、条文のこの部分からは分かりません。

実務では、この区切りの判断で迷う法人が多いはずです。判断が分かれるときは、管轄の労働基準監督署など、条文の解釈を示せる窓口に確認することをおすすめします。この記事は、判断の材料を整理するところまでです。

委員は誰がなるのか(法第18条第2項・第3項)

次に委員の構成です。法第18条第2項は、委員を次の者で構成すると定めています。

衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。

四つの号があり、どの号の委員も事業者が指名します。

号委員になる者指名する人
第一号総括安全衛生管理者、またはその事業場でその事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者のうちから事業者
第二号衛生管理者のうちから事業者
第三号産業医のうちから事業者
第四号その事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者

第一号の委員については、同じ項に次のただし書があります。

ただし、第一号の者である委員は、一人とする。

第一号の委員は一人だけです。事業場のトップに当たる立場の人が、委員会の「第一号の委員」として一人入る形です。

そのほか、第3項は、その事業場の労働者で作業環境測定を実施している作業環境測定士を、委員として指名することができると定めています。「できる」規定なので、必須ではありません。

ここで読み飛ばされやすいのが、産業医が委員の一人として条文に書かれていることです。産業医が衛生委員会に出席することは、条文上は委員の構成そのものとして定められています。

議長と推薦、労働協約。準用の鎖を読み解く(法第18条第4項と第17条)

衛生委員会の条文で、読み解くのがいちばん難しいのが第18条第4項です。ここには、議長のこと、委員の推薦のこと、労働協約のことが、直接は書かれていません。 代わりに、次のように別の条文を借りてきます。

前条第三項から第五項までの規定は、衛生委員会について準用する。

「前条」は第17条(安全委員会)です。第17条の第3項から第5項が、衛生委員会にも準用されます。そして続く文に、読み替えの指示があります。

この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、「第十八条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。

なぜ読み替えが要るのかは、第17条第2項を読むと分かります。第17条第2項のただし書では、第一号の委員という言い方を、その場で定義しています。

ただし、第一号の者である委員(以下「第一号の委員」という。)は、一人とする。

第17条の中では「第一号の委員」が安全委員会の第一号の委員を指します。そのまま衛生委員会に当てはめると意味が通らないので、第18条第4項が「第十八条第二項第一号の者である委員」に読み替えるよう指示しているわけです。

準用される第17条の3つの項を、順に確認します。

安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。

事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

前二項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。

これを衛生委員会に当てはめて読むと、次の表のようになります。

準用される第17条の項衛生委員会に当てはめて読んだ内容
第3項(議長)議長は、第18条第2項第一号の者である委員がなる
第4項(推薦)第18条第2項第一号の者である委員以外の委員の半数は、過半数組合(無いときは過半数代表者)の推薦に基づき事業者が指名する
第5項(労働協約)過半数組合との労働協約に別段の定めがあれば、第3項・第4項の規定は、その限度で適用しない

読み替えとして条文に書かれているのは、第3項と第4項の「第一号の委員」の部分です。それ以外の語(たとえば「安全委員会の議長」の「安全委員会」)は、衛生委員会について準用する規定として読むことになります。この読み方は、準用という仕組みから出てくるもので、読み替えの文言として条文に書かれているわけではありません。

ここから、次の2点が条文から確定します。

  • 議長は、事業場の統括管理者などの第一号の委員がなる。 産業医や衛生管理者が議長になる定めではない
  • 第一号の委員以外の委員の半数は、労働者側の推薦に基づいて指名する。 推薦するのは、過半数組合があればその組合、無ければ過半数代表者

社会福祉法人では、労働組合が無い法人も多いので、「過半数を代表する者」の選び方が実務の論点になります。ただし、その選び方の方法は、この記事で取得した条文には書かれていません。 先に推薦を受けるべき半数がどの委員なのか(第二号から第四号のどれか)も、この項の条文には書かれていません。事業者が指名する際の運用は、条文だけでは決まらない部分が残ります。

付議事項:福祉の現場で議題になりやすい号(安衛則第22条)

法第18条第1項第四号の「重要事項」には何が含まれるのか。それを具体的に並べたのが、安衛則第22条です。

法第十八条第一項第四号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。

号は第一号から第十二号まであります。そのうち、社会福祉法人の事務担当者が自分の法人に引きつけて読みやすい号を挙げます。

衛生に関する規程の作成に関すること。

(第一号)

定期に行われる健康診断、法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行われる臨時の健康診断、法第六十六条の二の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。

(第七号)

長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。

(第九号)

労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

(第十号)

シフト制や夜勤のある現場、人の入れ替わりが多い現場では、第九号(長時間労働による健康障害の防止)や第十号(精神的健康の保持増進)、第七号(健康診断の結果とその対策)が、自法人の議題として当てはまる場面は少なくないはずです。ただし、条文が福祉の事業を名指ししているわけではありません。 条文が「含まれる」と書いているのは、あくまで例示の一覧です。

また、「含まれるものとする」という書き方からも分かるように、第22条の十二の号は網羅した決まりではなく、第18条第1項第四号に含まれる事項の例を示したものと読めます。議題の作り方や運営のコツは、この記事では扱いません。

毎月一回以上、議事の概要を周知、記録は三年間保存(安衛則第23条)

運営のルールは、安衛則第23条にまとまっています。この条は項ごとに役割が分かれているので、順に見ます。

第1項:開催は毎月一回以上

事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。

毎月一回以上です。四半期ごとや隔月ではありません。

第3項:議事の概要を、開催の都度、遅滞なく周知する

事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。

「次に掲げるいずれかの方法」は、3つです。

号周知の方法(条文の趣旨)
第一号常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること
第二号書面を労働者に交付すること
第三号事業者の使用に係る電子計算機のファイル等に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

三つ目は、記録を電子化するだけでは足りず、各作業場に、労働者が記録をいつでも確認できる機器を設置することもあわせて求められています。複数の場所で働く職員がいる福祉の現場では、「どの作業場に、どの方法で周知したか」を事業場ごとに把握しておく必要があります。

第4項:記録して三年間保存する

事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

記録する事項は、2つです。

委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容

(第一号)

第二号は、前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なものです。

「議事録」という語は、第23条には出てこない

ここは実務の感覚と条文の言葉がずれやすいところです。第23条には「議事録」という語が出てきません。 条文が使っている言葉は次のとおりです。

場面条文の言葉条文
労働者への周知議事の概要第23条第3項
保存する記録委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容、議事で重要なもの第23条第4項

周知する対象は「議事の概要」、保存する記録は「委員会の意見と、それを踏まえて講じた措置の内容」などです。逆に言えば、意見を述べるだけで終わらず、事業者が講じた措置まで記録に残すことが、条文の組み立てです。毎回の記録の書式をどうするかは条文には書かれていませんが、少なくとも「意見」と「講じた措置」を書く欄がない記録は、第4項の第一号と合わないことになります。

第2項には、前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、委員会が定めるとあります。細かな運営ルールは、委員会自身が決める余地が条文上は残されています。

第5項:産業医は調査審議を求めることができる

産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。

産業医は、委員として参加するだけでなく、委員会に対して必要な調査審議を求めることもできます。産業医の選任要件と職務の詳細は扱いませんが、この項は、産業医が受け身の立場に置かれていないことを示しています。

衛生管理者は第二種免許でよいのか(安衛則第7条)

衛生委員会の第二号の委員は、衛生管理者のうちから指名されます。では、衛生管理者はどの免許を持った人から選べるのか。安衛則第7条第1項第三号が、業種の区分に応じて決めています。

イの区分には、次の業種が並んでいます。

農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業

この区分では、第一種衛生管理者免許若しくは衛生工学衛生管理者免許を有する者(または第10条各号に掲げる者)から選任します。

ロの区分は、次のとおりです。

その他の業種

この区分では、第一種、第二種、衛生工学のいずれかの免許を有する者(または第10条各号に掲げる者)から選任できます。

イの一覧には社会福祉の事業が載っていません。そうすると、条文を読む限り、福祉の事業場はロの「その他の業種」に当たり、第二種衛生管理者免許でもよいと読めます。一方、イには医療業が入っています。 そのため、たとえば診療所を併設する法人では、事業場が医療業に当たるかどうかで必要な免許の区分が変わりえます。この記事で取得した条文には、事業場の業種をどの単位で判断するかの定めが含まれていません。併設の診療所がある法人は、確認が必要な点です。

選任の人数は、同項第四号の表が規模に応じて決めています。

事業場の規模(常時使用する労働者数)衛生管理者数
五十人以上二百人以下一人
二百人を超え五百人以下二人
五百人を超え千人以下三人
千人を超え二千人以下四人
二千人を超え三千人以下五人
三千人を超える場合六人

衛生管理者は、同項第二号により、その事業場に専属の者を選任することとされています(二人以上選任する場合の例外あり)。さらに第一号は、選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任することを求めています。専属の者ということは、法人本部の職員が複数の施設の衛生管理者を兼ねる、といった形が条文上どう扱われるのかも、確かめておきたい論点です。ただし、この点は条文の抜粋からは判断できません。

五十人未満の事業場は、何もしなくてよいのか(安衛則第23条の2)

常時五十人以上の事業場でなければ、衛生委員会は要りません。では、五十人未満の事業場は何も求められないのか。そうではありません。安衛則第23条の2は、次のように定めています。

委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

委員会を設けていない事業者は、関係労働者の意見を聴く機会を設けるようにしなければなりません。委員会という形式は取らなくても、労働者の意見を聴く場は必要、という考え方です。

ここで、条文の言葉を正確に読む必要があります。条文は「委員会を設けている事業者以外の事業者」と書いており、「五十人未満の事業場」とは書いていません。委員会には、第23条第1項で、安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会が含まれると定義されています。五十人未満の事業場に当てはまる場面が多いと考えられますが、規模の線と第23条の2の適用範囲が、条文のうえで完全に一致すると書かれているわけではありません。

また、五十人未満の事業場については、法第12条の2が別の枠組みを置いています。

事業者は、第十一条第一項の事業場及び前条第一項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものごとに、厚生労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者(第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除くものとし、第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。

前条(第12条)の第1項の事業場は、衛生管理者を選任すべき事業場で、施行令第4条により常時五十人以上です。つまり、衛生管理者を選任する事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものは、衛生推進者などを選任する枠組みに入ることが読み取れます。ただし、その省令の規模(人数)は、この記事の抜粋には含まれていません。 数字は条文で確かめてください。

「安全衛生委員会」とは何か(法第19条)

衛生委員会と似た名前に、安全衛生委員会があります。法第19条第1項は、次のように定めています。

事業者は、第十七条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。

読み取れるのは、安全衛生委員会が「安全委員会と衛生委員会の両方を設けなければならないとき」に、その二つに代えて設置できるものだということです。「できる」規定で、設置が義務というわけではありません。

では、福祉の事業場で、安全委員会と衛生委員会の両方が必要になる場面はあるのか。安全委員会を設けるべき事業場は、施行令第8条が業種と規模で定めています。第一号は次のように業種を挙げています。

林業、鉱業、建設業、製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業及び輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業及び港湾運送業、自動車整備業、機械修理業並びに清掃業

この第一号の一覧(五十人以上)には、社会福祉の事業は載っていません。一方、第二号は、次のように、別の条(第二条)の業種を引いています。

第二条第一号及び第二号に掲げる業種(前号に掲げる業種を除く。)

第二号は百人以上です。第2条第一号・第二号の業種の中身は、この記事の抜粋には含まれていません。 したがって、福祉の事業場が安全委員会の対象になるのかどうかを、この記事で断定することはできません。条文から言えるのは、第一号の一覧に福祉の事業は見当たらないところまでです。福祉の現場で「安全衛生委員会」という名前を使う場面があるのかは、第2条の業種も含めて確かめる必要があります。

また、安全衛生委員会の委員の構成は、第19条第2項に別に定められており(安全管理者及び衛生管理者のうちから、安全に関し経験を有する労働者と衛生に関し経験を有する労働者など)、第17条第3項から第5項が準用されます。この記事の主題は衛生委員会なので、第19条第2項以降の詳細は扱いません。

福祉の現場にある、ほかの委員会との関係

ここまで読んできた衛生委員会は、労働安全衛生法令の制度です。福祉の現場には、感染症対策の委員会、身体拘束適正化の委員会、虐待防止の委員会といった、別の名前の委員会もあります。これらの言葉は、この記事で読んだ労働安全衛生法・施行令・安衛則の条文には出てきません。

名前が似ていたり、同じ顔ぶれの職員が参加していたりすると、「衛生委員会をやっているから、感染症対策の委員会は兼ねている」といった説明がされることもあるかもしれません。しかし、衛生委員会の設置義務、構成、開催回数、周知、記録の保存は、これまで見てきた条文が決めているもので、介護や障がい福祉サービスの側で求められる委員会の要件とは別のものです。この記事では、後者の要件には踏み込みません。

介護保険・障がい福祉の事業所運営の側で求められる衛生管理の委員会については、別の記事で整理しています。労働安全衛生法の衛生委員会とは別の制度として読んでください。

また、衛生に関する規程を整えるときは、就業規則との関係も確認が要ります。就業規則については、次の記事で条文の構造を整理しています。

事務担当者が、台帳に残しておきたいこと

条文の構造を踏まえると、事業場ごとに整理しておきたい項目が見えてきます。以下は条文が求める項目ではなく、条文から考えた台帳の項目の提案です。

  • 事業場の区切りと、常時使用する労働者数:どの単位を事業場として数えたか、その人数の根拠(施行令第9条)
  • 衛生管理者・産業医の氏名と選任日:衛生管理者は専属で、選任事由の発生から十四日以内(安衛則第7条第1項第一号・第二号)
  • 委員の指名の記録:第一号から第四号までの委員を、誰が、いつ指名したか。推薦を受けた委員が誰か(法第18条第2項・第4項)
  • 開催日(毎月一回以上):月ごとに開催済みかが一覧で見えるようにする(安衛則第23条第1項)
  • 周知の方法と実施日:掲示、書面の交付、電磁的記録のどれで、どの作業場に、いつ周知したか(同条第3項)
  • 記録の内容と保存期限:委員会の意見、講じた措置、重要な議事を記録し、三年間保存する(同条第4項)

複数の事業場を持つ法人ほど、「どの事業場は開催済みで、どの事業場は記録の保存が漏れているか」が担当者の頭の中にしか無い状態になりがちです。事業場を1行とし、開催月を列にした一覧を1つ持つだけで、確認の手間は大きく減ります。

この記事で書いていないこと

条文を読んだ範囲では、次のことは書かれていません(または、この記事では取得していません)。この記事でも書きません。

  • 「事業場」の具体的な区切り方:同じ敷地内の複数事業所、本部と施設の関係などの判断基準
  • 非常勤・パート職員を「常時使用する労働者」としてどう数えるか
  • ストレスチェック制度の内容と、五十人未満の事業場への適用:条文を取得していません
  • 産業医の選任要件と職務の詳細:施行令第5条の規模の線だけを扱いました
  • 過半数代表者の選び方:第17条第4項の推薦の主体として出てくるだけです
  • 第一号の委員以外の委員のうち、推薦を受ける半数がどの号の委員か
  • 委員会の議題の作り方・運営のコツ・議事録の書式:条文にありません
  • 罰則の有無と金額
  • 衛生推進者の選任が必要になる規模:法第12条の2は厚生労働省令に委ねており、省令の条文を取得していません
  • 施行令第2条の業種の中身と、福祉事業場が安全委員会の対象になるか
  • 介護保険・障がい福祉サービス側の委員会の要件:別の制度であることを述べるにとどめました
  • 個別の法人・事業場が、衛生委員会を設けなければならないかの判断:本記事は条文の構造の整理です

まとめ

  • 衛生委員会は労働安全衛生法の制度で、設置の単位は事業場ごと。法人全体の人数ではなく、常時五十人以上の労働者を使用する事業場が対象(施行令第9条)
  • 委員は、第一号(事業場の統括管理者など・一人)、衛生管理者、産業医、衛生に関し経験を有する労働者の四つで構成し、すべて事業者が指名する(法第18条第2項)
  • 議長は第一号の委員がなり、第一号の委員以外の委員の半数は労働者側の推薦に基づき指名する。これらは法第18条第4項が第17条第3項から第5項を準用して定めている
  • 開催は毎月一回以上、議事の概要は開催の都度、遅滞なく周知し、委員会の意見と講じた措置の内容などを三年間保存する(安衛則第23条)。条文に「議事録」の語は出てこない
  • 福祉の事業場は、条文を読む限り第二種衛生管理者免許でよい区分と読めるが、医療業は第一種が必要な区分に入っている。併設の診療所には注意が要る
  • 事業場の区切り方や、非常勤の数え方は、条文からは読み取れない。判断が分かれるときは管轄の労働基準監督署などに確認する

参考にした一次情報

いずれも本則の条文によります。本記事は条文の構造を整理したもので、個別の法人・事業場における設置義務の有無を示すものではありません。事業場の区切りや運用は、管轄の労働基準監督署などにご確認ください。


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