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障害児支援利用計画|条文にない「セルフプラン」の根拠は第五項

「障害児支援利用計画 セルフプラン」と検索して、児童福祉法の条文を開いても、「セルフプラン」という文字は見つかりません。保護者から「セルフプランでもいいですか」と聞かれて、事業所として何をどこまで答えられるのか迷った経験のある管理者の方は多いのではないでしょうか。

先に結論を書きます。「セルフプラン」は、児童福祉法の今回読んだ条文に1回も出てこない言葉です。 条文の上でそれにあたるのは、第21条の5の7の第5項にある「同項の障害児支援利用計画案に代えて内閣府令で定める障害児支援利用計画案」です。

この記事では、次の4点を条文で整理します。

  • 原則は、指定障害児相談支援事業者が作成する計画案を市町村が求める形(第4項)
  • 保護者が代わりの計画案を出せるのは、内閣府令で定める場合(第5項)
  • どちらの計画案でも、市町村が勘案する扱いは同じ(第6項)
  • 「障害児支援利用計画」と「障害児支援利用援助」は別の語

読んだのは児童福祉法(昭和22年法律第164号)の次の条です。第6条の2の2、第21条の5の6から第21条の5の8まで、第24条の26から第24条の28まで。内閣府令の中身は読んでいません。

障害者総合支援法の「サービス等利用計画」と、事業所の「個別支援計画」との関係は、サービス等利用計画と個別支援計画|誰が作り、どう連動するのかで扱っています。この記事は、児童福祉法の障がい児通所支援の側で、「誰が計画案を作れるのか」に絞ります。

原則は第4項:指定障害児相談支援事業者が作成する計画案を求める

第21条の5の7の第4項は、市町村が計画案の提出を求める場面を定めています。

市町村は、通所支給要否決定を行うに当たつて必要と認められる場合として内閣府令で定める場合には、内閣府令で定めるところにより、前条第一項の申請に係る障害児の保護者に対し、第二十四条の二十六第一項第一号に規定する指定障害児相談支援事業者が作成する障害児支援利用計画案の提出を求めるものとする。

この条文から読み取れることは次の3つです。

  • 提出を求められるのは、通所給付決定を受けようとする障害児の保護者
  • 求める計画案は、指定障害児相談支援事業者が作成するもの
  • 求めるのは「内閣府令で定める場合」。提出を求めるかどうか自体も内閣府令が決める

つまり、第4項の形は「市町村が、内閣府令で定める場合に、指定事業者が作る計画案を保護者に求める」です。どんな場合に求めるのかは、条文には書かれていません。

例外は第5項:代わりの計画案を出せるのは、内閣府令で定める場合

続く第5項が、いわゆるセルフプランにあたる部分です。

前項の規定により障害児支援利用計画案の提出を求められた障害児の保護者は、内閣府令で定める場合には、同項の障害児支援利用計画案に代えて内閣府令で定める障害児支援利用計画案を提出することができる。

この文は、2段階の条件でできています。

  1. 前項(第4項)により、計画案の提出を求められた保護者であること
  2. 内閣府令で定める場合であること

この2つがそろったとき、保護者は、指定事業者が作成する計画案の「代わりに」、内閣府令で定める計画案を提出できます。条文の言い方は「提出することができる」です。

項誰が何を条文の言い方
第4項市町村が保護者に指定障害児相談支援事業者が作成する計画案の提出を「求めるものとする」
第5項求められた保護者が代わりの、内閣府令で定める計画案を「提出することができる」

順序としては、まず指定事業者が作成する計画案があり、その代わりとして第5項があるという作りです。ただし、第5項の「内閣府令で定める場合」がどんな場合なのか、代わりの計画案がどんな様式なのかは、条文には書かれていません。「保護者が希望すれば誰でも自分で作れる」とも、「特別な事情がなければ認められない」とも、条文からは言えません。

第6項:どちらの計画案でも、勘案の扱いは同じ

保護者の側で気になるのは、「セルフプランだと不利になるのでは」という点だと思います。この点について、第6項を見てください。

市町村は、前二項の障害児支援利用計画案の提出があつた場合には、第一項の内閣府令で定める事項及び当該障害児支援利用計画案を勘案して通所支給要否決定を行うものとする。

「前二項」は、第4項と第5項です。したがって、第4項の指定事業者が作成する計画案が出された場合も、第5項の代わりの計画案が出された場合も、市町村は、その計画案を勘案して通所支給要否決定を行うと書かれています。

読み取れることと、読み取れないことを分けておきます。

条文から言えること条文から言えないこと
第4項の計画案と第5項の計画案のどちらも、勘案の対象として書かれている計画案の内容がどう評価されるか(勘案の中身)
勘案の扱いを、2つの計画案で書き分けていない実際の運用で、計画案の種類によって手続きに差があるか

条文は「勘案する」という扱いを2つの計画案で分けていません。ただし、勘案の中身は条文に書かれていないので、運用は所在地の市町村の案内で確認してください。

「障害児支援利用計画」と「障害児支援利用援助」は別の語

ここまで「計画案」と書いてきましたが、実は児童福祉法には似た名前の語が複数あります。第6条の2の2は、まず事業の名前を定めています。

この法律で、障害児相談支援とは、障害児支援利用援助及び継続障害児支援利用援助を行うことをいい、障害児相談支援事業とは、障害児相談支援を行う事業をいう。

事業としての名前は「障害児相談支援」で、中身は「障害児支援利用援助」と「継続障害児支援利用援助」の2つです。そのうち、障害児支援利用援助の定義は、計画案を作る行為から始まります。

この法律で、障害児支援利用援助とは、第二十一条の五の六第一項又は第二十一条の五の八第一項の申請に係る障害児の心身の状況、その置かれている環境、当該障害児又はその保護者の障害児通所支援の利用に関する意向その他の事情を勘案し、利用する障害児通所支援の種類及び内容その他の内閣府令で定める事項を定めた計画(以下「障害児支援利用計画案」という。)を作成し

この定義の後半には、通所給付決定(または変更の決定)が行われた後に、関係者との連絡調整その他の便宜を供与するとともに、「障害児支援利用計画」を作成するという流れが続いています。整理すると、次のようになります。

語何を指すか条文の位置
障害児支援利用計画案給付決定等の前に作る計画(市町村への提出の対象)第6条の2の2(障害児支援利用援助の定義)
障害児支援利用計画給付決定等が行われた後に作る計画同上
障害児支援利用援助上の2つの計画を作ることなどを含む、事業の名前の一部同上
継続障害児支援利用援助計画が適切かどうかを検証し、見直す事業の名前の一部同じ条の次の項

計画は成果物、援助は事業の中身、と覚えると混乱しません。保護者が第5項で提出できるとされているのは、計画案です。通所給付決定の後に作る「障害児支援利用計画」について、同じように保護者が作る形があるのかどうかは、今回読んだ条文からは分かりません。

継続障害児支援利用援助は、決定後の見直しの仕組みです。

当該通所給付決定に係る障害児支援利用計画(この項の規定により変更されたものを含む。以下この項において同じ。)が適切であるかどうかにつき、内閣府令で定める期間ごとに、当該通所給付決定保護者の障害児通所支援の利用状況を検証し

見直しの頻度は「内閣府令で定める期間ごと」とされており、条文には具体的な期間が書かれていません。

誰が「作る側」になれるのか:指定障害児相談支援事業者

第4項は、作成する者を「第二十四条の二十六第一項第一号に規定する指定障害児相談支援事業者」と書いていました。その第24条の26第1項第1号は、費用の支給の面から、この事業者を定義しています。

市町村長が指定する障害児相談支援事業を行う者(以下「指定障害児相談支援事業者」という。)から当該指定に係る障害児支援利用援助(次項において「指定障害児支援利用援助」という。)を受けた場合であつて、当該申請に係る給付決定等を受けたとき。

この号は、第4項で計画案の提出を求められた保護者が、指定事業者から障害児支援利用援助を受け、給付決定等を受けたときに、市町村が障害児相談支援給付費を支給する場面を定めています(費用は障害児相談支援給付費として扱われます)。

なお、指定の手続きそのものは第24条の28にあります。指定は、市町村長が事業所ごとに行います。

内閣府令で定めるところにより、総合的に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第十九項に規定する相談支援を行う者として内閣府令で定める基準に該当する者の申請により、障害児相談支援事業を行う事業所(以下「障害児相談支援事業所」という。)ごとに行う。

同じ条の後半には、読み替えの規定もあり、「法人」と読み替えるとされています。つまり、指定を受けられる者の要件には、内閣府令で定める基準と、法人であることが関わっています。

障がい児通所支援の事業所を運営している法人が、障害児相談支援事業所も持つ場合、計画案を作る側にもなれる、ということです。ただし、指定の基準の中身は内閣府令に委ねられています。

通所給付決定には有効期間があり、支給量は月単位で決まる

計画案は、通所給付決定のために使われます。その決定について、同じ第21条の5の7が次のように定めています。

市町村は、通所給付決定を行う場合には、障害児通所支援の種類ごとに月を単位として内閣府令で定める期間において障害児通所給付費等を支給する障害児通所支援の量(以下「支給量」という。)を定めなければならない。

通所給付決定は、内閣府令で定める期間(以下「通所給付決定の有効期間」という。)内に限り、その効力を有する。

支給量は、障害児通所支援の種類ごとに月を単位として決められ、決定には有効期間があります。決定をしたときは、市町村が通所受給者証を交付します(同条)。有効期間の長さも、支給量を定める期間も、条文では「内閣府令で定める」とされており、具体的な数字は書かれていません。

継続障害児支援利用援助が「通所給付決定の有効期間内において」と書かれていた(第6条の2の2)のは、この有効期間のことです。計画の見直しは、決定の有効期間の中で行う仕組みとして書かれています。

条文が決めていないこと:内閣府令への委任が非常に多い

ここまで読んだ範囲でも、条文が「内閣府令で定める」と委ねている点が多くあります。

論点条文の書き方条文で分かること条文では分からないこと
計画案の提出を求める場合「内閣府令で定める場合」(第4項)求めるのは市町村どんな場合か
代わりの計画案を出せる場合「内閣府令で定める場合」(第5項)求められた保護者が出せるどんな場合か
代わりの計画案の様式「内閣府令で定める障害児支援利用計画案」(第5項)内閣府令に定めがある中身
計画の記載事項「内閣府令で定める事項」(第6条の2の2)利用する支援の種類・内容など全ての記載事項
見直しの期間「内閣府令で定める期間ごと」(第6条の2の2)期間ごとに検証する期間の長さ
決定の有効期間と支給量の期間「内閣府令で定める期間」(第21条の5の7)有効期間内に限り効力がある期間の長さ
指定の基準「内閣府令で定める基準」(第24条の28)申請により事業所ごとに指定基準の中身

今回読んだ範囲では、どんな場合に保護者が代わりの計画案を出せるのかを、条文だけで決めることはできません。施行時期や経過措置の有無も、今回の抜粋には書かれていません。

したがって、保護者から「セルフプランでもいいですか」と聞かれたときは、次のように案内するのが安全です。

  • 条文上は、第5項に「代わりの計画案を提出できる」という定めがあること
  • それが認められる場合や様式は内閣府令が決めていること
  • 実際に提出を求められるか、代わりの計画案が認められるかは、所在地の市町村の案内で確認すること

事業所として、こうした確認の記録は残しておきたいところです。「いつ、どの市町村の、どの案内を確認したか」を記録しておくと、担当者が替わっても同じ答え方を引き継げます。

まとめ

  • 「セルフプラン」という語は、今回読んだ児童福祉法の条文に出てこない。条文上は、第21条の5の7第5項の「同項の障害児支援利用計画案に代えて内閣府令で定める障害児支援利用計画案」にあたる
  • 第4項は、市町村が、内閣府令で定める場合に、指定障害児相談支援事業者が作成する計画案の提出を求める形。提出を求めるかどうか自体も内閣府令が決める
  • 第5項は、第4項で求められた保護者が、内閣府令で定める場合に、代わりの計画案を提出できるとする。原則と例外の順序で読める
  • 第6項は「前二項」(第4項と第5項)の計画案が出されたとき、市町村はそれを勘案して通所支給要否決定を行う、と書く。勘案の扱いは2つの計画案で分けられていない
  • 「障害児支援利用計画」(成果物)と「障害児支援利用援助」(事業の中身)は別の語。事業としての名前は障害児相談支援
  • 指定障害児相談支援事業者の指定は、第24条の28により、市町村長が事業所ごとに行う
  • 通所給付決定には有効期間があり、支給量は障害児通所支援の種類ごとに月を単位として定められる
  • どんな場合に代わりの計画案が認められるか、様式、見直しの期間は条文では決まっていない。所在地の市町村の案内で確認する

参考(一次情報)

本記事は児童福祉法の条文の構造を整理したもので、個別の事案への判断を示すものではありません。内閣府令の内容、施行時期、代わりの計画案が認められる場合、様式、見直しの期間は、所在地の市町村が公表している最新の案内でご確認ください。


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