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障害児通所給付費|支給は市町村、事業者の指定は都道府県知事です

児童発達支援や放課後等デイサービスを運営していると、やり取りする行政が2種類あります。受給者証を出し、お金を支払ってくる市町村。指定を出し、基準を定める都道府県。

これは運用の都合ではなく、条文がそう書き分けているためです。児童福祉法第21条の5の3第1項は、給付費を支給するのは市町村だと書きながら、その対象になる事業者は都道府県知事が指定するものだと書いています。1つの文に、2つの行政機関が出てきます。

読むのは2026年10月15日に取得した児童福祉法(以下「法」)の条文だけです。内閣府令や政令の中身、利用者負担の上限額、請求の実務上の運用は条文に無いので、最後の節で正直に挙げます。

支給するのは市町村、指定するのは都道府県知事

軸になる条文です。長いのですが、主語が市町村で、途中に都道府県知事が出てきます。

市町村は、通所給付決定保護者が、第二十一条の五の七第八項に規定する通所給付決定の有効期間内において、都道府県知事が指定する障害児通所支援事業を行う者(以下「指定障害児通所支援事業者」という。)から障害児通所支援(以下「指定通所支援」という。)を受けたときは、当該通所給付決定保護者に対し、当該指定通所支援(同条第七項に規定する支給量の範囲内のものに限る。以下この条及び次条において同じ。)に要した費用(食事の提供に要する費用その他の日常生活に要する費用のうち内閣府令で定める費用(以下「通所特定費用」という。)を除く。)について、障害児通所給付費を支給する。

5つの要素が1文に詰まっています。

要素条文の書き方
支給する者市町村
支給される相手通所給付決定保護者(事業者ではありません)
事業者を指定する者都道府県知事
支給される範囲有効期間内、かつ支給量の範囲内のもの
対象から外れる費用通所特定費用(食事の提供に要する費用その他の日常生活に要する費用のうち内閣府令で定める費用)

押さえておきたいのは、条文の上では、給付費は事業者にではなく保護者に支給される建て付けだということです。事業所の口座に入金される仕組みは、第21条の5の7第11項に別に書かれています。この書き分けは一貫していて、基準該当通所支援の基準は都道府県の条例で定めるとされ、市町村が請求を審査するときに照らす設備運営基準も都道府県の側にあります。

入所と通所で、役割分担が違う

弊社では先に障害児入所支援の記事を出しています。入所の側は、給付費を支給するのも事業者を指定するのも都道府県でした。通所はそうではありません。同じ児童福祉法の中で、入所と通所とで役割分担が違います。(入所の条文は今回の抜粋に含めていないので、引用は上の記事をご覧ください。)

役割の分かれ方はもう一箇所にもあります。法第21条の5の10は、都道府県が市町村の求めに応じ、児童相談所等による技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助を行うものとする、と定めています。通所給付決定を行うのは市町村で、都道府県は指定・基準の設定・市町村への援助という形で出てきます。実務では、受給者証や支給量を相談する相手は市町村、指定の申請や基準の解釈を相談する相手は都道府県です。

支給の対象になる障害児通所支援は4つ

何に対して給付費が出るのかは、法第21条の5の2です。

障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費の支給は、次に掲げる障害児通所支援に関して次条及び第二十一条の五の四の規定により支給する給付とする。

並んでいるのは次の4つです。条文の表記のまま書きます。

号障害児通所支援の種類
一児童発達支援(治療に係るものを除く。)
二放課後等デイサービス
三居宅訪問型児童発達支援
四保育所等訪問支援

読みどころは第一号です。カッコ書きの限定が付いているのは児童発達支援だけで、「治療に係るものを除く。」とされています。 残る3つに限定はなく、除かれた先の扱いは条文からは分かりません。なお、この条が対象にしているのは障害児通所給付費と特例障害児通所給付費で、高額障害児通所給付費は別の条(第21条の5の12)に置かれています。

額の組み立て:基準で計算した額から、政令で定める額を引く

額は、法第21条の5の3第2項が「一月につき、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除して得た額」と定めています。第一号が算定の側です。

同一の月に受けた指定通所支援について、障害児通所支援の種類ごとに指定通所支援に通常要する費用(通所特定費用を除く。)につき、内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定通所支援に要した費用(通所特定費用を除く。)の額を超えるときは、当該現に指定通所支援に要した費用の額)を合計した額

算定の基準を定めるのは内閣総理大臣です。そして、基準で計算した額が実際にかかった費用を上回るときは、実際にかかった費用の額を採るというカッコ書きが入っています。第二号が控除する側です。

当該通所給付決定保護者の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(当該政令で定める額が前号に掲げる額の百分の十に相当する額を超えるときは、当該相当する額)

控除額は政令で定められますが、それが第一号の額の百分の十を超えるときは百分の十に相当する額になると、条文が頭を押さえています。金額そのものは政令の側です。災害その他の特別の事情で負担が困難だと市町村が認めた場合の読み替えは、法第21条の5の11にあります。

通所給付決定の流れ:申請から通所受給者証まで

給付費を受けるには、保護者が市町村の通所給付決定を受けなければなりません(法第21条の5の5第1項)。どの市町村が行うかも同条が決めています。

通所給付決定は、障害児の保護者の居住地の市町村が行うものとする。

居住地を有しないとき、または明らかでないときは現在地の市町村、というただし書きが続きます。基準になるのは障害児本人ではなく保護者の居住地です。流れは条文の順に、申請(第21条の5の6第1項)、職員による面接調査(同条第2項。指定障害児相談支援事業者等に委託できます)、勘案と通所支給要否決定(第21条の5の7第1項)、障害児支援利用計画案(同条第4項・第5項)、支給量(第7項)と有効期間(第8項)、通所受給者証の交付(第9項)と進みます。

勘案事項は、条文が具体的に挙げています。

市町村は、前条第一項の申請が行われたときは、当該申請に係る障害児の心身の状態、当該障害児の介護を行う者の状況、当該障害児及びその保護者の障害児通所支援の利用に関する意向その他の内閣府令で定める事項を勘案して障害児通所給付費等の支給の要否の決定(以下この条及び第三十三条の二十三の二第一項第二号において「通所支給要否決定」という。)を行うものとする。

障害児の状態だけでなく、介護を行う者の状況と、障害児およびその保護者の利用に関する意向が並んでいます。計画案は、市町村が内閣府令で定める場合に提出を求め、保護者は内閣府令で定める場合に別の計画案を提出できるとされています。作り方やセルフプランの扱いは障害児支援利用計画とセルフプランの記事で扱っているので、ここでは流れの1ステップとしてだけ触れます。

支給量は種類ごとに、月を単位として定めるとされ、通所給付決定は内閣府令で定める期間内に限り効力を有します。そして交付です。

市町村は、通所給付決定をしたときは、当該通所給付決定保護者に対し、内閣府令で定めるところにより、支給量、通所給付決定の有効期間その他の内閣府令で定める事項を記載した通所受給者証(以下「通所受給者証」という。)を交付しなければならない。

支給量と有効期間が、通所受給者証の記載事項として条文に名指しされています。 事業所が受給者証を確認する作業は、この2つが第21条の5の3第1項の支給の範囲そのものだからです。決定後の変更は第21条の5の8、取消しは第21条の5の9にあり、有効期間内に他の市町村の区域内に居住地を有するに至ったときが取消し事由に入っています。

受給者証の提示と、事業所にお金が届く経路

ここからが請求事務に直結します。まず提示です(法第21条の5の7第10項)。

指定通所支援を受けようとする通所給付決定保護者は、内閣府令で定めるところにより、指定障害児通所支援事業者に通所受給者証を提示して当該指定通所支援を受けるものとする。

この後に、緊急の場合その他やむを得ない事由のある場合はこの限りでない、というただし書きが続きます。提示が効いてくるのが第11項です。

通所給付決定保護者が指定障害児通所支援事業者から指定通所支援を受けたとき(当該通所給付決定保護者が当該指定障害児通所支援事業者に通所受給者証を提示したときに限る。)は、市町村は、当該通所給付決定保護者が当該指定障害児通所支援事業者に支払うべき当該指定通所支援に要した費用(通所特定費用を除く。)について、障害児通所給付費として当該通所給付決定保護者に支給すべき額の限度において、当該通所給付決定保護者に代わり、当該指定障害児通所支援事業者に支払うことができる。

本来は保護者が事業者に費用を支払う。保護者には給付費が支給される。市町村はその限度で、保護者に代わって事業者に支払うことができる。この順序です。続く第12項が、支払があったときは保護者に給付費の支給があったものとみなす、と締めています。事業所の口座に入る入金は、条文の上では「保護者への支給」なのです。 この考え方は法定代理受領の記事で整理しています。第11項が働くのは「通所受給者証を提示したときに限る」とされている点も、受給者証の確認が事務の入口になっている根拠です。

請求の審査は第13項です。

市町村は、指定障害児通所支援事業者から障害児通所給付費の請求があつたときは、第二十一条の五の三第二項第一号の内閣総理大臣が定める基準及び第二十一条の五の十九第二項の指定通所支援の事業の設備及び運営に関する基準(指定通所支援の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。

物差しが2つ名指しされています。内閣総理大臣が定める算定基準と、設備及び運営に関する基準のうち取扱いに関する部分です。後者は都道府県の側にある基準で、支給するのは市町村でも、審査で照らす基準の一方は都道府県が定めている形になっています。この審査と支払の事務は、第14項により連合会に委託することができます(委託は義務ではありません)。

特例障害児通所給付費:決定前の利用と、基準該当通所支援

名前の似た2つの給付費を分けておきます。まず特例障害児通所給付費(法第21条の5の4第1項)です。

市町村は、次に掲げる場合において、必要があると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、当該指定通所支援又は第二号に規定する基準該当通所支援(第二十一条の五の七第七項に規定する支給量の範囲内のものに限る。)に要した費用(通所特定費用を除く。)について、特例障害児通所給付費を支給することができる。

障害児通所給付費が「支給する」なのに対し、こちらは「必要があると認めるときは」「支給することができる」です。場合は3つで、第一号は申請をした日から通所給付決定の効力が生じた日の前日までの間に、緊急その他やむを得ない理由により指定通所支援を受けたとき。第二号は基準該当通所支援を受けたときで、都道府県の条例で定める基準を満たすと認められる事業を行う事業所によるものに限られます。第三号は、その他政令で定めるときです。額は第3項で、算定した額から政令で定める額(合計額の百分の十が頭)を控除して得た額を基準として、市町村が定めるとされています。

高額障害児通所給付費:支給済みの額を引いて、著しく高額なとき

もう1つが高額障害児通所給付費(法第21条の5の12第1項)です。

市町村は、通所給付決定保護者が受けた障害児通所支援に要した費用の合計額(内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に要した費用の額を超えるときは、当該現に要した額)の合計額を限度とする。)から当該費用につき支給された障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費の合計額を控除して得た額が、著しく高額であるときは、当該通所給付決定保護者に対し、高額障害児通所給付費を支給する。

費用の合計額から、既に支給された障害児通所給付費と特例障害児通所給付費の合計額を控除し、残った額が著しく高額であるときに支給されます。支給要件と支給額は第2項により政令で定めるとされているので、「著しく高額」がいくらからなのかは条文からは分かりません。

満18歳を過ぎた放課後等デイサービス:第21条の5の13

事業所から質問が出やすいのが、高校卒業の時期です。法第21条の5の13第1項がこの場面を書いています。

市町村は、第二十一条の五の三第一項、第二十一条の五の四第一項又は前条第一項の規定にかかわらず、放課後等デイサービスを受けている障害児(以下この項において「通所者」という。)について、引き続き放課後等デイサービスを受けなければその福祉を損なうおそれがあると認めるときは、当該通所者が満十八歳に達した後においても、当該通所者からの申請により、当該通所者が満二十歳に達するまで、内閣府令で定めるところにより、引き続き放課後等デイサービスに係る障害児通所給付費、特例障害児通所給付費又は高額障害児通所給付費(次項において「放課後等デイサービス障害児通所給付費等」という。)を支給することができる。

読み取れる要件です。4つのうち、この条が名指ししているのは放課後等デイサービスだけ。引き続き受けなければその福祉を損なうおそれがあると市町村が認めることが要り、申請の主体は保護者ではなく当該通所者からの申請と書かれています。期限は満二十歳に達するまでで、「支給することができる」という書き方です。

ただし書きも重要で、当該通所者が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第7項に規定する生活介護その他の支援を受けることができる場合は、この限りでないとされています。第2項は、その者を障害児または障害児の保護者とみなして第21条の5の3から前条までを適用するとし、技術的読替えは政令に委ねています。

条文に書かれていないこと

ここまで読んだ条文には、次の内容は書かれていません。

  • 内閣府令の中身:申請の方法、調査の事項、支給量を定める期間、有効期間の長さ、通所受給者証の様式
  • 通所特定費用の範囲:日常生活に要する費用のうち、どれが当たるか
  • 内閣総理大臣が定める基準の中身:算定の単位数や区分
  • 利用者負担の上限額と所得区分:百分の十という頭の押さえ方は条文にありますが、月額の上限額や区分は政令の側です。無償化の取扱いも出てきません
  • 請求の締め日と、国保連(連合会)の実務上の運用:第13項は審査の上支払うと書くだけで、期限はありません
  • 「著しく高額」の基準:高額障害児通所給付費の支給要件と支給額は、政令で定めるとされています
  • 指定の手続:指定障害児通所支援事業者の指定の申請、要件、更新、取消しの条文は、今回の抜粋に含めていません

法第21条の5の14は、この款に定めるもののほか、3つの給付費の支給と指定障害児通所支援事業者の請求に関し必要な事項は内閣府令で定める、としています。請求事務の具体的なところが法律に見当たらないのは当然、ということです。実際の取扱いは、内閣府令・政令と、所管の市町村・都道府県の案内でご確認ください。

まとめ

  • 障害児通所給付費を支給するのは市町村、対象になる事業者を指定するのは都道府県知事(法第21条の5の3第1項)。別記事で扱った障害児入所支援は支給も指定も都道府県で、入所と通所で役割分担が違う
  • 対象は4つ。カッコ書きの限定が付くのは児童発達支援(治療に係るものを除く。)だけ(第21条の5の2)
  • 額は、内閣総理大臣が定める基準で算定した額(現に要した費用が下回るときはその額)から政令で定める額を控除した額。控除額は算定額の百分の十が頭(第21条の5の3第2項)
  • 通所給付決定は保護者の居住地の市町村が行い、支給量と有効期間が通所受給者証の記載事項として条文に名指しされている(第21条の5の7第9項)
  • 事業所への入金は、受給者証を提示したときに限り市町村が保護者に代わって支払う形で、支払があれば保護者に支給があったものとみなされる(同条第11項・第12項)
  • 特例障害児通所給付費は「支給することができる」で、決定前の緊急等の利用と基準該当通所支援が主な場面(第21条の5の4)。高額障害児通所給付費は、支給済みの2つを控除した残りが著しく高額であるとき(第21条の5の12)
  • 放課後等デイサービスは、本人の申請により満二十歳に達するまで支給できる。生活介護その他の支援を受けることができる場合は除かれる(第21条の5の13)

参考(一次情報)

本記事は条文の構造を整理したもので、個別の支給決定や請求の可否を示すものではありません。内閣府令・政令の内容や請求の実務上の取扱いは、所管の市町村と都道府県の最新の案内をご確認ください。


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