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認知症専門ケア加算|対象者の割合・研修・会議・Q&Aを留意事項で整理

認知症専門ケア加算を算定しようとすると、「対象者の割合はどの期間で、どの人数を使って計算するのか」「研修修了者は常勤でなければいけないのか」「(Ⅰ)と(Ⅱ)で何が違うのか」「会議は何か月に1回なのか」と、確かめたい点が次々に出てくるのではないでしょうか。

認知症専門ケア加算は、認知症の利用者や入所者に専門的なケアを行ったときに算定する加算です。割合の数え方や研修のQ&Aは、留意事項の通知とQ&Aに具体的に書かれています。この記事では、その原文を引用しながら、根拠、対象者の考え方、割合の計算、研修修了者の配置、Q&A、併算定、記録と届出の実務を順に整理します。

この記事の前提(見た資料と版)

この記事は、次の資料を見て書いています。

  • 告示: 厚生労働省告示第86号(令和6年3月)の新旧対照表の「改正後」の列です。告示の本文と、大臣基準告示の改正部分が含まれ、変わらなかった部分は(略)になっています。
  • 留意事項: 老企第36号、老企第40号の令和6年度改定時の新旧対照表(抄)の「新」の列です。令和7年中に通知が改正されている場合の反映は確認できていません。
  • Q&A: 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1、令和6年3月15日)の問17〜問26です。
  • 単位数: 介護報酬の算定構造(令和8年6月改定反映版)です。ただし、この加算の欄は表の読み取りが崩れており、読み取れた値は限られます。
  • 令和8年度改定(令和8年6月施行)の告示第87号を数えたところ、認知症専門ケア加算の語は出てきませんでした。

資料から決まらないことは、「決まらない」と書きます。実際の算定前に、所管の自治体と最新の通知で確かめてください。

先に結論

  • 対象者は、認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅡ、Ⅲ、Ⅳ又はMを「周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者」として扱い、ランクⅢ、Ⅳ又はMを「日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」として扱います。
  • 訪問系サービスのQ&Aでは、(Ⅰ)はⅡ以上の割合が50%以上、(Ⅱ)はⅢ以上の割合が20%以上と示されています。
  • 割合は算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均で算定し、届出後も毎月割合を記録します。下回ったときは直ちに届出が必要です。
  • 研修修了者の配置に常勤の条件はありませんが、加算対象事業所の職員であることが必要です。
  • 会議の頻度、(Ⅱ)の研修計画の中身、大臣基準告示の本文は、この記事で見た抜粋では決まりません。

この加算は何か(根拠)

告示の本文は、認知症専門ケア加算を次のように定めています。特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)の欄の書き方です。

告示には次のとおりあります。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定介護老人福祉施設が、別に厚生労働大臣が定める者に対し専門的な認知症ケアを行った場合には、当該基準に掲げる区分に従い、1日につき次に掲げる所定単位数を加算する。

読み方は次のとおりです。

  • 届出が前提です。届出先は都道府県知事(定期巡回・随時対応型訪問介護看護の欄では市町村長)です
  • 「別に厚生労働大臣が定める基準」に適合している必要があります。この基準(大臣基準告示)の本文は、この記事で見た抜粋には入っていません
  • 対象は、「別に厚生労働大臣が定める者」に対する専門的な認知症ケアです
  • 「基準に掲げる区分に従い」とあるとおり、区分(Ⅰ)(Ⅱ)があります。告示の抜粋では区分の中身が(略)になっており、要件の違いは書かれていません

対象サービスと単位数

この記事で見た資料で、認知症専門ケア加算の欄が確かめられたのは、告示と算定構造の見出しに次のサービスが出てくる範囲です。訪問介護、訪問入浴介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護と、それぞれの介護予防のサービスです。通所介護などでは別の名前の「認知症加算」があり、Q&Aの問17〜問24の見出しに並んで出てきます。

単位数について、この記事で読み取れたのは次の1サービスだけです。

サービス区分単位数
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(イ又はロ)(Ⅰ)1月につき90単位
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(イ又はロ)(Ⅱ)1月につき120単位
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(ハ)(Ⅰ)1日につき3単位
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(ハ)(Ⅱ)1日につき4単位

告示には次のとおりあります。

⑴イ又はロを算定している場合㈠認知症専門ケア加算(Ⅰ)90単位㈡認知症専門ケア加算(Ⅱ)120単位⑵ハを算定している場合㈠認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位㈡認知症専門ケア加算(Ⅱ)4単位

この数字は、算定構造の表からではなく、告示の本文から読み取ったものです。注意点が3つあります。

  1. 算定構造の表では、この加算の欄の読み取りが崩れており、他の加算の単位数と混ざるため、サービスごとの単位数をここでは書きません。特養、グループホーム、訪問介護などの単位数は、算定構造と告示の原文で確かめてください
  2. 告示の抜粋では、短期入所療養介護と介護老人福祉施設などの欄は、区分の単位数の部分が(略)になっています
  3. サービスによって、加算が1日につきか1月につきかが違います。告示の本文でも、短期入所療養介護と介護老人福祉施設は「1日につき」、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のイ又はロは「1月につき」と書かれています

「認知症高齢者の日常生活自立度」による対象者

留意事項は、対象者を日常生活自立度のランクで示しています。

留意事項には次のとおりあります。

「周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者」とは、 日常生活自立度のランクⅡ、 Ⅲ、 Ⅳ又はMに該当する利用者を指し、 また、「日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」とは、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する利用者を指すものとする。

整理すると次の表になります。

言い方該当するランク対応する割合
周囲の者による注意を必要とするⅡ、Ⅲ、Ⅳ、MⅡ以上
日常生活に支障を来すおそれがあるⅢ、Ⅳ、MⅢ以上

割合の「Ⅱ以上」「Ⅲ以上」との対応は、留意事項の割合の算定方法の文面(後述)から読んでいます。

日常生活自立度の確認方法は、留意事項とQ&Aの両方に書かれています。留意事項には次のとおりあります。

なお、認知症高齢者の日常生活自立度の確認に 当たっては、例えばサービス担当者会議等において介護支援専門員から情報を把握する等の方法が考えられる。

Q&A問18には、もう少し具体的な定めがあります。

Q&Aには次のとおりあります。

認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果又は主治医意見書を用いて、居宅サービス計画又は各サービスの計画に記載することとなる。なお、複数の判定結果がある場合には、最も新しい判定を用いる。

つまり、日常生活自立度は、医師の判定結果か主治医意見書を用い、複数あれば最も新しいものを使います。医師の判定が無い場合は、認定調査票(基本調査)の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるとされています。介護支援専門員がサービス担当者会議などを通じて、日常生活自立度も含めて情報を共有することも書かれています。

対象者の割合の計算

次に、割合の計算です。留意事項には次のとおりあります。

認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の割合が2分の1以上、又は、Ⅲ以上の割合が 100 分の20 以上の算定方法は、 算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均で算定すること。

読み方は次のとおりです。

  • 割合の期間は、算定日が属する月の前3月間です
  • 人数は、利用者実人員数又は利用延人員数の平均で数えます
  • 「Ⅱ以上が2分の1以上」の形と、「Ⅲ以上が100分の20以上」の形の2つの割合が出てきます

届出の後も、割合を維持し続けることが求められています。

留意事項には次のとおりあります。

また、届出を行った月以降においても、直近 3月間の認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ又はⅢ以上の割合につき、毎月継続的に所定の割合以上であることが必要である。

なお、 その割合については、 毎月記録するものとし、所定の割合を下回った場合については、直ちに第 1の5の届出を提出しなければならない。

届出を出して終わりではなく、毎月、直近3月間の割合を確かめ、記録に残すことが必要です。下回ったときは直ちに「第1の5」の届出(通知に出てくる別の項の届出)を提出します。「直ちに」が何日以内かは、この資料には書かれていません。

訪問系サービスのQ&A問25には、(Ⅰ)(Ⅱ)の割合と算定方法が出てきます。

Q&Aには次のとおりあります。

加算(Ⅰ)にあっては認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の割合が50%以上、加算(Ⅱ)にあっては認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合が20%以上であることが求められている

ここは訪問系サービスの問いの文面です。他のサービスの(Ⅰ)(Ⅱ)の割合がこれと同じかは、この記事で見た抜粋からは決まりません。答えは次のとおりです。

Q&Aには次のとおりあります。

認知症専門ケア加算の算定要件である認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ又はⅢ以上の割合については、届出日が属する月の前3月間の利用者数で算定することとし、利用者数は利用実人員数又は利用延人員数を用いる。

答えに添えられた補足が、次の3点です。

  • 利用実人員数と利用延人員数のどちらで計算してもよく、いずれかで要件を満たせば算定できるとされています(「上記の例は、利用実人員数、利用延人員数ともに要件を満たす場合であるが、①又は②のいずれかで要件を満たせば加算は算定可能である」)。①と②が何を指すかは、表の読み取りが崩れており、ここでは確かめられていません
  • (介護予防)訪問入浴介護は、要支援者(要介護者)も利用者数に含めます
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(Ⅰ)(Ⅱ)(包括報酬)と夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)(包括報酬)は、利用実人員数(当該月に報酬を算定する利用者)を用い、利用延人員数は用いません

さらに、月の途中で自立度が変わった場合の取扱いも書かれています。

Q&Aには次のとおりあります。

利用実人員数による計算を行う場合、月途中で認知症高齢者の日常生活自立度区分が変更になった場合は月末の認知症高齢者の日常生活自立度区分を用いて計算する。

留意事項の別の箇所の対照表には、「利用延人員数(要支援者を含む)の平均で算定すること」という書き方も出てきます。どのサービスの項かは抜粋では確かめていません。サービスごとに要支援者を含めるかどうかが違う可能性があるので、算定前に該当サービスの項を確かめてください。

仮の数字で計算のイメージを置きます。通所系ではなく、実人員数で数えるサービスで、前3月の各月の利用者実人員数が20人、22人、18人(平均20人)、うち日常生活自立度Ⅱ以上が10人、12人、8人(平均10人)とすると、割合は10÷20=50%です。仮の前提で、実際のサービスの取扱いは上の原文で確かめてください。

研修修了者の配置とQ&A

研修修了者の配置は、この加算の要の1つです。大臣基準告示の本文は抜粋に無いため、研修の名前や配置人数の表は、Q&Aから読める範囲で整理します。

研修の範囲(問17)

Q&A問17は、「認知症介護に係る専門的な研修」や「認知症介護の指導に係る専門的な研修」のうち、認知症看護に係る適切な研修を挙げています。

Q&Aには次のとおりあります。

①日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
②日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
③日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」

ただし、③については認定証が発行されている者に限る。

配置の考え方(問19・問20)

問19は「配置」の考え方を示しています。

Q&Aには次のとおりあります。

専門的な研修を修了した者の配置については、常勤等の条件は無いが、認知症チームケアや認知症介護に関する研修の実施など、本加算制度の要件を満たすためには事業所内での業務を実施する必要があることから、加算対象事業所の職員であることが必要である。

なお、本加算制度の対象となる事業所は、専門的な研修を修了した者の勤務する主たる事業所1か所のみである。

読み方は次のとおりです。

  • 常勤の条件はありません。ただし、事業所内での業務(チームケアや研修の実施など)が要るので、加算対象事業所の職員であることが必要です
  • 研修修了者が複数の事業所で働いていても、加算の対象は主たる事業所1か所のみです。法人内で兼務の研修修了者を、複数の事業所の加算に使い回すことはできない、という読み方になります

問20は、認知症介護指導者についての取扱いです。

Q&Aには次のとおりあります。

認知症介護指導者研修修了者であり、適切に事業所全体の認知症ケアの実施等を行っている場合であれば、その者の職務や資格等については問わない。

質問の文面は、管理者が認知症介護指導者でもよいかを尋ねており、職務や資格は問わないというのが答えです。

(Ⅱ)の指導者の配置人数(問26)

問26は、(Ⅱ)を算定するときに、(Ⅰ)の研修修了者(認知症介護実践リーダー研修修了者)に加えて、指導に係る研修の修了者を別に配置する必要があるかを尋ねています。

Q&Aには次のとおりあります。

必要ない。例えば加算の対象者が20名未満の場合、・認知症介護実践リーダー研修と認知症介護指導者養成研修の両方を修了した者・認知症看護に係る適切な研修を修了した者のいずれかが1名配置されていれば、算定することができる。

あわせて、配置人数の表が付いています。表の読み取りでは、加算対象者が19名まで、20〜29名、30〜39名と増えるにつれて、「認知症介護に係る専門的な研修」の修了者は1名、2名、3名と増える形になっており、「認知症介護の指導に係る専門的な研修」の修了者は、いずれの欄も1名です。表は読み取りが崩れているため、40名以上の欄は確かめられていません。原文の表で確かめてください。

あわせて、注として次の定めがあります。認知症介護実践リーダー研修と認知症介護指導者養成研修の両方を修了した者、又は認知症看護に係る適切な研修を修了した者を1名配置する場合、「認知症介護に係る専門的な研修」と「認知症介護の指導に係る専門的な研修」の修了者を、それぞれ1名配置したことになります。

研修修了者とみなせるもの(問21〜問23)

問21〜問23は、研修修了者とみなせるかどうかの取扱いです。

  • 問21: 認知症介護指導者養成研修について、認知症介護実践リーダー研修が未受講でも修了したものとみなされます。さらに、加算対象者が20名未満の場合は、平成20年度以前の認知症介護指導者養成研修の修了者(認知症介護実践リーダー研修の未受講者)1名の配置で算定できる、とされています
  • 問22: 介護福祉士ファーストステップ研修のような、自治体が実施・指定するもの以外の研修は、自治体が研修カリキュラムや講師等を審査して適当と判断した場合に認められます
  • 問23: 認知症介護実践リーダー研修の修了者は、平成12年の通知に基づく専門課程の修了者も含むとされています

問21の該当部分は次のとおりです。

Q&Aには次のとおりあります。

加算対象となる者が20名未満の場合にあっては、平成20年度以前の認知症介護指導者養成研修を修了した者(認知症介護実践リーダー研修の未受講者)1名の配置で算定できること

会議についてのQ&A(問24)

認知症専門ケア加算の要件には、技術的指導に係る会議があります。大臣基準告示の本文が抜粋に無いため、会議の開催頻度、会議の中身、(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、この記事では決まりません。Q&Aで示されているのは、他の加算の会議との関係です。

問24の質問は次の内容です。

Q&Aには次のとおりあります。

「技術的指導に係る会議」と、特定事業所加算やサービス提供体制強化加算における「事業所における従業者の技術指導を目的とした会議」が同時期に開催される場合であって、当該会議の検討内容の1つが、認知症ケアの技術的指導についての事項で、当該会議に登録ヘルパーを含めた全ての訪問介護員等や全ての従業者が参加した場合、両会議を開催したものと考えてよいのか。

答えは「貴見のとおりである」です。つまり、認知症ケアの技術的指導が議題の1つとして入り、全ての従業者が参加していれば、両方の会議を開催したものと考えてよい、という取扱いです。

「会議 頻度」を調べている方が多いのですが、頻度(何か月に1回か)は、この記事で見た抜粋には書かれていません。算定前に大臣基準告示の原文で確かめてください。会議録には、議題に認知症ケアの技術的指導が入っていることと、参加者の名簿が分かる形で残しておくと、後から説明しやすくなります。

他の加算との併算定

告示には、同じ項の中での併算定の定めがあります。老人保健施設の欄の書き方では、次のとおりです。

告示には次のとおりあります。

ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定せず、認知症チームケア推進加算を算定している場合においては、次に掲げる加算は算定しない。

「次に掲げるいずれか」は、(Ⅰ)と(Ⅱ)のことなので、(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。あわせて、認知症チームケア推進加算を算定している場合は、認知症専門ケア加算は算定しないと読めます。

逆方向の記載が、認知症チームケア推進加算の側にもあります。

告示には次のとおりあります。

ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定せず、認知症専門ケア加算を算定している場合においては、次に掲げる加算は算定しない。

この記載は、特養、老人保健施設、介護医療院の欄で確かめられました。訪問系、グループホームなど、チームケア推進加算が出てこないサービスの欄では、同じ記載は確かめていません。

その他の加算との併算定の可否は、この記事で見た抜粋には書かれていません。

令和6年度改定で何が変わったか

この記事で見た資料から言えることは、限られています。

  • 告示の「改正後」の列に、認知症チームケア推進加算との併算定不可の記載が出てきます。改正前の列は見ていないので、この記載が令和6年度改定で加わったのか、元からあったのかは、この記事では決まりません
  • 留意事項の「新」の列には、割合の計算に「要支援者を含む」と書かれた形があります。どのサービスの項かが抜粋では確かめられないため、変更点かどうかは決まりません
  • Q&A(Vol.1)の問17〜問26には、令和3年度Q&A(Vol.4)の問題番号を削除するという注記が並んでいます。確かめた範囲では、問29〜問38にあたる問いが、令和6年度のQ&Aに引き継がれています。つまり、研修や配置の取扱いは、令和3年度のQ&Aを置き換える形で、令和6年度のQ&Aに整理し直されています
  • 令和8年度改定(令和8年6月施行)の告示第87号に、この加算の語は出てきませんでした

要件の数字そのものがどう変わったかは、改正前の列を見ていないため、この記事では書きません。

通知の準用と、サービスごとの見方

留意事項は、サービスごとの通知に分かれています。老企第36号(訪問通所サービス等)の項が基本で、老企第40号(短期入所サービス、特定施設入居者生活介護、施設サービス)は、準用の形をとっています。

留意事項には次のとおりあります。

2の(24)①から⑥を準用する。

5の(38)を準用する。

2つ目は、施設サービス側の項(老企第40号の(40))が、さらに別の項を準用する書き方です。準用の鎖をたどって、各サービスの項で①〜⑥の中身を確かめる必要があります。この記事の抜粋では、老企第36号の①と②が確認でき、③〜⑤は(略)になっていました。⑥の中身は抜粋に出ていません。

届出と算定開始

告示の本文では、「電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事(定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの地域密着型は市町村長)に対し、老健局長が定める様式による届出を行った」ことが、算定の条件になっています。

届出に添える書類の中身、提出期限、算定を始められる日は、この記事で見た抜粋には書かれていません。そのため、この記事では書きません。割合が基準を下回ったときの届出(留意事項の「第1の5」)の取扱いは、前述のとおり直ちに提出が必要です。

記録として残すもの

資料の文言から言える記録は、次のとおりです。

場面残すもの根拠
対象者の把握日常生活自立度と判定の出どころ留意事項・Q&A問18
割合の計算前3月間の人数と割合の計算表留意事項②
毎月の確認直近3月間の割合を毎月記録留意事項②
研修修了者研修の修了証、配置状況Q&A問17・問19
会議議題、参加者Q&A問24

一方、どの様式で、何年間残すかは、この資料には書かれていません。割合の計算表の様式や、研修修了者の名簿の様式は指定されていないので、事業所ごとに決めることになります。

日々の記録・台帳でどう満たすか(弊社の整理)

ここからは、資料の文言をもとにした弊社の整理です。個別の判断は、自治体と最新の通知でご確認ください。

算定を安定させるには、事業所ごとに次の項目を月次で一覧にしておくと確認しやすくなります。

  1. 利用者ごとの日常生活自立度: ランク、判定の出どころ(医師の判定結果、主治医意見書、認定調査票)、判定日。複数あるときは最新のものを使っていることが分かる形にする
  2. 月ごとの人数: 実人員数と延人員数(実人員数で数えるサービスは実人員数)、うち自立度Ⅱ以上の人数、Ⅲ以上の人数
  3. 直近3月間の平均と割合: 毎月、直近3月間のⅡ以上とⅢ以上の割合を計算し、基準を上回っているかを記録する。月途中で自立度が変わった人は、実人員数で数えるときは月末の区分で数える
  4. 研修修了者の名簿: 氏名、修了した研修の名前、修了日、勤務する事業所(主たる事業所が1か所か)
  5. 会議録: 開催日、議題(認知症ケアの技術的指導が入っているか)、参加者の名簿

「毎月、割合を記録する」ことは、手計算の表だけで続けると、月が替わるたびに前3月分の数字を引き直す手間が出ます。利用者の自立度と利用実績を台帳でつなげておくと、毎月の割合をその場で確かめやすくなります。

指導で指摘されやすい点

この記事で見た資料には、実地指導での指摘事例は載っていません。そのため、指摘が実際に多い点ではなく、資料の文言から落としやすいと言える点を挙げます。

  • 割合の毎月の記録が無い: 留意事項は「毎月記録するもの」としています。届出のときに1回計算しただけでは足りません
  • 割合が下回ったのに届出をしていない: 「直ちに」届出を提出する定めです
  • 自立度の出どころが分からない: 医師の判定結果、主治医意見書、認定調査票のどれを使ったかが記録から分からないと、説明が難しくなります
  • 研修修了者が加算対象事業所の職員でない: 配置に常勤の条件は無い一方、加算対象事業所の職員であることは必要です
  • 研修修了者の兼務先が複数の事業所の加算になっている: 加算の対象は、研修修了者が勤務する主たる事業所1か所のみです
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)、チームケア推進加算を同時に算定している: 告示にいずれも併算定不可の定めがあります

この記事で書いていないこと

次のことは、この記事で見た資料には書かれていません。この記事でも書きません。

  • 大臣基準告示の本文((Ⅰ)(Ⅱ)の要件の細かい違い)
  • 会議の開催頻度、会議の中身の細かい条件
  • (Ⅱ)の研修計画の要件
  • (Ⅱ)の指導者の配置人数のうち、加算対象者が40名以上の場合
  • サービスごとの単位数(定期巡回・随時対応型訪問介護看護の4つの値を除く)
  • 老企第36号の留意事項の③〜⑥の中身
  • 訪問系以外のサービスでの(Ⅰ)(Ⅱ)の割合の数字
  • 届出書類の中身、提出期限、算定開始日
  • その他の加算との併算定の可否
  • 割合の計算表・研修修了者名簿の様式、保存年数
  • 令和6年度改定前後の要件の数字の比較
  • 令和7年中の通知改正の反映状況

まとめ

  • 対象者は、認知症高齢者の日常生活自立度のランクⅡ以上とランクⅢ以上で考える。訪問系のQ&Aでは、(Ⅰ)はⅡ以上が50%以上、(Ⅱ)はⅢ以上が20%以上
  • 割合は算定日が属する月の前3月間の平均で算定し、届出後は毎月記録。下回ったら直ちに届出
  • 自立度の確認は、医師の判定結果か主治医意見書を使い、複数あれば最新のもの。医師の判定が無いときは認定調査票の記載
  • 研修修了者の配置に常勤の条件は無いが、加算対象事業所の職員であること。対象は主たる事業所1か所のみ
  • (Ⅱ)で加算対象者が20名未満なら、指導に係る研修の修了者と実践リーダー研修の修了者を別に配置する必要はない(両方修了した者1名、または認知症看護に係る適切な研修の修了者1名でよい)
  • 認知症ケアの技術的指導が議題に入り、全ての従業者が参加すれば、他の加算の技術指導の会議と兼ねてよい(Q&A問24)
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)、認知症チームケア推進加算との併算定は不可
  • 大臣基準告示の本文、会議の頻度、サービスごとの単位数は、算定前に原文で確認する

参考にした一次情報

留意事項は令和6年度改定時の新旧対照表(抄)の「新」の列を、告示は第86号の「改正後」の列を、Q&AはVol.1を、算定構造は令和8年6月改定反映版を、令和8年11月8日に確認しました。令和7年中の通知改正の反映は確認できていません。本記事は通知の構造を整理したもので、個別の事業所の算定が適切かどうかを判断するものではありません。具体的な判断は、所管の自治体と最新のQ&Aにご確認ください。

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阪本翔太

阪本翔太

奈良県の中小企業診断士 & ITストラテジスト。 公的機関や大学などで講師もしています。 地方でがんばる人をITで後押ししたい。

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