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高次脳の体制加算|研修修了者の配置と対象者の確認・単位数・記録

高次脳機能障害者支援体制加算は、高次脳機能障害のある利用者を受け入れ、都道府県が実施する研修を修了した従業者を配置している事業所が対象になる加算です。「研修は誰が受ければよいのか」「利用者が高次脳機能障害だとどの書類で確かめるのか」「届出は何を出すのか」と迷う事務担当の方も多いのではないでしょうか。

この加算は、研修の修了、対象者の確認、都道府県への届出の3つが、日々の記録や台帳とつながっていないと、算定の根拠を示しにくくなります。また、令和8年度の改定では、一部のサービスで新しく指定を受けた事業所の減算が設けられ、その例外にこの加算の算定が入っています。

この記事では、厚生労働省の留意事項通知(令和8年度改定時の新旧対照表の「改正後」の列)、報酬算定構造(令和8年度見直し反映版)、令和8年度改定の告示に書かれている範囲だけを使って整理します。報酬告示本体(加算の基本要件の条文)は、今回確かめた範囲に入っていません。 そのため、基本の要件は通知から読み取れる範囲にとどめ、読み取れないことは「書かれていない」と分けて書きます。

この記事の前提(見た資料と版)

  • 留意事項は、平成18年10月31日障発第1031001号「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」の、令和8年度改定時の新旧対照表の「改正後」の列を見ました(以下「留意事項」)。
  • 単位数は、厚生労働省・こども家庭庁の「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」(令和8年度見直し反映版)の表から読み取りました。
  • 減算の例外は、令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定の告示(新旧対照の形式)の該当箇所を見ました。
  • 確認は令和8年11月8日です。その後に出た通知やQ&Aは反映していません。算定の前に、最新のQ&Aと都道府県の案内を確認してください。

先に結論

  • 留意事項には、研修の要件、対象者の確認方法、届出と修了の確認、多機能型事業所の考え方が書かれています。
  • 研修は、「高次脳機能障害支援養成研修の実施について」の通知に基づき都道府県が実施する研修です。これに準ずるものとして都道府県知事が認める研修も、同等の内容であれば対象になります。
  • 対象者は、3種類の書類のいずれかに高次脳機能障害の診断の記載があることを確認します。3種類は、支給決定における医師の意見書、精神障害者保健福祉手帳の申請における医師の診断書、その他の医師の診断書等です。
  • 届出は、研修を修了し従業者を配置している旨を都道府県へ行います。修了の確認は、原則として修了証書です。
  • 単位数は、算定構造の表で読み取れたサービスでは「1日につき41単位」でした。
  • 令和8年度の告示では、新しく指定を受けた事業所の減算(1000分の984、1000分の972)について、この加算を1日以上算定している事業所は所定単位数を算定するという例外が設けられています。
  • 告示本文の基本要件、研修の中身、届出の様式と時期は、確かめた範囲に書かれていません。

根拠はどこに書いてあるか

留意事項には、この加算の取扱いが9か所に置かれています。中身が書かれているのは1か所で、残りの8か所は「2の⑹の⑦の規定を準用する」という形です。つまり、どのサービスで算定する場合も、読み方の中心は同じ項目になります。

本文の項目は、次のとおり始まります。

報酬告示第6の4の2の高次脳機能障害者支援体制加算については、以下のとおり取り扱うこととする。

準用している箇所の報酬告示の番号は、次のとおりです。

抜粋の箇所報酬告示の番号書き方
本文(⑦)第6の4の2取扱いを記載
準用(⑧)第9の4の3⑹の⑦を準用
準用(⑤)第10の2の2⑹の⑦を準用
準用(⑥)第11の2の2⑹の⑦を準用
準用(④)第11の2の3⑹の⑦を準用
準用(③)第12の3⑹の⑦を準用
準用(③)第13の2の2⑹の⑦を準用
準用(④)第14の2の2⑹の⑦を準用
準用(⑪)第15の1の4の4⑹の⑦を準用

どの番号がどのサービスに当たるのかは、確かめた抜粋には書かれていません。たとえば準用の箇所は、次のような短い文です。

報酬告示第9の4の3の高次脳機能障害者支援体制加算については、2の⑹の⑦の規定を準用する。

対象サービスと単位数

報酬算定構造の表で、見出しにサービス名が書かれていて、加算名と「1日につき41単位を加算」という単位数が続いて読み取れたものを並べます。

サービス単位数算定構造の頁
生活介護1日につき41単位10
施設入所支援1日につき41単位13
共同生活援助1日につき41単位14
機能訓練1日につき41単位19
生活訓練1日につき41単位20
宿泊型自立訓練1日につき41単位21
就労継続支援B型1日につき41単位28

表の「機能訓練」「生活訓練」などは、報酬算定構造の見出し(機能訓練サービス費、生活訓練サービス費など)の名前です。

単位数を書いていないサービス

就労移行支援、就労移行支援(養成)、就労継続支援A型、就労選択支援にも、算定構造の表に加算名の行は出てきます。ただし、行の読み取りに「41単位」が続いておらず、単位数を確かめられませんでした。この記事では、この4つのサービスの単位数は書きません。事業所のサービスの報酬告示と、最新の報酬算定構造の表で確認してください。

生活介護の加算全体の整理は、生活介護の加算一覧にまとめています。

算定に当たっての留意事項

研修の要件

留意事項は、研修について次のように書いています。

地域生活支援事業として行われる高次脳機能障害支援者養成に関する研修とは、 「高次脳機能障害支援養成研修の実施について」 (令和6年2月19 日付け障障発 0219 第1号・障精発0219 第1号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長及び精神・障害保健課長通知)に基づき都道府県が実施する研修をいい、

読み取れることは次のとおりです。

  1. 対象の研修は、地域生活支援事業として行われる、高次脳機能障害支援者養成に関する研修
  2. 実施するのは都道府県で、根拠は令和6年2月19日付けの通知
  3. 研修の名前は「高次脳機能障害支援養成研修」

続けて、これに準ずる研修も認められています。

「これに準ずるものとして都道府県知事が認める研修」については、当該研修と同等の内容のものであること

つまり、都道府県が実施する研修のほかに、都道府県知事が認めた同等の内容の研修も対象になります。ただし、どの研修が「認められた研修」なのかは、通知からは決まりません。都道府県の案内で確認が必要です。研修の科目や時間数も、確かめた範囲には書かれていません。

対象者の確認方法

加算の対象になる高次脳機能障害者を、どう確かめるかは次のとおりです。

加算の算定対象となる高次脳機能障害者については、以下のいずれかの書類において高次脳機能障害の診断の記載があることを確認する方法によること。

3種類の書類は、次のとおりです。

(ア) 障害福祉サービス等の支給決定における医師の意見書 (イ) 精神障害者保健福祉手帳の申請における医師の診断書 (ウ) その他医師の診断書等(原則として主治医が記載したものであること。)

書類通知の書き方
支給決定における医師の意見書(ア)
手帳の申請における医師の診断書(イ) 精神障害者保健福祉手帳
その他の医師の診断書等(ウ) 原則として主治医が記載

ここで気をつけたいのは、書かれているのが「診断の記載があることを確認する」という点です。手帳の等級や障がい支援区分の高さで決まる書き方ではありません。確認した書類の写しを保管するのか、確認した日付と書類名だけを記録するのかといった方法は、確かめた範囲には書かれていません。

届出と修了の確認

届出について、通知は次のように書いています。

当該加算を算定する場合は、研修を修了し従業者を配置している旨を都道府県へ届け出る必要があること。

修了の確認は、次のとおりです。

また、研修を修了した旨の確認については、原則として修了証書により確認することとするが、その他の書類等により確認できる場合は当該書類等をもって認めて差し支えない。

整理すると次のとおりです。

  • 届出先は都道府県
  • 届け出る内容は、研修を修了し従業者を配置している旨
  • 修了の確認は、原則として修了証書。修了証書を確認できない場合でも、他の書類等で確認できれば認められる

届出の様式、提出する時期、算定を始められる日の扱いは、確かめた範囲には書かれていません。体制加算に共通する届出の考え方は、障害福祉サービスの体制届の記事で整理しています。この加算に固有の添付書類や期限は、都道府県の案内で確認してください。

多機能型事業所等の考え方

多機能型については、次のとおりです。

多機能型事業所等については、当該多機能型事業所等において実施される複数の障害福祉サービスの利用者全体のうち、高次脳機能障害者の数が利用者の数に100 分の 30 を乗じて得た数以上であり、 従業者の加配が当該多機能型事業所等の利用者の合計数を 50 で除して得た数以上なされていれば満たされるものであること。

この段落から読み取れることは次のとおりです。

  1. 計算の単位は、サービスごとではなく、多機能型事業所等で実施される複数のサービスの利用者全体
  2. 高次脳機能障害者の数が、利用者の数の100分の30以上
  3. 従業者の加配が、利用者の合計数を50で除して得た数以上
  4. この2つがそろっていれば満たされる

基本の要件はどう読めるか

報酬告示本体は、今回の確認範囲に入っていません。ただし、多機能型の扱いを示したこの段落から、加算の基本の要件は、高次脳機能障害者が利用者の100分の30以上いること、従業者の加配が利用者の合計数を50で除して得た数以上であること、と読めます。そのうえで、研修の要件(研修を修了した従業者)が加わる形になると考えられます。

ただし、次の点は通知の文言だけでは決まりません。告示の本文で確かめてください。

  • 多機能型ではない単独のサービスでも、同じ「100分の30」「50で除して得た数」で数えるのか
  • 加配する従業者が、研修の修了者でなければならないのか
  • 端数をどう扱うのか、利用者数をいつの時点で数えるのか

令和8年度の告示にある減算と、この加算の例外

令和8年度の報酬改定の告示には、新しく指定を受けた事業所の単位数を下げる規定があります。その例外として、この加算を算定している事業所が挙げられています。弊社が確かめた抜粋は、新旧対照の形式の抽出テキストで、「(新設)」の表記が付いた箇所です。

共同生活援助の場合

共同生活援助の規定は、次のとおり始まります。

令和8年6月1日以降新規に指定を受けた指定共同生活援助事業所

減算の内容と、例外の入口は次のとおりです。

所定単位数に代えて、イ又はロに掲げる単位数の1000分の972に相当する単位数を算定する。ただし、次の⑴又は⑵に該当する場合は、当該月において所定単位数を算定する。

例外の⑴に、この加算が入っています。

⑴ 当該月において次に掲げるいずれかの加算を1日以上算定している事業所である場合 ㈠ 1の4の2の視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 ㈡ 1の4の4の高次脳機能障害者支援体制加算

同じ形の規定(1000分の972)は、日中サービス支援型共同生活援助にも置かれています。

就労継続支援B型の場合

就労継続支援B型等の規定は、次のとおり減算の率を定めています。

所定単位数に代えて、イからハまでに掲げる単位数の1000分の984に相当する単位数を算定する。

例外の⑴は、次のとおりです。

⑴ 当該月において次に掲げるいずれかの加算を1日以上算定している事業所である場合 ㈠ 2の視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 ㈡ 2の2の高次脳機能障害者支援体制加算

なお、就労継続支援B型の抜粋は冒頭が欠けており、新規指定の日付の条件は確かめられていません。この記事では、B型の減算の対象となる指定の日付は書きません。

読み取れること

サービス減算の率この加算の扱い
共同生活援助1000分の9721日以上算定で例外
日中サービス支援型1000分の9721日以上算定で例外
就労継続支援B型等1000分の9841日以上算定で例外

この例外は、その月に1日でもこの加算を算定していれば、その月は所定単位数を算定するという意味に読めます。新しく開設した事業所にとって、この加算を算定できる体制(研修を修了した従業者の配置と、対象者の確認)を早く整えることが、単位数の面でも意味を持つ可能性があります。例外には、このほかに重度障害者支援加算や医療連携体制加算(Ⅳ)などを算定している場合も挙げられていますが、この記事では扱いません。

視覚障がい・聴覚障がい・言語機能障がいの体制加算は、同じ例外に並んでいます。仕組みを見比べたい方は、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の記事もご覧ください。

日々の記録・台帳でどう満たすか(弊社の整理)

ここからは、通知の文言を日々の記録や台帳に落とすときの弊社の整理です。通知が定めた様式ではないので、実際の運用は都道府県の案内に合わせてください。

  1. 研修修了者の配置記録を持つ。 職員ごとに、研修の名前、修了日、修了証書の有無、配置している事業所・サービスを台帳にします。修了の確認は原則として修了証書なので、写しの保管場所も決めておきます。
  2. 都道府県へ届け出た日と、届け出た内容の控えを残す。 研修を修了し従業者を配置している旨を届け出た記録です。
  3. 利用者ごとに、高次脳機能障害の診断の記載を確認した書類を記録する。 3種類のうちどの書類で、いつ確認したのかを項目にします。
  4. 診断書類は、閲覧できる職員を絞って保管する。 診断の情報は要配慮個人情報にあたるため、台帳に診断の詳細を書き写さず、書類の種類・確認日・保管場所だけを台帳に残す形が安全です。
  5. 月ごとに、利用者の合計数、高次脳機能障害者の数、配置している研修修了者の人数を1枚にまとめる。 多機能型では、複数のサービスの利用者全体で数える必要があるため、サービス別の人数を合算した表があると確認しやすくなります。
  6. 研修修了者が異動・退職したときに、配置の記録を更新する。 配置している従業者がいなくなった月に、気づかないまま算定を続けるのを防ぎます。

利用者台帳、職員の研修記録、月次の人数の表が別々の様式で管理されていると、算定の前に突き合わせる手間が増えます。

指導で確認されそうな点(弊社の見立て)

通知の文言から、事業所が根拠を示せるようにしておきたい点を挙げます。実際の指導で何を確認されるかは、自治体によって異なります。

  • 研修を修了した従業者が、実際に配置されていること(修了証書など)
  • 届出の内容と、現在の配置が一致していること
  • 対象の利用者について、3種類のいずれかの書類で診断の記載を確認した記録があること
  • 多機能型の場合は、利用者全体で数えた人数と加配の数
  • 配置していた研修修了者が退職・異動したあとも、算定を続けていないこと

この記事で書いていないこと

  • 告示本文の基本要件:確かめた範囲に入っていません。多機能型の段落から読める範囲にとどめています
  • 単独のサービスでの割合と人数:多機能型以外の場合の扱いは、確かめた範囲に書かれていません
  • 加配の従業者が研修修了者である必要があるか:通知の文言からは決まりません
  • 研修の科目・時間数、研修の通知の中身:確かめた範囲に入っていません
  • 届出の様式、提出時期、算定を始められる日:確かめた範囲に書かれていません
  • 就労移行支援・就労継続支援A型・就労選択支援などの単位数:行の読み取りに単位数が続いておらず、確かめられませんでした
  • 就労継続支援B型の減算の対象となる指定の日付:抜粋の冒頭が欠けており、確かめられませんでした
  • 診断書類の保管期間や、写しを保管する必要があるか:書かれていません
  • 最新のQ&A:令和8年11月8日までに確認した範囲に限ります

まとめ

  • 高次脳機能障害者支援体制加算は、研修を修了した従業者の配置、対象者の確認、都道府県への届出を軸にした加算
  • 研修は、都道府県が実施する高次脳機能障害支援養成研修、またはこれに準ずるものとして都道府県知事が認める同等の内容の研修
  • 対象者は、3種類の書類(支給決定の医師の意見書、手帳申請の診断書、その他の医師の診断書等)のいずれかで、診断の記載を確認する
  • 修了の確認は、原則として修了証書。他の書類等で確認できれば認められる
  • 多機能型では、利用者全体のうち高次脳機能障害者が100分の30以上、加配が利用者の合計数を50で除して得た数以上
  • 単位数は、読み取れたサービスで1日につき41単位
  • 令和8年度の告示では、新規指定の事業所の減算(1000分の984・1000分の972)について、この加算を1日以上算定していれば例外になる
  • 告示本文の基本要件、研修の中身、届出の様式と時期は、告示本文と都道府県の案内で確認する

参考にした一次情報

留意事項は令和8年度改定時の新旧対照表の「改正後」の列を、令和8年11月8日に確認した範囲です。本記事は通知の構造を整理したもので、個別の事業所の算定が適切かどうかを判断するものではありません。具体的な判断は、報酬告示、最新のQ&A、所管の都道府県にご確認ください。


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阪本翔太

阪本翔太

奈良県の中小企業診断士 & ITストラテジスト。 公的機関や大学などで講師もしています。 地方でがんばる人をITで後押ししたい。

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