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グループホームの自己評価と外部評価|運営推進会議の活用と公表義務

「外部評価は毎年受けないといけないのか」「運営推進会議で評価を受ければ外部評価は不要と聞いたが、自己評価もやめてよいのか」——認知症対応型グループホームの管理者様から、この2つはほぼ必ずご質問をいただきます。

「介護 外部評価」で検索すると、上位に出てくるのは自治体のページがほとんどです。ただ、そのほとんどは「様式はこれ、提出先はここ、期限はいつ」という事務案内で、そもそもこの評価が何条の、どういう構造の義務なのかまでさかのぼって書かれたものは多くありません。構造が分からないまま様式だけを埋めていると、「自己評価を省いてよいのか」「公表はどこまで必要か」という判断のたびに迷うことになります。

この記事では、指定地域密着型サービスの運営基準(平成18年厚生労働省令第34号)と社会福祉法の条文に沿って、グループホームの評価に関する義務の構造を整理します。

まず整理したい。「評価」と名の付くものが3つある

グループホームの現場で「評価」と呼ばれているものは、根拠も性質も異なる3つが混在しています。

呼び名根拠性質
①自己評価運営基準第97条第8項の前段義務。事業者が自らサービスの質を評価する
②外部の者による評価/運営推進会議における評価運営基準第97条第8項の第一号・第二号義務。ただし二者択一
③福祉サービスの質の評価社会福祉法第78条第1項努力義務。社会福祉事業の経営者全般が対象

混乱の原因になりやすいのが③です。社会福祉法第78条第1項は次のとおり定めています。

社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。

条文の語尾が「努めなければならない」であることに注目してください。これは社会福祉事業の経営者全般にかかる努力義務であり、グループホームに課された第97条第8項の義務とは別のものです。「社会福祉法にも質の評価の規定があるから、それで足りているのでは」という整理はできません。

第97条第8項が求めているのは「自己評価」と「もう一つの評価」のセット

グループホームの評価義務の本体は、指定認知症対応型共同生活介護の取扱方針を定めた第97条の第8項です。

指定認知症対応型共同生活介護事業者は、自らその提供する指定認知症対応型共同生活介護の質の評価を行うとともに、定期的に次に掲げるいずれかの評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図らなければならない。

この一文には、事業者がすべきことが3つ書かれています。

  1. 自らその提供するサービスの質の評価を行うこと(=自己評価)
  2. 定期的に、次に掲げるいずれかの評価を受けること(=外部の者による評価または運営推進会議における評価)
  3. それらの結果を公表し、常にその改善を図ること

注目したいのは、1と2を「行うとともに」という語でつないでいる点です。1と2は「どちらか」ではなく、両方です。運営推進会議で評価を受けたからといって、自己評価を省いてよいという読み方は条文からは出てきません。むしろ、自己評価の結果を会議に示したうえで評価を受ける、という順序になります。

二者択一なのは「もう一つの評価」の側。運営推進会議を使う道は条文に明記されている

二者択一になっているのは、上の2の部分です。第97条第8項は「次に掲げるいずれかの評価」として、第一号と第二号の2つを挙げています。

第一号はこれです。

外部の者による評価

第二号はこれです。

第百八条において準用する第三十四条第一項に規定する運営推進会議における評価

つまり、運営推進会議の場で評価を受けるという選択肢は、解釈や運用の話ではなく条文に明記されています。 令和3年度の介護報酬改定にあわせた運営基準の見直しで、従来の外部評価に加えて運営推進会議を活用した評価を選べる形に整理された経緯があり、その結果が現在の第一号・第二号という条文の形です。

ここで押さえておきたいのは、選べるのは2の「受ける評価」の中身だけだという点です。1の自己評価と、3の結果の公表は、どちらを選んでも必ず付いてきます。

「評価を受けたら終わり」ではない。条文は公表まで求めている

第97条第8項の末尾は「それらの結果を公表し、常にその改善を図らなければならない」と続きます。「それら」は自己評価の結果と、第一号または第二号の評価の結果の両方を指しています。片方だけを公表している状態は、条文が求める形にはなっていません。

実地指導の場面で指摘されやすいのも、この公表の部分です。「自己評価表は作ってファイルに綴じてある」「会議で評価は受けた」というところまでは進んでいても、その結果をどこに、いつ、どの方法で公表したかの記録が残っていないというケースは珍しくありません。評価そのものより、公表した事実の管理のほうが抜けやすいと言えます。

運営推進会議を使うなら、その会議は「2か月に1回以上」の会議

第二号を選ぶ場合、評価の場になるのは第108条が第34条第1項を準用して設けられた運営推進会議です。ここで注意したいのが開催頻度です。第108条の読替え規定には次のように書かれています。

第三十四条第一項中「地域密着型通所介護について知見を有する者」とあるのは「認知症対応型共同生活介護について知見を有する者」と、「六月」とあるのは「二月」と

準用元の第34条第1項は「おおむね六月に一回以上」ですが、グループホームではこの「六月」が「二月」に読み替えられます。 つまりグループホームの運営推進会議は、おおむね2か月に1回以上、年間6回程度の開催が前提です。第二号を選ぶということは、この年6回の会議のうちの1回を評価の場に充てるという運用になります。開催頻度がサービスごとに異なる理由は、運営推進会議の開催頻度と記録の実務で準用・読替えの構造から整理していますので、あわせてご確認ください。

もう1点、混同しやすいのが記録の扱いです。運営推進会議そのものについては、第34条第2項が別に義務を課しています。

指定地域密着型通所介護事業者は、前項の報告、評価、要望、助言等についての記録を作成するとともに、当該記録を公表しなければならない。

この規定はグループホームにも準用されます。したがって第二号を選んだ場合、第97条第8項による「評価結果の公表」と、第34条第2項による「会議記録の作成・公表」は、別々に必要ということになります。同じ会議から生まれる書類でも、根拠条文が違えば管理すべき成果物も別と考えてください。

国の通知が示している運用(頻度・公表方法・単独開催)

条文は「定期的に」としか書いておらず、具体的な頻度や公表の方法までは書かれていません。この部分は国の解釈通知が運用を示しています。以下は条文そのものではなく通知の内容ですので、原文をそのまま引用する形は取らずに要点だけ挙げます。

  • 頻度: 自己評価・外部評価ともに、1年に1回以上行うものとされています。
  • 公表の方法: 介護サービス情報公表システムの活用、法人のホームページへの掲載、WAM NETへの掲載、事業所内の外部の者にも見える場所への掲示、市町村窓口や地域包括支援センターへの掲示など、いずれの方法でも差し支えないとされています。
  • 運営推進会議で評価を行う場合の開催形態: 評価を行う運営推進会議は、複数の事業所の合同開催ではなく単独で開催するものとされています。

3点目は、複数のグループホームを運営している法人様では特に確認が必要な部分です。通常の運営推進会議は近隣事業所と合同で開催して効率化している法人様もありますが、評価を行う回については事業所ごとに単独で開催するという整理になります。「年6回のうちどの回を評価の回にするか」を年度当初に決めておくと、合同開催の予定と衝突せずに済みます。

根拠となる通知は次の2本です。

  • 指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について(平成18年3月31日老計発第0331004号、老振発第0331004号、老老発第0331017号)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第3条の37第1項に定める介護・医療連携推進会議、第34条第1項に規定する運営推進会議を活用した評価の実施等について(平成27年3月27日老振発0327第4号、老老発0327第1号)

毎年ゼロから作り直しになっていませんか

ここまでの整理を踏まえると、グループホーム1事業所が1年で残すべきものは、少なくとも次の4つです。

  1. 自己評価の結果(項目ごとの記入内容)
  2. 外部の者による評価または運営推進会議における評価の結果
  3. 1と2をいつ・どの方法で公表したかの記録
  4. 運営推進会議の記録(第34条第2項。年6回分)

実務でご相談をいただくのは、ほぼ1と3です。自己評価は項目数が多く、毎年ExcelやWordの様式を白紙から埋め直しているという事業所が少なくありません。前年度にどう書いたかを確認するには、前年度のファイルを開いて横に並べる必要があります。その結果、「昨年から何が良くなったのか」という、改善を図るうえで最も大事な比較が、年度をまたぐと見えなくなってしまいます。

3の公表の記録も同じです。掲示した日、ホームページに載せた日、公表システムに登録した日が、担当者の記憶や別々のメールにしか残っていないと、実地指導で「いつ公表しましたか」と問われたときに答えられません。

ある社会福祉法人様では、自己評価の項目をシステム上のマスタとして持ち、前年度の回答を初期値として引き継いだうえで、今年度の記入欄だけを更新する形に変えました。項目ごとに前年度と今年度が並んで表示されるため、変化のあった項目がその場で分かり、会議に示す資料の作成時間も短くなっています。公表についても、公表日・公表方法・掲載先URLを事業所ごとに記録する欄を設け、法人本部から一覧で確認できるようにしています。

評価の作業を毎年ゼロから始めない——この一点を変えるだけで、自己評価は「様式を埋める作業」から「前年度と比べる作業」に変わります。

事業所として押さえておきたいこと

  • グループホームの評価義務の本体は、指定地域密着型サービスの運営基準第97条第8項にある
  • 「評価」と呼ばれるものは3つある。①自己評価(義務)②外部の者による評価または運営推進会議における評価(義務・二者択一)③社会福祉法第78条第1項の福祉サービスの質の評価(努力義務)
  • ①と②はセット。②で運営推進会議を選んでも、①の自己評価は省略できない
  • ②が二者択一であることは、条文が「次に掲げるいずれかの評価」として第一号(外部の者による評価)と第二号(運営推進会議における評価)を挙げていることから明らか
  • 義務は評価で終わらず、自己評価と②の評価の結果の両方を公表し、常に改善を図ることまでが条文の内容
  • 運営推進会議を使う場合、その会議は第108条の読替えによりおおむね2か月に1回以上開催されている会議。年6回のうち1回を評価の場に充てる形になる
  • 第97条第8項の評価結果の公表と、第34条第2項の会議記録の公表は別々に必要
  • 通知は、自己評価・外部評価を1年に1回以上行うこと、公表方法は公表システム・ホームページ・WAM NET・事業所内掲示・市町村窓口等のいずれでも差し支えないこと、評価を行う運営推進会議は単独開催とすることを示している

評価と公表の状況を法人本部から一覧管理したい法人様へ

グループホームの評価は、自己評価・二者択一の評価・それぞれの結果の公表・年6回の会議記録と、1事業所あたりの管理対象が複数にまたがります。事業所数が増えるほど、「どの事業所が、今年度の自己評価をどこまで進めていて、結果をいつ・どの方法で公表したか」が法人本部から見えにくくなります。

パレットテクノロジーズでは、社会福祉法人・介護サービス事業所向けに、自己評価の項目ごとの回答を前年度から引き継ぎ、評価の実施日・公表日・公表方法・会議記録の有無までkintoneで一元管理するご支援をしています。毎年ゼロから様式を作り直す運用を見直すところから始められます。

参考にした一次情報

  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第34条第1項及び第2項・第97条第8項・第108条(e-Gov法令検索)
  • 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第78条第1項(e-Gov法令検索)
  • 指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について(平成18年3月31日老計発第0331004号、老振発第0331004号、老老発第0331017号)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第3条の37第1項に定める介護・医療連携推進会議、第34条第1項に規定する運営推進会議を活用した評価の実施等について(平成27年3月27日老振発0327第4号、老老発0327第1号)

※自己評価・外部評価の様式、提出先、公表の具体的な方法・期限は、都道府県・市町村の条例と要領によって異なります。外部の者による評価を実施する機関や手数料も自治体ごとに異なりますので、実際の運用にあたっては事業所の所在自治体の手引で必ずご確認ください。

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