「放課後等デイサービスの個別支援計画を作りたい」——検索すると、記入例や様式を配布するサイトがたくさん出てきます。ですが、根拠になっている省令を実際に開いてみると、少し様子が違います。「個別支援計画」という言葉は、放課後等デイサービスの運営基準の本文には一度も出てきません。
この記事では、雛形を配布する代わりに、放課後等デイサービスの計画を根拠条文に沿って整理します。とくに実務で見落とされやすいのは、計画を「作成」するときではなく「変更」するときの手続きです。見直して差し替えるだけでは足りず、作成のときと同じ重さの手続がまるごと必要になる、という点を中心にお伝えします。
「個別支援計画」という言葉は、省令のどこにも出てこない
放課後等デイサービスの人員・設備・運営の基準は、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)に定められています。この省令の本文を通して読んでも、「個別支援計画」という語は一度も登場しません。
放課後等デイサービスに関する規定は、本則の別の場所(第12条〜第22条、第24条〜第30条など)を放課後等デイサービスの事業にも当てはめる「準用」という形で置かれています。第71条がその準用規定です。
第十二条から第二十二条まで、第二十四条から第三十条まで、第三十二条、第三十四条から第四十五条まで、第四十七条から第五十条まで、第五十一条第一項及び第五十二条から第五十四条までの規定は、指定放課後等デイサービスの事業について準用する。
この列挙のなかに、計画の作成手続を定めた第27条と、記録の保存を定めた第54条が含まれています。そして、同じ第71条の後段に、用語の読み替え規定が置かれています。
第二十六条第一項、第二十七条及び第五十四条第二項第二号中「児童発達支援計画」とあるのは「放課後等デイサービス計画」と読み替えるものとする。
つまり、放課後等デイサービスの計画についての規定は、児童発達支援の計画(第26条・第27条)をそのまま準用し、条文中の「児童発達支援計画」という語を「放課後等デイサービス計画」に読み替えているだけです。省令が定める正式名称は「放課後等デイサービス計画」であり、「個別支援計画」ではありません。以降、この記事で第26条・第27条・第54条を引用する際は、原文どおり「児童発達支援計画」と書きますが、放課後等デイサービスにおいては「放課後等デイサービス計画」と読み替えてご覧ください。
では、現場で定着している「個別支援計画」という言葉はどこから来ているのでしょうか。これは、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づく障害福祉サービス(生活介護・就労継続支援など、成人向けのサービス)の計画を指す用語です。根拠になる法律・省令がそもそも別物であり、条文上の名称も異なります。実務では両者を同じ「個別支援計画」という呼び方でまとめて説明しているケースが多く見られますが、放課後等デイサービスの計画を条文から正確に説明するときは、この違いを押さえておく必要があります。
なお、障害福祉サービス側の個別支援計画に記載する領域の考え方については、個別支援計画の5領域で整理しています。根拠条文が異なる記事ですが、「領域」という考え方そのものは参考になりますので、あわせてご覧ください。
作成の起点:管理者が児童発達支援管理責任者に担当させる
放課後等デイサービス計画の作成は、誰か一人が思い立って始めるものではなく、事業所の中で担当を割り振るところから始まります。第27条第1項です。
指定児童発達支援事業所の管理者は、児童発達支援管理責任者に指定児童発達支援に係る通所支援計画(以下この条及び第五十四条第二項第二号において「児童発達支援計画」という。)の作成に関する業務を担当させるものとする。
条文の主語は「管理者」であり、実際に計画を作成するのは「児童発達支援管理責任者」です。管理者の役割は、児童発達支援管理責任者に作成業務を担当させることにあります。組織として当たり前に見える規定ですが、複数の児童発達支援管理責任者が在籍する事業所や、児童発達支援管理責任者が交代したばかりの事業所では、「誰が、いつ作成した計画か」を記録に残しておくことが後の確認をスムーズにします。児童発達支援管理責任者の配置要件そのものは別の規定によるものですが、要件の考え方を整理した記事として児童発達支援管理責任者の要件もあわせてご参照ください。
アセスメントは「面接」が必須。書類だけでは足りない
計画を作る前提として行うのがアセスメントです。第27条第2項がアセスメントを定義し、第3項が方法を具体的に定めています。
児童発達支援管理責任者は、アセスメントに当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に面接しなければならない。この場合において、児童発達支援管理責任者は、面接の趣旨を通所給付決定保護者及び障害児に対して十分に説明し、理解を得なければならない。
ここで押さえておきたいのは2点です。1つは、アセスメントには面接という具体的な方法が指定されている点。保護者からの聞き取りシートやアンケートだけで済ませることは、条文の要求水準を満たしません。もう1つは、面接を始める前に面接の趣旨を保護者・障害児に十分に説明し、理解を得ることが求められている点です。「アセスメントのために話を聞きます」という一言で終わらせず、何のための面接かを説明する手順自体が、条文上の義務として組み込まれています。
計画の原案に書くべき事項は、条文で決まっている
アセスメントの結果をもとに、児童発達支援管理責任者は計画の原案を作成します。原案に何を書くべきかも、条文で具体的に列挙されています。第27条第4項です。
児童発達支援管理責任者は、アセスメント及び支援内容の検討結果に基づき、通所給付決定保護者及び障害児の生活に対する意向、障害児に対する総合的な支援目標及びその達成時期、生活全般の質を向上させるための課題、第二十六条第四項に規定する領域との関連性及びインクルージョンの観点を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない。
長い一文ですが、項目ごとに整理すると次の5つです。
- 通所給付決定保護者及び障害児の生活に対する意向
- 障害児に対する総合的な支援目標及びその達成時期
- 生活全般の質を向上させるための課題
- 第26条第4項に規定する領域との関連性及びインクルージョンの観点を踏まえた具体的内容
- 支援を提供する上での留意事項
このうち、「第26条第4項に規定する領域との関連性」と「インクルージョンの観点」は、条文に明記された必須の記載事項です。「なんとなく支援内容を書けばよい」ものではなく、領域との関連性を意識した書き方と、インクルージョン(障害の有無にかかわらず地域社会に共に参加していくという考え方)の観点の両方を、具体的内容に反映させる必要があります。
ここで参照されている第26条第4項も見ておきましょう。
指定児童発達支援事業者は、障害児の適性、障害の特性その他の事情を踏まえた指定児童発達支援(治療に係る部分を除く。以下この条及び次条において同じ。)の確保並びに次項に規定する指定児童発達支援の質の評価及びその改善の適切な実施の観点から、指定児童発達支援の提供に当たっては、心身の健康等に関する領域を含む総合的な支援を行わなければならない。
現場では「5領域」という言葉でよく説明されますが、この条文の本文に「5領域」という数字や表現は出てきません。 省令が書いているのは「心身の健康等に関する領域を含む総合的な支援」という表現だけです。「5領域」という整理は、厚生労働省のガイドライン等で示された分類であり、省令の条文そのものの文言ではない、という点は正確に押さえておく必要があります。障害福祉サービス側の個別支援計画における領域の考え方は個別支援計画の5領域で扱っていますが、こちらも根拠条文(障害者総合支援法側)が異なる点にご留意ください。
会議・同意・交付——原案から確定までの3つの手続き
原案ができた後も、計画が確定するまでにはいくつかの手続きを経る必要があります。
まず、原案について支援に当たる担当者等の意見を求める会議です。第27条第5項では、支援に当たる担当者等を招集して会議を開催し、原案について意見を求めることが定められています。この会議は、テレビ電話装置その他の情報通信機器を活用したオンライン開催も認められています。担当者を一堂に集めることが難しい事業所でも、オンライン会議で要件を満たすことができます。
会議を経た後は、保護者と障害児本人への説明と同意です。第27条第6項です。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、通所給付決定保護者及び障害児に対し、当該児童発達支援計画について説明し、文書によりその同意を得なければならない。
同意は口頭ではなく、文書によるものでなければなりません。 「説明して了承いただいた」という記録だけでは足りず、同意書のような文書として残す必要があります。
同意を得たら、計画を交付します。第27条第7項です。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画を作成した際には、当該児童発達支援計画を通所給付決定保護者及び当該通所給付決定保護者に対して指定障害児相談支援(法第二十四条の二十六第二項に規定する指定障害児相談支援をいう。)を提供する者に交付しなければならない。
ここで見落とされやすいのが、交付先が2か所あるという点です。条文が求めているのは「通所給付決定保護者」への交付だけではありません。「当該通所給付決定保護者に対して指定障害児相談支援を提供する者」——つまり、その保護者を担当している相談支援事業所への交付も、同じ条文で義務付けられています。実務では保護者への交付は徹底されていても、相談支援事業所への交付が漏れているケースが少なくありません。計画を確定させたら、保護者用と相談支援事業所用の2部を用意し、両方の交付日を記録に残す運用にしておくと、この抜けを防ぎやすくなります。
最重要:計画の「変更」も、作成と同じ手続がまるごと必要になる
ここまでは計画を新規に「作成」するときの手続きでした。実務でもっとも見落とされやすいのは、計画を「変更」するときの手続きです。第27条第10項に、次の準用規定があります。
第二項から第七項までの規定は、第八項に規定する児童発達支援計画の変更について準用する。
「準用」というひと言に、大きな意味が込められています。第2項(アセスメントの定義)から第7項(交付)までの規定が、変更のときにもそのまま当てはまるということです。「支援の様子を見て、内容を少し書き換えた」「次のモニタリング時期が来たので数字だけ更新した」といった軽い変更であっても、条文上は次の手続をすべて経る必要があります。
| 手続き | 作成時 | 変更時 |
|---|---|---|
| アセスメント(面接・趣旨説明) | 必要(第2項・第3項) | 必要(第10項で準用) |
| 原案の作成(意向・目標・課題・領域との関連性等) | 必要(第4項) | 必要(第10項で準用) |
| 担当者等を招集した会議 | 必要(第5項) | 必要(第10項で準用) |
| 文書による同意 | 必要(第6項) | 必要(第10項で準用) |
| 保護者・相談支援事業所への交付 | 必要(第7項) | 必要(第10項で準用) |
つまり、条文上は作成と変更に手続きの重さの違いがありません。 「見直して差し替えただけ」という運用は、運営指導で必ず確認されるポイントです。とくに、変更のたびに面接を省略していないか、変更後の計画についても文書による同意を取り直しているか、変更後の計画を相談支援事業所に交付し直しているか、の3点は、変更を行うたびにチェックする項目として運用に組み込んでおくことをおすすめします。
モニタリングは6月に1回以上。ただし「面接」と「記録」はもっと頻繁に
変更のきっかけになるのが、日々のモニタリングです。第27条第8項です。
児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成後、児童発達支援計画の実施状況の把握(障害児についての継続的なアセスメントを含む。次項において「モニタリング」という。)を行うとともに、障害児について解決すべき課題を把握し、少なくとも六月に一回以上、児童発達支援計画の見直しを行い、必要に応じて、当該児童発達支援計画の変更を行うものとする。
「見直し」の頻度は少なくとも6月に1回以上です。ただし、これは「6月に1回だけ様子を見ればよい」という意味ではありません。第27条第9項では、モニタリングにあたって、通所給付決定保護者との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、(一)定期的に通所給付決定保護者及び障害児に面接すること、(二)定期的にモニタリングの結果を記録することが定められています。つまり、6月に1回の「見直し」とは別に、日常的な面接と記録が求められているということです。「6月ごとに計画を見直していれば十分」という理解は、モニタリングの実態としては不十分になります。モニタリングの具体的な実務については個別支援計画のモニタリングで整理していますので、あわせてご覧ください(こちらも根拠条文が異なる点にご留意ください)。
記録の保存は5年間。起算点は「完結の日」ではなく「提供した日」
作成・変更した計画は、記録として一定期間保存する義務があります。第54条第2項の柱書です。
指定児童発達支援事業者は、障害児に対する指定児童発達支援の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、当該指定児童発達支援を提供した日から五年間保存しなければならない。
各号のなかに、児童発達支援計画そのものも含まれています(放課後等デイサービスでは「放課後等デイサービス計画」と読み替え)。ここで注意したいのは、5年間の起算点です。「サービス提供が完結した日」や「契約が終了した日」ではなく、「当該指定児童発達支援を提供した日」から5年間です。計画は利用の途中で何度も作成・変更されるものなので、それぞれの計画が対象とする支援の提供日を基準に、保存期限を個別に管理する必要があります。まとめて「利用終了から5年」と覚えていると、実際の起算点とずれる可能性があります。
計画とは別の、年1回の義務——自己評価・保護者評価・公表
計画の作成・変更・モニタリングとは別に、事業者にはもう1つ、年に1回以上の義務があります。第26条は、事業者が提供する支援の質について、従業者による評価を受けたうえで自己評価を行い、あわせて保護者による評価(保護者評価)を受けて改善を図ることを求めています。そのうえで、第26条第7項が公表について定めています。
事業者は、おおむね一年に一回以上、自己評価及び保護者評価並びに改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならないとされています。
これは、計画の6月に1回以上の見直しとは別の、独立した義務です。同じ「年に1回」「6月に1回」という周期の話が混ざりやすいので、法人内の管理表では、計画の見直し期限と、自己評価・保護者評価・公表の実施期限を、別の欄で管理することをおすすめします。
放課後等デイサービス計画の作成・変更で押さえておきたいこと
- 省令上の正式名称は「放課後等デイサービス計画」。「個別支援計画」は障害者総合支援法側の用語で、根拠条文が異なる(第71条の読み替え規定)
- 計画の作成業務を担当するのは児童発達支援管理責任者。管理者はその担当をさせる立場(第27条第1項)
- アセスメントには面接が必須で、面接前に趣旨の説明と理解を得ることが求められる(第27条第3項)
- 原案の記載事項には「領域との関連性」と「インクルージョンの観点」が条文上の必須事項(第27条第4項・第26条第4項)。「5領域」という数字は条文の文言ではなくガイドライン側の整理
- 原案は担当者会議(オンライン可)を経て、文書による同意を得る(第27条第5項・第6項)
- 交付先は2か所。保護者だけでなく、指定障害児相談支援を提供する者にも交付する(第27条第7項)
- 変更のときも、作成と同じ手続(アセスメント〜交付)がまるごと必要(第27条第10項)。見直して差し替えるだけでは足りない
- 見直しは少なくとも6月に1回以上。加えて定期的な面接・記録が必要(第27条第8項・第9項)
- 記録の保存期間は5年間。起算点は「提供した日」(第54条第2項)
- 自己評価・保護者評価・公表は年1回以上で、計画の6月サイクルとは別の義務(第26条第6項・第7項)
作成日・同意日・交付先・見直し期限を一覧で管理したい法人様へ
放課後等デイサービス計画は、作成日・保護者の同意日・2か所への交付状況・次回見直し期限を、利用者ごと・事業所ごとに管理する必要があります。事業所数や利用者数が増えるほど、「どの計画がいつ変更され、交付は済んでいて、いつまでに見直すべきか」が法人本部から見えにくくなります。
パレットテクノロジーズでは、社会福祉法人・障がい福祉サービス事業所向けに、計画の作成日・同意日・交付状況・見直し期限をkintoneで一元管理するご支援をしています。「どの利用者の計画が、いつ変更され、相談支援事業所への交付が済んでいるか」を法人本部から一覧で見られるようにするところから始められます。
- サービスの詳細:IT導入・DX支援(福祉業界)
- ご相談・お問い合わせ:お問い合わせフォーム
参考にした一次情報
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第26条・第27条・第54条・第71条(e-Gov法令検索)
※様式・記載要領・記録の保存年限は自治体によって異なります。実際の運用にあたっては指定権者の手引で必ずご確認ください。