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共生型サービス|3つの法律で呼び名がそろっていない指定の特例

介護サービスと障がい福祉サービスを同じ事業所で提供する。その入口になるのが、一般に「共生型サービス」と呼ばれている仕組みです。ところが条文を開くと、呼び名が法律ごとにそろっていません。

「共生型」という語は、介護保険法の本則に4回、障害者総合支援法の本則に1回出てきますが、児童福祉法の本則には1回も出てきません(2026年10月15日に取得した条文で数えました)。それでも、同じ構造の特例は児童福祉法にも置かれています。第21条の5の17です。そしてこの条には、条見出し(条文番号の下にカッコ書きで付く見出し)すら付いていません。

この記事では、3つの法律に置かれた6本の特例を並べて、次のことを条文の言葉で確かめます。

  • 「共生型」という語は、条文のどこに出てくるのか
  • 特例は「どちら向き」なのか。すでに持っている指定と、これから申請する指定
  • 特例で何が置き換わるのか。「指定できるようになる」という書き方なのか
  • 特例を使わないという選択はできるのか

先に結論を書きます。条文の本文に「共生型」という語は1度も出てきません。 出てくるのは条見出しだけです。そして特例の中身は、「指定できる」と書いた規定ではなく、指定をしてはならない事由を判定するときに当てはめる基準を、別の基準に読み替えるという形で書かれています。読むのは介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法の条文だけです。対象サービスの具体的な範囲、基準の中身、報酬、申請の窓口は条文に無いので、最後の節で正直に挙げます。

「共生型」は条見出しにしか出てこない

本則(附則を除いた本体)で「共生型」を数えた結果です。

法律本則での「共生型」の出現回数出てくる場所
介護保険法4回4本の条見出し
障害者総合支援法1回第41条の2の条見出し
児童福祉法0回なし

介護保険法の4本は、次の条見出しが付いた条文です。

条条見出し
第72条の2共生型居宅サービス事業者の特例
第78条の2の2共生型地域密着型サービス事業者の特例
第115条の2の2共生型介護予防サービス事業者の特例
第115条の12の2共生型地域密着型介護予防サービス事業者の特例

障害者総合支援法は第41条の2に「共生型障害福祉サービス事業者の特例」という条見出しが付いています。この5本が、3つの法律に出てくる「共生型」のすべてです。

押さえておきたいのは、5回とも条見出しであって、条文の本文の中には1回も出てこないということです。本文は「共生型サービスとは何々である」といった定義を置いていません。書かれているのは「ある指定を受けている者から別の指定の申請があった場合」という場面の説明だけです。つまり条文の上では、「共生型サービス」という名前のサービス種類が新しく作られているわけではありません。 既存の指定の申請について、扱いを変える特例が置かれている、という組み立てです。

そして児童福祉法です。障害児通所支援の側にも同じ構造の特例が第21条の5の17に置かれているのですが、「共生型」という語も、条見出しそのものも付いていません。条文を番号で探しに行かないと見つからないのが児童福祉法の側だ、ということになります。

特例は「どちら向き」なのか

6本とも、「すでに受けている指定」と「これから申請する指定」の組み合わせで書かれています。介護保険法第72条の2は、次の言葉で始まります。

訪問介護、通所介護その他厚生労働省令で定める居宅サービスに係る事業所について、

これに続いて、児童福祉法第21条の5の3第1項の指定、または次の指定を受けている者が出てきます。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号。以下「障害者総合支援法」という。)第二十九条第一項の指定障害福祉サービス事業者の指定

そのうえで条文は、これらの指定を受けている者から、当該事業所に係る第70条第1項の申請があった場合、という形に続きます。第70条第1項は、居宅サービス事業者の指定の申請を定めた条文です。つまりこの特例は、障がい福祉の側の指定をすでに持っている事業所が、同じ事業所で介護保険の居宅サービスの指定を取りに行くときの話です。逆向きではありません。

根拠条文すでに受けている指定これから申請する指定
介護保険法第72条の2児童福祉法第21条の5の3第1項の指定、または障害者総合支援法第29条第1項の指定居宅サービス
介護保険法第78条の2の2同上地域密着型サービス
介護保険法第115条の2の2同上介護予防サービス
介護保険法第115条の12の2同上地域密着型介護予防サービス
障害者総合支援法第41条の2児童福祉法第21条の5の3第1項の指定、または介護保険法の4つの指定指定障害福祉サービス事業者の指定
児童福祉法第21条の5の17介護保険法の4つの指定、または障害者総合支援法第29条第1項の指定指定通所支援

介護保険法の側が4本に分かれているのは、介護保険の指定が4種類に分かれているからです。障害者総合支援法と児童福祉法の側は、その4つをまとめて1本の条文で受けています。同じ仕組みなのに、条文の本数が4対1対1になっているわけです。

条文が名前を挙げているサービスにも違いがあります。

根拠条文条文が名前を挙げているサービス
介護保険法第72条の2訪問介護、通所介護その他厚生労働省令で定める居宅サービス
介護保険法第78条の2の2地域密着型通所介護その他厚生労働省令で定める地域密着型サービス
介護保険法第115条の2の2介護予防短期入所生活介護その他厚生労働省令で定める介護予防サービス
介護保険法第115条の12の2厚生労働省令で定める地域密着型介護予防サービス
障害者総合支援法第41条の2居宅介護、生活介護その他主務省令で定める障害福祉サービス
児童福祉法第21条の5の17児童発達支援その他内閣府令で定める障害児通所支援

4本目の介護保険法第115条の12の2だけ、サービスの例が1つも挙がっていません。

厚生労働省令で定める地域密着型介護予防サービスに係る事業所について、

ほかの5本が「訪問介護、通所介護その他」のように例を挙げてから省令に委ねているのに対して、ここだけは最初から省令だけを指しています。条文を読んだだけでは、対象サービスの手がかりが1つも得られない条、ということになります。

なお、介護保険法第115条の2の2が名前を挙げているのは介護予防短期入所生活介護です。障がい福祉の側の短期入所については短期入所(ショートステイ)の記事で条文の位置づけを整理しています。障害者総合支援法の側で、居宅介護と生活介護のほかにどの障害福祉サービスが対象かは主務省令に委ねられており、この条文からは分かりません。種類ごとの条文の読み方は自立訓練(機能訓練・生活訓練)の記事でも同じやり方で扱っています。

特例が置き換えるのは、指定を拒む事由の判定基準

では、特例に当たると何が変わるのか。ここが誤解されやすいところです。条文は「指定することができる」とは書いていません。 介護保険法第72条の2第1項は、次のように書いています。

次の各号のいずれにも該当するときにおける第七十条第二項(第七十条の二第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、第七十条第二項第二号中「第七十四条第一項の」とあるのは「第七十二条の二第一項第一号の指定居宅サービスに従事する従業者に係る」と、「同項」とあるのは「同号」と、同項第三号中「第七十四条第二項」とあるのは「第七十二条の二第一項第二号」とする。

読みにくい書き方ですが、やっていることは1つです。第70条第2項という別の条文の中の語句を、入れ替えているのです。

第70条第2項は、都道府県知事が「指定をしてはならない」場合を列挙した条文です。その第二号は、もともと次のように書かれています。

当該申請に係る事業所の従業者の知識及び技能並びに人員が、第七十四条第一項の都道府県の条例で定める基準及び同項の都道府県の条例で定める員数を満たしていないとき。

第74条第1項は、指定居宅サービス事業者が守るべき通常の基準を指しています。特例に当たる場合は、ここが第72条の2第1項第一号に入れ替わります。その第一号と第二号は、次の内容です。

当該申請に係る事業所の従業者の知識及び技能並びに人員が、指定居宅サービスに従事する従業者に係る都道府県の条例で定める基準及び都道府県の条例で定める員数を満たしていること。

申請者が、都道府県の条例で定める指定居宅サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な居宅サービス事業の運営をすることができると認められること。

整理すると、特例の働きは次のようになります。

  1. 指定を拒む事由(第70条第2項第二号・第三号)そのものは残る
  2. ただし、そこで当てはめる基準が、通常の指定居宅サービスの基準から、共生型用に別途定められた条例の基準に置き換わる
  3. 置き換わった基準を満たしていれば、その号を理由に指定を拒まれることはなくなる

「指定できるようになる」のではなく、「満たすべき基準の中身が別のものになる」という書き方です。 しかも置き換わるのは第二号と第三号だけで、第70条第2項に並ぶほかの事由(拘禁刑以上の刑に処せられた者であるとき、過去5年以内に指定を取り消されているときなど)はそのまま残ります。共生型の特例を使っても欠格事由の審査が省かれるわけではない、ということが条文の形から読み取れます。

障害者総合支援法第41条の2も児童福祉法第21条の5の17も、置き換える相手の条番号が違うだけで同じ書き方です。障害者総合支援法は第36条第3項第二号・第三号を、児童福祉法は第21条の5の15第3項第二号・第三号を読み替えています。

指定を受けたあとも、読み替えは続く

特例が効くのは入口だけではありません。介護保険法第72条の2第4項です。

第一項の場合において、同項に規定する者が同項の申請に係る第四十一条第一項本文の指定を受けたときは、その者に対しては、第七十四条第二項から第四項までの規定は適用せず、次の表の上欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

適用しないとされているのは第74条第2項から第4項までです。そのうえで表が置かれ、第74条第1項(基準を守る義務)、第76条の2第1項(勧告や命令の要件)、第77条第1項(指定の取消しや効力の停止の事由)の中の語句が、第72条の2第1項第一号・第二号に入れ替わります。指定後に守る基準も、勧告を受ける要件も、指定を取り消される要件も、共生型用の基準で判断されるということです。障害者総合支援法第41条の2第3項、児童福祉法第21条の5の17にも、同じく「適用せず」と読み替えの表が置かれています。

使わないこともできる:ただし書きの「別段の申出」

6本とも、同じ位置にただし書きが付いています。介護保険法第72条の2第1項のただし書きです。

ただし、申請者が、厚生労働省令で定めるところにより、別段の申出をしたときは、この限りでない。

条件に当てはまる申請であれば、特例は原則として適用される。適用してほしくない場合は、申請者の側から別段の申出をする。つまり手を挙げて使う仕組みではなく、手を挙げて外す仕組みだという書き方になっています。

同じただし書きが、ほかの2法にもあります。違うのは省令の呼び名だけです。

ただし、申請者が、主務省令で定めるところにより、別段の申出をしたときは、この限りでない。

ただし、申請者が、内閣府令で定めるところにより、別段の申出をしたときは、この限りでない。

根拠条文ただし書きの省令の呼び名
介護保険法の4本厚生労働省令
障害者総合支援法第41条の2主務省令
児童福祉法第21条の5の17内閣府令

文の形はそろっているのに、委任先の呼び名が3つに分かれています。別段の申出の手続が3つの別々の省令に書かれている、ということでもあります。今回は省令を読んでいないので、申出の方法そのものは分かりません。

基準は条例に委ねられ、確認先は区分で分かれる

特例で当てはめる基準は、法律ではなく都道府県または市町村の条例で定められます。条例の作り方にも縛りがあり、介護保険法第72条の2第2項は、省令に「従い」定める事項、省令を「標準として」定める事項、省令を「参酌する」事項の3段階に分けています。縛りの強さが項目ごとに違うので、同じ共生型でも自治体によって条例の中身が変わりうるのは、この構造が理由です。

条例を定める主体も、サービスの区分によって分かれます。

根拠条文条例を定める主体
介護保険法第72条の2(居宅サービス)都道府県
介護保険法第78条の2の2(地域密着型サービス)市町村
介護保険法第115条の2の2(介護予防サービス)都道府県
介護保険法第115条の12の2(地域密着型介護予防サービス)市町村
障害者総合支援法第41条の2都道府県
児童福祉法第21条の5の17都道府県

地域密着型の2本だけが市町村の条例です。確認しに行く先が、サービスの区分によって都道府県と市町村に分かれることになります。

なお、介護保険法の4本には、省令を定めるときの手続を書いた項があります。第72条の2第3項です。

厚生労働大臣は、前項に規定する厚生労働省令で定める基準(指定居宅サービスの取扱いに関する部分に限る。)を定めようとするときは、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない。

今回読んだ範囲では、障害者総合支援法第41条の2と児童福祉法第21条の5の17に、これに当たる項はありませんでした。ここでも書き方がそろっていません。

従業者の要件の書き方もそろっていない

介護保険法第72条の2第1項第一号は、前の節で引用したとおり「基準及び員数」と2つ書いています。これに対して障害者総合支援法第41条の2第1項第一号と、児童福祉法第21条の5の17第1項第一号は、次のように「基準」とだけ書きます。

当該申請に係るサービス事業所の従業者の知識及び技能並びに人員が、指定障害福祉サービスに従事する従業者に係る都道府県の条例で定める基準を満たしていること。

当該申請に係る障害児通所支援事業所の従業者の知識及び技能並びに人員が、指定通所支援に従事する従業者に係る都道府県の条例で定める基準を満たしていること。

ただし、どちらも条例に委ねる項の側で「従業者及びその員数」を挙げているので、員数が要らないという意味ではありません。法律の条文の表に出てくるか、条例に委ねる項の側に書かれているかの違いと読むのが素直です。それでも、3つの法律を並べて読む立場では、こうした書き分けが読み手の負担になります。

廃止・休止の届出:地域密着型が関わるときだけ事前の届出

最後に、運営をやめるときの扱いです。ここは6本で扱いが2つに分かれていて、実務で間違えやすいところです。市町村が指定する地域密着型について、介護保険法第78条の2の2第5項は次のように書いています。

第一項に規定する者であって、同項の申請に係る第四十二条の二第一項本文の指定を受けたものは、児童福祉法第二十一条の五の三第一項に規定する指定通所支援の事業(当該指定に係る事業所において行うものに限る。)又は障害者総合支援法第二十九条第一項に規定する指定障害福祉サービスの事業(当該指定に係る事業所において行うものに限る。)を廃止し、又は休止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、その廃止又は休止の日の一月前までに、その旨を当該指定を行った市町村長に届け出なければならない。

障がい福祉の側の事業を廃止または休止しようとするときに、その日の1月前までに市町村長へ届け出なければならないと書かれています。「みなす」側ではなく、能動的な届出の義務です。そのうえで、この届出があったときに地域密着型サービスの事業についても届出があったものとみなす、と続きます。

区分廃止・休止のときの扱い
居宅サービス、介護予防サービス障がい側の廃止・休止の届出があったとき、介護側も届出があったものとみなす
地域密着型サービス、地域密着型介護予防サービス障がい側を廃止・休止しようとするとき、1月前までに市町村長へ届出。そのうえでみなす
障害福祉サービス、障害児通所支援相手が介護保険の地域密着型の2つのときは1月前までに都道府県知事へ届出。それ以外は届出があったものとみなす

地域密着型が関わるときだけ、事前の届出が要るという形です。1つの事業所で複数の指定を持っていると、やめるときの手続が区分ごとに違う。ここは法人本部で手順を整理しておく価値のある部分だと思います。

条文に書かれていないこと

ここまで読んだ条文には、次の内容は書かれていません。

  • 対象サービスの具体的な一覧:6本とも「その他厚生労働省令で定める」「その他主務省令で定める」「その他内閣府令で定める」と書いて省令に委ねています
  • 基準の具体的な中身:人員の数、居室の床面積、利用定員などの数値は、省令と条例の側にあります
  • 別段の申出の方法:ただし書きは「省令で定めるところにより」と書くだけで、様式も期限もありません
  • 報酬の扱い:介護報酬、障害福祉サービス等報酬、障害児通所給付費の単位数や加算減算は、今回読んだ条文に一切出てきません
  • 申請の窓口と必要書類:どの課に、どの書類を出すのかは条文に書かれていません
  • いつから置かれた規定か:改正の経過は本則からは読み取れません。今回は附則を読んでいません
  • 自治体ごとの条例の中身:条例に委ねられた部分は、所管の都道府県または市町村の条例を見なければ分かりません

これらは、省令と自治体の条例、所管庁の案内で確認する部分です。

まとめ

  • 「共生型」の語は、本則で介護保険法に4回、障害者総合支援法に1回、児童福祉法に0回。5回ともすべて条見出しで、条文の本文には1回も出てこない
  • 児童福祉法にも同じ構造の特例が第21条の5の17に置かれているが、条見出しが付いていないため、番号で探しに行かないと見つからない
  • 特例は向きのある規定。すでに受けている指定とこれから申請する指定の組み合わせで書かれ、介護保険法の側は4本、ほかの2法は1本ずつ
  • 条文は「指定できる」とは書いていない。指定をしてはならない事由のうち基準に関する2つの号で、当てはめる基準を共生型用の条例の基準に読み替えるという書き方。欠格事由は読み替えの対象外
  • 読み替えは指定後も続き、基準を守る義務、勧告や命令、指定の取消しの要件まで共生型用の基準で判断される
  • ただし書きにより特例は原則として適用され、使わないときは申請者が別段の申出をする。委任先は厚生労働省令、主務省令、内閣府令と3つに分かれている
  • 基準は条例に委ねられ、地域密着型の2本だけ市町村の条例。確認先が区分で分かれる
  • 廃止・休止は、地域密着型が関わるときだけ1月前までの事前の届出が要る

参考(一次情報)

本記事は法令の条文の構造を整理したもので、個別の事業所の指定の可否や運営判断を示すものではありません。対象サービスの範囲、基準の中身、申請と届出の手続は、省令と所管の都道府県または市町村の条例、最新の案内をご確認ください。


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