
Excelのシートが、継ぎ足し、継ぎ足しで膨らんでいく。
誰も困っていないわけではないのに、なぜか誰も止められない。
奈良市の社会福祉法人 福寿会様が、最初に感じていらっしゃったのは、そういう「言葉にしづらい違和感」でした。
今回は、ご支援を始めておよそ1年が経った福寿会様に、率直なところをうかがいました。
30秒でわかる、この事例
| お客様 | 社会福祉法人 福寿会 様(奈良県奈良市) |
| 課題 | 食数管理などをExcelで運用。継ぎ足しを重ね、全体を把握しづらい状態に |
| ご支援内容 | kintoneの導入と、法人業務のオーダーメイド開発・伴走支援(訪問型) |
| 開始時期 | 2025年11月〜 |
| つくったもの | 月報・起案書・修理伺い・入所申込・ベッド管理など、約20の業務領域をkintone化 |
| 一番の変化 | 「紙とExcelでどうにかする」から、「新しいやり方を探す」へ考え方が変わった |
| 現場の反応 | 電子決裁で、申請がどこで止まっているか一目瞭然に |
福寿会様ってどんな法人?

社会福祉法人 福寿会様は、1981年に設立認可を受け、奈良市秋篠町を拠点に40年以上にわたって地域の福祉を支えてこられた法人です。
掲げていらっしゃるのは「みなさまに寄り添い、人生をサポートいたします」という言葉。高齢者福祉を軸にしながら、保育園や診療所まで、地域の暮らしを幅広く支えていらっしゃいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法人名 | 社会福祉法人 福寿会 |
| 所在地 | 奈良県奈良市秋篠町1567番地 |
| 設立 | 1981年(社会福祉法人として設立認可) |
| 職員数 | 330名 |
| 主な施設 | 特別養護老人ホーム(平城園・ならやま園・ロータスホーム)、ケアハウスならやま(軽費老人ホーム)、サービス付き高齢者向け住宅(ヴィラ秋篠・グレイス福寿)、グループホーム アクール、平城園診療所、あきしの整形外科クリニック、登美ヶ丘マミーズ保育園・福寿会マミーズ保育園、福寿会配食サービス ほか |
| サービス | 特別養護老人ホーム・ショートステイ・デイサービス・訪問介護・居宅介護支援・訪問リハビリステーション・保育 など |
事業所の数だけ、書類があり、承認のフローがあり、集計する表があります。
規模が大きいほど、Excelの「継ぎ足し」は静かに進みます。
Excelが、継ぎ足しで膨らんでいく
最初にうかがったのは、ご相談前のお悩みでした。
💬 福寿会様
「いろんな業務をExcelで管理していて、継ぎ足し継ぎ足しになっている。それをどうにかしないといけない、とは感じていました」
日々発生する、自動車管理や発注管理。
項目が増えるたびに列を足し、施設が増えるたびにシートを足す。動いてはいるけれど、もう最初に作った人の形ではない。
福祉の現場で、これは決して珍しい話ではありません。
私たちがご支援に入る法人様の多くが、同じ形のExcelを抱えていらっしゃいます。
気づけたから、動けた
ではなぜ、このタイミングでご相談くださったのか。
きっかけをうかがって、私たちが一番印象に残ったのは、この一言でした。
💬 福寿会様
「それが普通だと感じている部分に、あやうさを感じたんです」
トラブルが起きたから、ではありません。
「この状態を、誰も疑っていない」——そこにご自身で気づかれた、ということです。
これは、本当に難しい気づき方だと思います。
トラブルが起きてから直すのは誰でもできますが、壊れる前の「慣れ」に気づけるのは、法人の先を見ている方だけです。私たちがお手伝いできたのは、その気づきのあとの部分でした。
決め手は、「近さ」だった
数あるIT会社の中で、なぜ当社だったのか。
正直にうかがってみると、返ってきた答えはとてもシンプルでした。
💬 福寿会様
「事務所が近かったこと。地元企業の安心感ですね」
「あと、Webじゃなくて訪問、というのが安心でした」
私たちは、Web会議ではなく訪問して膝を突き合わせることにこだわっています。
理由は単純で、Web会議では現場も、紙の資料も見られないからです。
福祉の業務は、書類と現場が地続きです。
「この紙、実は誰も見てないんですよ」という一言は、その紙を目の前に置いて初めて出てきます。
Before / After ——何が変わったのか
導入から約1年。現場で起きた変化を、お客様の言葉から整理しました。
| Before | After | |
|---|---|---|
| 考え方 | 紙とExcelで「どうにかする」 | 新しいやり方を模索するようになった |
| 申請・決裁 | どこまで進んだのか分からない | どこで止まっているかが一目瞭然 |
| 研修報告 | Excelだと書く量が増えるたびにセルを伸ばす必要があった | 報告がしやすくなった |
| 報告の提出 | 出てくるものと、出てこないものがあった | データが見える化し、必要な報告がきっちり出てくるように |
| 管理表 | 継ぎ足しで膨らんだExcel | 業務にあわせてkintoneでオーダーメイド |
一番の変化は、システムではなく「考え方」
「導入してみていかがでしたか」という質問への答えが、私たちにとっては一番うれしいものでした。
💬 福寿会様
「便利になっていると感じています。
それより、どうにかして紙とかExcelとかでやっていたのが、新しいやり方を模索するようになっている。考え方が変わってきているのを感じます」
システムを入れることがゴールではありません。
「これ、もっといいやり方があるんじゃないか」と職員様が考え始めること。 それが、法人が自走していく最初のスイッチだと思っています。
止まっている場所が、見える
印象に残っている出来事をうかがうと、具体的なエピソードが次々と出てきました。

① 研修報告が書きやすくなった
💬 福寿会様
「Excelだと、書く量が増えたらセルを伸ばさないといけないんですよね」
小さなことに見えますが、「書きにくい」は、そのまま「書かれない」になります。
② 電子決裁で、滞留が可視化された
💬 福寿会様
「電子決裁で、どこで停まっているかが一目瞭然になりました」
紙の決裁は、机の上で止まります。
止まっていること自体が見えないので、催促もできません。電子化の効果は「速くなる」ことよりも、「遅れが見える」ことのほうが大きい——現場でそう実感していただけました。
③ 使いにくいところも、正直に
💬 福寿会様
「修理依頼とか、使いづらい部分もあります。でも、それも止まっているところが分かるのは便利です」
ここは私たちの宿題です。
いただいた「使いづらい」は、次の訪問の議題になります。
④ 報告が、きちんと出てくるようになった
💬 福寿会様
「データが見える化したおかげで、しなければいけない報告を、きっちり出してもらえるようになりました」
見えるようにすると、人は動く。
ルールを厳しくするより、ずっと効きます。
「全部さらけ出さないと、困りごとは出きらない」
他社との違いをうかがったとき、いただいた言葉です。
💬 福寿会様
「ちゃんとお困りごとを汲み取って、形にしてくれるのが助かっています」
「話しやすい。全部さらけ出さないと困りごとは全部出きらないと思うんですが、それが出せていると感じます」
私たちの仕事は、要件定義書に書かれたものを作ることではありません。
まだ言葉になっていない困りごとを、一緒に言葉にすることから始まります。
そのためには、「こんなこと聞いたら怒られるかな」と思われない関係でいることが、実は一番の技術だと思っています。
成果まとめ
| 業務の変化 | Excel運用を見直し、kintoneでのオーダーメイド開発へ |
| 決裁の変化 | 電子決裁により、申請の滞留箇所が可視化 |
| 報告の変化 | データの見える化により、必要な報告が確実に提出されるように |
| 意識の変化 | 「紙とExcelでどうにかする」→「新しいやり方を模索する」 |
| 関係の変化 | 訪問・対面で、言いにくいことも言える関係に |
| 改善点 | 約20の業務領域(月報/起案書/修理伺い/入所申込/ベッド管理/車両管理/物品購入/小口現金管理/発注管理/会議委員会記録/事業計画/アセスメントシート ほか) |
| 期間 | 約1年 |
これからのこと
福寿会様のご支援は、いまも続いています。
直近では、長年のお悩みだった食数管理の仕組みづくりにも着手しています。
💬 福寿会様
「今後は、各事業所の情報をkintoneに集約し、日々の業務管理だけでなく、経営判断や業務改善にも活用していきたいと考えています。現場で生まれる情報を法人全体で共有し、より良いサービスや働きやすい職場づくりにつなげながら、継続的に改善できる仕組みを整えていきたいです。」
同じお悩み、ありませんか
- 継ぎ足しで膨らんだExcelを、誰も直せない
- 申請書が、どこで止まっているか分からない
- 「これが普通」になっていることに、うっすら不安がある
ひとつでも当てはまったら、一度お話を聞かせてください。
奈良の地元企業として、訪問して、現場を見て、ご一緒に考えます。
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