週に3日だけ入る介護職員、週4日の調理員、週に1日だけ来る送迎の運転手。社会福祉法人には、フルタイムの職員とは勤務日数の違う職員が、事業所ごとに何人もいます。
そこで事務担当者から出てくるのが、次のような戸惑いです。「パートの職員にも有給休暇は発生すると聞くが、何日付与すればよいのか」「週4日勤務の職員と、週3日勤務の職員で、日数は変わるのか」「シフト制で、週の日数が決まっていない職員はどう見るのか」。
この記事では、労働基準法第39条第3項と、労働基準法施行規則第24条の3の表を読み、勤務日数が少ない職員の有給休暇の日数がどのように決まるのかを整理します。条文から決まることと、条文だけでは決まらないことは分けて書きます。なお、条文には「パート」という言葉は出てきません。この記事では、週の所定労働日数が少ない職員を、便宜上パート・非常勤の職員と呼びます。
先に結論
- 有給休暇の比例付与は、労働基準法第39条第3項が定めています。通常の日数(第1項・第2項)を基準にして、勤務日数の少なさに応じて日数を減らす仕組みです。
- ただし、第3項の柱書には「一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く」という括弧書きがあり、施行規則第24条の3第1項はその時間を三十時間と定めています。週の日数が少なくても、週の所定労働時間が30時間以上なら、比例付与の対象から外れます。
- 比例付与の対象は2種類です。第一号は週の所定労働日数が四日以下の職員、第二号は週以外の期間で所定労働日数が定められている職員のうち、年間の所定労働日数が二百十六日以下の職員です。
- 付与日数は、施行規則第24条の3の表で決まります。週4日・週3日・週2日・週1日の区分と、継続勤務期間ごとの日数が書かれています。
- 比例付与でも、付与日数が十労働日以上になる区分があります。その職員は、年5日の時季指定の対象です。付与日数を記録する年次有給休暇管理簿も、第24条の7で作成と保存が求められています。
まず通常の付与日数を確かめる(第39条第1項・第2項)
比例付与は、通常の日数を基準にした仕組みです。先に、基準となる通常の日数を見ておきます。
第39条第1項は、最初の付与について次のように定めています。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
雇入れの日から六箇月間継続勤務し、全労働日の八割以上出勤した職員に、十労働日が与えられます。
第2項は、一年六箇月以上継続勤務した職員への加算です。六箇月経過日(雇入れの日から六箇月を超えて継続勤務する日)から起算した継続勤務年数に応じて、前項の日数に次の労働日を加算するとされています。加算は、一年が一労働日、二年が二労働日、三年が四労働日、四年が六労働日、五年が八労働日、六年以上が十労働日です。
この加算を第1項の十労働日に足すと、通常の日数は次のようになります。
| 雇入れからの継続勤務期間 | 通常の日数 |
|---|---|
| 六箇月 | 10日 |
| 一年六箇月 | 11日 |
| 二年六箇月 | 12日 |
| 三年六箇月 | 14日 |
| 四年六箇月 | 16日 |
| 五年六箇月 | 18日 |
| 六年六箇月以上 | 20日 |
この表の日数は、第1項の十労働日と、第2項の加算を足し合わせた計算値です。条文に、この形の表が書かれているわけではありません。
比例付与の入口:まず「週30時間」で線が引かれる
第39条第3項の本文は、比例付与の考え方を次のように書いています。柱書は長いので、前半部分を引用します。
次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、
ここから読み取れる点は2つあります。
- 比例付与の日数は、第1項・第2項の日数(先ほどの通常の日数)を基準にして決まります。
- 括弧書きで、「一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者」は、比例付与の対象から除かれています。
その時間を定めているのが、施行規則第24条の3第1項です。
法第三十九条第三項の厚生労働省令で定める時間は、三十時間とする。
つまり、週の所定労働時間が三十時間以上の職員は、勤務日数がどれだけ少なくても、比例付与の対象になりません。第1項・第2項の通常の日数で見ることになります。
たとえば、週4日勤務で、1日の所定労働時間が8時間の職員を考えます。週の所定労働時間は32時間です。条文の文言に当てはめると、三十時間以上なので、第3項の括弧書きにより比例付与の対象から除かれます。これは条文の数字を当てはめた仮の例です。一方、週4日勤務でも、1日の所定労働時間が6時間なら、週24時間で、三十時間には届きません。
「週の日数が少ない=比例付与」と考えてしまいがちですが、条文は、まず時間で線を引いています。日数の確認より先に、週の所定労働時間を確認する必要があります。
比例付与の対象は2種類(第一号と第二号)
三十時間未満の職員のうち、比例付与の対象になるのは、第3項が挙げる2つの類型のどちらかに当たる職員です。
第一号:週の所定労働日数が少ない職員
第一号は、次のように書かれています。
一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
ここに出てくる2つの日数を、施行規則第24条の3が定めています。
法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、五・二日とする。
法第三十九条第三項第一号の厚生労働省令で定める日数は、四日とする。
通常の労働者の週所定労働日数は五・二日、比例付与の対象になる上限は四日です。週の所定労働日数が四日以下であれば、第一号に当たります。週5日の職員は、四日を超えるので、第一号には当たりません。
第二号:週以外の期間で日数が決まっている職員
第二号は、週ではなく、週以外の期間によって所定労働日数が定められている職員を対象にしています。
週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
この文言は長く、読みにくいのですが、施行規則が数字を定めています。
法第三十九条第三項第二号の厚生労働省令で定める日数は、二百十六日とする。
週ではなく、年間の所定労働日数で見る職員は、年間の所定労働日数が二百十六日以下であれば、第二号に当たります。
2つの類型を整理すると、次のようになります。
| 類型 | 見る期間 | 上限 |
|---|---|---|
| 第一号 | 一週間の所定労働日数 | 四日以下 |
| 第二号 | 一年間の所定労働日数 | 二百十六日以下 |
どちらの類型でも、先ほどの「週30時間」の括弧書きは、第3項の柱書で一括して効いています。
付与日数は施行規則第24条の3の表で決まる
では、比例付与の日数は何日になるのか。施行規則第24条の3は、次のように定めています。
次の表の上欄の週所定労働日数の区分に応じ、同項第二号に掲げる労働者にあつては同表の中欄の一年間の所定労働日数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分ごとに定める日数とする。
上の引用は、条文の途中から連続した部分を取り出したものです。第一号の職員は週所定労働日数の区分(上欄)で、第二号の職員は一年間の所定労働日数の区分(中欄)で、それぞれ下欄の日数を読みます。
まず、週の区分と、それに対応する年間の所定労働日数の区分を並べます。
| 週所定労働日数 | 一年間の所定労働日数 |
|---|---|
| 四日 | 百六十九日から二百十六日まで |
| 三日 | 百二十一日から百六十八日まで |
| 二日 | 七十三日から百二十日まで |
| 一日 | 四十八日から七十二日まで |
次に、継続勤務期間ごとの付与日数です。表が横に広がるので、週4日・週3日と、週2日・週1日に分けて載せます。比較のために、先ほどの通常の日数も並べます。
| 継続勤務期間 | 通常 | 週4日 | 週3日 |
|---|---|---|---|
| 六箇月 | 10日 | 7日 | 5日 |
| 一年六箇月 | 11日 | 8日 | 6日 |
| 二年六箇月 | 12日 | 9日 | 6日 |
| 三年六箇月 | 14日 | 10日 | 8日 |
| 四年六箇月 | 16日 | 12日 | 9日 |
| 五年六箇月 | 18日 | 13日 | 10日 |
| 六年六箇月以上 | 20日 | 15日 | 11日 |
| 継続勤務期間 | 週2日 | 週1日 |
|---|---|---|
| 六箇月 | 3日 | 1日 |
| 一年六箇月 | 4日 | 2日 |
| 二年六箇月 | 4日 | 2日 |
| 三年六箇月 | 5日 | 2日 |
| 四年六箇月 | 6日 | 3日 |
| 五年六箇月 | 6日 | 3日 |
| 六年六箇月以上 | 7日 | 3日 |
「週4日」から「週1日」までの各列の数字は、施行規則第24条の3の表から転記したものです。「通常」の列は、先に示した第1項・第2項の計算値です。
表を読むときに、押さえておきたい点が3つあります。
- 日数は、雇入れの日から起算した継続勤務期間で決まります。表の最初の列が「六箇月」なのは、第1項の最初の付与が、雇入れから六箇月間継続勤務した時点だからです。
- 同じ継続勤務期間でも、週の日数が1日違うと、付与日数が変わります。たとえば三年六箇月では、週4日が10日、週3日が8日、週2日が5日、週1日が2日です。
- 通常の日数と比べると、週4日でも、六年六箇月以上で15日と、通常の20日より少なくなります。
福祉の現場で出てくる3つの場面
条文の構造を、福祉の現場でよくある場面に当てはめます。数字は、条文と表をそのまま当てはめた仮の例です。
場面1:週4日・1日6時間の職員
週の所定労働時間は24時間で、三十時間には届きません。週の所定労働日数は四日で、第一号の「四日以下」に当たります。比例付与の対象です。
雇入れから六箇月間継続勤務して八割以上出勤していれば、表の週4日の列の最初の値で、7日が与えられます。通常の10日より3日少ない日数です。
場面2:週4日・1日8時間の職員
週の所定労働日数は四日ですが、週の所定労働時間は32時間です。三十時間以上なので、第3項の括弧書きにより、比例付与の対象から除かれます。第1項・第2項の通常の日数で見ることになります。
日数が同じ週4日でも、1日の所定労働時間が違えば、付与される日数は変わります。夜勤や長時間のシフトがある事業所では、週の所定労働時間の確認が、日数と同じくらい大切です。
場面3:週5日・1日4時間の職員
週の所定労働時間は20時間で、三十時間には届きません。しかし、週の所定労働日数は五日で、第一号の「四日以下」には当たりません。条文の構造から読むと、第一号の対象にはならず、第1項・第2項の通常の日数で見ることになります。
「時間が短いから比例付与」ではなく、時間が三十時間未満で、かつ週の日数が四日以下(または年間が二百十六日以下)のときに、比例付与になります。2つの条件を両方確認します。
シフト制・登録型の職員は、第二号で見る
福祉の事業所には、週ごとの勤務日数が決まっていない職員もいます。月ごとのシフトで勤務日が変わる職員や、登録型で、依頼のあった日に勤務する職員です。
第一号は「一週間の所定労働日数」で見る類型でした。一方、第二号は、「週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者」を対象にしています。週の日数が決まっておらず、月や年の単位で所定労働日数が決まっている職員は、条文の構造から読むと、この第二号で、一年間の所定労働日数を基準に見ることになります。
その場合は、表の中欄(一年間の所定労働日数)の区分に当てはめます。たとえば、一年間の所定労働日数が百五十日であれば、「百二十一日から百六十八日まで」の区分で、週3日の列を読みます。これも、条文の数字を当てはめた仮の例です。
ただし、「一年間の所定労働日数」を具体的にどう決めるのか(実績を数えるのか、契約でどのように定めるのか)は、この記事で確かめた条文には書かれていません。条文が示しているのは、「週以外の期間で日数が定められている職員は、年間の所定労働日数で見る」という構造までです。実務では、この点を専門家や所管の行政機関に確認したうえで運用してください。
比例付与でも、年5日の時季指定の対象になることがある
有給休暇の日数が十労働日以上の職員には、年5日を使用者が時季を定めて与える義務があります。第39条第7項は、その対象を次のように書いています。
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、
対象は、第1項から第3項までの規定による有給休暇で、与えなければならない日数が十労働日以上の職員です。第3項が含まれているので、比例付与の職員でも、付与日数が十労働日以上になれば、対象になります。
先ほどの表で、十労働日以上になる区分を探すと、次のとおりです。
- 週4日:三年六箇月で10日、四年六箇月で12日、五年六箇月で13日、六年六箇月以上で15日。
- 週3日:五年六箇月で10日、六年六箇月以上で11日。
- 週2日・週1日:最大でも7日と3日で、表のどの区分も十労働日に届きません。
つまり、週4日の職員は雇入れから三年六箇月、週3日の職員は五年六箇月で、年5日の時季指定の対象になる区分に入ります。「パートだから年5日は関係ない」とは、条文からは言えません。
時季指定のしくみ(基準日、労働者の意見を聴くこと、使用者の対応など)は、年5日の時季指定の記事で整理しています。この記事では詳しく書きません。
年次有給休暇管理簿(第24条の7)
比例付与かどうかにかかわらず、有給休暇を与えたときの記録のルールも確かめておきます。施行規則第24条の7は、次のように定めています。
使用者は、法第三十九条第五項から第七項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第五十五条の二及び第五十六条第三項において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後五年間保存しなければならない。
読み取れる点は、次のとおりです。
- 記録するのは、時季、日数、基準日です。労働者ごとに明らかにする必要があります。
- 書類の名前は、「年次有給休暇管理簿」です。
- 保存の期間は、有給休暇を与えた期間中と、その期間の満了後五年間です。
比例付与の職員は、職員ごとに付与日数が違います。週の日数が同じでも、継続勤務期間で日数が変わります。誰に何日を、いつ付与したかを、職員ごとに残しておく必要があります。
法人本部で確認しておきたいこと
条文の読み方を踏まえて、法人本部で押さえておきたい点を整理します。
- パート・非常勤の職員ごとに、週の所定労働日数と、週の所定労働時間を一覧にする。週の所定労働時間が三十時間以上かどうかが、最初の分かれ目です。
- 週の日数が決まっていない職員がいる場合は、年間の所定労働日数で見る職員を洗い出す。条文は第二号で年間の日数を基準にしています。
- 職員ごとに、雇入れの日と、継続勤務期間を確認する。付与日数は、雇入れの日から起算した継続勤務期間で決まります。
- 付与日数が十労働日以上になる職員(週4日で三年六箇月以上、週3日で五年六箇月以上など)を把握し、年5日の時季指定の対象としてもれなく管理する。
- 付与日数・時季・基準日を、職員ごとに年次有給休暇管理簿に記録し、有給休暇を与えた期間中と満了後五年間保存する。
この記事で書いていないこと
この記事は、労働基準法第39条の一部、施行規則第24条の3と第24条の5から第24条の7を読んだものです。次の点は、この記事の範囲外です。
| 論点 | 書いていない理由 |
|---|---|
| 所定労働日数が途中で変わったときの扱い | この記事で確かめた条文に書かれていない |
| 出勤率の計算の細目 | 範囲外とした |
| 時間単位年休の細目 | 範囲外とした |
| 一年間の所定労働日数の決め方 | 条文は数字の上限を示すにとどまる |
| 通達・行政解釈・判例 | 条文以外の資料は確認していない |
| 表に載っていない区分の日数 | この記事では表の範囲しか確かめていない |
実際に個別の職員の付与日数を判断するときは、これらの点を、所管の行政機関や専門家に確認してください。
まとめ
- 比例付与は、労働基準法第39条第3項が定める仕組みで、第1項・第2項の通常の日数を基準に、勤務日数の少なさに応じて付与日数が決まります。
- 週の所定労働時間が三十時間以上の職員は、勤務日数が少なくても、比例付与の対象から除かれます。日数より先に、週の所定労働時間を確認します。
- 対象は、週の所定労働日数が四日以下の職員(第一号)と、週以外の期間で日数が定められていて年間の所定労働日数が二百十六日以下の職員(第二号)です。
- 付与日数は、施行規則第24条の3の表で決まります。週4日・週3日・週2日・週1日と、継続勤務期間の区分で読みます。週の日数が決まっていないシフト制・登録型の職員は、条文の構造から、年間の所定労働日数で見ることになります。
- 比例付与でも、付与日数が十労働日以上になる区分(週4日で三年六箇月以上、週3日で五年六箇月以上)は、年5日の時季指定の対象です。付与日数、時季、基準日は、年次有給休暇管理簿に記録して保存します。
参考にした一次情報
- 労働基準法|e-Gov法令検索:第39条
- 労働基準法施行規則|e-Gov法令検索:第24条の3、第24条の5から第24条の7
パート・非常勤の職員の付与日数を、職員ごとに確かめられる形になっていますか?
パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。職員ごとの週の所定労働日数、雇入れの日、付与日数を、法人本部で一覧できる形に整えるところからご一緒します。ITに詳しい職員がいらっしゃらなくても大丈夫です。