決算の作業が進むと、「注記には結局、何を書けばいいのか」「法人全体の注記と、拠点区分ごとの注記は何が違うのか」「うちは拠点区分が1つだけだが、省略してよい注記はあるのか」と手が止まることはないでしょうか。
この記事では、令和8年11月6日に取得した社会福祉法人会計基準・社会福祉法・社会福祉法施行規則(いずれもe-Gov法令検索)と、厚生労働省の法令等データベースに掲載された運用上の取扱いに書かれている範囲だけを使って、計算書類に対する注記の全体像を整理します。社会福祉法人会計基準は以下「会計基準」、運用上の取扱いは「取扱い」と書きます。
取扱いは、平成28年3月31日の通知として厚生労働省の法令等データベースに掲載されているものを確認しました。その後の改正がこの掲載版に反映されているかは確認できていません。決算で使う前に、所轄庁や顧問の会計士・税理士に、最新の版を確かめてください。
この記事で整理するのは、次の5点です。
- 注記の根拠は会計基準のどこにあり、第1項にはどんな項目が並んでいるか
- 拠点区分ごとの注記は、どの項目が対象で、どんなときに省略できるか
- 取扱いは、注記を書く位置や、迷いやすい項目をどう定めているか
- 合併や事業の譲渡の注記を、どこで確かめるか
- 注記を書いた計算書類は、作成後にどこへ回っていくか
条文から言えることと言えないことは分けて書きます。注記の様式の中身(取扱いの別紙)や、各項目の具体的な記載例は、今回読んだ範囲には入っていません。この記事でも書きません。
先に結論
- 注記の根拠は会計基準第29条です。第1項は、計算書類に法人全体について注記する事項を、第一号から第十六号まで挙げています。
- 拠点区分ごとの注記は第4項が定めています。対象は第二号から第十一号まで、第十四号、第十六号です。拠点区分の数が一の法人は、拠点区分ごとに記載する注記を省略できます。
- 第一号(継続事業の前提)、第十二号(関連当事者との取引)、第十三号(重要な偶発債務)、第十五号(合併・事業の譲渡)は、第4項の対象に入っていません。法人全体だけで注記する項目です。
- 取扱い24は、法人全体の注記を第3号第3様式の後、拠点区分の注記を第3号第4様式の後に記載するとしています。様式は別紙1・別紙2です。
- 重要な会計方針は、代替的な複数の会計処理方法が認められていない場合には、注記を省略できます(取扱い20)。
- 合併や事業の譲渡の注記(第十五号)は本則にありますが、確認した取扱いの掲載版には「合併」の語が出てきませんでした。様式や書き方は、最新の通知で確かめてください。
- 注記が公表・届出の対象に含まれるかは、条文が「注記」を名指ししていないため、弊社の読み方として分けて書きます。
注記の根拠は、会計基準第29条第1項
会計基準第29条は、注記の条です。第1項の書き出しは次のとおりです。
計算書類には、法人全体について次に掲げる事項を注記しなければならない。
ここでいう「計算書類」は、会計基準第1条第1項のかっこ書きで、次のように定義されています。
計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。以下同じ。)
つまり、注記は、貸借対照表と収支計算書に付ける説明です。注記が条文上、計算書類の外にあるのか内にあるのかを、この定義だけで決めることはできません。第29条が「計算書類には…注記しなければならない」と書いている、というところまでが条文から言えることです。
第1項の16項目を一覧にする
第1項に並ぶ項目を、要約して一覧にします。原文は、項目ごとに会計基準の本文で確かめてください。右の列は、第4項(後述)で拠点区分ごとの注記の対象に挙がっているかを示します。
| 号 | 項目 | 拠点区分ごとの注記 |
|---|---|---|
| 第一号 | 継続事業の前提に関する事項 | 対象外 |
| 第二号 | 重要な会計方針 | 対象 |
| 第三号 | 重要な会計方針を変更した場合の内容と影響額 | 対象 |
| 第四号 | 法人で採用する退職給付制度 | 対象 |
| 第五号 | 作成する計算書類と、拠点区分・サービス区分 | 対象 |
| 第六号 | 基本財産の増減の内容と金額 | 対象 |
| 第七号 | 基本金等の取崩しを行った場合の旨・理由・金額 | 対象 |
| 第八号 | 担保に供している資産 | 対象 |
| 第九号 | 減価償却累計額を直接控除した場合の取得価額等 | 対象 |
| 第十号 | 徴収不能引当金を直接控除した場合の債権の金額等 | 対象 |
| 第十一号 | 満期保有目的の債券の内訳と時価等 | 対象 |
| 第十二号 | 関連当事者との取引の内容 | 対象外 |
| 第十三号 | 重要な偶発債務 | 対象外 |
| 第十四号 | 重要な後発事象 | 対象 |
| 第十五号 | 合併・事業の譲渡・譲受けが行われた場合の旨と概要 | 対象外 |
| 第十六号 | その他、資金収支・純資産の増減や財政状態を明らかにする事項 | 対象 |
第二号の原文は、重要な会計方針の例として、資産の評価基準及び評価方法、固定資産の減価償却方法、引当金の計上基準を挙げています。第十六号は、他の号に当てはまらない、計算書類の理解に必要な事項を受ける包括的な号です。
退職給付制度の注記(第四号)の考え方は、退職給付引当金の記事で、制度ごとの会計処理とあわせて整理しています。
拠点区分ごとの注記は第4項、法人全体だけの項目もある
第4項:対象の号と、省略できる場合
拠点区分ごとの注記については、第29条第4項が次のように定めています。
計算書類には、拠点区分ごとに第一項第二号から第十一号まで、第十四号及び第十六号に掲げる事項を注記しなければならない。ただし、拠点区分の数が一の社会福祉法人については、拠点区分ごとに記載する計算書類の注記を省略することができる。
読み取れることは次の3点です。
- 拠点区分ごとに注記するのは、第二号から第十一号まで、第十四号、第十六号
- 第一号、第十二号、第十三号、第十五号は、この項の対象に入っていない
- 拠点区分の数が一の法人は、拠点区分ごとに記載する注記を省略できる
最後の点には注意が要ります。省略できるのは「拠点区分ごとに記載する計算書類の注記」です。法人全体の注記(第1項)まで省略できると書かれているわけではありません。拠点区分が1つの法人でも、法人全体の注記は、第1項の各号のうち該当するものについて必要です。
法人全体だけで注記する4項目
第4項の対象に入っていない号は、次の4つです。
| 号 | 項目 |
|---|---|
| 第一号 | 継続事業の前提に関する事項 |
| 第十二号 | 関連当事者との取引の内容 |
| 第十三号 | 重要な偶発債務 |
| 第十五号 | 合併・事業の譲渡・譲受けの旨と概要 |
この4つは、条文の上では、法人全体で見る事項として第1項にだけ置かれている、という整理になります。なぜこの4つが拠点区分の注記に入っていないのかという理由は、条文には書かれていません。
拠点区分とサービス区分の考え方は、拠点区分とサービス区分の記事で整理しています。第五号の注記は、この区分の分け方を書くものです。
取扱い24:注記を書く位置と様式
取扱いの24は、計算書類に対する注記について、次のように定めています。
法人全体で記載する注記及び拠点区分で記載する注記は、それぞれ別紙1及び別紙2のとおりとする。
続けて、記載する位置を次のように定めています。
なお、法人全体で記載する注記は、会計基準省令第3号第3様式の後に、拠点区分で記載する注記は、会計基準省令第3号第4様式の後に記載するものとする。
読み取れることは次のとおりです。
- 法人全体の注記は別紙1、拠点区分の注記は別紙2が様式
- 法人全体の注記は、第3号第3様式の後に記載する
- 拠点区分の注記は、第3号第4様式の後に記載する
別紙1・別紙2の中身(記載の例や項目の並び)は、今回読んだ範囲に入っていません。第3号第3様式・第4様式がどの計算書類の様式に当たるかも、今回の一次情報には入っていません。様式は、別紙を直接確かめてください。
迷いやすい項目を、取扱いで読む
第1項の項目のうち、実務で迷いやすいものを、取扱いの該当箇所で見ていきます。
重要な会計方針(取扱い20):省略できる場合がある
第二号の重要な会計方針について、取扱い20は、まず定義を置いています。
重要な会計方針とは、社会福祉法人が計算書類を作成するに当たって、その財政及び活動の状況を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに計算書類への表示の方法をいう。
続けて、省略できる場合を次のように定めています。
なお、代替的な複数の会計処理方法等が認められていない場合には、会計方針の注記を省略することができる。
読み取れることは、省略できるのは、代替的な複数の会計処理方法等が認められていない場合だということです。つまり、採りうる方法が複数あるものは、どれを採ったかを書くのが基本で、方法が1つしか認められていないものは書かなくてよい、という構造です。
どの会計処理が「代替的な複数の方法が認められている」ものに当たるかは、取扱い20からは決まりません。たとえば、退職給付引当金の算定には複数の方法が用意されていますが、それは引当金の記事で見たとおり、別の項で定められています。自法人がどの方法を採っているかを洗い出して、書くかどうかを決めることになります。
関連当事者(第29条第2項・第3項と取扱い21)
第十二号の関連当事者との取引は、第2項で「関連当事者」の範囲が定義されています。
前項第十二号に規定する「関連当事者」とは、次に掲げる者をいう。
その各号は次の6つです。
| 号 | 関連当事者 |
|---|---|
| 第一号 | 常勤の役員・評議員として報酬を受けている者 |
| 第二号 | 第一号に掲げる者の近親者 |
| 第三号 | 第一号・第二号の者が議決権の過半数を有している法人 |
| 第四号 | 支配法人 |
| 第五号 | 被支配法人 |
| 第六号 | 同一の支配法人をもつ法人 |
第四号・第五号の「財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している」の意味は、第3項が定めています。
前項第四号及び第五号に規定する「財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している」とは、評議員の総数に対する次に掲げる者の数の割合が百分の五十を超えることをいう。
その「次に掲げる者」は、第一号が一の法人の役員(理事、監事、取締役、会計参与、監査役、執行役その他これらに準ずる者)又は評議員、第二号が一の法人の職員です。
取扱い21は、注記する事項を定めています。
関連当事者との取引については、次に掲げる事項を原則として関連当事者ごとに注記しなければならない。
その事項は8つ並んでいます。関連当事者が法人の場合の名称・所在地・直近の会計年度末における資産総額・事業の内容、個人の場合の氏名・職業、法人との関係、取引の内容、取引の種類別の取引金額、取引条件及び取引条件の決定方針、取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高、取引条件の変更があった場合の内容と影響です。
一方、注記を要しない取引も定められています。
関連当事者との間の取引のうち次に定める取引については、1に規定する注記を要しない。
その取引は次の2つです。
| 区分 | 注記を要しない取引 |
|---|---|
| (1) | 一般競争入札による取引、預金利息・配当金の受取りなど、条件が一般の取引と同様であることが明白な取引 |
| (2) | 役員又は評議員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い |
「取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引」に、具体的にどの取引が当たるかは、条文からは決まりません。(1)の例示に当たらない取引は、個別に判断が要ります。
重要な後発事象(取扱い22)
第十四号の重要な後発事象について、取扱い22は定義と例を置いています。
後発事象とは、当該会計年度末日後に発生した事象で翌会計年度以後の社会福祉法人の財政及び活動の状況に影響を及ぼすものをいう。
注記の要否については、次のように書かれています。
重要な後発事象は社会福祉法人の状況に関する利害関係者の判断に重要な影響を与えるので、計算書類作成日までに発生したものは計算書類に注記する必要がある。
例として挙がっているのは、火災、出水等による重大な損害の発生、施設の開設又は閉鎖・施設の譲渡又は譲受け、重要な係争事件の発生又は解決、重要な徴収不能額の発生の4つです。「計算書類作成日」がいつを指すかは、取扱い22には書かれていません。
あわせて、取扱い22には次の定めがあります。
なお、後発事象の発生により、当該会計年度の決算における会計上の判断ないし見積りを修正する必要が生じた場合には、当該会計年度の計算書類に反映させなければならない。
注記で済ませるものと、計算書類の数字そのものを直すものがある、という整理です。どちらに当たるかは、事象ごとに判断することになります。
その他の事項(取扱い23)
第十六号に当たる「その他社会福祉法人の資金収支及び純資産の増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項」について、取扱い23は、次のような例を挙げています。
- 状況の変化にともなう引当金の計上基準の変更、固定資産の耐用年数・残存価額の変更など、会計処理上の見積方法の変更に関する事項
- 法令の改正、規程の制定及び改廃などにともない新たに採用した会計処理に関する事項
- 勘定科目の内容について特に説明を要する事項
- 法令、所轄庁の通知等で特に説明を求められている事項
なお、取扱い23の見出しは、掲載版では「会計基準省令第29条第1項15号関係」と書かれていますが、内容は第十六号(その他の事項)の説明です。平成28年の掲載版の表記なので、号の番号は条文と見比べて読んでください。
リース取引(取扱い8)
リース取引の注記は、会計基準の第29条ではなく、取扱い8(会計基準省令第4条第1項関係)の第3項に書かれています。
リース取引については、以下の項目を計算書類に注記するものとする。
内容は次の2つです。
| 区分 | 注記する内容 |
|---|---|
| ファイナンス・リース取引 | リース資産の内容(主な資産の種類等)と減価償却の方法 |
| オペレーティング・リース取引(解約不能のもの) | 未経過リース料を、1年以内と1年超に区分して注記 |
このように、注記の項目は第29条だけで完結せず、取扱いの各項でも定められています。第29条を読んだあとで、自法人に関係する取扱いの項(今回の例ではリース取引)を拾い直す作業が要ります。
合併・事業の譲渡の注記(第十五号)は、最新の通知で確かめる
第十五号は、合併又は事業の譲渡若しくは譲受けが行われた場合の注記です。
合併又は事業の譲渡若しくは譲受けが行われた場合には、その旨及び概要
会計基準の本則にはこの号がありますが、今回確認した取扱いの掲載版には、合併に関する項が見当たりませんでした。掲載版全体で「合併」の語を数えたところ、0回でした。掲載版が平成28年のもので、その後の改正が反映されていない可能性があります。ただし、反映されていない理由は、今回読んだ範囲からは分かりません。
そのため、合併や事業の譲渡があった年度の注記は、様式や記載方法を、所轄庁や厚生労働省の最新の通知で確かめてください。この記事では、記載の中身には触れません。
注記を書いた計算書類は、どこへ回るのか
注記を書いた計算書類が、作成後にどの手続に進むかを、社会福祉法と施行規則の条文で確かめます。
作成と保存(社会福祉法第45条の27)
第45条の27第2項は、計算書類の作成期限を次のように定めています。
社会福祉法人は、毎会計年度終了後三月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、各会計年度に係る計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。以下この款において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
保存については、第4項が次のように定めています。
社会福祉法人は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。
つまり、作成は毎会計年度終了後3月以内、保存は作成した時から10年間です。
備置きと閲覧(第45条の32)
第45条の32第1項は、備置きについて次のように定めています。
社会福祉法人は、計算書類等(各会計年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに監査報告(第四十五条の二十八第二項の規定の適用がある場合にあつては、会計監査報告を含む。)をいう。以下この条において同じ。)を、定時評議員会の日の二週間前の日(第四十五条の九第十項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十四条第一項の場合にあつては、同項の提案があつた日)から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならない。
計算書類は、この「計算書類等」に含まれています。評議員及び債権者の閲覧等の請求は第3項、それ以外の者(何人も)の閲覧の請求は第4項に定められています。
所轄庁への届出(第59条)と公表(施行規則第10条)
第59条第1項は、所轄庁への届出を次のように定めています。
社会福祉法人は、毎会計年度終了後三月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる書類を所轄庁に届け出なければならない。
その書類の第一号が、第45条の32第1項に規定する計算書類等です。
公表については、施行規則第10条が次のように定めています。
法第五十九条の二第一項の公表は、インターネットの利用により行うものとする。
公表の対象となる書類は、第3項で定められています。その第一号に、法第45条の27第2項に規定する計算書類が挙がっています。
注記は公表・届出の対象に含まれるのか(弊社の読み方)
ここまでの条文で、「注記」という語が出てくるのは、会計基準第29条だけです。第45条の27・第45条の32・第59条・施行規則第10条は、いずれも「計算書類」と書いており、「注記」とは書いていません。
そのうえで、第29条が「計算書類には…注記しなければならない」と定めていることから、注記は計算書類の一部として扱われ、備置き・届出・公表の対象にも含まれる、というのが弊社の読み方です。 条文が注記を名指ししているわけではないので、断定はしません。注記を公表資料から外してよいか、様式をどう整えるかは、所轄庁の指導に合わせてください。
条文・取扱いから決まらないこと
実務で質問が多い点のうち、今回読んだ範囲に定めがないものを整理します。
| 論点 | 一次情報での扱い | 決め方 |
|---|---|---|
| 別紙1・別紙2の様式の中身 | 今回の一次情報に入っていない | 取扱いの別紙を直接確認する |
| 各項目の具体的な記載例 | 書かれていない | 所轄庁の指導・顧問の会計士・税理士に確認する |
| 第十五号の様式と記載方法 | 掲載版に合併の語がない | 最新の通知で確認する |
| 「計算書類作成日」の指す日 | 取扱い22に定義がない | 所轄庁・顧問の会計士・税理士に確認する |
| 取引条件が一般と同様と明白な取引の範囲 | 例示までで、範囲は決まらない | 個別に判断し、顧問の会計士・税理士に確認する |
| 注記が公表・届出に含まれるか | 条文が注記を名指ししていない | 所轄庁の指導に合わせる |
| 取扱いの改正の反映状況 | 掲載版が平成28年のもの | 最新の版を所轄庁に確認する |
経理担当が、決算前にそろえておくこと
条文の構造から、決算前に整理しておくとよい点は次の4つです。条文から導いた弊社の整理で、個別の判断は顧問の会計士・税理士と所轄庁にご確認ください。
- 第1項の16項目を、自法人に当てはまるかどうかで仕分ける。 該当しない号(たとえば、債券を持たない法人の第十一号)は、書くことがないという判断を、決算の記録に残しておく
- 法人全体だけの4項目(第一号・第十二号・第十三号・第十五号)を、別に確かめる。 拠点区分ごとの注記を省略できる法人でも、ここは落とせない
- 拠点区分の数を確認する。 一の法人は、拠点区分ごとの注記を省略できる。複数ある法人は、第二号から第十一号まで、第十四号、第十六号を拠点区分ごとに用意する
- 取扱いの該当項(8・20〜24)を読み返す。 注記の項目は第29条だけで完結しない
拠点が複数あると、担保、固定資産、後発事象などの情報を、拠点ごとに集めることになりがちです。集計のたびに表を作り直していると、法人全体の注記と拠点区分の注記の数字がずれる原因になります。最初から、項目ごとに、法人全体と拠点区分の別で情報を持っておくと、決算のたびの手間が減ります。
計算書類そのものの作成から承認、備置きまでの流れは、計算書類の記事で整理しています。貸借対照表の見方は、貸借対照表・財産目録の記事をご覧ください。
この記事で書いていないこと
次のことは、今回確認した会計基準・取扱い・社会福祉法には書かれていません。この記事でも書きません。
- 別紙1・別紙2の様式の中身:今回の一次情報に入っていません
- 各項目の具体的な記載例・文例:定めがありません
- 第十五号の様式と記載方法:掲載版に「合併」の語がありません
- 第3号第3様式・第4様式の中身:今回の一次情報に入っていません
- 注記の監査や、会計監査人の関与:今回読んだ範囲には入っていません
- 取扱いの改正の反映状況:掲載版は確認しましたが、最新版かは未確認です
まとめ
- 注記の根拠は会計基準第29条。第1項が法人全体の注記を第一号から第十六号まで挙げている
- 拠点区分ごとの注記は第4項。対象は第二号から第十一号まで、第十四号、第十六号。拠点区分の数が一の法人は、拠点区分ごとに記載する注記を省略できる
- 第一号・第十二号・第十三号・第十五号は法人全体だけで注記する項目
- 取扱い24:法人全体の注記は第3号第3様式の後、拠点区分の注記は第3号第4様式の後に記載。様式は別紙1・別紙2
- 重要な会計方針は、代替的な複数の会計処理方法等が認められていない場合には省略できる(取扱い20)
- 関連当事者は第2項・第3項で範囲が定義され、取扱い21が注記事項と、注記を要しない取引を定めている
- 重要な後発事象は、計算書類作成日までに発生したものは注記が必要(取扱い22)。決算の判断・見積りの修正が要る場合は、計算書類そのものに反映する
- 第十五号(合併・事業の譲渡)は、掲載版の取扱いに「合併」の語がなく、最新の通知で確かめる
- 注記が公表・届出の対象かは、条文が名指ししていないため、弊社の読みとして「計算書類の一部」と整理している。所轄庁の指導に合わせる
参考にした一次情報
- 社会福祉法人会計基準|e-Gov法令検索:第一条、第四条、第七条の二、第二十九条
- 社会福祉法|e-Gov法令検索:第四十五条の二十七、第四十五条の三十二、第五十九条
- 社会福祉法施行規則|e-Gov法令検索:第十条
- 社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて|厚生労働省 法令等データベース:8 リース取引に関する会計、20 重要な会計方針の開示、21 関連当事者との取引の内容、22 重要な後発事象、23 その他必要な事項、24 計算書類に対する注記
法令は2026年11月6日にe-Govから取得した条文によります。取扱いは、同日に厚生労働省の法令等データベースから取得した、平成28年3月31日の通知の掲載版です。その後の改正がこの掲載版に反映されているかは確認していません。本記事は条文の構造を整理したもので、個別の法人の注記が適切かどうかを判断するものではありません。具体的な判断は、顧問の会計士・税理士や所轄庁にご確認ください。
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