指定特定相談支援事業所の請求事務を担当していると、「このお金は、誰が、誰に、どういう形で支払っているのか」を説明する場面があります。法人本部への報告でも、新しく入った職員への説明でも、条文に戻ると答えが整理できます。
この記事は、計画の作り方ではなくお金の側だけを扱います。読むのは、2026年10月16日に取得した障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「法」)の第5条・第51条の14・第51条の16から第51条の18と、同法施行規則(以下「規則」)の第34条の54から第34条の56です。報酬の単位数や請求の締め日は条文に無いので、最後の節で正直に挙げます。
給付費の名前は2つあります(法第51条の16)
まず入口の条文です。
計画相談支援給付費及び特例計画相談支援給付費の支給は、計画相談支援に関して次条及び第五十一条の十八の規定により支給する給付とする。
この条で、「計画相談支援給付費」と「特例計画相談支援給付費」の2つが並べて置かれています。 中身は次条(第51条の17)と、その次の条(第51条の18)に分かれています。
| 計画相談支援給付費 | 特例計画相談支援給付費 | |
|---|---|---|
| 条文 | 第51条の17 | 第51条の18 |
| 書きぶり | 「支給する」 | 「必要があると認めるときは」「支給することができる」 |
| 相手になる事業者 | 市町村長が指定する指定特定相談支援事業者 | 基準該当計画相談支援を行う事業所 |
| 額 | 主務大臣が定める基準で算定した額(実際にかかった費用が下回るときはその額) | 同じ基準で算定した額を基準として、市町村が定める |
違いは「義務か裁量か」と「指定を受けた事業者か、基準該当の事業所か」の2点に集約されます。特例のほうを条文で見ておきます(一文ですが全体を引用します)。
市町村は、計画相談支援対象障害者等が、指定計画相談支援以外の計画相談支援(第五十一条の二十四第一項の主務省令で定める基準及び同条第二項の主務省令で定める指定計画相談支援の事業の運営に関する基準に定める事項のうち主務省令で定めるものを満たすと認められる事業を行う事業所により行われるものに限る。以下この条において「基準該当計画相談支援」という。)を受けた場合において、必要があると認めるときは、主務省令で定めるところにより、基準該当計画相談支援に要した費用について、特例計画相談支援給付費を支給することができる。
額は第2項です。
特例計画相談支援給付費の額は、当該基準該当計画相談支援について前条第二項の主務大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該基準該当計画相談支援に要した費用の額を超えるときは、当該現に基準該当計画相談支援に要した費用の額)を基準として、市町村が定める。
基準で算定した額がそのまま支給額になる計画相談支援給付費に対し、特例は「基準として」市町村が額を定める、という書き分けです。どの事業所が基準該当に当たるかは「主務省令で定めるもの」に委ねられていて、この条文だけでは分かりません。
何に対するお金か:サービス利用支援と継続サービス利用支援(法第5条)
給付費の対象は「計画相談支援」です。法第5条第19項は、この言葉を次のように定義しています(一部を引用します)。
「計画相談支援」とは、サービス利用支援及び継続サービス利用支援をいい
つまり計画相談支援=サービス利用支援+継続サービス利用支援の2つです。それぞれ第23項と第24項に定義があります。サービス利用支援の定義は長いので、前半の一部と末尾の一部を引用します。
利用する障害福祉サービス又は地域相談支援の種類及び内容その他の主務省令で定める事項を定めた計画(以下「サービス等利用計画案」という。)を作成し
当該支給決定等に係る障害福祉サービス又は地域相談支援の種類及び内容、これを担当する者その他の主務省令で定める事項を記載した計画(以下「サービス等利用計画」という。)を作成することをいう。
サービス利用支援は、サービス等利用計画案の作成から、支給決定等が行われた後の関係者との連絡調整とサービス等利用計画の作成までを含む定義です。継続サービス利用支援は、一部を引用すると次のとおりです。
当該支給決定障害者等又は地域相談支援給付決定障害者に係るサービス等利用計画(この項の規定により変更されたものを含む。以下同じ。)が適切であるかどうかにつき、主務省令で定める期間ごとに、当該支給決定障害者等の障害福祉サービス又は当該地域相談支援給付決定障害者の地域相談支援の利用状況を検証し
「主務省令で定める期間ごとに」検証すると条文にあります。期間の長さは省令の側で、今回の条文には出てきません。検証の結果、サービス等利用計画の変更と関係者との連絡調整、または支給決定等の申請の勧奨のいずれかを行う、というのがこの定義の後半(第1号・第2号)です。
なお、ここで出てくる「地域相談支援」への給付は別の給付費です。法第51条の14第1項は、次のように書いています(一部を引用します)。
市町村は、地域相談支援給付決定障害者が、地域相談支援給付決定の有効期間内において、都道府県知事が指定する一般相談支援事業を行う者(以下「指定一般相談支援事業者」という。)から当該指定に係る地域相談支援(以下「指定地域相談支援」という。)を受けたときは、
こちらは都道府県知事が指定する一般相談支援事業者に係る地域相談支援給付費です。次の節で見る計画相談支援給付費は、市町村長が指定する事業者に係る給付で、指定する主体が違います。この記事では、地域相談支援給付費は扱いません。
誰が支給を受けるのか:計画相談支援給付費(法第51条の17第1項)
本体の条文は第51条の17です。第1項の柱書は次のとおりです。
市町村は、次の各号に掲げる者(以下「計画相談支援対象障害者等」という。)に対し、当該各号に定める場合の区分に応じ、当該各号に規定する計画相談支援に要した費用について、計画相談支援給付費を支給する。
主語は市町村、支給の相手は「計画相談支援対象障害者等」です。事業者ではありません。号は2つあります。第1号は、サービス等利用計画案の提出を求められた申請者(障害者、または障害児の保護者)についてで、次の場合を定めます。
市町村長が指定する特定相談支援事業を行う者(以下「指定特定相談支援事業者」という。)から当該指定に係るサービス利用支援(次項において「指定サービス利用支援」という。)を受けた場合であって、当該申請に係る支給決定等を受けたとき。
第2号は、支給決定障害者等または地域相談支援給付決定障害者についてで、次の場合です。
指定特定相談支援事業者から当該指定に係る継続サービス利用支援(次項において「指定継続サービス利用支援」という。)を受けたとき。
ここで読み取れることが3つあります。
- 指定特定相談支援事業者は、市町村長が指定する(都道府県知事ではありません)
- 第1号(サービス利用支援)は、受けただけでなく「当該申請に係る支給決定等を受けたとき」まで条件に入っている
- 第2号(継続サービス利用支援)は、受けたときが条件
第1号の条件を満たさなかった場合にどうなるかは、この条文には書かれていません。
額は、基準で算定した額か実際の費用のどちらか(第2項)
計画相談支援給付費の額は、指定サービス利用支援又は指定継続サービス利用支援(以下「指定計画相談支援」という。)に通常要する費用につき、主務大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定計画相談支援に要した費用の額を超えるときは、当該現に指定計画相談支援に要した費用の額)とする。
算定の物差しを定めるのは主務大臣です。カッコ書きにより、算定した額が実際にかかった費用を上回るときは、実際にかかった費用の額になります。算定の基準の中身(単位や区分)は条文に無く、告示の側にあります。
また、今回抜粋した条文には「控除」「利用者負担」という語は出てきません。利用者の負担がどうなるかは、この条文からは読み取れません。
支払いの流れ:市町村が、本人に代わって事業者に支払うことができる(第3項から第6項)
請求事務に直結するのがここです。第3項です。
計画相談支援対象障害者等が指定特定相談支援事業者から指定計画相談支援を受けたときは、市町村は、当該計画相談支援対象障害者等が当該指定特定相談支援事業者に支払うべき当該指定計画相談支援に要した費用について、計画相談支援給付費として当該計画相談支援対象障害者等に対し支給すべき額の限度において、当該計画相談支援対象障害者等に代わり、当該指定特定相談支援事業者に支払うことができる。
順序は次のとおりです。
- 本人は、事業者に対して費用を支払うべき立場にある
- 本人には、計画相談支援給付費が支給される(第1項)
- 市町村は、その限度で、本人に代わって事業者に支払うことができる
そして第4項が、この支払があったときの扱いを定めています。
前項の規定による支払があったときは、計画相談支援対象障害者等に対し計画相談支援給付費の支給があったものとみなす。
事業所の口座に入る入金は、条文の上では「本人への支給があったものとみなす」という形です。この考え方は、法定代理受領の記事で整理しています。なお、抜粋した条文に「法定代理受領」という語そのものは出てきません。条文が書いているのは「代わり…支払うことができる」と「みなす」の2つです。
請求を受けた市町村の審査は第5項です。
市町村は、指定特定相談支援事業者から計画相談支援給付費の請求があったときは、第二項の主務大臣が定める基準及び第五十一条の二十四第二項の主務省令で定める指定計画相談支援の事業の運営に関する基準(指定計画相談支援の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。
審査の物差しは2つです。主務大臣が定める算定の基準と、指定計画相談支援の事業の運営に関する基準のうち取扱いに関する部分です。そして第6項があります。
市町村は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を連合会に委託することができる。
委託は「することができる」で、義務ではありません。連合会が具体的にどの団体を指すのかは、今回の抜粋に定義が無いので書きません。第7項は、これらのほか、計画相談支援給付費の支給と指定特定相談支援事業者の請求に関し必要な事項は主務省令で定める、としています。
もう1点あります。法第51条の17には「提示」の語が出てきません。同じ法の第51条の14第2項(地域相談支援給付費)には受給者証を提示する旨の規定がありますが、計画相談支援給付費の条には、支払の条件としての提示は書かれていません。
手続は省令にあります(規則第34条の54から第34条の56)
法第51条の17第7項が「主務省令で定める」とした手続は、規則に置かれています。
申請(第34条の54)です。
法第五十一条の十七第一項の規定に基づき計画相談支援給付費の支給を受けようとする計画相談支援対象障害者等(同項に規定する計画相談支援対象障害者等をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を市町村に提出しなければならない。
記載事項は、第1号が「当該申請を行う計画相談支援対象障害者等の氏名、居住地、生年月日、個人番号及び連絡先」、第2号が対象者が障害児である場合の当該障害児の氏名、生年月日及び個人番号です。第2項で、市町村は支給期間などを本人に通知するとともに、受給者証または地域相談支援受給者証に記載するとされています。期間の定めは第3項です。
支給期間は、サービス利用支援を実施する月から支給決定障害者等に係る支給決定の有効期間又は地域相談支援給付決定障害者に係る地域相談支援給付決定の有効期間のうち最も長いものの終期の月までの範囲内で月を単位として市町村が定める期間とする。
支給期間は月単位で、始まりはサービス利用支援を実施する月です。終わりは、支給決定の有効期間などのうち最も長いものの終期の月までの範囲内で、市町村が定めます。
取消し(第34条の55)は、「支給しない」という形で書かれています。
市町村は、次の各号に掲げる場合には、計画相談支援給付費の支給を行わないことができる。
場合は2つです。
計画相談支援対象障害者等が、法第五十一条の十七第一項の規定に基づき計画相談支援給付費の支給を受ける必要がなくなったと認めるとき。
計画相談支援対象障害者等が、支給期間内に、当該市町村以外の市町村の区域内に居住地を有するに至ったと認めるとき。
行わないこととした場合の通知(書面)と受給者証の提出・返還の手順は、同条第2項から第4項にあります。
支給(第34条の56)は一文です。
市町村は、法第五十一条の十七第一項の規定に基づき、毎月、計画相談支援給付費を支給するものとする。
支給は毎月、支給期間は月単位。この2つが、請求を月次で行う作りと条文上つながっています。
条文に書かれていないこと
ここまで読んだ条文には、次の内容は書かれていません。
- 報酬の額・単位数・加算:算定の基準は主務大臣が定める基準(告示)の側で、今回の条文には出てきません
- 請求の締め日や、連合会(国保連)の実務上の運用:第5項は審査の上支払うと書くだけで、期限はありません
- 利用者負担の有無・額:第51条の17第2項に控除の定めは見当たらず、負担の取扱いは条文から読み取れません
- 基準該当計画相談支援の基準の中身:主務省令で定める基準(第51条の24)は今回の抜粋に含めていません
- 指定特定相談支援事業者の指定の手続・要件:今回の抜粋に含めていません
- サービス等利用計画の作り方や、個別支援計画との連動:計画そのものはこの記事の対象外です
- 児童福祉法の側の給付:児童福祉法の条文は今回読んでいません
- 申請書の添付書類や提出期限:規則第34条の54に書かれているのは記載事項までです
実際の取扱いは、告示・通知と、所管の市町村の最新の案内でご確認ください。
まとめ
- 給付費の名前は2つ。計画相談支援給付費(第51条の17)と特例計画相談支援給付費(第51条の18)が、第51条の16でまとめて置かれている
- 計画相談支援給付費は「支給する」。特例は「必要があると認めるときは」「支給することができる」で、額も市町村が定める
- 対象の「計画相談支援」は、サービス利用支援と継続サービス利用支援の2つ(第5条第19項)
- 支給の相手は事業者ではなく計画相談支援対象障害者等。事業者は市町村長が指定する指定特定相談支援事業者
- 市町村は、本人に代わって事業者に支払うことができ、支払があれば本人に支給があったものとみなされる(第3項・第4項)。審査と支払の事務は連合会に委託できる(第5項・第6項)
- 手続は規則にある。申請(第34条の54)、支給しないとき(第34条の55)、毎月の支給(第34条の56)。支給期間は月単位
参考にした一次情報
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)|e-Gov法令検索:第5条、第51条の14、第51条の16、第51条の17、第51条の18
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)|e-Gov法令検索:第34条の54、第34条の55、第34条の56
いずれも2026年10月16日に取得した条文(本則)によります。本記事は条文の構造を整理したもので、個別の請求の可否を示すものではありません。
支給期間とサービス利用支援の実施月、1つの台帳で追えていますか
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