「送迎加算をつけるために、業務日誌からコピーして実績記録票に貼っています」
ある生活介護の事業所でうかがった作業です。同じExcelブックの別シートに転記する。欠席理由も業務日誌の備考に書いたものを実績記録票に写す。加算の算定に必要な情報はすべて手元にあるのに、それが加算の根拠として使える形になっていないという状態でした。
生活介護の加算の解説は、単位数の一覧で終わることが多いです。しかし運営指導で問われるのは単位数ではなく、その加算を算定した根拠が記録として残っているかです。そして厚生労働省の留意事項通知を読むと、加算ごとに「何を記録するか」が明確に書かれています。
この記事では、生活介護の主な加算の要件を整理したうえで、記録がないと算定根拠を示せなくなる箇所を5つに絞って解説します。
生活介護の主な加算の全体像
まず、この記事で扱う加算を整理します。
| 加算 | 性格 | 記録の要否 |
|---|---|---|
| (基本報酬) | 障害支援区分・利用定員・所要時間に応じた単価 | 生活介護計画に標準的な時間の位置づけが必要 |
| 人員配置体制加算(Ⅰ)〜(Ⅳ) | 体制。いずれかのみ算定 | 前年度の平均利用者数の算定根拠が必要 |
| 常勤看護職員等配置加算 | 体制 | 配置の記録 |
| 重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 体制/個別 | 支援計画シート等・支援記録・観察と見直しの記録 |
| 食事提供体制加算 | 個別 | 摂食量・体重(BMI)・献立の確認 |
| 延長支援加算 | 個別 | 実際のサービス提供時間と延長時間帯の職員配置 |
| 送迎加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 個別 | 送迎人数・回数・送迎場所の事前合意 |
| 欠席時対応加算 | 個別 | 相談援助の内容 |
重度障害者支援加算については記録の要件が特に細かいため、重度障害者支援加算の算定要件と支援計画シートの記事で別に整理しています。この記事では残りの加算を扱います。
ポイント1|基本報酬の「所要時間」は実績時間ではない
令和6年度の報酬改定で、生活介護の基本報酬は障害支援区分・利用定員に加えて所要時間に応じた単価になりました。ここで多い誤解が「その日に実際にいた時間で決まる」というものです。通知は明確に否定しています。
所要時間による区分については、 現に要した時間により算定されるのではなく、 生活介護計画に基づいて行われるべき指定生活介護等を行うための標準的な時間に基づき算定されるものである。
算定の根拠は生活介護計画に位置づけた標準的な時間です。そして送迎の時間は原則として含みません。
この所要時間については、原則として、送迎に要する時間は含まないものである。
さらに、計画と実態が合わなくなった場合の扱いも書かれています。
なお、 生活介護計画に位置づけられた標準的な時間と実際のサービス提供時間が合致しない状況が続く場合には、 生活介護計画の見直しを検討すること。
つまり所要時間は「毎日測って記録する数字」ではなく、生活介護計画の記載事項です。やむを得ない事情でその日の所要時間が計画より短くなった場合は、計画に位置づけられた標準的な時間に基づき算定して差し支えないとされています。
一方で、標準的な時間に加えられる時間もあります。
| 加えられるもの | 上限 |
|---|---|
| 送迎に要する時間が往復3時間以上となる場合 | 1時間を加えることができる |
| 医療的ケアスコアに該当する者・重症心身障害者・行動関連項目合計点数10点以上の者・盲ろう者等であって、障害特性等に起因するやむを得ない理由により利用時間が短時間(サービス提供時間が6時間未満)にならざるを得ない利用者の、受け入れの準備や申し送り事項の整理等に実際に要した時間 | 1日2時間以内 |
| 送迎時に実施した居宅内での介助等(着替え、ベッド・車椅子への移乗、戸締り等)に要する時間 | 1日1時間以内 |
いずれも「生活介護計画に位置付ける標準的な時間として加える」形です。 記録として毎日積み上げるのではなく、計画に書いておく必要があります。短時間利用の加算的な扱いについては、やむを得ない理由が利用者や家族の意向を踏まえてサービス担当者会議で検討され、サービス等利用計画等に位置づけられていることが前提とされています。
落としやすい点
- 実績時間で請求している → 計画に標準的な時間が書かれていないと根拠がない
- 送迎時間を所要時間に入れている → 原則として含まない
- 往復3時間以上や居宅内介助の加算を毎日の実績で積んでいる → 計画への位置づけが必要
ポイント2|送迎加算は「平均10人」と「週3回」の両方か片方か
送迎加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、2つの条件を両方満たすか片方でよいかです。
報酬告示第 6 の 12 の送迎加算のうち、送迎加算(Ⅰ)については、当該月において、次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当する場合に算定が可能であること。また、 送迎加算(Ⅱ)については、 当該月において、 次の(ア)又は(イ)のいずれかに該当する場合に算定が可能であること。
条件は次の2つです。
(ア)1回の送迎につき、平均10人以上(ただし、利用定員が20人未満の事業所にあっては、1 回の送迎につき、平均的に定員の100 分の50以上)の利用者が利用
(イ)週 3回以上の送迎を実施
判定は「当該月において」行います。 月ごとに人数と回数の実績が分かる記録が必要です。ここが業務日誌からのコピー作業になっている事業所は、月次の集計を別に作っていることが多く、二度手間になっています。
居宅以外の送迎は「事前の合意」が条件
見落とされやすいのがここです。
なお、居宅以外であっても、事業所の最寄り駅や集合場所との間の送迎も対象となるが、事前に利用者と合意のうえ、特定の場所を定めておく必要があることに留意すること。
集合場所での乗降は認められますが、その場所を事前に利用者と合意して定めておく必要があります。 「毎朝あのコンビニの前で待っている」という運用が続いていても、合意した場所として記録されていなければ、算定根拠として説明できません。
そのほかの取扱い
- 多機能型事業所や同一敷地内に複数の事業所がある場合は、原則として一の事業所として取り扱う(都道府県知事が特に必要と認める場合を除く)
- 共同生活援助事業所等と生活介護事業所等との間の送迎も対象になる
- 送迎を外部事業者へ委託する場合も対象。ただし利用者へ直接公共交通機関の利用に係る費用を給付する場合等は対象外
- 他の障害福祉サービス事業所や介護事業所と送迎に係る雇用契約や委託契約を締結し、その利用者を同乗させた場合も対象。費用負担や事故等が発生した場合の責任の所在を事前に明確にしておくこと
- 同一敷地内の他の事業所等との間の送迎を行った場合は、所定単位数の100分の70を算定
ポイント3|欠席時対応加算は「相談援助の内容」を記録する
欠席時対応加算は、連絡のタイミングと記録の2点で判定されます。
加算の算定に当たっては、 急病等によりその利用を中止した日の前々日、 前日又は当日に中止の連絡があった場合について算定可能とする。
前々日・前日・当日の3日間が対象です。それより前に連絡があった欠席は対象になりません。
そして「相談支援を行う」の意味が定義されています。
「利用者又はその家族等との連絡調整その他の相談支援を行う」とは、電話等により当該利用者の状況を確認し、引き続き当該指定生活介護等の利用を促すなどの相談援助を行うとともに、当該相談援助の内容を記録することであり、 直接の面会や自宅への訪問等を要しない。
「当該相談援助の内容を記録すること」が要件の一部として書かれています。 面会や訪問は不要ですが、記録は必須です。
ここで冒頭の事業所の話に戻ります。業務日誌の備考欄に「発熱のため欠席」と書いてあるだけでは、相談援助の内容の記録にはなりません。誰が、いつ、どのような相談援助を行ったかが残っている必要があります。欠席の事実と相談援助の内容は、別のものです。
ポイント4|食事提供体制加算は摂食量とBMIの記録が要件
食事提供体制加算は、原則として当該施設内の調理室を使用して調理し提供されたものについて算定します。食事の提供に関する業務を最終的責任の下で第三者に委託することは差し支えなく、クックチル・クックフリーズ・真空調理・クックサーブにより施設外で調理し搬入する方法も、運搬手段等について衛生上適切な措置がなされていれば認められます。一方、出前の方法や市販の弁当を購入して提供するような方法は加算の対象になりません。
そのうえで、記録に関わる要件が3つあります。
献立の確認は年に1回以上
管理栄養士または栄養士は常勤・専従である必要はなく、直接雇用が困難な場合は法人内や法人外部(都道府県栄養士会が設置・運営する栄養ケア・ステーションまたは保健所等)の管理栄養士等が献立の作成や確認を行っている場合でも可能とされています。外部に調理業務を委託している場合は、その委託先において管理栄養士等が献立作成や確認に関わっていればよいものとされています。
確認の方法と頻度はこう書かれています。
献立の確認については、 献立の作成時から関わることが望ましいが、作成された献立表等により、献立の内容を管理栄養士等が確認した場合についても要件を満たすものとする。また、 献立の確認の頻度については、年に1回以上は行うこと。
「年に1回以上」という頻度が明記されています。 確認した記録が残っていなければ、要件を満たしていることを示せません。
摂食量は提供した日は必ず記録する
摂食量の記録に当たっては、 目視や自己申告等による方法も可能とする。
方法は目視や自己申告でよいとされていますが、記録の粒度と頻度が示されています。
摂食量の記録は、例えば、 「完食」 、 「全体の1/2」 、 「全体の○割」などといったように記載すること。摂食量の記録は、提供した日については必ず記録すること。
「提供した日については必ず記録すること」 です。ここが最も抜けやすい箇所です。
BMIは身長が分かっていれば必ず記録する
おおむねの身長が分かっている場合には、 必ずBMIの記録を行うこと。
身体障害者等で身長の測定が困難であり、これまで身長を計測したことがない者または身長が不明な者については、体重のみの記録で要件を満たすとされています。また利用者自身の意向により体重を知られたくない場合は、例外的に把握せずとも要件を満たして差し支えないとされていますが、その場合は個別支援記録等において意向の確認を行った旨を記録しなければならないとされています。
ポイント5|人員配置体制加算は前年度の平均利用者数の数え方が独特
人員配置体制加算(Ⅰ)から(Ⅳ)までは、いずれかのみを算定できます。要件は区分の構成割合と、常勤換算による従業者の員数です。
| 加算 | 区分5・6またはこれに準ずる者の割合 | 従業者の員数 |
|---|---|---|
| 人員配置体制加算(Ⅰ) | 利用者の数の合計数の100分の60以上 | 常勤換算方法により、利用者の数を1.5で除して得た数以上 |
| 人員配置体制加算(Ⅱ) | 利用者の数の合計数の100分の60以上 | 常勤換算方法により、利用者の数を1.7で除して得た数以上 |
「これに準ずる者」の定義も通知に書かれています。
なお、 「これに準ずる者」とは、区分4 以下であって、行動関連項目合計点数が 10 点以上である者又は区分 4 以下であって喀痰吸引等を必要とする者とする。
そして本題は分母の計算です。
なお、生活介護に係る従業者の員数を算定する場合の前年度の平均値は、 当該年度の前年度の利用者延べ数(利用者延べ数については、生活介護サービス費において、所要時間3時間未満、所要時間3時間以上4時間未満、 所要時間4時間以上5時間未満の報酬を算定している利用者については、利用者数に2分の1を乗じて得た数とし、所要時間5時間以上6時間未満、 所要時間6時間以上7時間未満の報酬を算定している利用者については、 利用者数に4分の3を乗じて得た数として計算を行う)を開所日数で除して得た数とし
整理するとこうなります。
| その利用者が算定している所要時間 | 利用者延べ数への数え方 |
|---|---|
| 3時間未満/3時間以上4時間未満/4時間以上5時間未満 | 1人を2分の1として数える |
| 5時間以上6時間未満/6時間以上7時間未満 | 1人を4分の3として数える |
| (上記以外) | 1人として数える |
所要時間の短い利用者は頭数どおりに数えないという仕組みです。そして端数処理も指定されています。
(前年度の平均利用者数の算定に当たっては、小数点第2以下を切り上げるものとする。 )
これを表計算で毎年手作業で組み直している事業所は少なくありません。所要時間の区分は基本報酬の請求と同じ情報から取れるため、請求データを持っている側で自動計算できる部分です。
延長支援加算の所要時間は基本報酬と別の意味
なお、延長支援加算では「所要時間」の意味が基本報酬と違います。
ここでいう所要時間は、生活介護計画に定める時間ではなく、実際にサービス提供を行った時間であり、原則として、送迎のみを実施する時間は含まれないものであること。
基本報酬は計画の時間、延長支援加算は実際の時間です。同じ言葉で違うものを指しているため、記録の設計時に取り違えないよう注意してください。あわせて、延長時間帯に指定障害福祉サービス基準の規定により置くべき職員(直接支援業務に従事する者に限る)を1名以上配置していることも要件です。
記録の共通構造 ― 「入力は1回、見る形は複数」
5つのポイントを並べると、共通の構造が見えてきます。
| 加算 | 必要な記録の単位 | 集計の単位 |
|---|---|---|
| 送迎加算 | 1回の送迎ごとの人数 | 月ごとの平均人数・週あたり回数 |
| 欠席時対応加算 | 相談援助1件ごとの内容 | 月ごとの件数 |
| 食事提供体制加算 | 利用者ごと・提供日ごとの摂食量 | 提供日すべて |
| 人員配置体制加算 | 利用者ごとの所要時間区分 | 前年度の平均 |
日々の記録の単位と、算定判定の単位が違うのです。だからコピーと転記が発生します。業務日誌に書いた情報を実績記録票に写し、さらに月次の集計表に写す。3回書けば、2回はミスの機会になります。
対策は加算ごとの様式を増やすことではありません。
- 記録は発生した単位で1回だけ入力する(送迎は1回ごと、摂食量は提供日ごと、相談援助は1件ごと)
- 算定判定に必要な集計は、入力したものから自動で出す。 月の平均送迎人数、週あたりの送迎回数、摂食量の記録漏れ日数を一覧で見る
- サービス提供実績記録票は「作る」ものではなく「出す」ものにする。日々の記録が入っていれば、実績記録票はその出力形式の1つになる
- 送迎場所の事前合意や献立確認のように年に数回しか発生しない記録は、期限管理の側で持つ
指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第93条は、生活介護についてサービスの提供の記録に関する第19条を準用しています。同条は、サービスを提供した際は提供日、内容その他必要な事項を、提供の都度記録しなければならず、その記録に際して支給決定障害者等から提供したことについて確認を受けることを求めています。記録の整備と5年間の保存についても第75条が準用されます。
「都度記録する」ことが基準そのものです。 後からまとめて書き起こす運用は、この基準の求める形から遠くなります。逆に言えば、都度記録が電子的に残っていれば、加算の判定はそこから導けます。
まとめ
- 基本報酬の所要時間は実績時間ではなく、生活介護計画に位置づけた標準的な時間。送迎に要する時間は原則として含まない。計画と実態が合わない状況が続く場合は計画の見直しを検討する
- 往復3時間以上の送迎で1時間、短時間利用者の準備・申し送り整理で1日2時間以内、送迎時の居宅内介助で1日1時間以内を、いずれも計画に位置付ける標準的な時間として加えることができる
- 送迎加算(Ⅰ)は「1回の送迎につき平均10人以上(定員20人未満の事業所は定員の100分の50以上)」と「週3回以上の送迎」の両方、(Ⅱ)はいずれか。判定は当該月において行う
- 居宅以外の送迎も対象だが、事前に利用者と合意のうえ特定の場所を定めておく必要がある。同一敷地内の事業所等との送迎は所定単位数の100分の70
- 欠席時対応加算は前々日・前日・当日の連絡が対象。相談援助の内容を記録することが要件に含まれる。面会や訪問は不要
- 食事提供体制加算は献立の確認を年に1回以上、摂食量は提供した日については必ず記録、おおむねの身長が分かっている場合はBMIを必ず記録。出前や市販の弁当の購入は対象外
- 人員配置体制加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)はいずれかのみ算定。前年度の利用者延べ数は所要時間が短い区分の利用者を2分の1・4分の3として数え、小数点第2以下を切り上げる
- 延長支援加算の「所要時間」は実際にサービス提供を行った時間で、基本報酬とは意味が違う
- サービスの提供の記録は提供の都度行い、支給決定障害者等から確認を受ける(指定障害福祉サービス基準第93条により第19条を準用)。記録の保存は5年間
参考にした一次情報
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日障発第1031001号。令和6年度改定に伴う一部改正後)
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号/e-Gov法令検索)
※本記事は生活介護(指定生活介護事業所)を前提に整理しています。共生型生活介護・基準該当生活介護・障害者支援施設で行う生活介護は要件の立て方が一部異なります。単位数は報酬告示によりサービス種別・区分・所要時間ごとに定められており、本記事では同一敷地内送迎の100分の70を除き個別の単位数を記載していません。実際の算定に当たっては報酬告示および所轄自治体の取扱いをご確認ください。
実績記録票の転記作業をなくしたい法人様へ
パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。業務日誌・支援記録・サービス提供実績記録票を1か所につなぎ、入力は1回、加算の判定に必要な集計はその場で見える形に整えるところからご一緒します。ITに詳しい職員がいらっしゃらなくても大丈夫です。