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社会福祉

サービス管理責任者の資格要件|実務経験の数え方と研修の期限管理

「この職員はサービス管理責任者になれますか」

法人の人事のご相談で、いちばん多く聞かれる質問です。そして、いちばん答えにくい質問でもあります。サービス管理責任者(以下「サビ管」)の要件は、実務経験研修修了という2階建てで、しかもそれぞれの中に複数のルートがあるためです。

ネット上には「相談支援業務なら5年、直接支援業務なら8年」という要約が並んでいます。おおむね合っていますが、この要約だけで判断すると外れるケースがあります。特に、保育士や介護福祉士などの資格をお持ちの方、高齢者分野からの転職者、そして「研修は昔受けた」という方の扱いです。

この記事では、要件を定めている「指定障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者として厚生労働大臣が定めるもの等」(平成18年9月29日厚生労働省告示第544号。令和8年3月31日こども家庭庁・厚生労働省告示第6号による改正まで反映)の条文を根拠に、実務経験の数え方と研修の期限を整理します。

なお、障害児通所支援の児童発達支援管理責任者(児発管)は別の告示で要件が定められており、サビ管とは数え方が違います。混同しやすいので、そちらは児童発達支援管理責任者の要件|サビ管との違いと実務経験の数え方で扱います。

要件は「実務経験」と「研修修了」の2階建て

告示は、サビ管を「次の(1)及び(2)に定める要件を満たす者」としています。

  • (1) 実務経験:所定の業務に、所定の年数従事していること(この人を告示は「実務経験者」と呼びます)
  • (2) 研修修了:基礎研修 → 実践研修 → 更新研修という体系を修了していること

両方を満たさないとサビ管にはなれません。逆に言えば、実務経験を満たしていても研修を受けていなければサビ管にはなれず、研修を修了していても実務経験が足りなければなれません。

対象となるサービスは、療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助です。

実務経験:3つのルートがある

告示は、実務経験を4つの期間((一)〜(四))に分けて定義したうえで、3つの組み合わせのいずれかを満たせばよいとしています。

まず、4つの期間の定義です。

記号何の期間か
(一)相談支援の業務に従事した期間
(二)社会福祉主事任用資格者等である人が、直接支援の業務に従事した期間
(三)社会福祉主事任用資格者等でない人が、直接支援の業務に従事した期間
(四)下記の国家資格等を持つ人が、その資格に基づき当該資格に係る業務に従事した期間

そのうえで、次のいずれかを満たせば「実務経験者」です。

ルート要件
A(一)と(二)の期間が通算して5年以上
B(三)の期間が通算して8年以上
C(一)〜(三)の期間が通算して3年以上 かつ (四)の期間が通算して3年以上

「相談支援なら5年、直接支援なら8年」という要約は、AとBのことです。しかし実際には、Bの8年は「社会福祉主事任用資格者等でない人」の場合であり、社会福祉主事任用資格者等であれば直接支援の業務でもAの5年で足ります。ここが最初のつまずきどころです。

「相談支援の業務」と「直接支援の業務」の定義

告示は両者を次のように定義しています。

相談支援の業務

身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言、指導その他の支援を行う業務

直接支援の業務

身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき、入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行う業務又は日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練その他の支援(以下「訓練等」という。)を行い、並びにその訓練等を行う者に対して訓練等に関する指導を行う業務その他職業訓練又は職業教育に係る業務

そして重要なのは、どこで働いていたかによって、その期間がカウントできるかどうかが変わるという点です。告示は施設・事業の種別を列挙しています。相談支援の業務であれば、相談支援事業所、児童相談所、身体障害者更生相談所、福祉に関する事務所、発達障害者支援センター、障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域包括支援センター、障害者職業センター、特別支援学校、病院・診療所などが挙げられています。

令和7年10月1日からは、高次脳機能障害者支援法(令和7年法律第96号)第19条第1項に規定する高次脳機能障害者支援センターも、この列挙に加わっています。 比較的新しい追加なので、古い解説記事には載っていません。

なお、病院・診療所の従業者としての期間を相談支援の業務としてカウントする場合には条件が付いており、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了した者、(四)の資格を有する者、または他の列挙施設での従事期間が1年以上の者に限られます。

(四)に入る資格

Cルートで使える国家資格等は、告示に列挙されています。

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士、公認心理師。

注意したいのは、Cルートが「(四)が3年以上」だけでは足りないことです。(一)〜(三)の期間も別に3年以上必要です。たとえば病院で看護師として10年働いてきた方が転職してきた場合、(四)は満たしますが、(一)〜(三)の3年が別に必要になります。「資格があるから3年でなれる」という理解は誤りです。

保育士の扱い

「社会福祉主事任用資格者等」には、社会福祉法第19条第1項各号に該当する者のほか、保育士が明記されています。保育士資格をお持ちの方が直接支援の業務に従事した期間は(二)に入るため、Bの8年ではなくAの5年ルートで判定できます。実務でよく問題になる論点なので、押さえておく価値があります。

共同生活援助の特例

平成18年10月1日時点で存在していた指定共同生活援助事業所が引き続き共同生活援助等の事業を行う場合で、実務経験者を確保できないときは、(一)〜(三)の期間が通算して3年以上である者をサビ管として置くことができるという特例が置かれています(研修要件は別に満たす必要があります)。

研修:基礎 → 実践 → 更新の3段階

令和元年度から、サビ管の研修体系は次の3段階になっています。時間数は告示の別表に定められています。

研修内容(告示別表)合計時間
基礎研修(別表第一)基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義7.5時間+サービス提供プロセスの管理に関する演習7.5時間15時間
実践研修(別表第三)障害福祉の動向1時間+サービス提供に関する講義及び演習6.5時間+人材育成の手法3.5時間+多職種及び地域連携3.5時間14.5時間
更新研修(別表第四)障害福祉の動向1時間+サービス提供の自己検証に関する演習5時間+サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョン7時間13時間

このほか、基礎研修修了者となるには相談支援従事者初任者研修の講義部分(別表第二/合計11時間)の修了も必要です。

基礎研修はいつから受けられるか

告示は基礎研修を、次の人に対して行われる研修と定義しています。

実務経験者となるために必要な年数に達する日までの期間が二年以内である者又は実務経験者

つまり、実務経験の必要年数まであと2年以内になれば、実務経験を満たす前に基礎研修を受けられるということです。Aルート(5年)なら3年目から、Bルート(8年)なら6年目から受講できます。人員配置の計画を立てるうえで、ここは実務的に大きい情報です。

実践研修の受講要件

基礎研修を修了したあと、実践研修を受けるには次のいずれかが必要です。

  • 原則:基礎研修修了者となった日以後、実践研修受講開始日前5年間に通算して2年以上、相談支援の業務または直接支援の業務に従事していること
  • 短縮ルート基礎研修の受講開始日において既に実務経験者だった場合は、基礎研修修了後、実践研修受講開始日前5年間に通算して6か月以上、サビ管等の業務(指定基準に規定する個別支援計画の作成等の業務)に従事していれば足りる

「基礎研修を修了してから2年の実務(OJT)が必要」と説明されることが多いのですが、実務経験を満たしてから基礎研修を受けた人は6か月で実践研修に進めるという道があります。急いでサビ管を立てたい場合、どちらのルートで進めるかは配置計画に直結します。

更新研修の期限は「5年度ごとの各年度の末日」

ここが最も事故が起きやすいところです。告示は次のように定めています。

(二)に定めるサービス管理責任者実践研修を修了した日の属する年度の翌年度を初年度とする同年度以降の五年度ごとの各年度の末日までに、サービス管理責任者更新研修

期限は「修了日から5年後の同じ日」ではなく、実践研修を修了した年度の翌年度を初年度として数えた、5年度ごとの各年度の末日です。日付ではなく年度で管理する必要があります。

また、実践研修を修了した日から5年を経過する日の属する年度の末日までは、更新研修を修了していなくても更新研修修了者とみなされます。この「みなし期間」があるため、期限が来ていることに気づきにくい構造になっています。

期限を過ぎたらどうなるか

告示は明確です。

イの(2)の柱書きに定める期日までに更新研修修了者とならなかった実践研修修了者又はロに定める期日までに更新研修修了者とならなかった旧サービス管理責任者研修修了者は、基礎研修修了者とみなし、イの(2)の規定にかかわらず、サービス管理責任者実践研修を改めて修了し、当該研修の課程を修了した旨の証明書の交付を受けた日に実践研修修了者となったものとする。

つまり、更新研修の期限を過ぎると基礎研修修了者の地位まで戻り、実践研修を受け直すことになります。更新研修(13時間)で済んだものが、実践研修(14.5時間)の受け直しになるわけです。しかも実践研修は都道府県が年に数回しか開催しないため、次の開催まで待つ間、サビ管として配置できない期間が生じます。

欠員が出たときの扱い

サビ管が急に退職した、というのは残念ながら珍しくありません。告示は2つの救済措置を置いています。

1. 基礎研修修了者のみなし配置

サビ管(1人以上が常勤でなければならない場合は常勤のサビ管)が配置されている事業所では、個別支援計画の作成等の業務を基礎研修修了者に行わせることができ、そのサビ管に加えて基礎研修修了者を置くことで、置くべきサビ管の数に達したとみなすことができます。つまり、2人目以降は基礎研修修了者で埋められるということです。

2. やむを得ない事由で欠けた場合

やむを得ない事由によりサビ管が欠けた事業所では、その事由の発生した日から1年間、実務経験者である配置者(告示は「みなしサービス管理責任者」と呼びます)について研修要件を満たしているものとみなします。

さらに、そのみなしサビ管が基礎研修修了者で、かつ事由の発生した日以前から引き続きその事業所に配置されていた場合は、実践研修修了者となるまでの間(事由発生日から2年間に限る)まで期間が延びます。

いずれも「1年(または2年)以内に正規の要件を満たす」ことが前提の猶予です。欠員が出たら、その日を起点に逆算して研修の受講計画を立てる必要があります。

法人としてどう管理するか

制度を読み解いたうえで、実務の話をします。私たちが法人様のご支援に入って必ず確認するのが、次の3点です。

1. 誰が、いつまでに、どの研修を受けなければならないかが一覧になっているか

サビ管・児発管の研修期限は、職員ごとに、しかも年度単位でずれます。これを個人の記憶や、担当者のExcelファイルだけで持っている法人は少なくありません。担当者が異動すると、そのまま失効します。前述のとおり、失効の代償は「実践研修の受け直し+配置できない空白期間」です。

2. 修了証の原本と写しがどこにあるか分かるか

指定申請や変更届、運営指導のときに求められるのは修了証です。「本人が持っているはず」という状態だと、必要なときに探す時間がかかります。法人本部で写しを一元管理しておくのが確実です。

3. 実務経験の年数を、誰がどう証明するか

実務経験証明書は前職の事業所に発行してもらう必要があります。前職が廃止されている場合など、時間が経つほど取りにくくなります。採用時に取得しておくのが最も安全です。

これらはシステムの話に見えて、実際は情報の置き場所を1か所に決めるという話です。職員台帳に「資格」「研修修了年月日」「次回期限(年度)」の列を足し、修了証のPDFを紐づけておく。それだけで、失効事故はほぼ防げます。

法人運営側の書類管理については、社会福祉法人の指導監査とは|周期・指摘基準・準備の進め方でも同じ論点に触れています。

まとめ

  • サビ管の要件は実務経験と研修修了の2階建て。両方を満たす必要がある
  • 実務経験は3ルート。(一)相談支援+(二)資格者の直接支援で5年(三)資格者でない直接支援で8年(一)〜(三)で3年+(四)国家資格業務で3年
  • 「直接支援は8年」は社会福祉主事任用資格者等でない場合の話。保育士等であれば5年ルートで判定できる
  • 国家資格ルートは「資格業務3年」だけでは足りず、(一)〜(三)が別に3年以上必要
  • 令和7年10月1日から、高次脳機能障害者支援センターが実務経験の対象施設に加わった
  • 研修は基礎15時間 → 実践14.5時間 → 更新13時間。基礎研修は実務経験を満たす2年前から受講できる
  • 実践研修は原則「基礎修了後2年」だが、基礎研修の受講開始日に既に実務経験者だった場合は6か月で進める道がある
  • 更新研修の期限は日付ではなく5年度ごとの各年度の末日。過ぎると基礎研修修了者に戻り、実践研修を受け直すことになる
  • 欠員時は1年間(一定の場合は2年間)のみなし配置が使えるが、あくまで猶予である

参考(一次情報)

※研修の開催回数・申込時期・実務経験証明書の様式は都道府県ごとに異なります。受講計画を立てる際は、自法人の所在地の都道府県が公表している最新の開催案内をご確認ください。


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