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監事監査の進め方|監査報告の内容と通知期限、理事会同日を条文で読む

決算期が近づくと、法人本部では「監事監査はいつ入れるのか」「何を揃えて渡すのか」「監査報告はいつまでにもらえばよいのか」「理事会と同じ日に済ませてよいのか」といった段取りを組むことになります。

この記事は、令和8年11月4日にe-Gov法令検索から取得した条文が根拠です。社会福祉法(以下「法」)と社会福祉法施行規則(以下「規則」)の条文だけを読み、監事監査そのものに絞って次の4点を整理します。

  • 監事が監査するものは何か(条文に書かれているもの)
  • 監査報告に書く内容は、計算関係書類と事業報告でどう違うか
  • 監査報告の通知期限は、条文でどう決まっているか
  • 「理事会と同日」にできるかを、条文の期限からどこまで読めるか

監事の人数・任期・兼任といった要件は、監事の要件の記事で整理しています。計算書類の承認の流れ全体は、計算書類の記事と決算スケジュールの記事で、事業報告の監査報告に書く事項は、事業報告の記事で扱っています。ここでは、監事監査の段取りに関わる部分だけを読みます。

条文から言えることと言えないことは分けて書きます。監査の具体的な日程や、監査で見る帳簿の範囲、自治体が配るチェックリストの中身は、今回読んだ条文には書かれていません。

先に結論

  • 監事は理事の職務の執行を監査し、監査報告を作成します(法第45条の18第1項)。計算書類・事業報告とそれらの附属明細書も、監事の監査を受けなければなりません(法第45条の28第1項)。
  • 監査報告に書く事項は、計算関係書類(規則第2条の27)と事業報告(規則第2条の36)で別々に定められています。事業報告の側には「理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があつたとき」の項目があり、計算関係書類の側にはありません。
  • 通知期限は、規則第2条の28(計算関係書類)と第2条の37(事業報告)で、3つの日のうち「いずれか遅い日」と書かれています。計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日、附属明細書を受領した日から1週間を経過した日、特定理事と特定監事が合意で定めた日の3つです。
  • 特定監事が期限までに通知しない場合は、期限の日に監査を受けたものとみなされます(規則第2条の28第3項、第2条の37第3項)。
  • 理事会の承認を受けるのは、監査を受けた書類です(法第45条の28第3項)。監査を受けたとされる日は、特定理事が通知を受けた日です。「同じ日に理事会を開いてはいけない」とは条文に書かれていません。 一方で、通知の方法や、理事会の席上での通知で足りるかは、条文からは決まりません。
  • 監査を「いつ行うか」という日程そのものは、条文では決まりません。決まるのは通知期限です。
  • 監事は2人以上でなければなりません(法第44条第3項)。1名の状態をどう扱うかは、今回の条文からは決まりません。所轄庁に確認してください。
  • 会計監査人設置法人は、規則に別の条があります。この記事では深入りしません。

1. 監事が監査するもの

監事の監査について、まず法の条文を確かめます。法第45条の18第1項は、次のとおりです。

監事は、理事の職務の執行を監査する。この場合において、監事は、厚生労働省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。

読み取れることは2つです。

  1. 監査の対象は、理事の職務の執行
  2. 監査したら、監査報告を作成する(作り方は厚生労働省令、つまり規則で定める)

次に、決算に関わる書類です。法第45条の28第1項は、次のとおりです。

前条第二項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、厚生労働省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。

「前条第二項」は法第45条の27第2項です。同項は、毎会計年度終了後三月以内に、計算書類(貸借対照表及び収支計算書)、事業報告、およびこれらの附属明細書を作成することを定めています。

毎会計年度終了後三月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、各会計年度に係る計算書類(貸借対照表及び収支計算書をいう。以下この款において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。

整理すると、条文に書かれている監査の対象は次の表のとおりです。

対象根拠条文での位置づけ
理事の職務の執行法第45条の18第1項監事が監査する
計算書類(貸借対照表・収支計算書)法第45条の28第1項監事の監査を受ける
事業報告法第45条の28第1項監事の監査を受ける
上記2つの附属明細書法第45条の28第1項監事の監査を受ける

「監査項目」の一覧は条文にはない

「監事監査の項目を教えてほしい」という質問はよくあります。条文が定めているのは、何を点検するかのチェックリストではなく、監査報告に何を書くかです。この点は次の節で並べます。

自治体が配る監査の手引きやチェックリストの中身は、今回読んだ条文には入っていません。この記事では書きません。所轄庁が示している資料があれば、それを確認してください。

監事は、いつでも調査できる

法第45条の18第2項は、監査の「日」にかかわらず、監事に調査の権限があることを定めています。

監事は、いつでも、理事及び当該社会福祉法人の職員に対して事業の報告を求め、又は当該社会福祉法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる。

つまり、条文の上では、決算期の監査の場面だけに限らず、監事は期中でも報告を求め、調査することができます。法人本部にとっては、「決算前に一度だけ資料を渡す」運用だけでなく、期中から情報を渡しておく運用も、条文とは矛盾しません。

監査の環境を整えるのは、理事・理事会の側にも求められている

規則第2条の19は、監査報告の作成に関する規定です。第2項は、次のように定めています。

監事は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。

続けて、次のように書かれています。

この場合において、理事又は理事会は、監事の職務の執行のための必要な体制の整備に留意しなければならない。

法人本部の段取りに引き寄せて読むと、監事に資料と情報が届く経路を、理事の側でも整えておく必要がある、ということです。具体的に何を整えればよいかは、条文には書かれていません。

同条第4項は、監事が複数いる場合の定めです。

監事は、その職務の遂行に当たり、必要に応じ、当該社会福祉法人の他の監事との意思疎通及び情報の交換を図るよう努めなければならない。

2. 監査報告に書くこと:計算関係書類と事業報告で比べる

監査報告の中身は、規則で2つに分かれています。

  • 計算関係書類の監査報告:規則第2条の27
  • 事業報告及びその附属明細書の監査報告:規則第2条の36

計算関係書類(規則第2条の27)

第2条の27第1項は、監査報告を作成する場面を次のように書いています。

は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。

この項の主語は、「監事(会計監査人設置社会福祉法人の監事を除く。)」です。会計監査人設置法人の監事は、この条の対象から除かれています。

書くべき事項は、第一号から第五号です。

  1. 監事の監査の方法及びその内容
  2. 計算関係書類が、財産、収支及び純資産の増減の状況を全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見
  3. 監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
  4. 追記情報
  5. 監査報告を作成した日

第四号の「追記情報」は、第2項で意味が書かれています。

前項第四号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、監事の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。

挙げられている事項は、会計方針の変更、重要な偶発事象、重要な後発事象の3つです。

事業報告及びその附属明細書(規則第2条の36)

第2条の36第1項の書き出しは、次のとおりです。

監事は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。

書くべき事項は、第一号から第六号です。

  1. 監事の監査の方法及びその内容
  2. 事業報告及びその附属明細書が、法令又は定款に従い当該社会福祉法人の状況を正しく示しているかどうかについての意見
  3. 当該社会福祉法人の理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があつたときは、その事実
  4. 監査のため必要な調査ができなかつたときは、その旨及びその理由
  5. 第2条の25第2項第2号に掲げる事項(監査の範囲に属さないものを除く。)がある場合において、当該事項の内容が相当でないと認めるときは、その旨及びその理由
  6. 監査報告を作成した日

2つを並べて比べる

項目計算関係書類事業報告
監査の方法及びその内容第一号第一号
意見の対象財産、収支及び純資産の増減の状況を全ての重要な点において適正に表示しているか法令又は定款に従い当該社会福祉法人の状況を正しく示しているか
不正の行為・重大な違反項目に挙がっていない理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があつたときは、その事実
調査ができなかったときその旨及びその理由(第三号)その旨及びその理由(第四号)
追記情報第四号。会計方針の変更などを挙げる項目に挙がっていない
第2条の25第2項第2号の事項項目に挙がっていない内容が相当でないと認めるとき、その旨及びその理由(第五号)
作成した日第五号第六号

表から読み取れる違いは、次の3点です。

  1. 意見の物差しが違う。 計算関係書類は「適正に表示しているか」、事業報告は「法令又は定款に従い、状況を正しく示しているか」です。
  2. 理事の職務の遂行に関する事実を書く項目は、事業報告の側にある。 規則第2条の27には、この項目は挙がっていません。一方、法第45条の18第1項は、監事が理事の職務の執行を監査すると定めています。両者の関係を、規則の文言だけでこれ以上読み込むことは、この記事ではしません。
  3. 追記情報は、計算関係書類の側にだけ挙がっている。 第2条の36第1項の6項目には、追記情報は入っていません。

どちらの監査報告にも、「監査報告を作成した日」を書く項目があります。この日付は、後で見る通知期限や、法第45条の32の備置きの管理にも関わるので、日付の記録を忘れないようにしてください。

なお、第2条の36第1項第五号が指す第2条の25第2項第2号の事項の内容は、今回の一次情報に入っていません。この記事では内容に触れません。

3. 通知期限:「いずれか遅い日」までに

監査報告は、作るだけでなく、理事に通知する期限が決まっています。計算関係書類は規則第2条の28、事業報告は規則第2条の37が定めており、構造は同じです。計算関係書類の第2条の28第1項は、次のとおりです。

特定監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、特定理事に対し、計算関係書類についての監査報告の内容を通知しなければならない。

挙げられている「日」は3つです(表の左が規則第2条の28、右が第2条の37)。

号計算関係書類事業報告
一計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日事業報告を受領した日から四週間を経過した日
二計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日事業報告の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日
三特定理事及び特定監事が合意により定めた日があるときは、その日特定理事及び特定監事の間で合意により定めた日があるときは、その日

読み取れること

  1. 期限は「いずれか遅い日」です。第一号と第二号の日は、受領した日から数えます。
  2. 計算書類の全部と、その附属明細書は、受領した日が別々になりえます。それぞれの受領日から、4週間と1週間が数えられます。
  3. 第三号は、合意で定めた日が「あるとき」の定めです。合意がなければ、第一号と第二号のうち遅い日になります。
  4. 期限の書き方は「までに」です。4週間を待たなければ通知できない、とは書かれていません。

合意で定めた日が、期限を早められるかは決まらない

ここは慎重に読む必要があります。条文の書き方は「次に掲げる日のいずれか遅い日」です。合意で定めた日が、第一号の日より前の日だった場合に、通知期限がその合意の日まで早まるのかは、この文言だけでは私たちは断定しません。

合意で期限を短くしたい場合や、合意の方法(書面か口頭か、理事会の議事録に残すか)については、今回読んだ条文に定めがありません。所轄庁に確認してください。

期限までに通知しないと、どうなるか

第2項と第3項は、通知と「監査を受けたこと」の関係を定めています。第2項は、次のとおりです。

計算関係書類については、特定理事が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監事の監査を受けたものとする。

第3項は、期限までに通知がなかったときの定めです。

前項の規定にかかわらず、特定監事が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、監事の監査を受けたものとみなす。

事業報告にも、同じ構造の定めが第2条の37の第2項・第3項にあります。ここから言えることは次のとおりです。

  • 監査を受けたとされる日は、通知を受けた日(第2項)
  • 通知がなくても、期限の日に監査を受けたものとみなされる(第3項)

法人本部の側から見ると、監事の通知が遅れても、期限が過ぎれば手続は先へ進められる、という作りです。ただし、監事が通知をしないまま期限を過ごすことが、監事としての職務の面で何を意味するかは、今回読んだ条文からは決まりません。本部としては、期限の前に通知をもらう段取りを組むほうが安全です。

特定理事・特定監事とは

通知する側と受ける側を指す言葉が、「特定監事」と「特定理事」です。規則第2条の28第4項と第5項が意味を書いています。事業報告についての第2条の37も、同じ構造です。

特定理事(通知を受ける側)

  • 通知を受ける理事を定めた場合は、その理事
  • 定めていない場合は、監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行つた理事(事業報告では、事業報告及びその附属明細書の作成に関する職務を行つた理事)

特定監事(通知する側)

  • 通知をすべき監事を定めたときは、その監事
  • 定めていない場合は、全ての監事

条文から言えるのは、通知を受ける理事や通知する監事を決めておけば、窓口が絞られるということです。決めていなければ、通知を受けるのは書類の作成に携わった理事、通知するのは全ての監事、という読みになります。誰を窓口にするかを決める方法や機関は、今回読んだ条文には書かれていません。

4. 理事会と同日にできるか:条文で決まることと決まらないこと

「監事監査と理事会を同じ日にまとめたい」という相談は、段取りの現場でよく出ます。条文の期限から、どこまで言えるかを分けます。

条文で決まること

  1. 理事会が承認するのは、監査を受けた書類です。法第45条の28第3項は、次のとおりです。

第一項又は前項の監査を受けた計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、理事会の承認を受けなければならない。

  1. 監査を受けたとされる日は、特定理事が通知を受けた日です(規則第2条の28第2項、第2条の37第2項)。
  2. 通知の期限は、3つの日のうち「いずれか遅い日」です(規則第2条の28第1項、第2条の37第1項)。
  3. 期限までに通知しなければ、期限の日に監査を受けたものとみなされる(規則第2条の28第3項、第2条の37第3項)。

この4つを並べると、条文は「監査を受ける」→「理事会が承認する」という順序を求めています。一方で、条文は日付で書かれており、同じ日に理事会を開いてはならない、とは書かれていません。「理事会の前日までに」「別の日に」といった言葉も、今回読んだ条文には出てきません。

条文では決まらないこと

  • 通知の方法:書面で通知するのか、口頭でもよいのか。規則第2条の28・第2条の37は、通知の方法を定めていません。
  • 理事会の席上での通知で足りるか:理事会の開催中に監査報告の内容を述べることが「通知」に当たるのかは、条文からは決まりません。
  • 同日の中での先後:条文は日で書かれているため、同じ日の中の時間の先後は書かれていません。
  • 4週間を待つ必要があるか:期限は「までに」の書き方で、待機期間とは書かれていません。逆に、4週間より前に監査を終える義務も書かれていません。
  • 定款や理事会規程の定め:今回の一次情報には入っていません。
  • 所轄庁の指導の有無:条文には現れません。

弊社の整理:同日にするなら、決めておくこと

以下は条文から導いた弊社の整理で、所轄庁の見解ではありません。

理事会と同日に監査報告をもらう運用を考えるなら、少なくとも次のことを決めてから進めると、条文との関係を説明しやすくなります。

  1. 計算書類の全部と附属明細書を監事に渡した日を記録する。 期限は受領日から数えるため、渡した日が分からなければ期限が確かめられません
  2. 通知を受ける理事(特定理事)と、通知する監事(特定監事)を決めておく。 決めておけば、誰に誰が通知するかが明確になります
  3. 監査報告の内容を通知する日と方法を、理事会より前に決めておく。 同じ日に済ませるにしても、通知の後に承認、という順序を崩さないようにします
  4. 監査報告に「作成した日」を入れる。 規則が定める項目で、受領日や期限との関係を後から確かめる材料にもなります

決算の流れに置くと、逆算はこうなる

決算の流れには、監査報告が関わる日が、法の条文の中にいくつかあります。

  • 作成の期限:毎会計年度終了後三月以内(法第45条の27第2項)
  • 備置きの開始:定時評議員会の日の二週間前の日(法第45条の32第1項)。備置きの対象の「計算書類等」には、監査報告が含まれる

第45条の32第1項は、「計算書類等」を次のように定義しています。

計算書類等(各会計年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに監査報告(第四十五条の二十八第二項の規定の適用がある場合にあつては、会計監査報告を含む。)をいう。以下この条において同じ。)

つまり、定時評議員会の二週間前の日までには、監査報告ができていなければなりません。さらに、法第45条の29は、理事が定時評議員会の招集の通知に際して、理事会の承認を受けた計算書類・事業報告・監査報告を評議員に提供するよう定めています。招集通知をいつ出すかの期限は、今回の一次情報に入っていませんので、ここでは数えません。

条文の数字だけで、最も緩く数えるとこうなります。定時評議員会の日をJとすると、備置きの開始がJの二週間前です。通知期限が受領日から四週間後に来る可能性を見込むなら、計算書類の全部を監事に渡す日は、Jの六週間前よりも前に置く必要があります。ただし、これは備置きの日だけを根拠にした最も緩い数え方です。招集通知の発出が備置きより前であれば、さらに前倒しになります。

日程そのものは法人ごとの決算の時期・評議員会の日程・理事会の開催日で変わります。条文が決めているのは期限の枠で、「何日に監査をする」という日程ではありません。

5. 監事が複数の場合、1名の場合、欠席の場合

監事が複数いる場合

法第44条第3項は、監事の人数の下限を定めています。

理事は六人以上、監事は二人以上でなければならない。

監事が複数いる法人で、特定監事を決めていなければ、全ての監事が特定監事です(規則第2条の28第5項第二号)。この場合、通知する立場の監事が複数になります。

監査報告を1通にまとめるのか、監事ごとに作るのか、は今回読んだ条文には書かれていません。規則第2条の19第4項が、監事どうしで意思疎通と情報の交換を図るよう努めることを求めている点だけが、条文から言えることです。

監事が1名の場合

法第44条第3項の下限は2人です。1名の状態は、この条文の数字に合わない状態です。そのような状態で、監査をどう行い、どの手続を取るべきかは、今回の一次情報には書かれていません。補欠の監事の選任や、退任後の扱いなども、この記事では扱いません。監事の要件は監事の要件の記事で整理しています。具体的な対応は、所轄庁に確認してください。

監事が日程に出られない場合

監事が理事会や打合せの日に出られない場合について、条文で言えることは次のとおりです。

  • 通知期限は日付で決まっています。期限までに通知が行われれば足りる、という読みになります(規則第2条の28第1項)
  • 特定監事を決めていなければ、全ての監事が通知する立場です。1人が遅れた場合に、全員の通知が揃わないと期限に間に合ったことになるのかは、条文から決まりません
  • 理事会の議事録の署名について、法第45条の14第6項は、署名する者に「及び監事」を挙げています

監事の理事会への出席に関する義務や、意見を述べる義務は、法第45条の18第3項が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定を準用しています。ただし、その準用先の中身は、今回の一次情報に入っていません。この記事では書きません。

6. 監査報告を受けた後の流れ(短く)

監査報告の通知を受けた後の流れは、次のとおりです。細かい手続は、別の記事に送ります。

  1. 理事会の承認を受ける(法第45条の28第3項)
  2. 定時評議員会の招集の通知に際して、承認を受けた計算書類・事業報告と監査報告を評議員に提供する(法第45条の29第1項)
  3. 定時評議員会に提出し、または提供する。計算書類は定時評議員会の承認を受ける(法第45条の30)
  4. 計算書類等を、定時評議員会の日の二週間前の日から主たる事務所に備え置く(法第45条の32第1項)

全体の流れは、決算スケジュールの記事と計算書類の記事で整理しています。

会計監査人設置法人については、法第45条の28第2項が、計算書類とその附属明細書は監事と会計監査人の監査を受け、事業報告とその附属明細書は監事の監査を受ける、と定めています。規則には、会計監査人設置法人の監査について、第2条の31や第2条の34といった別の条があります。この記事では、それらの条文の中身は読んでいないので、扱いません。

法人本部で整理しておくこと

条文の構造から、法人本部が手元でそろえておくとよい整理は次の6つです。条文から導いた弊社の整理で、個別の判断は所轄庁にご確認ください。

  1. 監事に渡す書類を一覧にする。 計算書類(貸借対照表・収支計算書)、事業報告、それぞれの附属明細書。計算書類の全部と附属明細書は、受領日が別々になりうるので、渡した日を書類ごとに記録する
  2. 特定理事と特定監事を決める。 通知を受ける理事と、通知する監事を決めておけば、窓口が絞れる
  3. 通知期限を、書類ごとに計算しておく。 計算関係書類と事業報告の2本について、四週間・一週間・合意日のうち遅い日を確かめる。期限は受領日から数える
  4. 監査報告の通知方法と日を、事前に決める。 条文は方法を定めていないので、法人としての運用を決め、理事会の議事録や監査の記録に残す
  5. 監査報告の「作成した日」を管理表に入れる。 後の備置き(定時評議員会の二週間前の日)の確認に使う
  6. 所轄庁が示している資料を確認する。 監査項目のチェックリストや、通知の方法に関する運用は、条文には書かれていないため

「いつ・何を・誰に渡し・いつまでに報告をもらうか」を一覧にして持っておくと、毎年の決算期に使い回せます。

この記事で書いていないこと

次のことは、今回確認した条文には書かれていません。この記事でも書きません。

  • 監査を実施する日程や回数:条文には書かれていません
  • 監査で見る帳簿・証憑の範囲、自治体のチェックリストの中身:今回の一次情報に入っていません
  • 通知の方法(書面か口頭か)、理事会の席上での通知の可否:規則第2条の28・第2条の37に定めがありません
  • 合意で定めた日が、期限を短くできるか:「いずれか遅い日」の文言からは、断定しません
  • 監事が1名の場合の扱い、補欠・退任後の扱い:今回の一次情報に入っていません
  • 監事の理事会への出席義務や意見陳述の内容:準用先の条文の中身を読んでいません
  • 会計監査人設置法人の監査報告(規則第2条の31、第2条の34など):条文の中身は読んでいません
  • 第2条の25第2項第2号の事項の内容:今回の一次情報に入っていません
  • 招集通知の発出期限:今回の一次情報に入っていません
  • 通達・行政の解釈・自治体ごとの運用:今回の一次情報に入っていません

まとめ

  • 監事は理事の職務の執行を監査し、監査報告を作成する(法第45条の18第1項)。計算書類・事業報告・附属明細書は、監事の監査を受ける(法第45条の28第1項)
  • 監査報告に書く事項は、計算関係書類は規則第2条の27の5項目、事業報告は規則第2条の36の6項目。事業報告には「理事の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実」の項目がある
  • 通知期限は、四週間・一週間・合意日の3つの「いずれか遅い日」(規則第2条の28第1項、第2条の37第1項)。期限までに通知がなければ、期限の日に監査を受けたものとみなされる(第3項)
  • 特定理事は通知を受ける理事、特定監事は通知する監事。決めていなければ、書類の作成に関する職務を行った理事と、全ての監事になる
  • 理事会との同日開催を禁じる文言は、条文に書かれていない。 ただし、通知の方法や、席上の通知で足りるかは、条文から決まらない
  • 監事は2人以上(法第44条第3項)。1名の状態の扱い、欠席時の扱いの細部は、条文からは決まらないので所轄庁に確認する
  • 監査報告ができた後は、理事会の承認、評議員への提供、備置きへ進む。流れの全体は、決算スケジュールと計算書類の記事で確かめる

参考にした一次情報

いずれも2026年11月4日にe-Govから取得した条文によります。本記事は条文の構造を整理したもので、個別の法人の監事監査の進め方が適法かどうかを判断するものではありません。具体的な判断は、所轄庁や、顧問の税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。


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阪本翔太

阪本翔太

奈良県の中小企業診断士 & ITストラテジスト。 公的機関や大学などで講師もしています。 地方でがんばる人をITで後押ししたい。

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