「通院や買い物のために、利用者さんを法人の車で運んでほしいと頼まれた。運賃をいただいてもよいのか」「介護タクシーとは何が違うのか」。法人本部や事務長のところには、こうした相談が届くことがあります。
結論から言うと、自家用の車で運賃などの対価をとって人を運ぶことは、道路運送法が原則として禁じています。その例外として、国に登録をしたうえで行える仕組みがあり、要介護の方や障がいのある方などを運ぶものは「福祉有償運送」と呼ばれます。社会福祉法人も、この仕組みを使える法人として条文に挙がっています。
この記事では、道路運送法の第78条、第79条、第79条の2、第79条の4、第79条の5、第79条の8、第79条の9と、同施行規則(以下「規則」)の第48条、第49条、第51条、第51条の3、第51条の7、第51条の15、第51条の16、第51条の17、第51条の22、第51条の29を読みます。令和8年10月30日にe-Gov法令検索から取得した条文が根拠です。条文から決まることと、決まらないことは分けて書きます。
先に結論
- 自家用自動車は、法第78条の各号に挙げる場合を除き、有償で運送の用に供してはなりません。その第2号が、市町村や国土交通省令で定める者が行う「自家用有償旅客運送」です。
- 規則第48条の第8号に、社会福祉法人が挙がっています。福祉有償運送は、規則第49条第2号が定める自家用有償旅客運送の一種で、乗車定員11人未満の自動車を使い、イからチまでの者とその付添人を運びます。
- 社会福祉法人は、規則第49条第2号の括弧書きにいう「特定非営利活動法人等」に当たります。そのため、運送の提供を受ける旅客の名簿(規則第51条の29)を作り、事務所に備える必要があります。
- 登録は、法第79条の4が定める拒否事由に当たらないことが前提です。地域公共交通会議等での協議が調っていることも、その1つです。有効期間は原則2年です。
- 運転者、運行管理、記録、対価にも省令の基準があります。記録の多くは1年間の保存が必要です。
- 通所介護や生活介護などの事業の送迎が、この登録の対象になるかどうかは、抜粋した条文からは決まりません。この記事では断定せず、確認先を書きます。
原則は有償運送の禁止、例外が自家用有償旅客運送
最初に、法第78条を確認します。柱書は、次のように定めています。
自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
ここで押さえたいのは、自家用自動車が「事業用自動車以外の自動車」と定義されている点です。法人が自前で持っている送迎車は、ふつう自家用自動車です。その車で対価をとって人を運ぶのは、原則として禁止されています。
例外は3つの号で示されています。
- 第1号:災害のため緊急を要するとき
- 第2号:市町村、特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が、国土交通省令で定める旅客の運送を行うとき。この運送を「自家用有償旅客運送」と呼びます
- 第3号:公共の福祉を確保するためやむを得ない場合に、国土交通大臣の許可を受けて、地域または期間を限定して運送の用に供するとき
社会福祉法人の福祉有償運送が使うのは、第2号です。第2号の「国土交通省令で定める者」が規則第48条、「国土交通省令で定める旅客の運送」が規則第49条です。
なお、検索では「介護タクシーとの違い」という言葉がよく一緒に使われます。介護タクシーの要件は、この記事で確かめた条文には書かれていないので、詳しくは書きません。この記事で扱うのは、第78条が定義する「自家用自動車」を使う仕組みに限ります。
誰ができるか:規則第48条に社会福祉法人がある
規則第48条は、法第78条第2号の「国土交通省令で定める者」を、第1号から第13号まで並べています。主なものは次のとおりです。
| 号 | 条文に挙がる者 |
|---|---|
| 第1号 | 一般社団法人または一般財団法人 |
| 第3号 | 認可地縁団体 |
| 第5号・第6号 | 農業協同組合、消費生活協同組合 |
| 第7号 | 医療法人 |
| 第8号 | 社会福祉法人 |
| 第9号〜第11号 | 商工会議所、商工会、労働者協同組合 |
第8号に、社会福祉法人がそのまま書かれています。法人の種類として、登録を受けられる側に入っていることが分かります。
福祉有償運送の定義と対象者
次に、規則第49条第2号を読みます。福祉有償運送の定義は、この号の中に置かれています。運送の条件は、次のとおりです。
乗車定員十一人未満の自動車を使用して行う、次に掲げる者のうち他人の介助によらずに移動することが困難であると認められ、かつ、単独でタクシー(タクシー業務適正化特別措置法(昭和四十五年法律第七十五号)第二条第一項に規定するタクシーをいう。)その他の公共交通機関を利用することが困難な者
読み取れる条件は3つです。
- 乗車定員が11人未満の自動車を使うこと
- 次に掲げる者のうち、他人の介助によらずに移動することが困難と認められること
- 単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難であること
「次に掲げる者」は、イからチまでです。条文が引く法令とあわせて整理すると、次のとおりです。
| 号 | 対象 | 条文が引く法令 |
|---|---|---|
| イ | 身体障害者 | 身体障害者福祉法第4条 |
| ロ | 精神障害者 | 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条第1項 |
| ハ | 知的障害者 | 知的障害者福祉法 |
| ニ | 障害児 | 児童福祉法第4条第2項 |
| ホ | 要介護認定を受けている者 | 介護保険法第19条第1項 |
| ヘ | 要支援認定を受けている者 | 介護保険法第19条第2項 |
| ト | 厚生労働大臣が定める基準に該当する者 | 介護保険法施行規則第140条の62の4第2号 |
| チ | その他肢体不自由、内部障害、知的障害、精神障害その他の障害を有する者 | 法令の引用なし |
トの「厚生労働大臣が定める基準」の中身は、この記事では確かめていません。対象かどうかを判断するときは、条文と所管の案内で確かめてください。条文は、運ぶ対象を「その付添人」まで含めて福祉有償運送と呼んでいます。
社会福祉法人は「特定非営利活動法人等」に当たる
第49条第2号には、見落としやすい括弧書きがあります。
特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人又は前条第一号、第三号若しくは第五号から第十三号までに掲げる者(以下「特定非営利活動法人等」という。)が行う場合にあつては、第五十一条の二十九の名簿に記載されている者
この括弧書きの対象は、NPO法人と、規則第48条の第1号、第3号、第5号から第13号までの者です。第48条の第8号の社会福祉法人は、この範囲に入ります。一方で、第2号の都道府県と第4号の一部事務組合等は、括弧書きの範囲に入っていません。
つまり、社会福祉法人が福祉有償運送を行う場合、運ぶ相手は「第51条の29の名簿に記載されている者」に限られる、と読めます。括弧書きの位置から、名簿の記載が求められているのは対象となる本人の側です。付添人について名簿の記載を求める文言は、この抜粋にはありません。
名簿の作成義務は、規則第51条の29が定めています。福祉有償運送を行う特定非営利活動法人等は、運送サービスの提供を受ける旅客について、次の事項を記載した名簿を作り、事務所に備えて置きます。
- 氏名
- 住所
- 運送を必要とする理由
- その他必要な事項
この名簿は、登録の申請にも関わります。規則第51条の3第1項第12号は、特定非営利活動法人等が行う福祉有償運送では、申請書に「運送しようとする旅客の名簿」を添付するよう定めています。
登録の手続:申請、拒否事由、協議、有効期間
登録が必要で、申請書に書く事項が決まっている
法第79条第1項は、自家用有償旅客運送を行おうとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない、と定めています。登録の申請書に書く事項は、法第79条の2第1項が挙げています。
- 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
- 行おうとする自家用有償旅客運送の種別
- 路線または運送の区域、事務所の名称と位置、事務所ごとに配置する自動車の数など
- 運送しようとする旅客の範囲
- 事業者協力型の場合は、協力する一般旅客自動車運送事業者の名称と住所
種別は、規則第51条が「交通空白地有償運送」と「福祉有償運送」の2つに分けています。事業者協力型は、運行管理の体制の整備などについて一般旅客自動車運送事業者の協力を得て行う運送のことです(法第79条の2第1項第5号)。
申請書に添付する書類は、規則第51条の3第1項が挙げています。社会福祉法人に関係する主なものは、次のとおりです。
- 定款または寄附行為、登記事項証明書、役員の名簿
- 法第79条の4第1項第1号から第4号までのいずれにも該当しない旨を証する書類
- 地域公共交通会議等において協議が調つていることを証する書類
- 自動車についての使用権原を証する書類
- 運転者が規則第51条の16第1項の要件を備えていることを証する書類
- 運行管理の責任者と体制、整備管理の責任者と体制、事故が発生した場合の責任者と連絡体制を記載した書類
- 自動車の運行により生じた損害を賠償するための措置を講じていることを証する書類
- 運送しようとする旅客の名簿
どの窓口に申請を出すのかは、抜粋した条文からは分かりません。実際の申請の前に、運輸支局で確認してください。
拒否事由:協議が調っていないときも拒否される
登録の拒否事由は、法第79条の4第1項に第1号から第6号まであります。法人にとくに関係する点を整理します。
- 第1号から第4号は、申請者や法人の役員が、拘禁刑に処せられて一定期間が経っていない場合や、登録の取消しを受けて2年を経過していない場合などです。第4号は、申請者が法人である場合に、その法人の役員が前3号のいずれかに該当するときを定めています。
- 第6号は、必要な輸送施設の保有、運転者の確保、運行管理の体制の整備など、輸送の安全と旅客の利便の確保のために必要な措置を講ずると認められないときです。
登録の準備で時間がかかりやすいのは、第5号と見られます。第5号は、次のように定めています。
申請に係る自家用有償旅客運送に関し、国土交通省令で定めるところにより、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者又はその組織する団体、住民その他の国土交通省令で定める関係者間において、一般旅客自動車運送事業者によることが困難であり、かつ、地域における必要な旅客輸送を確保するため必要であることについて協議が調つていないとき。
この「協議が調つていないとき」の意味は、規則第51条の7が定めています。登録の申請に係る自家用有償旅客運送について、次のいずれにも当たらないときです。
- 第1号:地域公共交通会議等において協議が調つているとき
- 第2号:第1号のほか、地域公共交通計画に当該自家用有償旅客運送を導入することが定められているとき
つまり、地域公共交通会議等での協議が調っているか、地域公共交通計画に導入が定められているか、のどちらかが必要です。法人が単独で準備できるものではないので、早い段階で市町村の担当部署に相談しておく必要があります。地域公共交通会議等の構成や開催時期は、抜粋した条文には書かれていません。
なお、第79条の4第2項は、登録を拒否した場合に、国土交通大臣が遅滞なく、その理由を示して申請者に通知しなければならないと定めています。
有効期間は原則2年
登録の有効期間は、法第79条の5第1項が定めています。
登録の日から起算して二年とする。
これが原則です。ただし書きで、次の期間が例外として定められています。
| 場面 | 期間 | 条件 |
|---|---|---|
| 原則 | 2年 | 登録の日から起算する |
| 更新の登録を受けようとする場合 | 3年 | 従前の期間に、命令・重大な事故・業務停止命令がない |
| 事業者協力型の場合 | 5年 | 登録時、または上の条件を満たした更新時 |
3年になるのは、従前の有効期間に、法第79条の9第2項による命令を受けていないこと、国土交通省令で定める重大な事故を引き起こしていないこと、法第79条の12第1項による業務の全部または一部の停止の命令を受けていないことの3つがそろう場合です。登録の更新を忘れないよう、有効期間の管理が必要になります。
運転者の要件
規則第51条の16が、運転者について定めています。第1項は、運転できる人の条件を次のように示しています。
- 第二種運転免許を受けており、かつ、現にその効力が停止されていない者
- または、第一種運転免許を受けており、かつ、現にその効力が停止されていない者(効力が運転者として選任される日から遡って2年以内に停止された者を除く)
そのうえで、「次に掲げる要件のいずれかを備える者でなければ」運転させてはならないとされ、要件は次の2つです。
- 第1号:国土交通大臣が認定する講習を修了していること
- 第2号:第1号に準ずるものとして国土交通大臣が認める要件を備えていること
条文は、二種免許の者と一種免許の者を「又は」でつなぎ、そのあとに「であつて、次に掲げる要件のいずれかを備える者」と続けています。文の作りからは、この要件が二種免許の側にもかかるように読めます。二種免許を持っていれば講習が不要になるのかどうかは、抜粋した条文だけでは決まらないので、申請の前に運輸支局で確認してください。講習の時間数や費用は、この記事では扱いません。
福祉自動車以外を使うときは、乗務の要件が加わる
規則第51条の3は、福祉自動車を次のように定義しています。
移動のための車いすその他の用具を使用したまま車内に乗り込むことを可能とする乗降補助装置その他の装置を有する自動車
福祉自動車以外の自動車を使って福祉有償運送を行う場合は、規則第51条の16第3項が追加の要件を定めています。
福祉自動車以外の自動車を使用して福祉有償運送を行う場合にあつては、第一項に規定する要件のほか次に掲げる要件のいずれかを備える運転者を乗務させ、又は次に掲げる要件のいずれかを備える者を乗務させなければならない。
「次に掲げる要件」は、介護福祉士の登録を受けていること、国土交通大臣が認定する講習を修了していること、それに準ずるものとして認める要件を備えていること、の3つです。運転者自身がこの要件を備えるか、備える人をもう1人乗務させるか、のどちらかになります。福祉自動車以外を使う場合は、申請書にこの要件を備えていることを証する書類も添付します(規則第51条の3第1項第7号)。
運転者が死者や負傷者が生じた事故を引き起こした場合などには、適性診断を受けさせる必要もあります(規則第51条の16第2項)。
運行管理と記録
責任者と体制
規則第51条の17第1項は、運行管理の責任者の選任その他の体制整備を求めています。責任者は、乗車定員10人以下の自動車5両以上の運行を管理する事務所(特定事務所)などでは、事務所ごとに選任します(第2項)。選任する人数は、同時に運行する自動車の最大の数を20で除して得た数(1未満の端数は切り捨て)に1を加えた数以上です。条文の式に当てはめると、同時に運行する最大数が19台以下なら1人、20台なら2人です。
責任者の業務は、第3項に第13号まで並んでいます。要件を備えない人に運転させないこと、運行計画の作成、運転者等への確認・指示・記録とその保存、アルコール検知器の保持、業務記録の作成と保存、運転者等台帳の作成、事故の記録の作成と保存などが挙がっています。
乗務前の確認と記録
安全な運行のための確認と記録は、規則第51条の22が定めています。第1項は、次のとおりです。
運行の業務に従事しようとする運転者等に対して、次に掲げる事項を確認し、自家用有償旅客運送自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与え、運転者等ごとに確認を行つた旨及び指示の内容を記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。
確認する事項は、運転者については、酒気帯びの有無と、疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無です。
特定事務所では、さらに義務が加わります。
- 乗務を終了した運転者の酒気帯びの有無を確認し、記録して、一年間保存する(第2項)
- アルコール検知器を常時有効に保持し、確認の際に用いる(第3項)
第3項は、次のとおりです。
アルコール検知器を常時有効に保持するとともに、前二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて行わなければならない。
乗務前の確認と記録は特定事務所に限らず、すべての運転者等が対象です。一方で、乗務後の確認とアルコール検知器は、特定事務所の義務です。
業務記録
運転者等が運行の業務に従事したときは、第4項により、次の事項を運転者等ごとに記録させ、一年間保存します。
- 運転者等の氏名
- 自動車登録番号など、自動車を識別できる表示
- 運行の業務の開始と終了の地点・日時、主な経過地点、従事した距離
- 交通事故や自動車事故、異常な状態が発生した場合の概要と原因
保存の義務を整理すると、次のとおりです。
| 記録の種類 | 条文 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 乗務前の確認と指示の記録 | 第51条の22第1項 | 1年間 |
| 乗務後の酒気帯び確認の記録(特定事務所) | 第51条の22第2項 | 1年間 |
| 業務記録 | 第51条の22第4項 | 1年間 |
このほか、責任者の業務には、運転者等台帳の事務所への備え置き(第51条の17第3項第11号)と、事故の記録の作成・保存(同項第12号)も挙がっています。
送迎車の運行記録や乗務前の確認を一か所で管理できる、「社福BOX」の車両管理機能もご覧ください。ただし、記録する項目や保存の期間は、仕組みを選ぶ前に、上の条文で法人として確かめておくことが先です。
対価:実費の範囲内で、営利を目的としない妥当な範囲
運賃などの対価については、法第79条の8が定めています。第1項は、自家用有償旅客運送者が、業務の開始前に、旅客から収受する対価を定め、省令に従って公示するか、あらかじめ旅客に説明することを求めています。変更するときも同様です。第2項は、次のとおりです。
前項の対価は、実費の範囲内であることその他の国土交通省令で定める基準に従つて定められたものでなければならない。
基準は、規則第51条の15が3つ挙げています。
- 第1号:旅客の運送に要する燃料費その他の費用を勘案して、実費の範囲内であると認められること
- 第2号:合理的な方法により定められ、かつ、旅客にとって明確であること
- 第3号:一般旅客自動車運送事業の運賃・料金を勘案して、営利を目的としているとは認められない妥当な範囲内であり、かつ、地域公共交通会議等で協議が調っていること
第1号は、次のように書かれています。
旅客の運送に要する燃料費その他の費用を勘案して実費の範囲内であると認められること。
第3号の前半は、次のとおりです。
当該地域における一般旅客自動車運送事業に係る運賃及び料金を勘案して、当該自家用有償旅客運送が営利を目的としているとは認められない妥当な範囲内であり、かつ、地域公共交通会議等において協議が調つていること
つまり、金額を法人が自由に決められるわけではありません。実費の範囲内で、合理的な方法で定め、地域の協議を経る必要があります。具体的な金額の相場は、条文には書かれていないので、この記事では扱いません。
法第79条の9は、運行の管理や旅客への情報提供など、輸送の安全と旅客の利便の確保のために必要な事項を、省令に従って守るよう定めています。第2項は、輸送の安全や旅客の利便が確保されていないと認めるときに、国土交通大臣が、運行管理の方法の改善、運送の区域の変更、対価の変更、損害賠償のための保険契約の締結などを命ずることができると定めています。この命令を受けると、更新の際に有効期間が3年になる条件を満たさなくなります。
通所介護や生活介護の「送迎」は別に確認が必要
ここまで読んで、「うちが毎日行っている、通所介護や生活介護の送迎も登録が必要なのか」と思われた方もいるかもしれません。
この記事で確かめた条文は、「有償で運送の用に供する」場合の登録を定めています。運賃を別にとらない送迎が、この「有償」に当たるのかどうかは、抜粋した条文だけでは決まりません。事業の送迎の扱いは、運輸支局と市町村に確認してください。
事業所の送迎について、運営基準で何が決まっていて何が決まっていないかは、別の記事で整理しています。生活介護の送迎|運営基準に規定がない中で事業所が決めておくことも、あわせてご覧ください。
法人本部で確認しておきたいこと
条文の読み方を踏まえて、法人本部で押さえたい点を整理します。これは条文から導いた弊社の整理で、実際の判断は、運輸支局や市町村などの所管に確認してください。
- 運ぶ相手が、規則第49条第2号のイからチまでに当たり、かつ他人の介助によらずに移動することが困難で、単独で公共交通機関を使うことが困難か、を事業所ごとに確かめる。
- 運ぶ相手の名簿(氏名、住所、運送を必要とする理由)を作り、事務所に備える。
- 使う自動車が、乗車定員11人未満か、福祉自動車か、を確かめる。福祉自動車以外なら、乗務の要件を備える人の配置を決める。
- 運転者が、免許と、認定講習などの要件を備えているかを確かめる。二種免許の扱いは運輸支局で確認する。
- 登録に必要な地域公共交通会議等での協議について、市町村の担当部署に早めに相談する。
- 対価を、実費の範囲内で、合理的な方法で定め、公示または説明の方法を決める。
- 乗務前の確認、業務記録、特定事務所ならアルコール検知器と乗務後の確認の記録を、1年間保存できる形にする。
- 登録の有効期間(原則2年)の満了日を、法人本部で管理する。
この記事で書いていないこと
条文の抜粋に書かれていない論点は、断定しません。
| 論点 | 書かなかった理由 |
|---|---|
| 事業の送迎が有償運送に当たるか | 抜粋の条文では決まらない |
| 介護タクシーの要件 | 抜粋に条文が無い |
| 講習の時間数・費用 | 抜粋の対象外 |
| 運送の対価の相場 | 条文に金額の定めが無い |
| 補助金 | 抜粋の対象外 |
| 二種免許の者に講習が要るか | 条文の構造から断定できない |
| 申請の窓口 | 抜粋に窓口の定めが無い |
制度の細部は、条文の原文や所管の行政機関の案内で確かめてください。
まとめ
- 自家用自動車を有償で運送の用に供することは、法第78条が原則として禁じています。第2号の自家用有償旅客運送が例外で、社会福祉法人は規則第48条第8号に挙がっています。
- 福祉有償運送は、乗車定員11人未満の自動車で、規則第49条第2号のイからチまでの者とその付添人を運ぶものです。社会福祉法人は「特定非営利活動法人等」に当たるため、旅客の名簿(規則第51条の29)を作って事務所に備えます。
- 登録は、地域公共交通会議等での協議が調っていることなどが前提です。有効期間は原則2年で、条件を満たすと更新で3年、事業者協力型は5年です。
- 運転者、運行管理、記録、対価に省令の基準があります。乗務前の確認と業務記録は1年間の保存が必要で、対価は実費の範囲内で定めます。
- 事業の送迎が有償運送に当たるかどうかは条文から決まらないので、運輸支局と市町村に確認します。
参考にした一次情報
- 道路運送法|e-Gov法令検索:第78条、第79条、第79条の2、第79条の4、第79条の5、第79条の8、第79条の9
- 道路運送法施行規則|e-Gov法令検索:第48条、第49条、第51条、第51条の3、第51条の7、第51条の15、第51条の16、第51条の17、第51条の22、第51条の29
送迎車の運行記録や乗務前の確認の記録を、法人本部で確かめられる形になっていますか?
パレットテクノロジーズは、社会福祉法人様のデジタル化を「現地現物」で伴走支援しています。車両ごとの運行記録、乗務前の確認、登録の有効期間などを、法人本部で一覧できる形に整えるところからご一緒します。ITに詳しい職員がいらっしゃらなくても大丈夫です。