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社会福祉法人の評議員・役員の任期|起算点と改選日程の組み立て方

「この評議員さんの任期は、いつまででしたか」

改選の年が近づくと、必ずこの質問が出ます。そして名簿を開いても答えが書いていない、という法人様は珍しくありません。就任年月日の欄はあるのに、任期満了日の欄が空欄のままになっている。あるいは「令和○年○月○日まで」と日付が書かれていて、その日付の根拠が誰にも分からない。

原因ははっきりしています。社会福祉法人の任期は、そもそも「日付」で終わるようにできていないからです。条文が定めているのは、ある特定の定時評議員会が終わった瞬間までという終わり方です。しかも、そこから逆算するための起算点が、評議員と役員とで別のところに置かれています。

この記事では、評議員・理事・監事・会計監査人の任期を、終わりの決まり方 → 起算点 → 改選日程の組み方の順に整理します。とくに、3月に評議員選任・解任委員会を開くと任期が1年短くなるという取扱いは、知らずに日程を組むと後から取り返しがつきません。

任期の終わりは日付ではなく「定時評議員会の終結の時」

まず、根拠条文を3つ確認します。評議員は社会福祉法第41条第1項です。

評議員の任期は、選任後四年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を選任後六年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで伸長することを妨げない。

理事と監事(=役員)は第45条です。

役員の任期は、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を短縮することを妨げない。

会計監査人は第45条の3第1項が、同じ言い回しで「選任後一年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」と定めています。

三つとも、末尾は「定時評議員会の終結の時まで」で共通しています。違うのは「何年以内」の部分と、定款で動かせる方向です。

区分原則定款で伸長定款で短縮根拠
評議員選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで6年まで可条文に定めなし法第41条第1項
理事・監事選任後2年以内(終わり方は同じ)不可可法第45条
会計監査人選任後1年以内(終わり方は同じ)条文に定めなし条文に定めなし法第45条の3第1項

伸ばせるのは評議員だけ、縮められるのは役員だけという非対称になっています。自法人の定款が評議員を4年としているのか6年としているのかで改選の周期が変わるので、日程を組む前に必ず定款を開いてください。

なぜ終わりを「定時評議員会の終結の時」にしているのか。厚生労働省のFAQ(問31)が理由を書いています。

任期の終期が、「定時評議員会の終結の時まで」とされているのは、評議員会で選任されることに鑑み、次の選任の前に任期切れとなり欠員状態が生じるのを防ぐためである。

選ぶ場と、任期が切れる場を同じ会議に合わせてあるということです。だからこそ、任期の管理は「日付」ではなく「どの年度の定時評議員会か」で持つのが本来の形になります。

なお会計監査人には、他の2者にはない仕組みがあります。第45条の3第2項です。

会計監査人は、前項の定時評議員会において別段の決議がされなかつたときは、当該定時評議員会において再任されたものとみなす。

別段の決議をしなければ自動的に再任されます。毎年の選任議案が要らない代わりに、交代させるときは能動的に決議が必要、という構造です。

役員の起算点は「選任決議をした時」

では「選任後2年以内」の起算点はどこか。FAQ問33が正面から答えています。

1.新制度の理事及び監事の任期の起算点は、いずれも「選任時」(選任決議をした時)となる(法第45条)。

理事・監事になるには評議員会の選任決議と本人の就任承諾の両方が必要ですが、起算点を後者に置かない理由も書かれています。

任期の起算点を「就任時」とすると、就任承諾は被選任者の意向に委ねられる結果、評議員会の選任決議と就任承諾との間に長期間の隔たりがある場合などにおいて、任期の終期が評議員会の意思に反する事態が生じかねないため、任期の起算点は、評議員会における「選任時」となる。

就任承諾がいつになるかは本人次第なので、それを起算点にすると評議員会の意思と関係なく任期の終わりが動いてしまう。だから決議の日に固定する、という理屈です。

ここから、実務上よくある2つの「遅らせ方」がどちらも通用しないことが分かります。同じ問33の続きです。

2.なお、例えば、会計年度末が3月の法人が、3月下旬に開催した臨時評議員会で理事の選任決議を行い、その選任決議の効力発生時期を6月1日とする場合のように、評議員会の決議で、選任決議の効力発生時期を遅らせたとしても、任期の起算点については、選任決議の日と解すべきである。

就任承諾日を遅らせても、決議の効力発生時期を6月1日と決めても、起算点は選任決議の日です。監事の要件や選任手続の全体像は社会福祉法人の監事の要件でも整理していますが、任期管理という観点では「就任承諾書の日付を見て2年後を計算する」という運用そのものが誤りになります。

だから「任期2年」と定款に書いてはいけない

この起算点の話は、定款の書き方にも直結します。FAQ問32です。

このため、理事の任期を「2年」とする規定を設けると、定時評議員会で理事を選任した場合は特段の問題はないものの、他方で、例えば、年度末の臨時評議員会で理事を選任した場合(3月末決算の法人が3月中旬の臨時評議員会で理事を選任した場合)には、理事の法定の最長の任期を伸長することなる。2.したがって、そのような規定を設けることは適当ではない。

役員の任期は定款で短縮はできても伸長はできません。ところが「任期は2年」と確定期間で書いてしまうと、3月中旬の臨時評議員会で選任した理事は、法定の終期(選任後2年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会)を超えて、2年後の3月まで在任することになってしまいます。 定款の定めが法定の上限を伸ばす結果になる、ということです。

逆に、定時評議員会以外で選任すると任期は2年より長くなります。問31の例です。

例えば、定時評議員会を毎年6月末に行っている法人の理事の任期を例にすると、平成30年6月末の定時評議員会で理事を選任した場合の理事の任期は平成32年6月末の定時評議員会までの2年間となるが、平成30年4月中旬に行った臨時評議員会で理事を選任した場合の理事の任期は平成32年6月末の定時評議員会までの2年2ヶ月間余となる。

同じ「2年以内」でも、実際の在任は2年ちょうどにも、2年2か月余にもなる。 定款に確定期間を書くのではなく、条文どおりの書き方にしておくのが安全です。

評議員の起算点は「委員会の議決の日」、委任関係の始期は「就任承諾」

評議員はもう一段ややこしくなります。評議員は評議員会で選ぶのではなく、多くの法人が定款に基づいて評議員選任・解任委員会で選任しているためです。厚生労働省は令和3年1月27日の事務連絡で、この場合の取扱いを示しています。(2)で評議員の任期満了日が法第41条第1項のとおりであることを確認したうえで、こう続きます。

(3)(2)の任期満了日の算定に当たっては、評議員選任・解任委員会の議決のあった日を起算点とすること。(4)(3)に関わらず、法人と評議員の委任関係については、評議員の就任承諾をもって開始されるものであること。

この2行が、この記事でいちばん重要な部分です。整理すると、

  • 任期の起算点 = 評議員選任・解任委員会の議決のあった日
  • 法人と評議員の委任関係の始期 = 評議員の就任承諾の時

「任期がいつから数えられるか」と「いつから評議員として職務が始まるか」が、別の日になり得るということです。名簿に日付を1つしか持っていない法人様が混乱するのは、ここが原因であることがほとんどです。

そして、この2つがずれない理想形も同じ事務連絡に書かれています。

(5)このため、定時評議員会と同日のうちに、評議員選任・解任委員会を開催し、新評議員選任の議決を行い、かつ新評議員が同日付で、就任承諾を行う場合には、新旧評議員が切れ目なく選任されるものであること。

定時評議員会と同じ日に委員会を開き、その日のうちに就任承諾をもらう。 これができれば、起算点も始期も定時評議員会の日にそろい、旧評議員と新評議員のあいだに空白も生じません。日程を組むときは、まずこの形を目指してください。

3月に委員会を開くと、任期が1年短くなる

同日開催が難しい場合、選択肢は「定時評議員会より前に開く」か「後に開く」かの2つです。前に開く場合の取扱いは次のとおりです。

(1)定時評議員会よりも前の日に評議員選任・解任委員会を開催し、新評議員選任の議決を行う場合、新評議員の任期については、当該議決のあった日を起算点として任期満了日を算定する一方、法人と新評議員との委任関係の始期となるその就任承諾のあった日から開始されるものであること。(2)新評議員を切れ目なく選任する観点から、その就任承諾書等の日付けは、当該定時評議員会の日とすることが望ましいが、やむを得ずこれが定時評議員会よりも後の日となる場合は、3のとおり取り扱うこと。

委員会を先に開いてもかまわないが、就任承諾書の日付は定時評議員会の日にしておくのが望ましい、という整理です。ここまでは日程の工夫の範囲です。

問題はこの先です。

(3)なお、3月中に評議員選任・解任委員会を開催し、新評議員選任の議決を行った場合には、定時評議員会の前年度から任期を起算することとなり、通常よりも任期が1年短くなってしまうことに留意のこと。

3月中に議決してしまうと、任期が1年短くなります。

理屈は「選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のもの」の数え方にあります。3月末決算の法人で考えてみてください。

  • 令和8年6月の定時評議員会と同じ日に議決した場合 … 4年以内に終了する会計年度は、令和8年度(令和9年3月31日終了)から令和11年度(令和12年3月31日終了)までの4つ。最終のものは令和11年度なので、任期は令和12年6月の定時評議員会の終結の時まで。実質およそ4年です
  • その3か月前、令和8年3月中旬に議決した場合 … 直後に終了する令和7年度(令和8年3月31日終了)が「4年以内に終了する会計年度」の1つ目に入ってしまい、一方で令和11年度の末日(令和12年3月31日)は4年を過ぎるため入りません。最終のものは令和10年度となり、任期は令和11年6月の定時評議員会の終結の時まで。実質およそ3年3か月です

わずか3か月早く開いただけで、任期が満了する定時評議員会が1回手前にずれるわけです。「年度末までに済ませておこう」という善意の前倒しが、そのまま任期の目減りにつながります。評議員選任・解任委員会は、3月に開かない。 これは日程表に赤字で書いておくべきルールです。

役員側にも似た罠があることは前の章で見たとおりです。3月の臨時評議員会で役員を選任すると、「任期2年」と書いた定款が法定の上限を超えてしまう。 年度末の駆け込みは、評議員でも役員でも避けるのが無難です。

定時評議員会より後に開く場合は、旧評議員が暫定的に担う

もう一方の選択肢、定時評議員会より後に委員会を開く場合です。

定時評議員会終了から新評議員が就任するまでの期間については、社会福祉法第42条第1項の規定により、「評議員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した評議員は、新たに選任された評議員が就任するまで、なお評議員としての権利義務を有する」とされていることから、当該期間は、旧評議員が暫定的に職務を担うものであること。(2)ただし、長期間、旧評議員に法人運営に係る責任を負わせることは適当ではないことから、定時評議員会終了後、速やかに評議員選任・解任委員会を開催し、新評議員選任の議決を行うとともに、その就任承諾を得ること。

空白にはならないが、その間の責任は退任したはずの旧評議員が負うという状態です。任期満了で「もう終わった」と思っている方に、知らないうちに権利義務が残り続けます。事務連絡が「長期間、旧評議員に法人運営に係る責任を負わせることは適当ではない」とわざわざ書いているとおり、後ろ倒しにするなら日数は最小限にしてください。

欠員が出ても職務は残る。ただし補充義務は別にある

上の引用で援用されている第42条第1項は評議員についての規定ですが、役員についても、第45条の6第1項がまったく同じ構造で置かれています。

この法律又は定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

どちらも対象は任期の満了または辞任による退任です。そして、これとは別に補充の義務があります。第45条の7第1項です。

理事のうち、定款で定めた理事の員数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。

同条第2項でこの規定は監事にも準用されます。「権利義務が残るから急がなくてよい」ではありません。 3分の1超が欠けた時点で、遅滞なく補充する義務が発生します。

補欠をあらかじめ選任しておくと、ずれを直せる

改選のタイミングが人によってばらばらになってしまった法人様に有効なのが、補欠の仕組みです。FAQ問34が役員と評議員の両方について整理しています。

1.理事及び監事については、欠員が生じた場合に備えて補欠を選任しておくことができる(第43条第2項)。補欠の役員の任期については、「2年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」を原則としつつ(法第45条)、定款によって、短縮することが可能であり、また、前任者の残任期間とすることが可能(法第45条)。

2.評議員についても、定款で定めるところにより、補欠を選任しておくことが可能である(第41条第2項)。補欠の評議員の任期も、「4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」を原則とするが(法第41条第1項)、定款によって、任期を前任者の残任期間の満了する時までとすることができる(法第41条第2項)。

補欠の任期を前任者の残任期間に合わせられる——ここが実務では効きます。期中に1人だけ交代した評議員の任期が他の方と4年ずれてしまうと、以後ずっと「その1人だけのために委員会を開く年」が生まれます。定款に残任期間の定めを置いておけば、交代があっても改選の周期を1本に保てます。

ただし、いずれも定款の定めがあってはじめて使える仕組みです。自法人の定款に補欠の規定と残任期間の定めがあるか、改選の日程を組む前に確認してください。

実務:3つの日付を1人ずつ持つ

条文とFAQを日常の運用に落とすと、必要な情報は次の3つです。役員・評議員1人につき1行、この3列を持ってください。

列入れるものなぜ必要か
選任決議の日役員は評議員会の決議日。評議員は評議員選任・解任委員会の議決日任期の起算点。ここから「○年以内に終了する会計年度」を数える
就任承諾の日就任承諾書の日付委任関係の始期。起算点とずれることがある。監査資料の裏づけにもなる
任期が満了する定時評議員会「令和○年度に関する定時評議員会」という形改選の年を逆算する。日付ではなく年度で持つのがポイント

3列目を日付ではなく年度で持つのがコツです。定時評議員会の開催日は毎年少しずつ動きますが、「令和○年度に関する定時評議員会」という書き方なら、開催日が動いても記録が古くなりません。

そして、この情報が飛ぶ最大の理由ははっきりしています。4年(または6年)に一度しか使わないからです。役員の2年はまだ記憶に残りますが、評議員の4年・6年は、多くの法人で事務局の担当者が入れ替わる周期より長い。前回の改選を経験した職員がもういない、という状況が普通に起こります。

実際にご支援に入っていると、「前回の評議員選任・解任委員会の議事録がどこにあるか分からない」「就任承諾書は綴じてあるが、委員会の議決日が書かれた資料が見当たらない」という場面に何度も出会います。書類は残っているのに、任期を計算するための日付が取り出せないのです。

対策は、特別なシステムを入れることではありません。役員・評議員の名簿そのものに上の3列を足す。次の改選の年を、法人全体の年間予定表に先に書き込んでおく。委員会の議事録と就任承諾書を、台帳の行から辿れる場所にまとめる。 この3つができていれば、改選の年に「まず何を調べるか」で立ち止まらずに済みます。

まとめ

  • 任期の終わりは日付ではなく「定時評議員会の終結の時」。評議員は4年(定款で6年まで伸長可、法第41条第1項)、理事・監事は2年(定款で短縮のみ可、法第45条)、会計監査人は1年(別段の決議がなければみなし再任、法第45条の3)
  • 役員の任期の起算点は「選任時」=選任決議をした時。就任承諾日を遅らせても、決議の効力発生時期を遅らせても変わらない(FAQ問33)
  • 定款に「任期2年」と確定期間で書くのは適当ではない。年度末の臨時評議員会で選任すると法定の最長任期を超えてしまう(FAQ問32)
  • 評議員の起算点は評議員選任・解任委員会の議決のあった日。一方、法人と評議員の委任関係は就任承諾をもって開始する。起算点と始期は別(令和3年1月27日事務連絡)
  • 定時評議員会と同日に委員会を開き、同日付で就任承諾を得れば、新旧評議員が切れ目なく入れ替わる
  • 3月中に評議員選任・解任委員会を開くと、任期が1年短くなる。定時評議員会の前年度から起算することになるため
  • 定時評議員会より後に開く場合、その間は旧評議員が暫定的に職務を担う(法第42条第1項)。長期間は適当ではない
  • 理事の3分の1超が欠けたときは遅滞なく補充(法第45条の7)。監事にも準用
  • 補欠をあらかじめ選任でき、定款で任期を前任者の残任期間に合わせられる(役員は法第45条、評議員は法第41条第2項)。改選のずれを直す手段になる
  • 台帳には選任決議の日・就任承諾の日・任期が満了する定時評議員会(年度)の3つを1人ずつ持つ

参考(一次情報)

※引用はすべて原文のまま記載しています(条文の歴史的仮名遣いや、通知・FAQの表記もそのままです)。本記事は、評議員選任・解任委員会を置いて評議員を選任する場合を前提に整理しています。任期の伸長・短縮、補欠の取扱いは定款の定めによって変わりますので、最終的な判断は自法人の定款と所轄庁の指導をご確認ください。


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