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社会福祉連携推進法人とは|6つの業務と認定基準を条文で読み解く

「近隣の法人と一緒に採用をやれないか」「災害時の応援協定を、口約束ではない形にしたい」——複数の社会福祉法人様から、近い趣旨のご相談をいただくことがあります。

こうした連携を法人格のある枠組みで行うために用意されたのが、社会福祉連携推進法人です。令和2年の社会福祉法改正で創設され、令和4年4月1日から施行されています。制度そのものの紹介は自治体や厚生労働省の資料に丁寧なものがありますが、実際に検討を始めると「うちの法人が社員として参加すると、理事会や評議員会の運営が何か変わるのか」という点で止まることが多いようです。

この記事では、条文に沿って何ができる法人なのか・何をすれば認定されるのかを整理したうえで、最後に参加する側の社会福祉法人に生じる影響まで踏み込みます。

できることは6つに限定されている

社会福祉法第125条は、社会福祉連携推進法人が行う「社会福祉連携推進業務」を6つ列挙しています。

次に掲げる業務(以下この章において「社会福祉連携推進業務」という。)を行おうとする一般社団法人は、第百二十七条各号に掲げる基準に適合する一般社団法人であることについての所轄庁の認定を受けることができる。

そして、その6つが次のものです。

#条文の号業務実務でよく検討される内容
1第1号地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援地域の生活困窮者支援、公益的な取組の共同実施
2第2号災害が発生した場合における社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を社員が共同して確保するための支援BCPの共同策定、被災時の応援職員の派遣ルール
3第3号社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援経営指標の共有、事務手続の標準化
4第4号資金の貸付けその他の社員(社会福祉法人に限る。)が社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援法人間の資金の貸付け
5第5号社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修合同採用、共同研修
6第6号社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資の供給共同購入

この6つ以外を主たる目的にはできません。 さらに第132条第4項は、次のようにはっきり書いています。

社会福祉連携推進法人は、社会福祉事業を行うことができない。

つまり、社会福祉連携推進法人は自ら施設を運営する法人ではありません。あくまで社員である法人の連携を支える器であり、サービスを提供するのは社員のほうです。ここを取り違えたまま検討に入ると、想定していた事業が載せられないことになります。

手続は「一般社団法人をつくってから認定を受ける」二段構え

制度の分かりにくさの多くは、ここから来ています。社会福祉法人のように設立認可を受けて生まれる法人ではなく、まず一般社団法人を設立し、その一般社団法人が所轄庁の認定を受けるという順序です。第125条が「業務を行おうとする一般社団法人は……認定を受けることができる」と書いているのは、そういう意味です。

認定を受けたら、名称に関する義務が生じます。第130条第1項です。

社会福祉連携推進法人は、その名称中に社会福祉連携推進法人という文字を用いなければならない。

そして同条第2項が、登記の実務を定めています。

社会福祉連携推進認定を受けたことによる名称の変更の登記の申請書には、社会福祉連携推進認定を受けたことを証する書面を添付しなければならない。

設立登記 → 認定申請 → 認定 → 名称変更の登記という流れになるため、司法書士への依頼のタイミングも2回に分かれます。スケジュールを引くときは、この二段構えを最初から織り込んでおく必要があります。

なお、認定の申請には「社会福祉連携推進方針」を添えます。第126条第2項が記載事項を定めており、社員の氏名または名称、実施する区域、業務の内容、そして資金の貸付けを行う場合の相手方と内容の4つです。この方針を変更するときも、改めて所轄庁の認定が必要です(第140条)。

認定基準——見落としやすいのは「社員の過半数」と「役員の人数」

第127条が認定の基準を定めています。実務で最初に確認すべきは第2号です。

社員の構成について、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者又は社会福祉法人の経営基盤を強化するために必要な者として厚生労働省令で定める者を社員とし、社会福祉法人である社員の数が社員の過半数であること。

社員になれるのは社会福祉法人に限られませんが、社会福祉法人である社員が過半数を占めていなければなりません。医療法人やNPO法人、株式会社を巻き込む構想を描くときは、この比率を先に確認してください。

役員についても、定款に記載すべき事項として具体的な人数が定められています。第127条第5号ロ(1)です。

理事六人以上及び監事二人以上を置く旨

理事6人以上・監事2人以上という水準は、参加法人が3〜4法人程度の小規模な構想では意外に重い要件です。加えて同号ロ(2)(3)で、理事・監事それぞれについて親族等の特殊関係者の制限が定められています。社会福祉法人本体と同じ発想の規制が、連携推進法人にもかかっていると理解してください。役員の親族制限の考え方については、社会福祉法人の監事の要件でも整理しています。

このほか第127条第5号は、代表理事を1人置くこと、理事会を置くこと、事業規模が政令で定める基準を超える場合は内部管理体制の整備を理事会の決議事項とし会計監査人を置くこと、などを定款に記載するよう求めています。

社会福祉連携推進評議会という独自の機関

社会福祉法人の評議員会とは別に、社会福祉連携推進法人には「社会福祉連携推進評議会」を置くことが求められます。第127条第5号ヘ(1)が構成を定めています。

福祉サービスを受ける立場にある者、社会福祉に関する団体、学識経験を有する者その他の関係者をもつて構成していること。

この評議会は、法人の業務の実施状況を評価し、必要があれば社員総会・理事会で意見を述べる立場にあります。そして第136条が、その扱いを定めています。

社会福祉連携推進法人は、第百二十七条第五号ヘ(3)の社会福祉連携推進評議会による評価の結果を公表しなければならない。

社会福祉連携推進法人は、第百二十七条第五号ヘ(3)の社会福祉連携推進評議会による意見を尊重するものとする。

評価結果の公表は義務、意見は尊重義務という二段構えです。ここに毎年の事務が発生することを、設立前に見込んでおく必要があります。

参加する社会福祉法人の側に何が起きるか

ここが、制度紹介の資料ではあまり触れられない部分です。

1. 社員である旨の明示義務

第133条は、社員側に義務を課しています。

社会福祉連携推進法人の社員(社会福祉事業を経営する者に限る。次条第一項において同じ。)は、その提供する福祉サービスに係る業務を行うに当たり、その所属する社会福祉連携推進法人の社員である旨を明示しておかなければならない。

重要事項説明書、パンフレット、ホームページなど、利用者に対して事業所を説明する場面で社員である旨を明示することになります。参加を決めたら、既存の掲示物・書面の改訂作業が発生します。

2. 資金の貸付けを受ける場合は、法人の予算決定に承認が必要になる

もっとも運営への影響が大きいのはこの点です。第127条第5号トが、定款に記載すべき事項として次を挙げています。

第百二十五条第四号の支援を受ける社会福祉法人である社員が当該社会福祉法人の予算の決定又は変更その他厚生労働省令で定める事項を決定するに当たつては、あらかじめ、当該一般社団法人の承認を受けなければならないこととする旨

つまり、連携推進法人から資金の貸付けを受ける社会福祉法人は、自法人の予算を決めたり補正したりする前に、連携推進法人の承認を得なければなりません。理事会・評議員会の日程の手前に、連携推進法人の承認という工程がもう一段入ることになります。年度末の予算編成スケジュールを組み直す必要が出てきますので、貸付けを受ける構想があるなら、この一点は必ず理事会に説明してから決めてください

逆に言えば、貸付け(第125条第4号)を使わない構想であれば、社員側の予算決定プロセスは変わりません。共同研修や共同購入だけを目的にするのか、資金の融通まで含めるのかで、参加法人の負担が大きく変わります。

3. 特別の利益供与の禁止

第132条第2項です。

社会福祉連携推進法人は、社会福祉連携推進業務を行うに当たり、当該一般社団法人の社員、理事、監事、職員その他の政令で定める関係者に対し特別の利益を与えてはならない。

社会福祉法人本体にかかる規制と同じ発想です。共同購入や資金貸付けの条件を特定の社員だけ有利にすることはできません。

検討の順番——「何を共同でやりたいか」から入る

制度の要件から入ると、理事6人・監事2人・評議会の設置・毎年の公表と、負担ばかりが見えてきます。検討の順番は逆にしたほうが進みます。

  1. 共同でやりたいことを1つに絞る(採用なのか、災害時の応援なのか、共同購入なのか)
  2. それが第125条の6つの号のどれに当たるかを確認する
  3. 資金の貸付け(第4号)を含めるかどうかを決める(含めるなら社員側の予算決定に承認が必要になる)
  4. 社員の顔ぶれを並べ、社会福祉法人が過半数になるかを確認する
  5. 理事6人以上・監事2人以上をどの法人から出すかを並べてみる

この5つを埋めた段階で、連携推進法人という形が必要なのか、それとも協定書と実行委員会で足りるのかが見えてきます。共同研修や共同購入だけであれば、法人格をつくらずに運営している例も多くあります。 法人格をつくる意味が出てくるのは、資金の融通や、継続的な雇用・契約の主体が必要になったときです。

まとめ

  • 社会福祉連携推進法人は、社会福祉法第125条が定める6つの社会福祉連携推進業務を行う法人。自ら社会福祉事業を行うことはできない(第132条第4項)
  • 手続は一般社団法人を設立 → 所轄庁の認定 → 名称変更の登記という二段構え。名称に「社会福祉連携推進法人」の文字が必要(第130条)
  • 認定基準では、社会福祉法人である社員が過半数(第127条第2号)、理事6人以上・監事2人以上(同条第5号ロ)が要件
  • 社会福祉連携推進評議会を置き、その評価結果は公表が義務、意見は尊重義務(第136条)
  • 参加する社会福祉法人の側には、社員である旨の明示義務(第133条)が生じる
  • 資金の貸付けを受ける場合は、自法人の予算の決定・変更にあらかじめ連携推進法人の承認が必要(第127条第5号ト)。予算編成の日程に直接影響する
  • 検討は要件からではなく「共同で何をしたいか」から入り、貸付けを含めるかどうかを早い段階で決める

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参考にした一次情報

  • 社会福祉法 第11章(第125条〜第145条)(e-Gov法令検索)
  • 厚生労働省「社会福祉連携推進法人制度について」
  • 東京都福祉局「社会福祉連携推進法人制度について(事務手続の手引等)」

※認定の具体的な審査基準・提出書類は所轄庁ごとに案内が出ています。実際の申請にあたっては、所轄庁の手引をご確認ください。

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