科学的介護情報システム(LIFE)の運用主体が変わりました。厚生労働省が運用してきたLIFEは令和8年9月1日にサービスを停止する予定とされ、実際に本記事の執筆時点(令和8年9月8日)では life-web.mhlw.go.jp にアクセスできなくなっています。
移行作業を済ませていない事業所・施設は、LIFEへのデータ提出ができません。そしてこれは、単に「システムが変わった」という話では終わりません。LIFEへのデータ提出が要件になっている加算は、要件を満たさなくなります。
この記事では、移行のスケジュールと加算算定への影響、そして加算ごとに違う提出頻度の考え方を、厚生労働省の通知と事務連絡に沿って整理します。
そもそもLIFEとは何か
LIFEは「Long-term care Information system For Evidence」の頭文字をとったもので、令和3年度から運用が始まりました。位置づけは次のとおりです。
令和3年度より、介護施設・事業所が、介護サービス利用者の状態や行っているケアの計画・内容等を提出し、入力内容が集計され、当該施設等にフィードバックされる仕組みとして「科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence)」(以下「LIFE」という。)の運用を開始した。
「提出し、集計され、フィードバックされる」 という流れが本体です。単なる報告先ではなく、返ってくるデータをケアの見直しに使うことが前提になっています。令和6年度の報酬改定では、入力負担等の課題に対応して入力項目の見直し等が行われました。
移行のスケジュールと期限
運用主体の移管に関する事実関係を、厚生労働省の事務連絡から時系列で整理します。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 令和8年3月23日 | 介護保険最新情報Vol.1484で周知 |
| 令和8年4月21日 | 同Vol.1495で周知 |
| 令和8年5月11日 | 公益社団法人国民健康保険中央会による運用が開始 |
| 令和8年5月22日 | 同Vol.1504(説明動画・操作マニュアルの公開) |
| 令和8年6月18日 | 同Vol.1512で周知 |
| 令和8年7月2日 | 同Vol.1520で再周知(一定数の事業所・施設で移行作業が未完了) |
| 令和8年7月31日 | 移行期間の終了。厚労省運用LIFEのヘルプデスクの受付終了 |
| 令和8年8月10日 | 7月サービス提供分の様式情報を国保中央会運用LIFEへ提出する期限 |
| 令和8年9月1日 | 厚労省運用LIFEのサービス停止(予定として示されたもの) |
移行期間は令和8年5月11日から令和8年7月31日までと定められていました。そして期限を過ぎた場合の影響が明記されています。
令和8年7月 31 日までに移行作業を完了しない事業所・施設については、 令和8年8月1日以降、厚生労働省の運用する LIFE へのデータ提出ができず、7月分以降の LIFE へのデータ提出が必要な加算の算定要件を満たさなくなります。
「7月分以降の加算の算定要件を満たさなくなります」 という書き方です。8月分からではなく、7月分からです。7月サービス提供分の提出期限が8月10日であり、その時点で厚労省運用LIFEには提出できないためです。
また、 7月サービス提供分の様式情報につきましては、 令和8年8月10 日までに国保中央会運用 LIFE へ提出が必要であることにご留意ください。
そして厚労省運用LIFEの停止についても示されていました。
厚労省運用LIFEは令和8年9月1日にサービスを停止する予定です。
本記事の執筆時点で life-web.mhlw.go.jp は応答せず、国保中央会運用LIFE(top.life-kkh.jp)のみが稼働しています。 まだ移行していない事業所・施設は、まず所轄の自治体および国保中央会運用LIFEのヘルプデスクにご相談ください。
移行作業は3ステップ ― 詰まるのは電子証明書
事務連絡が示す移行作業は3段階です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP1 移行準備 | 電子証明書(介護保険証明書/介護DX証明書)の取得及びインストール |
| STEP2 移行作業 | 厚労省運用LIFEにログインし「データ移行実施」ボタンをクリック |
| STEP3 移行後操作 | 国保中央会運用LIFEにログインし、管理ユーザ情報の再入力・操作職員情報の確認と再入力・利用者情報の再入力 |
事務連絡は、STEP1について注意を促していました。
①の電子証明書に関する作業については、事業所・施設内での要否の確認に時間を要する場合があるため、お早めにご対応いただくようお願いいたします。
ここに実務上の抜け道があります。
(電子請求受付システムへログインしレセプト請求をしている、または、ケアプランデータ連携システムを利用している端末と国保中央会運用LIFEで利用する端末が同じ場合、電子証明書の新規取得不要)
請求業務をしている端末やケアプランデータ連携システムを使っている端末と同じ端末でLIFEを使う場合は、電子証明書を新たに取得する必要がありません。 「証明書の取得から始めなければ」と思って止まっている事業所は、まずこの条件に当てはまるかを確認してください。
なお、電子証明書のインストールはLIFEを利用する端末ごとに必要です。管理ユーザの端末とは別の端末で操作職員がLIFEを使う場合は、その端末にもインストールが必要になります。
また、STEP3で利用者情報の再入力が必要である点も見落としやすいところです。データ移行のボタンを押しただけでは完了しません。
LIFEへのデータ提出が要件になっている加算
厚生労働省の通知(令和6年3月15日老老発0315第4号)は、LIFEへのデータ提出の事務処理手順を加算ごとに示しています。対象は次の18項目です。
- 科学的介護推進体制加算
- ADL維持等加算
- 個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)
- リハビリテーションマネジメント加算(ロ)・(ハ)
- 介護予防通所・訪問リハビリテーションの12月減算
- リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ)・(Ⅱ)、理学療法及び作業療法注6並びに言語聴覚療法注4に掲げる加算、理学療法及び作業療法注7並びに言語聴覚療法注5に掲げる加算
- 短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)
- 栄養マネジメント強化加算
- 栄養アセスメント加算
- 口腔衛生管理加算(Ⅱ)
- 口腔機能向上加算(Ⅱ)及び(Ⅱ)ロ
- 口腔機能向上加算(Ⅱ)イ
- 褥瘡マネジメント加算
- 褥瘡対策指導管理(Ⅱ)
- 排せつ支援加算
- 自立支援促進加算
- かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)
- 薬剤管理指導の注2の加算
自事業所が算定している加算がこの一覧に入っていれば、LIFEの移行は加算の算定要件そのものに直結します。 「うちはLIFEを使っていないと思っていた」という事業所でも、栄養マネジメント強化加算や口腔衛生管理加算(Ⅱ)を算定していれば対象です。
提出頻度は加算ごとに違う ― 共通しているのは「翌月10日まで」
もう一つの混乱の元は、提出のタイミングが加算ごとに違うことです。共通しているのは期限が「翌月10日まで」であるという点だけです。
| 加算 | 提出する月 |
|---|---|
| 科学的介護推進体制加算 | ①算定を開始しようとする月(既利用者等)②サービスの利用を開始した日の属する月(新規利用者等)③①②のほか少なくとも3月ごと④サービスの利用を終了する日の属する月 |
| ADL維持等加算 | 評価対象利用開始月および評価対象利用開始月の翌月から起算して6月目の月 |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ) | ①新規に個別機能訓練計画の作成を行った日の属する月 ②計画の変更を行った日の属する月 ③①②のほか少なくとも3月に1回 |
| 栄養アセスメント加算 | ①栄養アセスメントを行った日の属する月 ②①のほか少なくとも3月に1回 |
| 短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) | ①施設に入所した日の属する月 ②入所した日の属する月から起算して3月目の月まで少なくとも1月に1回 |
科学的介護推進体制加算の期限はこう書かれています。
利用者等ごとに、アからエまでに定める月の翌月 10 日までに提出すること。
注意したいのは「毎月提出する」加算ではないことです。 少なくとも3月ごと、という書き方なので、利用者ごとに提出対象月がずれます。利用者ごとに「次はいつが提出月か」を管理していないと、抜けが起きます。
新規利用者等については、例外も置かれています。
ただし、イの場合であって、月末よりサービスを利用開始した利用者等に係る情報を収集する時間が十分確保できない等のやむを得ない場合については、利用開始月の翌々月の 10 日までに提出することとしても差し支えない。その場合、当該利用者等に限り、利用開始月のサービス提供分は算定できない。
期限を延ばすことはできますが、その利用者の利用開始月のサービス提供分は算定できません。 猶予と引き換えに1か月分を落とす、という構造です。
提出できなかったときは「利用者等全員」が算定できなくなる
ここが最も影響の大きい規定です。科学的介護推進体制加算について、通知はこう定めています。
なお、情報を提出すべき月について情報の提出を行えない事実が生じた場合、直ちに訪問通所サービス通知第1の5の届出を提出しなければならず、事実が生じた月のサービス提供分から情報の提出が行われた月の前月までの間について、利用者等全員について本加算を算定できないこと(例えば、4月の情報を5月 10 日までに提出を行えない場合は、直ちに届出の提出が必要であり、4月サービス提供分から算定ができないこととなる。)
読み解くと3点あります。
- 提出できない事実が生じたら、直ちに届出を出さなければならない。 黙って次回に回すことはできません
- 算定できない期間は「事実が生じた月から、提出が行われた月の前月まで」。 提出が遅れた分だけ遡って算定できなくなります
- 対象は「利用者等全員」。 提出が漏れた利用者だけの問題ではありません
同じ規定は栄養マネジメント強化加算・栄養アセスメント加算にも置かれています。1人分の提出漏れが、事業所全員分の加算に及ぶという設計です。
提出する情報 ― 記入者名や自由記載は提出しない
提出する項目についても整理されています。フィードバックに活用する観点から、様式の各項目のうち記入者名や自由記載の箇所等については提出を求めないこととされました。また生年月日等の原則更新がない利用者の基本情報についても、利用者情報登録の内容からデータ連携されます。
科学的介護推進体制加算の場合、通所サービス・居住サービス・多機能サービス、または施設サービスの加算(Ⅰ)では、事業所または施設の全ての利用者等について、別紙様式1または2にある「基本情報」「総論」「口腔・栄養」及び「認知症」の任意項目を除く情報を、やむを得ない場合を除き提出します。施設サービスの加算(Ⅱ)を算定する場合は、これに加えて「総論」の診断名・服薬情報についても提出します。
提出する情報の時点も定められています。算定開始時、サービスの利用開始時、前回提出時以降の評価時点、サービスの利用終了時、という4種類です。「少なくとも3月ごと」の提出は、前回提出時以降の評価時点の情報を出すことになります。
【本題】LIFEは「提出先」であって記録の置き場所ではない
ここまでが制度の整理です。実務でいちばん重い負担は、移行作業そのものではありません。介護記録ソフトに入れた情報を、LIFEの様式に合わせてもう一度入れるという構造です。
この二重入力が起きる原因は3つあります。
1. 記録の粒度が様式と合っていない
たとえば摂食量や口腔の状態を、日々の記録では自由記述で書いているのに、LIFEの様式は選択肢で提出する形になっている。そのままでは変換できないので、様式を見ながら選び直す作業が発生します。 日々の記録の入力欄を、はじめから様式の選択肢に合わせておけば、この作業は消えます。
2. 「次の提出月」が誰も持っていない
前述のとおり、提出月は利用者ごとにずれます。ところが多くの事業所では、これを担当者の記憶やカレンダーのメモで管理しています。利用者ごとの「最終提出日」と「次回提出月」が一覧で見えていないと、提出漏れは構造的に起きます。 そして提出漏れの罰は事業所全員分の加算です。
3. フィードバックを見ていない
LIFEは提出したデータが集計されて返ってくる仕組みです。にもかかわらず、フィードバック票を開いていない事業所は少なくありません。提出は加算のためだけの作業になり、返ってきたものは使われない。 これでは負担だけが残ります。
整えるべき順序
- 日々の記録の入力欄を様式の項目に合わせる(自由記述を減らし、選択肢にする)
- 利用者ごとの最終提出日と次回提出月を一覧で持つ。期限管理はシステム側の仕事にする
- 提出は記録から出力する形にする。様式に転記しない
- フィードバックをカンファレンスの資料として使う日を決める。見る場がなければ、見られません
介護記録ソフトの更新や入替えに費用がかかる場合は、介護テクノロジー導入支援事業の補助金の記事で補助率と基準額の枠組みを整理していますので、あわせてご覧ください。記録の様式を国の標準に合わせておく考え方は、介護の事故報告書の記事でも触れています。
いま確認すべき3点
- 移行作業が完了しているか。 国保中央会運用LIFE(
top.life-kkh.jp)にログインでき、利用者情報の再入力まで終わっているか。厚労省運用LIFEは既に利用できません - 自事業所が算定している加算が、LIFEへのデータ提出を要件としているか。 前掲の18項目と突き合わせてください
- 利用者ごとの次回提出月が分かる状態になっているか。 「少なくとも3月ごと」は毎月提出ではありません。抜けは事業所全員分の加算に及びます
まとめ
- LIFEの運用は令和8年5月11日から公益社団法人国民健康保険中央会が行っている。移行期間は令和8年5月11日から7月31日まで
- 7月31日までに移行作業を完了しない事業所・施設は、8月1日以降、厚労省運用LIFEへのデータ提出ができず、7月分以降のLIFE関連加算の算定要件を満たさなくなる
- 7月サービス提供分の提出期限は令和8年8月10日。厚労省運用LIFEは令和8年9月1日に停止する予定とされ、執筆時点で応答しない
- 移行作業は3ステップ。電子証明書(介護保険証明書/介護DX証明書)の取得とインストール → データ移行実施 → 国保中央会運用LIFEでの利用者情報の再入力
- 電子請求受付システムやケアプランデータ連携システムと同じ端末を使う場合、電子証明書の新規取得は不要
- LIFEへのデータ提出が要件となっている加算は18項目。科学的介護推進体制加算・ADL維持等加算・個別機能訓練加算(Ⅱ)(Ⅲ)・栄養マネジメント強化加算・口腔衛生管理加算(Ⅱ)・褥瘡マネジメント加算・排せつ支援加算・自立支援促進加算などが含まれる
- 提出期限は共通して翌月10日まで。提出する月は加算ごとに違い、科学的介護推進体制加算は算定開始月・利用開始月・少なくとも3月ごと・終了月
- 提出できない事実が生じたら直ちに届出が必要で、事実が生じた月から提出が行われた月の前月までの間、利用者等全員について加算を算定できない
- 提出情報は、記入者名や自由記載の箇所等については提出を求めない。生年月日等の基本情報は利用者情報登録からデータ連携される
参考にした一次情報
- 科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和6年3月15日老老発0315第4号)
- 公益社団法人国民健康保険中央会運用LIFEへの移行に係る再周知について(令和8年7月2日事務連絡/介護保険最新情報Vol.1520)
- 公益社団法人国民健康保険中央会によるLIFEに係る説明会動画の公開について(情報提供)(令和8年5月22日事務連絡/介護保険最新情報Vol.1504)
- 科学的介護情報システム(LIFE)について(厚生労働省)
- 国保中央会運用LIFE マニュアル一覧
※加算の算定要件そのものは、指定居宅サービス・指定施設サービス等の各留意事項通知および報酬告示に定められています。本記事はLIFEへのデータ提出に係る事務処理手順を整理したものです。移行作業が未完了の場合の個別の取扱い、および過去分の請求の扱いについては、所轄の自治体および国保中央会運用LIFEのヘルプデスクにご確認ください。厚労省運用LIFEのヘルプデスクは令和8年7月31日で受付を終了しています。
LIFEへの提出と日々の記録を1本につなぎたい法人様へ
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